贈与
贈与税がかからない財産は11種類。
生活費・教育費は「必要な都度」渡さないと課税されます
親子の間でお金が動くたびに贈与税がかかるわけではありません。国税庁は、贈与税がかからない財産を11種類挙げています。
ただし、いちばんよく使われる「生活費・教育費」には、はっきりした条件が付いています。必要な都度、直接それに充てること。まとめて渡して預金させると、課税されます。国税庁のタックスアンサーNo.4405で確認します。
この記事の要点
扶養義務者からの生活費・教育費で通常必要と認められるもの、香典・祝物・見舞いで社会通念上相当なもの、法人からの贈与(こちらは所得税)など、贈与税がかからない財産は11種類。ただし生活費や教育費の名目でも、預金したり株式や不動産の購入に充てれば贈与税がかかります。特定障害者扶養信託は6,000万円まで非課税。国税庁タックスアンサーNo.4405をもとに整理しました。
法人からの贈与は所得税(贈与税ではない)
国税庁 タックスアンサー No.4405「贈与税がかからない場合」
贈与税は個人から財産を贈与により取得した場合にかかる税金であり、法人から財産を贈与により取得した場合には贈与税ではなく所得税がかかります。
「贈与税がかからない」と言っても、無税という意味ではありません。所得税がかかります。勤務先から財産をもらえば給与所得、関係のない法人からなら一時所得になるのが一般的です。
生活費・教育費は「必要な都度」が条件
実務でいちばん使われる非課税です。条件を正確に読んでください。
国税庁 タックスアンサー No.4405「贈与税がかからない場合」
夫婦や親子、兄弟姉妹などの扶養義務者から生活費や教育費に充てるために取得した財産で、通常必要と認められるもの
ここでいう生活費は、その人にとって通常の日常生活に必要な費用をいい、治療費、養育費その他子育てに関する費用などを含みます。また、教育費とは、学費や教材費、文具費などをいいます。
なお、贈与税がかからない財産は、生活費や教育費として必要な都度直接これらに充てるためのものに限られます。したがって、生活費や教育費の名目で贈与を受けた場合であっても、それを預金したり株式や不動産などの買入資金に充てている場合には贈与税がかかることになります。
| 渡し方 | 贈与税 |
|---|---|
| 毎月の生活費を、その都度渡す | かからない |
| 学費を、学校に払う都度渡す | かからない |
| 治療費・養育費を、必要なときに渡す | かからない |
| 「生活費」として数年分をまとめて渡し、子が預金した | かかる |
| 「学費」として渡した金銭で、子が株式や不動産を買った | かかる |
分かれ目は「必要な都度、直接それに充てる」かどうかです。残ってしまったら贈与税の対象になります。学費なら、親が学校に直接振り込むのがいちばん確実です。
なお、まとまった額を渡したい場合は、教育資金の一括贈与の非課税という別の制度があります(次の見出しの9・10に挙げた特例です)。金融機関で専用口座を作る必要があり、使いみちの証明も求められます。
香典・祝物・見舞いは社会通念上相当なら非課税
国税庁 タックスアンサー No.4405「贈与税がかからない場合」
個人から受ける香典、花輪代、年末年始の贈答、祝物または見舞いなどのための金品で、社会通念上相当と認められるもの
香典、お年玉、結婚祝い、出産祝い、お見舞い。これらは贈与税がかかりません。ただし「社会通念上相当と認められるもの」という限定があります。お祝いの名目で極端に大きな金額を渡せば、相当とは言えません。
受け取った香典は相続税でも課税されません。そのため、香典返しの費用は葬式費用として遺産から引けない、という扱いにつながります(葬式費用の記事)。
特定障害者扶養信託は6,000万円まで
国税庁 タックスアンサー No.4405「贈与税がかからない場合」
国内に居住する特定障害者(特別障害者または特別障害者以外で精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にあるなどその他の精神に障害がある者として一定の要件に当てはまる人)が特定障害者扶養信託契約に基づいて信託受益権を取得した場合には、その信託の際に「障害者非課税信託申告書」を信託会社などの営業所を経由して特定障害者の納税地の所轄税務署長に提出することにより、信託受益権の価額(信託財産の価額)のうち、6,000万円(特別障害者以外の者は3,000万円)までの金額に相当する部分については贈与税がかかりません。
| 対象 | 非課税となる金額 |
|---|---|
| 特別障害者 | 6,000万円まで |
| 特別障害者以外の特定障害者 | 3,000万円まで |
障害のあるお子さんの将来の生活費を確保するための制度です。信託銀行などと契約し、「障害者非課税信託申告書」を信託会社の営業所を経由して税務署長に提出することが要件です。この提出を忘れると非課税になりません。
