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帳簿

メールで届いた請求書は、
印刷して
捨ててはいけません

メールに添付されたPDFの請求書。ネット通販の領収書。印刷してファイルに綴じて、データは消していませんか。

令和6年1月から、それでは足りなくなりました。データそのものを保存する必要があります。ただし、小規模な事業者向けに要件はかなり緩められています。国税庁の資料で確認します。

公開 最終更新

この記事の要点

令和6年1月から、メールやネット通販で受け取った請求書・領収書は、データのまま保存する義務があります。印刷して紙で保管するだけでは足りません。ただし売上5,000万円以下なら検索要件が免除され、準備が間に合わない場合の猶予措置もあります。

何を保存するのか

国税庁「電子取引データの保存方法をご確認ください」(令和5年7月)

申告所得税・法人税に関して帳簿・書類を保存する義務のある方が、注文書・契約書・送り状・領収書・見積書・請求書などに相当する電子データをやりとりした場合には、その電子データ(電子取引データ)を保存しなければなりません。

身近な例で言うと、こういうものです。

メールに添付されたPDFの請求書・領収書仕入先・外注先から届くもの
ネット通販の領収書Amazon、楽天、資材のオンライン購入
クレジットカードの利用明細Webサイトからダウンロードするもの
電子契約サービスで結んだ契約書
アプリやWebから受け取る支払通知キャッシュレス決済の記録など
自分が送った請求書受け取ったものだけではありません

同上

あくまでデータでやりとりしたものが対象であり、紙でやりとりしたものをデータ化しなければならない訳ではありません。

受け取った場合だけでなく、送った場合にも保存する必要があります。

紙で受け取った領収書を、わざわざスキャンする義務はありません。紙は紙のまま保存すれば足ります。義務があるのは、最初からデータで届いたものです。

紙に印刷しただけでは足りません

これまでは、メールで届いたPDFを印刷してファイルに綴じ、データは消してしまう——という運用が普通でした。

国税庁「令和6年1月からの電子取引データの保存方法」(令和5年12月)

今まではプリントアウトした後に電子取引データを消していたけれど、令和6年1月からは消さずに保存する必要があるのね。

そのとおりです。電子取引データが原本ですので、これをそのまま保存してください。

データが原本です。印刷したものは写しにすぎません。印刷して保管すること自体は構いませんが、それとは別にデータを残す必要があります。

満たすべき2つのこと

要件中身
可視性の確保① モニター・操作説明書等の備付け
「日付・金額・取引先」で検索できること
真実性の確保改ざん防止の措置。事務処理規程を定めて守ることでも満たせます

①は、パソコンとプリンタがあれば足ります。仕事で使っていれば、たいてい満たしています。

真実性については、専用のシステムがなくても対応できます。

同上

「改ざん防止のための事務処理規程を定めて守る」といったシステム費用等をかけずに導入できる方法もあります。
改ざん防止のための事務処理規程のサンプルは、国税庁HPに掲載しています。

国税庁がサンプルを配っています。タイムスタンプの付与や、訂正・削除の履歴が残るシステムを使う方法もありますが、規程を作って守るだけでも要件は満たせます。

売上5,000万円以下なら検索要件は不要

②の検索要件は、小規模な事業者には免除されています。ここがいちばん大事なところです。

同上

ただし、「2課税年度前の売上高が5,000万円以下の方」、または「電子取引データをプリントアウトして日付及び取引先ごとに整理されている方」は、電子取引データの「ダウンロードの求め」に応じることができるようにしていれば、②の要件は不要となります。

一人親方も美容師も副業の方も、ほとんどがここに当てはまります。2年前の売上が5,000万円以下なら、検索できる形に整える必要はありません。

データを消さずに残しておいて、税務調査のときに出せるようにしておけば足ります。

検索できる形にするなら

5,000万円を超える場合でも、専用システムは要りません。国税庁は2つの方法を挙げています。

① 表計算ソフトで索引簿を作る(サンプルが国税庁HPにあります)
② ファイル名に規則をつける — 「日付・金額・取引先」をファイル名に入れて1つのフォルダにまとめ、フォルダの検索機能で探せるようにする方法です

