美容師
シザーも講習費も
経費にできます。
ただし10万円の
線があります
面貸しで働いていると、道具も材料も自分持ちになります。
シザー、クリッパー、薬剤、タオル、講習費、交通費。これらは経費にできます。ただしシザーは値段によって扱いが変わります。10万円を境に、買った年に全額引けるかどうかが分かれます。国税庁の資料で確認します。
この記事の要点
面貸し・業務委託の美容師が経費にできるもの。シザーは値段によって扱いが変わり、10万円を超えると買った年に全額は引けません。消耗品としてよいかの判定、講習費や交通費まで、国税庁の資料で整理します。
経費にできるもの
事業所得として申告する場合、売上を得るために使ったものが経費になります。面貸し・業務委託の美容師なら、次のようなものです。
| 種類 | 具体例 |
|---|---|
| 席の使用料 | 面貸し料・歩合の差引分(サロンに払っている分) |
| 道具 | シザー、クリッパー、コーム、ドライヤー、アイロン |
| 材料 | カラー剤、パーマ液、シャンプー、トリートメント、タオル |
| 消耗品 | グローブ、ケープ、クロス、ペーパー |
| 技術の維持 | 講習費、セミナー参加費、講習先までの交通費 |
| 移動 | サロンまでの交通費、営業用の車の費用(按分) |
| 通信 | 予約の連絡に使う携帯電話(按分) |
| 広告 | 名刺、SNSの広告費、撮影費 |
| その他 | 美容師賠償責任保険、組合費、専門誌 |
判断の基準は「売上との関係を説明できるか」です。国税庁は必要経費についてこう整理しています。
国税庁「No.2210 やさしい必要経費の知識」
必要経費に算入できる金額は、次の金額です。
(1)総収入金額に対応する売上原価その他その総収入金額を得るために直接要した費用の額
(2)その年に生じた販売費、一般管理費その他業務上の費用の額
10万円という線
ここが一番の分かれ目です。買ったものが10万円以上かどうかで扱いが変わります。
国税庁「No.2100 減価償却のあらまし」
(注1) 使用可能期間が1年未満のものまたは取得価額が10万円未満のものは、その取得に要した金額の全額を業務の用に供した年分の必要経費とします。
(注2) 取得価額が10万円以上20万円未満の減価償却資産については、一定の要件の下で……その一括した減価償却資産の取得価額の合計額の3分の1に相当する金額をその業務の用に供した年以後3年間の各年分において必要経費に算入することができます。
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シザーはどちらか
シザーは1丁で10万円を超えるものが珍しくありません。ここで迷う方が多いところです。
判定の順番はこうなります。
| 1 | 使用可能期間が1年未満か。そうなら金額に関わらず、買った年に全額経費 |
|---|---|
| 2 | 1つあたり10万円未満か。そうなら買った年に全額経費 |
| 3 | それ以上なら、上の図の区分に従います |
1の「使用可能期間が1年未満」の判定について、国税庁はこう書いています。
国税庁「No.5403 少額の減価償却資産になるかどうかの判定の例示」
この場合の「使用可能期間が1年未満のもの」とは、法定耐用年数でみるのではなく、その法人の営む業種において一般的に消耗性のものと認識され、かつ、その法人の平均的な使用状況、補充状況などからみて、その使用可能期間が1年未満であるものをいいます。
読み方の要点は「その業種において一般的に消耗性と認識され」ているかどうかと、「平均的な使用状況、補充状況」です。
シザーを1年未満と言い切るのは難しいところです
研ぎに出しながら何年も使うのが一般的なら、1年未満とは言いにくいことになります。実際に1年程度で買い替えている実績があるなら別ですが、そこは記録で説明できるかどうかです。
迷ったときは、10万円未満のものは全額経費、10万円以上のものは少額減価償却資産の特例(青色申告なら40万円未満まで)を使う、という整理が安全です。
「1つあたり」で判定します
国税庁は「この取得価額は、通常1単位として取引されるその単位ごとに判定します」と書いています。シザー3丁をまとめて買っても、判定は1丁ずつです。合計額では見ません。
講習費とセミナー
技術を維持・向上させるための講習費は、売上との関係を説明できるので経費になります。講習先までの交通費や宿泊費も同じです。
ただし線引きが必要なものもあります。
