申告
確定申告を忘れたとき。
期限から1か月以内に自主的に出せば無申告加算税はかかりません。それを過ぎると5%・10%・15%
副業の申告を忘れていた。3月15日を過ぎてから気づいた。こういうとき、まず知っておくべきは「1か月以内」です。
期限から1か月以内に自分から出して、税金も納めれば、無申告加算税はかかりません。それを過ぎると、いつ出すか・税務署に言われる前か後かで、5%から30%まで変わります。国税庁のタックスアンサーNo.2024の内容を、時間の順に並べます。
この記事の要点
3月15日を過ぎた申告は期限後申告になり、原則として無申告加算税がかかります。調査の事前通知前に自主的に出せば5%、通知後なら10%(50万円超15%、300万円超25%)、調査後なら15%(50万円超20%、300万円超30%)。ただし期限から1か月以内の自主申告で、税額を法定納期限までに納め、過去5年に無申告加算税等がなければ加算税なし。帳簿不提示や売上記載不足で10%・5%加重。延滞税は別。国税庁タックスアンサーNo.2024をもとに整理しました。
期限後申告とは:気づいたらすぐ出す
所得税の確定申告は、翌年2月16日から3月15日までに行い、納付します。期限内に忘れた場合でも、気づいたらできるだけ早く申告します。これが期限後申告です。期限後申告をすると、納める税金のほかに、内容によって無申告加算税がかかります。
国税庁 タックスアンサー No.2024「確定申告を忘れたとき」
しかし、期限内に確定申告を忘れた場合でも、その事実を把握した際には、できるだけ早く申告するようにしてください。この場合は、期限後申告として取り扱われます。
また、期限後申告をしたり、所得金額の決定を受けたりすると、申告内容等によっては、納める税金のほかに無申告加算税が課されます。
「できるだけ早く」には理由があります。無申告加算税の割合は、いつ出したかで段階的に上がるからです。
期限から1か月以内の自主申告なら、無申告加算税なし
期限後申告でも、次のすべてを満たせば無申告加算税はかかりません。
国税庁 タックスアンサー No.2024「確定申告を忘れたとき」
(1) その期限後申告が、法定申告期限から1か月以内に自主的に行われていること。
(2) 期限内申告をする意思があったと認められる一定の場合に該当すること。
なお、一定の場合とは、次のイおよびロのいずれにも該当する場合をいいます。
イ その期限後申告に係る納付すべき税金の全額を法定納期限(口座振替納付の手続をした場合は期限後申告書を提出した日)までに納付していること。
ロ その期限後申告書を提出した日の前日から起算して5年前までの間に、無申告加算税または重加算税を課されたことがなく、かつ、期限内申告をする意思があったと認められる場合の無申告加算税の不適用を受けていないこと。
要点は3つです。4月15日までに出す、税金を法定納期限(3月15日)までに納めている(口座振替なら申告書を出した日まで)、過去5年に無申告加算税・重加算税がなく、この救済も受けていない。イの「法定納期限までに納付」が難しく思えますが、口座振替の手続きをしていれば、期限後申告書を出した日が基準になります。
3月16日に気づいたなら、慌てて出せば加算税はゼロです。「もう期限を過ぎたから同じ」ではありません。1か月の猶予は、うっかり忘れた人のために用意されています。
調査の事前通知の前に自主的に出す:5%
国税庁 タックスアンサー No.2024「確定申告を忘れたとき」
税務署からの調査の事前通知の前に自主的に期限後申告をした場合は、納付すべき税金のほかに、納付すべき税金に5パーセントの割合を乗じた金額の無申告加算税がかかります。
1か月を過ぎても、税務署から何も言われていないうちに自分から出せば、納める税金の5%です。数年分の申告をまとめて出す場合も、通知前ならこの割合です。
事前通知の後、調査の前:10%・15%・25%
税務署から調査の事前通知が来た後に、調査による決定を予知する前に出した場合は、納める税金の50万円までの部分が10%、50万円を超え300万円までの部分が15%、300万円を超える部分が25%です(令和5年分以降)。
国税庁 タックスアンサー No.2024「確定申告を忘れたとき」
令和6年1月1日以後に法定申告期限が到来するもの(令和5年分以降)については、納付すべき税金が、50万円までの部分は10パーセント、50万円を超え300万円までの部分は15パーセント、300万円を超える部分は25パーセントの割合になります。
「事前通知」は、税務署が調査に入る前に納税者に連絡することです。この連絡があった時点で、自主申告の5%は使えなくなります。連絡が来てから慌てて出しても10%からです。
調査を受けた後:15%・20%・30%
国税庁 タックスアンサー No.2024「確定申告を忘れたとき」
令和6年1月1日以後に法定申告期限が到来するもの(令和5年分以降)については、納付すべき税金が、50万円までの部分は15パーセント、50万円を超え300万円までの部分は20パーセント、300万円を超える部分は30パーセントの割合になります。
