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副業

副業の必要経費。
「払った年」ではなく「債務が確定した年」の経費で、家族への支払いは経費になりません

副業の所得は、収入から必要経費を引いて計算します。経費が多いほど所得は減り、税金も減る。だから「何が経費になるか」に関心が集まります。

しかし国税庁のタックスアンサーNo.2210は、「何が」より先に「いつの年の経費か」「家事との区分」を書いています。副業で失敗が多いのも、この2つです。

公開 最終更新

この記事の要点

事業所得・不動産所得・雑所得の必要経費は、売上原価など収入に直接要した費用と、その年の販売費・一般管理費。計上する年は「12月31日までに債務が成立し、給付の原因となる事実が発生し、金額が合理的に算定できる」年です。家事関連費は業務上直接必要と明らかに区分できる部分だけ。生計を一にする家族への家賃・給与は経費にならず、所得税・住民税・罰金も経費外。国税庁タックスアンサーNo.2210をもとに整理しました。

必要経費とは:収入に直接要した費用と、その年の業務上の費用

事業所得・不動産所得・雑所得の必要経費に算入できるのは、次の2つです。

国税庁 タックスアンサー No.2210「必要経費の知識」

(1)総収入金額に対応する売上原価その他その総収入金額を得るために直接要した費用の額
(2)その年に生じた販売費、一般管理費その他業務上の費用の額

(1)は、売った商品の仕入代金のように、収入と直接ひもづく費用です。(2)は、通信費・消耗品費・交通費・広告費のように、業務全体のためにかかる費用です。副業の経費のほとんどは(2)で、「業務上の費用」と言えるかどうかが問われます。

いつの年の経費か:12月31日までに債務が確定していること

必要経費になるのは、その年において債務の確定した金額です。払った年ではありません。12月に届いた請求書を翌年1月に払っても、その年の経費です。逆に、翌年分のサービス料を12月に前払いしても、その年の経費にはなりません。

国税庁 タックスアンサー No.2210「必要経費の知識」

この場合の「その年において債務が確定している」とは、次の3つの要件をすべて満たす場合をいいます。
(1)その年の12月31日までに債務が成立していること。
(2)その年の12月31日までにその債務に基づいて具体的な給付をすべき原因となる事実が発生していること。
(3)その年の12月31日までに金額が合理的に算定できること。

3つを副業の場面に置き換えると、「契約や注文が済んでいる」「相手からサービスや物を受け取っている」「金額が決まっている」です。12月に注文して1月に届いた備品は、12月31日時点で(2)を満たしませんので、翌年の経費です。

減価償却費のように、債務の確定によらない費用もあります。パソコンなど一定額以上のものは、買った年に全額ではなく、使える年数に分けて経費にします。

前々年の収入が300万円以下の雑所得には、現金主義の特例があります

副業が雑所得で、前々年分の収入が300万円以下なら、確定申告書にその旨を記載することで、実際に入金・支払った年で計算できます。上の債務確定の原則の例外です。雑所得の記事を参照してください。

家事関連費:業務に直接必要と「明らかに区分」できる部分だけ

自宅の家賃や光熱費、スマートフォンの通信料のように、生活と業務の両方に関わる費用(家事関連費)は、業務遂行上直接必要であったことが明らかに区分できる場合の、その区分できる金額に限って経費になります。

国税庁 タックスアンサー No.2210「必要経費の知識」

この家事関連費のうち必要経費になるのは、取引の記録などに基づいて、業務遂行上直接必要であったことが明らかに区分できる場合のその区分できる金額に限られます。

「何割くらい仕事で使っている気がする」では区分になりません。使用した面積、時間、回数など、記録にもとづいて説明できる割合が必要です。副業の場合、本業の勤務時間があるので、自宅の使用割合は事業専業の人より小さくなるのが普通です。家事按分の考え方は別の記事に書きました。

家族への家賃・給与は経費にならない

生計を一にする配偶者や親族に払う家賃・地代、そして給与は、必要経費になりません。受け取った家族の側でも所得にはなりません。

国税庁 タックスアンサー No.2210「必要経費の知識」

イ 生計を一にする配偶者その他の親族に支払う地代家賃などは必要経費になりません。逆に、受け取った人も所得としては考えません。
(中略)
ロ 生計を一にする配偶者その他の親族に支払う給与賃金(青色事業専従者給与は除きます。)は必要経費になりません。

親の持ち家の一室で副業をして親に家賃を払っても、経費になりません。ただし、その家に課される固定資産税など、家族が負担している費用のうち業務に関する部分は、本人の経費にできます。家族への給与は、青色申告の専従者給与の届出をした場合だけ経費になります(専従者給与の記事)。副業が雑所得なら、そもそも専従者給与の制度は使えません。

