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譲渡

所有10年超のマイホームを売ると、6,000万円まで税率10%。
3,000万円控除と重ねて使えます

マイホームを売ったときの特例といえば3,000万円控除が知られていますが、もう一つ、税率そのものを下げる特例があります。

所有期間10年超が条件で、3,000万円控除を引いた後の所得に対して、6,000万円までは所得税10%。通常の長期譲渡所得の15%より5ポイント低い税率です。しかも3,000万円控除と重ねて使えます。国税庁のタックスアンサーNo.3305で、5つの要件と税率を確認します。

公開 最終更新

この記事の要点

売った年の1月1日で家屋と敷地の所有期間がともに10年を超えるマイホームを売ると、課税長期譲渡所得6,000万円以下の部分は所得税10%、超える部分は15%。3,000万円の特別控除を引いた後に適用でき、両方使えます。住まなくなって3年目の12月31日まで、前年・前々年に未適用、親族への売却でないことが要件。国税庁タックスアンサーNo.3305をもとに整理しました。

税率:6,000万円以下は10%、超える部分は15%

マイホーム(居住用財産)を売って要件に当てはまるときは、長期譲渡所得の税額を通常より低い税率で計算できます。税率は次のとおりです。

課税長期譲渡所得金額(=A)所得税額(No.3305の表)
6,000万円以下A × 10%
6,000万円超(A − 6,000万円)× 15% + 600万円

国税庁 タックスアンサー No.3305「マイホームを売ったときの軽減税率の特例」

(注1)課税長期譲渡所得金額とは、次の算式で求めた金額です。
(土地建物を売った収入金額)-(取得費+譲渡費用)-特別控除=課税長期譲渡所得金額
(注2)平成25年から令和29年までの各年分については、復興特別所得税を所得税と併せて申告・納付します。
復興特別所得税額は、基準所得税額に2.1パーセントの税率を掛けて計算します。

通常の長期譲渡所得の所得税率は15%ですので、6,000万円までの部分について5ポイント下がります。6,000万円を超える部分は通常どおり15%です。これに復興特別所得税(所得税額の2.1%)と住民税が加わります。

要件1:売った年の1月1日で所有期間10年超

売った年の1月1日において、売った家屋と敷地の所有期間がともに10年を超えていることが要件です。

国税庁 タックスアンサー No.3305「マイホームを売ったときの軽減税率の特例」

(2)売った年の1月1日において売った家屋や敷地の所有期間がともに10年を超えていること(家屋が災害により滅失した場合は、その家屋を引き続き所有していたならば、売った年の1月1日において所有期間が10年を超える家屋の敷地に限ります。)。

「売った日」ではなく「売った年の1月1日」で判定します。取得から10年と数か月たっていても、その年の1月1日時点で10年を超えていなければ該当しません。たとえば取得が10年前の6月なら、10年後の6月に売っても、その年の1月1日では9年半ですので使えません。翌年になれば使えます。売る時期を翌年にずらすだけで税率が変わる、ということが起きます。

家屋と敷地が「ともに」10年超という点にも注意してください。土地は親から相続して長く持っていたが、建物は建て替えて10年たっていない、という場合は該当しません。

要件2:売った資産が「マイホーム」であること

売った資産は、次のいずれかである必要があります(日本国内のものに限ります)。

国税庁 タックスアンサー No.3305「マイホームを売ったときの軽減税率の特例」

イ 現に自分が住んでいる家屋
ロ 以前に住んでいた家屋(住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日までに売る場合に限ります。なお、その家屋は、住まなくなった日以後、どのような用途に使用してもかまいません。)
ハ 上記イまたはロの家屋とともに売ったその敷地や借地権

以前住んでいた家屋は、住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ることが条件です。転勤や介護で家を出てから、貸していたり空き家にしていたりしても構いませんが、期限を過ぎると使えません。

家屋を取り壊して土地だけを売る場合は、取壊しの年の1月1日で所有期間10年超、取壊しから1年以内の譲渡契約、住まなくなってから3年目の年末までの売却、取壊し後に駐車場などに使っていないこと、という条件がすべて必要です。2つ以上のマイホームを持っていた場合は、主として住んでいた家屋だけが対象です。

要件3〜5:前年・前々年に未適用、他の特例と併用なし、親族への売却でない

国税庁 タックスアンサー No.3305「マイホームを売ったときの軽減税率の特例」

(3)売った年の前年および前々年にこの特例の適用を受けていないこと。
(4)売った家屋や敷地についてマイホームの買換えや交換の特例など他の特例の適用を受けていないこと。ただし、居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例と軽減税率の特例は、重ねて受けることができます。
(5)親子や夫婦など「特別の関係がある人」に対して売ったものでないこと。

(3)は3年に1度しか使えないという制限です。(4)は買換え特例などとの併用禁止で、3,000万円控除だけが例外です。(5)の「特別の関係がある人」には、親子・夫婦のほか、生計を一にする親族、売った後にその家で同居する親族、内縁関係の人、特殊な関係の法人も含まれます。子に売る、自分が経営する会社に売る、という場合は使えません。

3,000万円控除と重ねて使える

この軽減税率は、3,000万円の特別控除を引いた後の課税長期譲渡所得に適用します。両方使えるので、計算の順序は次のとおりです。

手順計算
1売った収入金額 −(取得費 + 譲渡費用)= 譲渡所得
2譲渡所得 − 3,000万円(特別控除)= 課税長期譲渡所得金額
3課税長期譲渡所得金額のうち6,000万円以下の部分 × 10%、超える部分 × 15%