調査を受けてから出した場合、または税務署が税額を決定した場合は、15%から30%です。同じ申告内容でも、自主申告の5%と比べて3倍から6倍になります。
帳簿がない・繰り返しは加重
令和5年分以降、次の場合はさらに加重されます。
- 繰り返しの無申告 … 前年・前々年の所得税に無申告加算税か重加算税が課されている(または課されるべき)場合、10%が加算されます
- 帳簿の不提示・売上の記載不足 … 調査で帳簿の提示を求められて出さなかった場合や、帳簿の売上の記載が本来の2分の1未満だった場合は10%、3分の2未満だった場合は5%が加算されます
副業で帳簿をつけていない方が調査を受けると、無申告加算税15%に帳簿不提示の10%が乗ります。帳簿を残しておくことは、申告するときだけでなく、申告を忘れたときにも効きます。
延滞税は別にかかる
国税庁 タックスアンサー No.2024「確定申告を忘れたとき」
期限後申告によって納める税金は、申告書を提出した日が納期限となりますので、その日に納めてください。
(中略)
また、この場合は、納付の日までの延滞税を併せて納付する必要があります
無申告加算税は「申告が遅れたこと」への罰、延滞税は「納付が遅れたこと」への利息です。別々にかかります。期限後申告の税金は申告書を出した日が納期限ですので、申告と同じ日に納めてください。延滞税は本来の納期限(3月15日)の翌日から納付日まで計算されます。
時間の順に一覧
| いつ出したか | 無申告加算税(令和5年分以降) |
|---|---|
| 期限から1か月以内に自主的に(納付済み・過去5年に前科なし) | かからない |
| 事前通知の前に自主的に | 5% |
| 事前通知の後、調査の前 | 50万円まで10%/300万円まで15%/300万円超25% |
| 調査を受けた後、または決定 | 50万円まで15%/300万円まで20%/300万円超30% |
| 上記に加えて:繰り返し・帳簿不提示 | +10%(売上記載が3分の2未満は+5%) |
いずれの場合も延滞税は別です。忘れたことに気づいた日が、いちばん安く済む日です。
よくある質問
確定申告の期限を過ぎてしまったらどうすればよいですか
所得税の確定申告は、翌年2月16日から3月15日までに行い、納付します。期限内に忘れた場合でも、気づいたらできるだけ早く申告します。これが期限後申告です。期限後申告をすると、納める税金のほかに、内容によって無申告加算税がかかります。→ 本文で読む
確定申告の期限を過ぎても加算税がかからない場合はありますか
要点は3つです。 4月15日までに出す 、 税金を法定納期限(3月15日)までに納めている (口座振替なら申告書を出した日まで)、 過去5年に無申告加算税・重加算税がなく、この救済も受けていない 。イの「法定納期限までに納付」が難しく思えますが、口座振替の手続きをしていれば、期限後申告書を出した日が基準になります。→ 本文で読む
税務署から連絡が来る前に期限後申告をすると加算税は何パーセントですか
1か月を過ぎても、税務署から何も言われていないうちに自分から出せば、納める税金の5%です。数年分の申告をまとめて出す場合も、通知前ならこの割合です。→ 本文で読む
税務調査を受けた後に期限後申告をすると加算税は何パーセントですか
調査を受けてから出した場合、または税務署が税額を決定した場合は、15%から30%です。同じ申告内容でも、自主申告の5%と比べて3倍から6倍になります。→ 本文で読む
帳簿をつけていないと無申告加算税は重くなりますか
副業で帳簿をつけていない方が調査を受けると、無申告加算税15%に帳簿不提示の10%が乗ります。帳簿を残しておくことは、申告するときだけでなく、申告を忘れたときにも効きます。→ 本文で読む
期限後申告では延滞税もかかりますか
無申告加算税は「申告が遅れたこと」への罰、延滞税は「納付が遅れたこと」への利息です。別々にかかります。期限後申告の税金は申告書を出した日が納期限ですので、申告と同じ日に納めてください。延滞税は本来の納期限(3月15日)の翌日から納付日まで計算されます。→ 本文で読む
出典
- 国税庁「No.2024 確定申告を忘れたとき」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2024.htm
この記事は、記載時点で公表されている法令・通達・国税庁の資料にもとづいて書いています。制度は改正されることがあり、また個別の事情によって取扱いは変わります。実際のご判断にあたっては、税理士にご相談いただくか、所轄の税務署にお確かめください。当事務所は本記事の情報を用いて行われた判断について責任を負いかねます。
申告を忘れていた方は、税務署から連絡が来る前にご相談ください。
事前通知の前に出せば5%、1か月以内なら0%です。連絡が来てからでは、同じ申告でも加算税が倍以上になります。数年分まとめての期限後申告もお引き受けします。