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法人

会社を作ったら出す届出。
設立2か月・3か月の期限を過ぎると、青色は2期目からです

登記が終わると、会社は法律上できあがります。しかし税務署は、こちらから届け出るまで会社の存在を前提にした手続きをしてくれません。

届出には「出さなければならないもの」と「出すと有利になるもの」があり、後者のほうが期限を落としたときの損が大きいのが実務の感覚です。国税庁のタックスアンサーNo.5100に沿って、期限の早い順に整理します。

公開 最終更新

この記事の要点

法人を設立したら、法人設立届出書は設立登記の日から2か月以内、青色申告の承認申請書は「3か月を経過した日」と「第1期の終わりの日」の早いほうの前日まで。事前確定届出給与の届出は設立2か月以内です。国税庁が示す「出さなければならない書類」と「必要に応じて出す書類」を、期限の順に並べました。

必ず出す届出:設立2か月以内の法人設立届出書

法人を設立したときに、提出が義務になっている届出は法人設立届出書です。期限は設立の日(設立登記の日)から2か月以内。定款の写しを添えて、納税地を所轄する税務署長に出します。e-Taxでも書面でも提出できます。

国税庁 タックスアンサー No.5100「新設法人の届出書類」

内国法人(国内に本店または主たる事務所を有する法人)である普通法人または協同組合等を設立した場合は、設立の日(設立登記の日)以後2か月以内に「法人設立届出書」に「定款、寄附行為、規則または規約等の写し」を添付して、e-Taxまたは書面により納税地の所轄税務署長に提出しなければなりません

起算日が「設立登記の日」であることは押さえておいてください。定款を作った日でも、資本金を振り込んだ日でもありません。登記が完了した日から数えて2か月です。

書面で出す場合は1部(調査課所管法人は2部)と書かれています。設立したばかりの中小企業が調査課所管になることはまずありませんので、1部で足ります。

税務署に出す届出と、都道府県・市区町村に出す届出は別です

タックスアンサーNo.5100に書かれているのは、国税(税務署)に出す届出です。法人住民税・法人事業税のために、都道府県税事務所と市区町村にも設立の届出を出します。期限や様式は自治体ごとに決まっていますので、本店所在地の自治体のサイトで確認してください。

青色申告の承認申請は「3か月」と「第1期末」の早いほう

設立第1期から青色申告をするには、青色申告の承認申請書を期限内に出す必要があります。期限は「設立の日以後3か月を経過した日」と「設立第1期の事業年度終了の日」のうち、いずれか早い日の前日です。

国税庁 タックスアンサー No.5100「新設法人の届出書類」

設立第1期目から青色申告の承認を受けようとする場合の提出期限は、設立の日以後3か月を経過した日と設立第1期の事業年度終了の日とのうちいずれか早い日の前日までです。なお、この期限が休日等に当たる場合は、休日等明けの日が提出期限となります。

「必要に応じて提出する書類」に分類されていますが、実務では出さない理由がない届出です。青色申告でなければ、赤字を翌期以降に繰り越すことも、少額の減価償却資産を一度に経費にする特例を使うこともできません。設立1期目は赤字になることが多く、その赤字を2期目以降の黒字とぶつけられるかどうかで、納める税金が大きく変わります。

注意したいのは、第1期が短い会社です。たとえば決算月を設立月の翌月にした場合、第1期の終わりの日が先に来ます。「3か月あるから」と思っていると、第1期の期限はもっと早く過ぎています。設立登記が終わったら、法人設立届出書と同じ日に出してしまうのが確実です。

期限を過ぎると、第1期は白色申告になります

期限後に出した申請は、翌期(第2期)からの適用になります。第1期の赤字は繰り越せません。設立初年度は、設備投資や開業準備で赤字になりやすい期です。届出1枚の遅れで、その赤字が翌期の利益と相殺できなくなります。

事前確定届出給与の届出は設立2か月以内

役員に賞与を払って、それを損金(経費)にしたい場合は、事前確定届出給与に関する届出書を出しておく必要があります。設立した年の期限は、設立の日以後2か月を経過する日までです。

国税庁 タックスアンサー No.5100「新設法人の届出書類」

6 事前確定届出給与に関する届出書(付表1、付表2)
提出期限は、設立の日以後2か月を経過する日までです。

この届出は「いつ・誰に・いくら払うか」を先に決めて税務署に出し、そのとおりに払ったときだけ損金にできる仕組みです。届出の金額や日付と実際の支払いがずれると、その役員賞与は損金になりません。

設立2か月の時点で、年間の利益の見通しを立てて役員賞与の額まで決めるのは、正直なところ難しいことが多いです。出さないという判断も普通にあります。その場合、役員に払えるのは毎月同じ額の定期同額給与だけになります。定期同額給与の決め方は別の記事で書いています。

決算までに出せばよい届出(棚卸・償却方法など)

設立直後に急がなくてよい届出もあります。期限が「設立第1期の確定申告書の提出期限まで」となっているものです。

届出書提出期限(No.5100の記載)出さないとどうなるか
棚卸資産の評価方法の届出書設立第1期の確定申告書の提出期限まで法定の評価方法が適用されます
減価償却資産の償却方法の届出書設立第1期の確定申告書の提出期限まで法定の償却方法が適用されます
有価証券の一単位当たりの帳簿価額の算出方法の届出書有価証券を取得した日の属する事業年度の確定申告書の提出期限まで法定の算出方法が適用されます
定款の定め等による申告期限の延長の特例の申請書適用を受けようとする事業年度終了の日まで申告期限は原則どおり(延長なし)