準備が間に合わない場合

それでも間に合わない場合の猶予措置があります。

同上

⑴ 電子取引データ保存の一定のルールに従って電子取引データを保存することができなかったことについて、所轄税務署長が相当の理由があると認める場合(事前申請等は不要です。)
⑵ 税務調査等の際に、電子取引データのダウンロードの求め/電子取引データをプリントアウトした書面の提示・提出の求め にそれぞれ応じることができるようにしている場合

⑴と⑵を満たす場合には、電子取引データを保存しておくだけで大丈夫です。

事前の申請は要りません。そして「相当の理由」の範囲は広く取られています。

同上

「人手不足」はこれを満たすんだな。
はい。ほかにも、「システム整備が間に合わない」「資金不足」……

それでも「データを消さない」ことだけは必要です

猶予措置を使っても、データそのものを保存しておく義務はなくなりません。緩められているのは検索や改ざん防止の要件のほうです。

印刷して、データを消す。これだけは、どの措置を使っても認められません。

なお、令和4年度税制改正の「宥恕措置」は令和5年12月31日で廃止されています。当時の説明で覚えている方はご注意ください。

実際にどうするか

売上5,000万円以下の個人事業主なら、これで足ります。

1専用のフォルダを1つ作る。パソコンでもクラウドでも構いません
2データで届いた請求書・領収書を、そこに入れる。PDFでもスクリーンショットでも形式は問いません
3送ったものも入れる。自分が発行した請求書のPDFも対象です
4年ごとにフォルダを分ける。保存期間は原則7年です
5事務処理規程を作って、守る。国税庁のサンプルをそのまま使えます

いちばんよくない形

「印刷したから、もういいや」とデータを消してしまうことです。あとから復元できません。

迷ったらとりあえず消さずに取っておいてください。整理のしかたはあとからでも直せますが、消してしまったものは戻せません。

よくある質問

電子帳簿保存法で何を保存しますか?

紙で受け取った領収書を、わざわざスキャンする義務はありません。 紙は紙のまま保存すれば足ります。義務があるのは、 最初からデータで届いたもの です。→ 本文で読む

電子取引のデータは紙に印刷して保存するだけでは足りませんか?

これまでは、メールで届いたPDFを印刷してファイルに綴じ、データは消してしまう——という運用が普通でした。 データが原本です。 印刷したものは写しにすぎません。印刷して保管すること自体は構いませんが、それとは別にデータを残す必要があります。→ 本文で読む

売上5,000万円以下なら検索要件は不要ですか?

②の検索要件は、小規模な事業者には免除されています。 ここがいちばん大事なところです。 一人親方も美容師も副業の方も、ほとんどがここに当てはまります。 2年前の売上が5,000万円以下なら、検索できる形に整える必要はありません。→ 本文で読む

出典

  1. 国税庁「電子取引データの保存方法をご確認ください」(令和5年7月)
    https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/tokusetsu/pdf/0023006-085_01.pdf(PDF)
  2. 国税庁「令和6年1月からの電子取引データの保存方法」(令和5年12月)
    https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/tokusetsu/pdf/0023011-012.pdf(PDF)
  3. 国税庁「電子帳簿等保存制度特設サイト」
    https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/tokusetsu/index.htm

この記事は、記載時点で公表されている法令・通達・国税庁の資料にもとづいて書いています。制度は改正されることがあり、また個別の事情によって取扱いは変わります。実際のご判断にあたっては、税理士にご相談いただくか、所轄の税務署にお確かめください。当事務所は本記事の情報を用いて行われた判断について責任を負いかねます。

いまのやり方のままで足りているか、確認します。

どこから何がデータで届いているかを一緒に洗い出して、保存の形を決めます。専用のシステムを入れなくても対応できる方法があります。顧問契約の方には、事務処理規程の作成もお引き受けします。初回30分は無料です。