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贈与

親の土地に家を建てても贈与税はかかりません。
ただし相続のときは「自用地」として評価されます

親の土地に子が家を建てる。地代は払わない。権利金も払わない。よくある形ですが、「借地権をタダでもらったのだから贈与税がかかるのでは」と心配される方がいます。

結論は、贈与税はかかりません。ただし、その代わりに相続のときの評価が変わります。国税庁のタックスアンサーNo.4552で、贈与税と相続税の両方を確認します。

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この記事の要点

親の土地を地代も権利金も払わずに借りて子が家を建てる「使用貸借」では、借地権相当額の贈与税はかかりません。土地を使う権利の価額はゼロと扱われるからです。その代わり、将来その土地を相続するときは、貸宅地ではなく自用地として評価され、借地権分の減額はありません。国税庁タックスアンサーNo.4552をもとに整理しました。

使用貸借とは:地代も権利金も払わない貸し借り

土地を借りる場合、通常は地主に地代を払います。権利金の支払いが一般的な地域では、借地権を設定するときに地代のほかに権利金などの一時金を払うのが通例です。しかし親族間で、親の土地に子が家を建てるときに地代や権利金を払うことは、通常ありません。

国税庁 タックスアンサー No.4552「親の土地に子供が家を建てたとき」

地代も権利金も支払うことなく土地の貸し借りをすることを土地の使用貸借といいますが、このように親の土地を使用貸借して子供が家を建てた場合の贈与税と相続税については、以下のとおりです。

地代も権利金も払わずに借りる。これが使用貸借です。固定資産税相当額程度を子が負担している場合も、一般には使用貸借の範囲と扱われます。

贈与税:使用貸借の土地を使う権利はゼロ

使用貸借により土地を使用する権利の価額はゼロとして扱われます。したがって、子が借地権相当額の贈与を受けたとして贈与税が課税されることはありません。

国税庁 タックスアンサー No.4552「親の土地に子供が家を建てたとき」

使用貸借により土地を使用する権利の価額はゼロとして取り扱われていますので、この場合、子供が借地権相当額の贈与を受けたとして贈与税が課税されることはありません。

他人同士なら、権利金を払わずに借地権を設定すれば、借地権相当額の利益を受けたとして課税の問題が生じます。親子間の使用貸借では、そもそも借地権が生じていない(土地を使う権利に価値がない)と整理されるので、贈与税の問題が起きません。

相続税:自用地として評価される

使用貸借の土地は、将来親から子が相続するときに相続税の対象になります。そのときの評価は、他人に貸している土地(貸宅地)ではなく、自分で使っている土地(自用地)としての価額です。

国税庁 タックスアンサー No.4552「親の土地に子供が家を建てたとき」

相続税の計算のときのこの土地の価額は、他の人に賃貸している土地ではなく自分が使っている土地として評価されます。
つまり、貸宅地としての評価額でなく自用地としての評価額になります。

贈与税がかからない代わりに、相続税の評価で減額もない。これが使用貸借の帰結です。子が家を建てて住んでいても、その土地は「親が自分で使っている土地」と同じ評価額で相続財産に入ります。

貸宅地と自用地の違い

他人に借地権を設定して貸している土地(貸宅地)は、自用地の価額から借地権の価額を引いて評価します。借地人が権利を持っているぶん、地主の権利は小さいからです。借地権割合は地域によって決められていて、路線価図に記号で示されています。

土地の状態相続税の評価借地権分の減額
親が自分で使っている自用地なし
子に使用貸借で貸している(地代なし)自用地なし
他人に借地権を設定して貸している(権利金・地代あり)貸宅地あり

親子間の使用貸借は、評価の上では「親が自分で使っている」のと同じ扱いです。相続対策の観点で「子に貸せば評価が下がる」ということにはなりません。

地代を払うと、かえって話が複雑になる

では、子が親に世間並みの地代を払えば貸宅地として評価が下がるか。理屈の上では借地権の設定になりますが、権利金を払う慣行のある地域で権利金なしに地代だけ払うと、今度は借地権相当額の贈与の問題が出てきます。それを避けるには権利金を払うか、相当の地代を払うか、あるいは「借地権者の地位に変更がない旨」や「無償返還」の届出をするか、といった選択になり、話が一気に複雑になります。