棚卸資産の評価方法と減価償却の方法は、出さなくても「法定の方法」で計算されます。小さな会社では法定の方法で困らないことがほとんどです。届出を出すのは、法定と違う方法を選びたいときだけです。

有価証券の届出は「取得した日の属する事業年度」が期限になっていて、設立第1期とは限らないと書かれています。株式などを持たない会社には関係ありません。

申告期限の延長の申請は、定款で株主総会の時期を決算後3か月以内などとしている会社が使うものです。期限は「適用を受けようとする事業年度終了の日まで」、つまり第1期の決算日までです。決算が終わってから気づいても、その期には間に合いません。

源泉所得税と消費税の届出は別のコードに

No.5100には、源泉所得税の届出と消費税の届出は「別のコードを参照してください」とだけ書かれています。具体的には、源泉所得税はコード2502「源泉徴収義務者とは」と2505「納付期限と納期の特例」、消費税はコード6629「消費税の各種届出書」です。

実務で設立時に出すことが多いのは次の2つです。

  • 給与支払事務所等の開設届出書 … 役員報酬を払い始めるなら必要です。役員1人の会社でも、役員報酬を払えば「給与を支払う事務所」になります
  • 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書 … 給与の支給人員が常時10人未満なら、源泉所得税を毎月でなく半年ごとにまとめて納められます。詳しくは納期の特例の記事に書きました

消費税の届出は、会社の状況で出すものが変わります。資本金1,000万円以上で設立した会社、インボイス登録をする会社、簡易課税を選ぶ会社は、それぞれ別の届出があります。資本金1,000万円の記事インボイス登録の記事を参照してください。

出す順番と、期限を落としたときに起きること

期限の早い順に並べると、設立登記の日を起点にして次のようになります。

起点からの期限届出区分
2か月以内法人設立届出書(定款の写しを添付)必ず出す
2か月を経過する日まで事前確定届出給与に関する届出書役員賞与を損金にするなら
3か月を経過した日と第1期末の早いほうの前日青色申告の承認申請書実務上は必ず
第1期の決算日まで申告期限の延長の特例の申請書定款の定めがあるなら
第1期の申告期限まで棚卸資産の評価方法・減価償却の償却方法の届出書法定以外の方法を選ぶなら

法人設立届出書を出し忘れても、それ自体で税金が増えることはありません。ただ、税務署から申告書の用紙や案内が届かず、申告期限に気づかないまま無申告になる例があります。

本当に痛いのは青色申告の承認申請の遅れです。第1期が白色申告になり、初年度の赤字を繰り越せません。設立登記が終わった週のうちに、法人設立届出書・青色申告の承認申請書・給与支払事務所等の開設届出書の3枚をまとめて出す。これが、いちばん失敗の少ない順番です。

よくある質問

法人設立届出書はいつまでに出しますか

法人を設立したときに、提出が義務になっている届出は 法人設立届出書 です。期限は 設立の日(設立登記の日)から2か月以内 。定款の写しを添えて、納税地を所轄する税務署長に出します。e-Taxでも書面でも提出できます。→ 本文で読む

設立1期目から青色申告にするには、いつまでに申請しますか

設立第1期から青色申告をするには、 青色申告の承認申請書 を期限内に出す必要があります。期限は「設立の日以後3か月を経過した日」と「設立第1期の事業年度終了の日」のうち、 いずれか早い日の前日 です。→ 本文で読む

事前確定届出給与の届出は、設立の年はいつまでですか

役員に賞与を払って、それを損金(経費)にしたい場合は、 事前確定届出給与に関する届出書 を出しておく必要があります。設立した年の期限は、 設立の日以後2か月を経過する日まで です。→ 本文で読む

減価償却の償却方法の届出は出さないとどうなりますか

設立直後に急がなくてよい届出もあります。期限が「設立第1期の確定申告書の提出期限まで」となっているものです。 棚卸資産の評価方法と減価償却の方法は、出さなくても「法定の方法」で計算されます。小さな会社では法定の方法で困らないことがほとんどです。届出を出すのは、法定と違う方法を選びたいときだけです。→ 本文で読む

設立時の届出はどの順番で出せばよいですか

法人設立届出書を出し忘れても、それ自体で税金が増えることはありません。ただ、税務署から申告書の用紙や案内が届かず、申告期限に気づかないまま無申告になる例があります。 本当に痛いのは青色申告の承認申請の遅れです。第1期が白色申告になり、初年度の赤字を繰り越せません。設立登記が終わった週のうちに、法人設立届出書・青色申告の承認申請書・給与支払事務所等の開設届出書の3枚をまとめて出す。これが、いちばん失敗の少ない順番です。→ 本文で読む

出典

  1. 国税庁「No.5100 新設法人の届出書類」
    https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5100.htm

この記事は、記載時点で公表されている法令・通達・国税庁の資料にもとづいて書いています。制度は改正されることがあり、また個別の事情によって取扱いは変わります。実際のご判断にあたっては、税理士にご相談いただくか、所轄の税務署にお確かめください。当事務所は本記事の情報を用いて行われた判断について責任を負いかねます。

設立直後の届出は、まとめてお引き受けできます。

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