源泉徴収
税理士・弁護士に払う報酬の源泉徴収。
100万円以下は10.21%、超える部分は20.42%。登録免許税の実費は対象外
税理士の顧問料、司法書士の登記報酬、弁護士の着手金。会社がこれらを払うとき、源泉徴収をして、差し引いた税額を国に納めます。
税率は100万円を境に2段階。そして、請求書に載っている金額の全部が対象ではありません。登録免許税のような実費、会社が直接払った交通費は除きます。国税庁のタックスアンサーNo.2798で、対象と計算と納付を確認します。
この記事の要点
個人の弁護士・税理士などへの報酬は、100万円以下の部分が10.21%、100万円を超える部分が20.42%+102,100円で源泉徴収します。150万円なら204,200円。謝金・日当・旅費の名目でも対象ですが、会社が直接払う交通費・宿泊費と、登録免許税など国に納める実費分は対象外。納付は翌月10日、納期の特例なら7月10日と1月20日。国税庁タックスアンサーNo.2798をもとに整理しました。
対象:個人の弁護士・税理士などへの報酬
居住者である弁護士や税理士などに報酬・料金を支払うときは、所得税と復興特別所得税(令和9年分以後は防衛特別所得税も)を源泉徴収しなければなりません。
国税庁 タックスアンサー No.2798「弁護士や税理士等に支払う報酬・料金」
居住者である弁護士や税理士などに報酬・料金を支払うときは、所得税および復興特別所得税(令和9年分以後は所得税、防衛特別所得税および復興特別所得税。以下同じです。)を源泉徴収しなければなりません。
「居住者である」、つまり個人の弁護士・税理士への支払いが対象です。税理士法人・弁護士法人・司法書士法人など法人への支払いは対象外です。同じ事務所でも、個人事務所か法人かで扱いが変わります。請求書の発行者名で確認してください。
謝金・日当・旅費の名目でも対象
国税庁 タックスアンサー No.2798「弁護士や税理士等に支払う報酬・料金」
弁護士や税理士などの業務に関する報酬・料金は、源泉徴収の対象となります。
謝金、調査費、日当、旅費などの名目で支払われるものも源泉徴収の対象となる報酬・料金に含まれます。
請求書に「日当」「交通費」「調査費」と分けて書かれていても、士業に払う限り、それらは報酬に含めて源泉徴収します。「報酬の部分だけ源泉」ではありません。ただし、次に書く2つの例外があります。
対象外:直接払う交通費と、登録免許税などの実費
国税庁 タックスアンサー No.2798「弁護士や税理士等に支払う報酬・料金」
ただし、支払者が直接、交通機関やホテル等に支払う交通費、宿泊費等で、その金額が通常必要な範囲内のものであるときは、源泉徴収の対象となる報酬・料金に含めなくてもよいことになっています。
なお、弁護士等に支払う金銭等であっても、支払者が国等に対し登記、申請をするため本来納付すべきものとされる登録免許税、手数料等に充てるものとして支払われたことが明らかなものについては、源泉徴収をする必要はありません。
1つめは、会社が交通機関やホテルに直接払った交通費・宿泊費。士業を経由せずに会社が払えば、報酬に含めません。士業に「交通費」として渡すと、報酬に含まれます。
2つめは、登録免許税や手数料などの実費。司法書士に登記を頼むと、請求書には司法書士の報酬と、登録免許税・登記事項証明書の手数料などの実費が並びます。実費は国に納めるお金を司法書士が立て替えているだけなので、源泉徴収の対象外です。司法書士の請求書は、報酬と実費を分けて読む必要があります。実費まで含めて源泉徴収してしまうと、取りすぎです。
| 司法書士の請求書の項目 | 源泉徴収 |
|---|---|
| 登記手続の報酬 | 対象 |
| 日当・交通費(司法書士に支払うもの) | 対象 |
| 登録免許税 | 対象外(国に納める実費) |
| 登記事項証明書・印鑑証明書の手数料 | 対象外(実費) |
| 消費税(報酬と区分して記載されている場合) | 対象外にできる |
税率:100万円以下10.21%、超える部分20.42%
国税庁 タックスアンサー No.2798「弁護士や税理士等に支払う報酬・料金」
支払金額(=A) 税額
100万円以下 A×10.21%
100万円超 (A-100万円)×20.42%+102,100円
(注)求めた税額に1円未満の端数があるときは、これを切り捨てます。
1回の支払金額が100万円以下なら10.21%。100万円を超えると、超えた部分が20.42%になります。102,100円は100万円×10.21%で、100万円までの部分の税額です。
「支払金額」は1回に支払う金額です。月々の顧問料が100万円を超えることは少ないですが、決算料や、弁護士の成功報酬、相続税申告の報酬など、まとまった額の支払いでは20.42%の部分が出てきます。
計算例:150万円の弁護士報酬で204,200円
国税庁 タックスアンサー No.2798「弁護士や税理士等に支払う報酬・料金」
<150万円の弁護士報酬を支払う場合>
(150万円 - 100万円)× 20.42% + 102,100円 = 204,200円
源泉徴収すべき所得税および復興特別所得税の額は204,200円になります。
150万円のうち、100万円までは102,100円、残り50万円は20.42%で102,100円、合計204,200円です。弁護士に振り込むのは150万円から204,200円を引いた額で、204,200円は会社が国に納めます。
消費税を区分した請求書なら税抜で