親子間で家を建てる場面では、使用貸借のままにしておくのが最も単純で、贈与税の問題も起きません。相続税の評価が自用地になる点は、小規模宅地等の特例で対応できることが多いです。

家を建てる前に決めておくこと

使用貸借で家を建てる場合、確認しておきたいのは次の3点です。

1つめは、小規模宅地等の特例が使えるか。親と同居している、または一定の条件を満たす別居の子が相続する場合、その土地の評価を大きく減額できる特例があります。親の土地に子が家を建てて同居しているなら、この特例が相続税の負担を大きく左右します。詳しくは小規模宅地等の特例の記事を参照してください。

2つめは、遺産分割のときにその土地をどうするか。子が家を建てている土地は、その子が相続するのが自然ですが、他の相続人との公平の問題が出ます。土地の評価額が高ければ、その子の取り分が大きくなります。遺言や、他の相続人への配慮を、親が元気なうちに考えておく必要があります。

3つめは、土地を先に贈与する選択肢。相続時精算課税や暦年贈与で、土地そのものを子に移してしまう方法もあります。贈与税や登録免許税・不動産取得税の負担と、相続まで待った場合の相続税を比べて判断します。

よくある質問

土地の使用貸借とは何ですか

土地を借りる場合、通常は地主に地代を払います。権利金の支払いが一般的な地域では、借地権を設定するときに地代のほかに権利金などの一時金を払うのが通例です。しかし親族間で、親の土地に子が家を建てるときに地代や権利金を払うことは、通常ありません。→ 本文で読む

親の土地に子が家を建てると贈与税がかかりますか

使用貸借により土地を使用する権利の価額は ゼロ として扱われます。したがって、子が借地権相当額の贈与を受けたとして贈与税が課税されることはありません。 他人同士なら、権利金を払わずに借地権を設定すれば、借地権相当額の利益を受けたとして課税の問題が生じます。親子間の使用貸借では、そもそも借地権が生じていない(土地を使う権利に価値がない)と整理されるので、贈与税の問題が起きません。→ 本文で読む

子が家を建てている親の土地は、相続税ではどう評価されますか

使用貸借の土地は、将来親から子が相続するときに相続税の対象になります。そのときの評価は、他人に貸している土地(貸宅地)ではなく、 自分で使っている土地(自用地) としての価額です。→ 本文で読む

貸宅地と自用地の評価はどう違いますか

他人に借地権を設定して貸している土地(貸宅地)は、自用地の価額から借地権の価額を引いて評価します。借地人が権利を持っているぶん、地主の権利は小さいからです。借地権割合は地域によって決められていて、路線価図に記号で示されています。→ 本文で読む

親に地代を払えば土地の相続税評価は下がりますか

では、子が親に世間並みの地代を払えば貸宅地として評価が下がるか。理屈の上では借地権の設定になりますが、権利金を払う慣行のある地域で権利金なしに地代だけ払うと、今度は 借地権相当額の贈与 の問題が出てきます。それを避けるには権利金を払うか、相当の地代を払うか、あるいは「借地権者の地位に変更がない旨」や「無償返還」の届出をするか、といった選択になり、話が一気に複雑になります。→ 本文で読む

出典

  1. 国税庁「No.4552 親の土地に子供が家を建てたとき」
    https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4552.htm

この記事は、記載時点で公表されている法令・通達・国税庁の資料にもとづいて書いています。制度は改正されることがあり、また個別の事情によって取扱いは変わります。実際のご判断にあたっては、税理士にご相談いただくか、所轄の税務署にお確かめください。当事務所は本記事の情報を用いて行われた判断について責任を負いかねます。

親の土地に家を建てる前に、相続のときの評価を確認します。

使用貸借にするか、地代を払うか、土地を先に贈与するか。相続税・贈与税・小規模宅地等の特例の適用まで含めて、どの形が家族全体で有利かをお示しします。