経費にならないもの:所得税・住民税・罰金

国税庁 タックスアンサー No.2210「必要経費の知識」

ホ 事業税は全額必要経費になりますが、固定資産税は業務用の部分に限って必要経費になります。
ヘ 所得税や住民税は必要経費になりません。
ト 罰金、科料および過料などは必要経費になりません。

副業の所得にかかった所得税・住民税は、翌年の経費にはなりません。駐車違反の反則金も経費外です。一方、個人事業税は経費になります。副業の規模が大きくなって事業税がかかるようになったら、その事業税は翌年の経費です。

経費になるもの:借入金の利息・修繕費・事業税

業務用の資産を買うための借入金の利息は、経費になります。業務用資産の修繕費や、取壊し・除却の損失も、一定の場合を除き経費です。

国税庁 タックスアンサー No.2210「必要経費の知識」

ハ 業務用資産の購入のための借入金など、業務のための借入金の利息は必要経費になります。
ニ 業務用資産の取壊し、除却、滅失の損失および業務用資産の修繕に要した費用は、一定の場合を除き必要経費になります。

不動産所得については、土地を買うための借入金の利息は経費になりますが、赤字になった場合にその利息相当額は損益通算できない、という注記があります。これは別の記事に書きました。

副業で経費を集計するときの型

費用経費になるか条件
仕入代金・材料費なる売れた分(売上原価)。年末在庫は翌年へ
通信費・消耗品・交通費・手数料なる業務上の費用。12月31日までに債務確定した分
自宅の家賃・光熱費・スマホ代一部なる業務に直接必要と明らかに区分できる部分だけ
パソコン・機材なる(減価償却)一定額以上は年数に分けて
家族への家賃・給与ならない生計を一にする親族。専従者給与は例外
所得税・住民税・罰金ならない
個人事業税なる全額

経費の集計で最初に決めるのは、家事関連費の区分の基準です。基準を決めてから領収書を分ければ、翌年も同じ基準で続けられます。基準が年ごとに変わる申告は、調査で説明がつきません。

よくある質問

副業の必要経費とはどんな費用ですか

(1)は、売った商品の仕入代金のように、収入と直接ひもづく費用です。(2)は、通信費・消耗品費・交通費・広告費のように、業務全体のためにかかる費用です。副業の経費のほとんどは(2)で、「業務上の費用」と言えるかどうかが問われます。→ 本文で読む

12月に注文して翌年1月に届いた備品はどちらの年の経費ですか

必要経費になるのは、 その年において債務の確定した金額 です。払った年ではありません。12月に届いた請求書を翌年1月に払っても、その年の経費です。逆に、翌年分のサービス料を12月に前払いしても、その年の経費にはなりません。→ 本文で読む

自宅の家賃やスマホ代は副業の経費にできますか

自宅の家賃や光熱費、スマートフォンの通信料のように、生活と業務の両方に関わる費用(家事関連費)は、 業務遂行上直接必要であったことが明らかに区分できる場合の、その区分できる金額 に限って経費になります。→ 本文で読む

親に払った家賃や家族に払った手伝いの給与は経費になりますか

生計を一にする配偶者や親族に払う家賃・地代、そして給与は、必要経費になりません。受け取った家族の側でも所得にはなりません。 親の持ち家の一室で副業をして親に家賃を払っても、経費になりません。ただし、その家に課される固定資産税など、家族が負担している費用のうち業務に関する部分は、本人の経費にできます。家族への給与は、青色申告の専従者給与の届出をした場合だけ経費になります( 専従者給与の記事 )。副業が雑所得なら、そもそも専従者給与の制度は使えません。→ 本文で読む

所得税や住民税は必要経費になりますか

副業の所得にかかった所得税・住民税は、翌年の経費にはなりません。駐車違反の反則金も経費外です。一方、個人事業税は経費になります。副業の規模が大きくなって事業税がかかるようになったら、その事業税は翌年の経費です。→ 本文で読む

出典

  1. 国税庁「No.2210 必要経費の知識」
    https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2210.htm

この記事は、記載時点で公表されている法令・通達・国税庁の資料にもとづいて書いています。制度は改正されることがあり、また個別の事情によって取扱いは変わります。実際のご判断にあたっては、税理士にご相談いただくか、所轄の税務署にお確かめください。当事務所は本記事の情報を用いて行われた判断について責任を負いかねます。

副業の経費は、集計の前に「区分の基準」を決めます。

自宅の一部を使う、私物のパソコンを使う、家族に手伝ってもらう。それぞれ経費にできる範囲が決まっています。領収書を持ち込む前に、一度ご相談ください。