そのほかの非課税財産
- 公益事業用の財産 … 宗教・慈善・学術その他公益を目的とする事業を行う一定の者が取得し、その事業に使われることが確実なもの
- 公益信託から給付を受けた財産など
- 心身障害者共済制度の給付金を受ける権利 … 地方公共団体の条例によるもの
- 公職の候補者が選挙運動に関し取得した金品 … 公職選挙法の規定による報告がなされたもの
- 住宅取得等資金の贈与のうち一定の要件を満たし、課税価格に算入されなかったもの
- 結婚・子育て資金の一括贈与のうち同上
相続があった年の贈与は相続税の対象
国税庁 タックスアンサー No.4405「贈与税がかからない場合」
相続や遺贈により財産を取得した人が、相続があった年に被相続人から贈与により取得した財産
相続が起きた年に、亡くなった方から生前に贈与を受けていた場合、その財産には贈与税がかかりません。相続税のほうで課税されるからです(生前贈与加算)。二重課税を避けるための規定です。
ただし条件があります。相続や遺贈で財産を取得した人に限られます。国税庁は冒頭で注意を促しています。
同
相続財産を取得しなかった人が、相続があった同年中に被相続人から贈与により取得した財産は、相続税ではなく贈与税の対象となりますので注意が必要です。
相続で何ももらわなかった人(相続人でない孫など)が、その年に生前贈与を受けていた場合は、贈与税の申告が必要です。相続の手続きに気を取られて、この申告を忘れる例があります。
11種類の一覧
| 非課税となる財産 | |
|---|---|
| 1 | 法人からの贈与により取得した財産(所得税がかかる) |
| 2 | 扶養義務者からの生活費・教育費で通常必要と認められるもの |
| 3 | 公益事業を行う一定の者が取得し、その事業に使われることが確実な財産 |
| 4 | 公益信託から給付を受けた財産など |
| 5 | 心身障害者共済制度に基づく給付金を受ける権利 |
| 6 | 公職の候補者が選挙運動に関し取得した金品(報告済みのもの) |
| 7 | 特定障害者扶養信託契約に基づく信託受益権(6,000万円/3,000万円まで) |
| 8 | 香典、花輪代、年末年始の贈答、祝物、見舞いで社会通念上相当なもの |
| 9 | 住宅取得等資金の贈与で課税価格に算入されなかったもの |
| 10 | 結婚・子育て資金の一括贈与で課税価格に算入されなかったもの |
| 11 | 相続や遺贈で財産を取得した人が、相続があった年に被相続人から贈与で取得した財産 |
よくある質問
会社から財産をもらった場合、贈与税はかかりますか
「贈与税がかからない」と言っても、無税という意味ではありません。 所得税がかかります。 勤務先から財産をもらえば給与所得、関係のない法人からなら一時所得になるのが一般的です。→ 本文で読む
親からもらう生活費や学費に贈与税はかかりますか
分かれ目は 「必要な都度、直接それに充てる」 かどうかです。残ってしまったら贈与税の対象になります。学費なら、親が学校に直接振り込むのがいちばん確実です。 なお、まとまった額を渡したい場合は、 教育資金の一括贈与の非課税 という別の制度があります(次の見出しの9・10に挙げた特例です)。金融機関で専用口座を作る必要があり、使いみちの証明も求められます。→ 本文で読む
お祝いやお見舞いのお金に贈与税はかかりますか
香典、お年玉、結婚祝い、出産祝い、お見舞い。これらは贈与税がかかりません。ただし「社会通念上相当と認められるもの」という限定があります。 お祝いの名目で極端に大きな金額を渡せば、相当とは言えません。→ 本文で読む
障害のある子のための信託に贈与税はかかりますか
障害のあるお子さんの将来の生活費を確保するための制度です。信託銀行などと契約し、 「障害者非課税信託申告書」を信託会社の営業所を経由して税務署長に提出する ことが要件です。この提出を忘れると非課税になりません。→ 本文で読む
相続があった年に受けた生前贈与はどうなりますか
相続が起きた年に、亡くなった方から生前に贈与を受けていた場合、その財産には贈与税がかかりません。 相続税のほうで課税される からです(生前贈与加算)。二重課税を避けるための規定です。→ 本文で読む
出典
- 国税庁「No.4405 贈与税がかからない場合」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4405.htm
この記事は、記載時点で公表されている法令・通達・国税庁の資料にもとづいて書いています。制度は改正されることがあり、また個別の事情によって取扱いは変わります。実際のご判断にあたっては、税理士にご相談いただくか、所轄の税務署にお確かめください。当事務所は本記事の情報を用いて行われた判断について責任を負いかねます。
親子間のお金の動かし方は、渡す前にご相談ください。
生活費として渡すか、贈与にするか、貸すか。同じ金額でも、渡し方で税金が変わります。記録の残し方まで含めてお伝えします。