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申告

年の途中で退職して再就職していない人は、所得税を納めすぎています。
翌年1月から5年間、還付申告できます

退職して、その年はもう働かなかった。翌年になっても何もしていない。この方は、ほぼ確実に所得税を納めすぎています。

毎月の給与から引かれる所得税は、1年間働く前提の概算です。途中で辞めれば、その前提が崩れます。精算する年末調整を受けていないのですから、払いすぎたままです。国税庁のタックスアンサーNo.1910と、年末調整の対象者を定めたNo.2665で確認します。

公開 最終更新

この記事の要点

毎月の源泉徴収は概算なので、年末調整で精算されます。年の途中で退職して年末まで再就職しなかった人は年末調整を受けられず、納めすぎのままです。同じ年に再就職すれば新しい勤務先で前職分を含めて年末調整されます。納めすぎは退職した年の翌年1月1日から5年間、還付申告で取り戻せます。年末調整の対象になる人・ならない人の線引きと合わせて、国税庁タックスアンサーNo.1910・No.2665をもとに整理しました。

源泉徴収は概算。年末調整で精算する仕組み

給与所得者は、毎月の給料やボーナスから所得税を源泉徴収されます。この源泉徴収は概算なので、その合計は1年間に納めるべき年税額と一致せず、過不足が生じます。それを精算するのが年末調整です。

国税庁 タックスアンサー No.1910「中途退職で年末調整を受けていないとき」

この源泉徴収は概算で行うことから、源泉徴収された所得税及び復興特別所得税の合計額は、必ずしもその人が納めるべき年税額と一致せず過不足が生じます。
そこで、年末調整によってこの過不足額を精算します。

毎月の税額表は、その月の給与が12か月続くと仮定して作られています。年の途中で辞めると、実際の年収は仮定より少なく、年税額も少なくなります。引かれた税額は「12か月続く前提」のままですから、差額が納めすぎです。

途中退職で再就職しなければ、年末調整が受けられない

国税庁 タックスアンサー No.1910「中途退職で年末調整を受けていないとき」

しかし、中途退職したまま再就職しない場合は年末調整を受けられませんから、所得税及び復興特別所得税が納め過ぎとなっている場合があります。
この納め過ぎとなっている所得税及び復興特別所得税は、中途退職した年の翌年になってから確定申告をすれば還付を受けられます。

年末調整は、12月に在籍している勤務先が行います。年の途中で辞めた人は、その年の12月にどこにも在籍していないので、誰も年末調整をしてくれません。退職時に前の勤務先からもらう源泉徴収票は、年末調整をしていない状態の数字です。

さらに、退職後に自分で払った国民年金や国民健康保険の保険料は、社会保険料控除の対象ですが、年末調整を受けていないので誰も控除していません。生命保険料控除も同じです。控除がまるごと反映されていないので、還付額はまとまった金額になることが多いです。

同じ年に再就職すれば、新しい勤務先で前職分を含めて年末調整

国税庁 タックスアンサー No.1910「中途退職で年末調整を受けていないとき」

このうち、中途退職した同じ年に再就職をした場合は、原則として新しい勤務先で前の勤務先の給与を含めて年末調整をすることになっていますから、所得税及び復興特別所得税の納め過ぎは解消します。

年内に再就職した場合は、新しい勤務先が前の勤務先の給与を合算して年末調整します。そのために、前の勤務先の源泉徴収票を新しい勤務先に提出する必要があります。出し忘れると、新しい勤務先の給与だけで年末調整されて、前職分が精算されません。その場合も、翌年に確定申告すれば精算できます。

年末調整の対象になる人・ならない人(No.2665)

12月に行う年末調整の対象は、1年を通じて勤務している人と、年の途中で就職して年末まで勤務している人です。給与総額が2,000万円を超える人などは除かれます。年の途中で行う年末調整の対象は、次の人です。

国税庁 タックスアンサー No.2665「年末調整の対象となる人」

(1) 海外支店等に転勤したことなどの理由により非居住者となった人
(2) 死亡によって退職した人
(3) 著しい心身の障害のために退職した人(退職した後に再就職をし給与を受け取る見込みのある人は除きます。)
(4) 12月に支給されるべき給与等の支払を受けた後に退職した人
(5) いわゆるパートタイマーとして働いている人などが退職した場合で、本年中に支払を受ける給与の総額が136万円以下である人(退職後その年に他の勤務先から給与の支払を受ける見込みのある人は除きます。)
したがって、年の中途で退職した人で(1)から(4)以外の人は年末調整の対象となりません。