譲渡所得が3,000万円以下なら、控除で課税所得がゼロになり、軽減税率の出番はありません。軽減税率が効くのは、譲渡所得が3,000万円を超える、値上がりの大きかった物件を売る場合です。都市部で長く住んだ家を売る方は、該当することが少なくありません。

住宅ローン控除との関係

新しい家を買って住宅ローン控除を受けようとする場合、入居した年、その前年、前々年にこの軽減税率の特例を使っていると、住宅ローン控除は受けられません。また、入居した年の翌年から3年目までに、住宅ローン控除の対象でない資産を売ってこの特例を使った場合も、住宅ローン控除は受けられません。

国税庁 タックスアンサー No.3305「マイホームを売ったときの軽減税率の特例」

(特定増改築等)住宅借入金等特別控除または認定住宅新築等特別税額控除については、入居した年、その前年または前々年に、この軽減税率の特例の適用を受けた場合には、その適用を受けることはできません。

買換えで新居のローン控除を受けたい方は、旧居の売却でこの特例(と3,000万円控除)を使うか、新居のローン控除を使うか、どちらか一方になります。売却益の大きさとローンの額を並べて、どちらが有利かを計算する必要があります。

手続:確定申告と添付書類

この特例は確定申告をしなければ受けられません。譲渡所得の内訳書(土地・建物用)と、売った家屋・敷地の登記事項証明書を添えて提出します。登記事項証明書は、不動産番号を明細書に記載すれば添付を省略できます。

売買契約日の前日の住民票の住所と、売った家の所在地が違う場合(先に転居していた場合など)は、戸籍の附票の写しなど、その家に住んでいたことを示す書類も必要です。住まなくなってから売る方は、この書類を忘れないでください。

よくある質問

マイホームを売ったときの軽減税率は何パーセントですか

マイホーム(居住用財産)を売って要件に当てはまるときは、長期譲渡所得の税額を通常より低い税率で計算できます。税率は次のとおりです。 通常の長期譲渡所得の所得税率は15%ですので、6,000万円までの部分について5ポイント下がります。6,000万円を超える部分は通常どおり15%です。これに復興特別所得税(所得税額の2.1%)と住民税が加わります。→ 本文で読む

マイホームの軽減税率の特例は、所有期間が何年必要ですか

売った年の 1月1日において 、売った家屋と敷地の所有期間が ともに10年を超えている ことが要件です。 「売った日」ではなく「売った年の1月1日」で判定します。取得から10年と数か月たっていても、その年の1月1日時点で10年を超えていなければ該当しません。たとえば取得が10年前の6月なら、10年後の6月に売っても、その年の1月1日では9年半ですので使えません。翌年になれば使えます。 売る時期を翌年にずらすだけで税率が変わる 、ということが起きます。→ 本文で読む

住まなくなった家でも軽減税率の特例は使えますか

以前住んでいた家屋は、 住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日まで に売ることが条件です。転勤や介護で家を出てから、貸していたり空き家にしていたりしても構いませんが、期限を過ぎると使えません。→ 本文で読む

子どもにマイホームを売った場合、軽減税率の特例は使えますか

(3)は3年に1度しか使えないという制限です。(4)は買換え特例などとの併用禁止で、3,000万円控除だけが例外です。(5)の「特別の関係がある人」には、親子・夫婦のほか、生計を一にする親族、売った後にその家で同居する親族、内縁関係の人、特殊な関係の法人も含まれます。子に売る、自分が経営する会社に売る、という場合は使えません。→ 本文で読む

3,000万円控除と軽減税率の特例は両方使えますか

この軽減税率は、 3,000万円の特別控除を引いた後の 課税長期譲渡所得に適用します。両方使えるので、計算の順序は次のとおりです。 譲渡所得が3,000万円以下なら、控除で課税所得がゼロになり、軽減税率の出番はありません。軽減税率が効くのは、譲渡所得が3,000万円を超える、値上がりの大きかった物件を売る場合です。都市部で長く住んだ家を売る方は、該当することが少なくありません。→ 本文で読む

軽減税率の特例を使うと、新居の住宅ローン控除は受けられますか

新しい家を買って住宅ローン控除を受けようとする場合、 入居した年、その前年、前々年にこの軽減税率の特例を使っていると、住宅ローン控除は受けられません 。また、入居した年の翌年から3年目までに、住宅ローン控除の対象でない資産を売ってこの特例を使った場合も、住宅ローン控除は受けられません。→ 本文で読む

出典

  1. 国税庁「No.3305 マイホームを売ったときの軽減税率の特例」
    https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3305.htm

この記事は、記載時点で公表されている法令・通達・国税庁の資料にもとづいて書いています。制度は改正されることがあり、また個別の事情によって取扱いは変わります。実際のご判断にあたっては、税理士にご相談いただくか、所轄の税務署にお確かめください。当事務所は本記事の情報を用いて行われた判断について責任を負いかねます。

売却の前に、所有期間と住まなくなった日を確認します。

あと数か月待てば10年超になる、住まなくなって3年目の年末が近い。売る時期を少し動かすだけで税額が変わることがあります。契約前にご相談ください。