国税庁 タックスアンサー No.2798「弁護士や税理士等に支払う報酬・料金」
報酬・料金の額の中に消費税および地方消費税の額(以下、「消費税等の額」といいます。)が含まれている場合は、原則として、消費税等の額を含めた金額を源泉徴収の対象としますが、請求書等において、報酬・料金の額と消費税等の額が明確に区分されている場合には、その報酬・料金の額のみを源泉徴収の対象とする金額として差し支えありません(注)。
(注) 消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式(インボイス制度)開始後も、上記の取扱いは変更ありません。
請求書に報酬と消費税が分けて書かれていれば、税抜の報酬額で計算して構いません。「100万円以下か超か」の判定も、税抜で計算するなら税抜の額で行います。計算例は別の記事に書きました。
納付:翌月10日、納期の特例なら年2回
国税庁 タックスアンサー No.2798「弁護士や税理士等に支払う報酬・料金」
ただし、支払者が納期の特例の適用を受けている場合には、1月から6月までの間に支払った報酬・料金から源泉徴収した所得税および復興特別所得税の納付期限は7月10日、7月から12月までの間に支払った報酬・料金から源泉徴収した所得税および復興特別所得税の納付期限は翌年1月20日となります。
原則は、支払った月の翌月10日までに、所得税徴収高計算書をe-Taxで送信して納付するか、納付書を添えて金融機関や税務署の窓口で納付します。給与の支給人員が常時10人未満で納期の特例を受けていれば、士業への報酬の源泉所得税も年2回(7月10日・翌年1月20日)にまとめられます。納期の特例の対象になるのは給与と士業の報酬だけで、デザイナーなどへの報酬は対象外です。納期の特例の記事を参照してください。
士業への報酬は、年明けに「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」を作成し、一定額を超えるものは税務署に提出します。源泉徴収した額を1年分集計しておけば、そのまま支払調書になります。
よくある質問
税理士法人への報酬も源泉徴収が必要ですか
居住者である弁護士や税理士などに報酬・料金を支払うときは、所得税と復興特別所得税(令和9年分以後は防衛特別所得税も)を源泉徴収しなければなりません。 「居住者である」、つまり 個人 の弁護士・税理士への支払いが対象です。税理士法人・弁護士法人・司法書士法人など法人への支払いは対象外です。同じ事務所でも、個人事務所か法人かで扱いが変わります。請求書の発行者名で確認してください。→ 本文で読む
税理士に払う日当や交通費も源泉徴収の対象ですか
請求書に「日当」「交通費」「調査費」と分けて書かれていても、士業に払う限り、それらは報酬に含めて源泉徴収します。「報酬の部分だけ源泉」ではありません。ただし、次に書く2つの例外があります。→ 本文で読む
司法書士に払う登録免許税は源泉徴収の対象ですか
1つめは、会社が交通機関やホテルに直接払った交通費・宿泊費。 士業を経由せずに会社が払えば、報酬に含めません。士業に「交通費」として渡すと、報酬に含まれます。 2つめは、登録免許税や手数料などの実費。 司法書士に登記を頼むと、請求書には司法書士の報酬と、登録免許税・登記事項証明書の手数料などの実費が並びます。実費は国に納めるお金を司法書士が立て替えているだけなので、源泉徴収の対象外です。 司法書士の請求書は、報酬と実費を分けて読む 必要があります。実費まで含めて源泉徴収してしまうと、取りすぎです。→ 本文で読む
税理士や弁護士への報酬の源泉徴収税率は何パーセントですか
1回の支払金額が100万円以下なら10.21%。100万円を超えると、超えた部分が20.42%になります。102,100円は100万円×10.21%で、100万円までの部分の税額です。→ 本文で読む
150万円の弁護士報酬の源泉徴収税額はいくらですか
150万円のうち、100万円までは102,100円、残り50万円は20.42%で102,100円、合計204,200円です。弁護士に振り込むのは150万円から204,200円を引いた額で、204,200円は会社が国に納めます。→ 本文で読む
士業への報酬の源泉所得税はいつまでに納めますか
原則は、支払った月の翌月10日までに、所得税徴収高計算書をe-Taxで送信して納付するか、納付書を添えて金融機関や税務署の窓口で納付します。給与の支給人員が常時10人未満で納期の特例を受けていれば、士業への報酬の源泉所得税も年2回(7月10日・翌年1月20日)にまとめられます。納期の特例の対象になるのは給与と士業の報酬だけで、デザイナーなどへの報酬は対象外です。 納期の特例の記事 を参照してください。→ 本文で読む
出典
- 国税庁「No.2798 弁護士や税理士等に支払う報酬・料金」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2798.htm
この記事は、記載時点で公表されている法令・通達・国税庁の資料にもとづいて書いています。制度は改正されることがあり、また個別の事情によって取扱いは変わります。実際のご判断にあたっては、税理士にご相談いただくか、所轄の税務署にお確かめください。当事務所は本記事の情報を用いて行われた判断について責任を負いかねます。
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