| 経費にしやすい | カット・カラー・パーマなど、いま行っている施術に直結する講習 |
|---|---|
| 説明が要る | 美容師免許そのものの取得費用(資格を得るための支出は、事業を始める前のものになりやすい) |
| 難しい | 趣味の域に入るもの、家族の同行分の旅費 |
迷ったら、何のための支出かをメモに残してください。「◯月◯日、△△セミナー、カラー技術の習得」と一言あるだけで、あとの説明がまったく違います。
自宅を使っている場合
予約の管理や事務を自宅でしている場合、家賃や光熱費、通信費のうち仕事に使った割合を経費にできます。これを家事按分といいます。
国税庁が求めているのは「業務の遂行上必要であることが明らかにできる」ことです。面積や使用時間など、割合の根拠を説明できる形にしておく必要があります。詳しくは家事按分の記事に書きました。
領収書がないとき
交通費のようにレシートが出ないものもあります。その場合は出金伝票やメモで記録を残します。日付・行き先・目的・金額を書いておけば足ります。
レシートは捨てないでください
経費にできるかどうかの判断は、あとからでもできます。できないのは、レシートを捨ててしまったあとの復元です。
袋や箱にまとめて入れておいてください。日付順に並べる必要も、ノートに貼る必要もありません。仕分けはこちらでやります。
よくある質問
美容師が経費にできるものは何ですか?
事業所得として申告する場合、 売上を得るために使ったもの が経費になります。面貸し・業務委託の美容師なら、次のようなものです。 判断の基準は 「売上との関係を説明できるか」 です。国税庁は必要経費についてこう整理しています。→ 本文で読む
経費の「10万円」という線は何ですか?
ここが一番の分かれ目です。 買ったものが10万円以上かどうかで扱いが変わります。→ 本文で読む
シザーは経費になりますか?
シザーは 1丁で10万円を超えるものが珍しくありません。 ここで迷う方が多いところです。 読み方の要点は 「その業種において一般的に消耗性と認識され」 ているかどうかと、 「平均的な使用状況、補充状況」 です。→ 本文で読む
講習費やセミナー代は経費になりますか?
技術を維持・向上させるための講習費は、 売上との関係を説明できるので経費になります。 講習先までの交通費や宿泊費も同じです。 迷ったら、何のための支出かをメモに残してください。 「◯月◯日、△△セミナー、カラー技術の習得」と一言あるだけで、あとの説明がまったく違います。→ 本文で読む
自宅を仕事に使っている場合の経費はどうなりますか?
予約の管理や事務を自宅でしている場合、家賃や光熱費、通信費のうち 仕事に使った割合を経費にできます。 これを家事按分といいます。 国税庁が求めているのは 「業務の遂行上必要であることが明らかにできる」 ことです。面積や使用時間など、割合の根拠を説明できる形にしておく必要があります。詳しくは 家事按分の記事 に書きました。→ 本文で読む
経費の証明には何が必要ですか?
交通費のようにレシートが出ないものもあります。その場合は 出金伝票やメモで記録を残します。 日付・行き先・目的・金額を書いておけば足ります。→ 本文で読む
出典
- 国税庁「No.2100 減価償却のあらまし」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2100.htm - 国税庁「No.5403 少額の減価償却資産になるかどうかの判定の例示」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5403.htm - 国税庁「No.2210 やさしい必要経費の知識」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2210.htm
この記事は、記載時点で公表されている法令・通達・国税庁の資料にもとづいて書いています。制度は改正されることがあり、また個別の事情によって取扱いは変わります。実際のご判断にあたっては、税理士にご相談いただくか、所轄の税務署にお確かめください。当事務所は本記事の情報を用いて行われた判断について責任を負いかねます。
レシートはまとめてお送りください。
袋や箱に入れたままで構いません。日付順に並べる必要も、ノートに貼る必要もありません。仕分けと集計はこちらで行います。経費にできるかどうかの判断も含めてお引き受けします。初回30分は無料です。