(4)は、12月の給与を受け取った後に退職する人です。12月の給与日の後に辞めるなら、その勤務先で年末調整を受けられます。(5)は、パートで年間の給与が136万円以下の人が退職する場合で、退職時に年末調整をしてもらえます。これら以外の途中退職者は対象外で、確定申告で精算します。

退職の日を12月の給与日の後にずらす、という選択

年末近くの退職なら、12月の給与を受け取ってから退職すれば、その勤務先で年末調整を受けられ、確定申告の手間が省けます。退職日を決める前に、給与の支給日と照らしてみてください。

納めすぎは翌年1月1日から5年間、還付申告で

国税庁 タックスアンサー No.1910「中途退職で年末調整を受けていないとき」

この申告は、中途退職した年の翌年以降5年以内であれば行うことができますが、申告に必要な添付書類がそろい次第早めに行うことをお勧めします。

還付申告は、退職した年の翌年1月1日から5年間できます。確定申告期間(3月15日まで)を待つ必要はありません。1月に源泉徴収票と国民年金・国民健康保険の納付の記録がそろえば、その時点で出せます。数年前に退職してそのままの方も、5年以内なら今から出せます。詳しくは還付申告の記事を参照してください。

退職した年にやること

  • 前の勤務先の源泉徴収票を受け取る。退職後に勤務先から交付されます。届かなければ請求してください
  • 退職後に払った国民年金・国民健康保険の控除証明書・領収書を保管する。国民年金は控除証明書が届きます。国民健康保険は納付額の通知や領収書です
  • 生命保険料控除証明書、iDeCoの掛金証明書などを保管する。年末調整で出していたものは、確定申告で自分で使います
  • 年内に再就職したら、前職の源泉徴収票を新しい勤務先に出す。これで年末調整に合算されます
  • 再就職しなければ、翌年1月に還付申告。退職して独立した方は、事業所得の申告と同じ申告書で行います

よくある質問

毎月の給与から引かれる所得税はなぜ精算が必要なのですか

給与所得者は、毎月の給料やボーナスから所得税を源泉徴収されます。この源泉徴収は概算なので、その合計は1年間に納めるべき年税額と一致せず、過不足が生じます。それを精算するのが年末調整です。→ 本文で読む

年の途中で退職して再就職しなかった場合、所得税はどうなりますか

年末調整は、12月に在籍している勤務先が行います。年の途中で辞めた人は、その年の12月にどこにも在籍していないので、誰も年末調整をしてくれません。退職時に前の勤務先からもらう源泉徴収票は、年末調整をしていない状態の数字です。→ 本文で読む

年内に再就職した場合、前の会社の給与はどう精算されますか

年内に再就職した場合は、新しい勤務先が前の勤務先の給与を合算して年末調整します。そのために、前の勤務先の源泉徴収票を新しい勤務先に提出する必要があります。出し忘れると、新しい勤務先の給与だけで年末調整されて、前職分が精算されません。その場合も、翌年に確定申告すれば精算できます。→ 本文で読む

年の途中で退職しても年末調整を受けられる人はいますか

12月に行う年末調整の対象は、1年を通じて勤務している人と、年の途中で就職して年末まで勤務している人です。給与総額が2,000万円を超える人などは除かれます。年の途中で行う年末調整の対象は、次の人です。→ 本文で読む

途中退職した年の還付申告はいつまでできますか

還付申告は、退職した年の翌年1月1日から5年間できます。確定申告期間(3月15日まで)を待つ必要はありません。1月に源泉徴収票と国民年金・国民健康保険の納付の記録がそろえば、その時点で出せます。数年前に退職してそのままの方も、5年以内なら今から出せます。詳しくは 還付申告の記事 を参照してください。→ 本文で読む

出典

  1. 国税庁「No.1910 中途退職で年末調整を受けていないとき」
    https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1910.htm
  2. 国税庁「No.2665 年末調整の対象となる人」
    https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2665.htm

この記事は、記載時点で公表されている法令・通達・国税庁の資料にもとづいて書いています。制度は改正されることがあり、また個別の事情によって取扱いは変わります。実際のご判断にあたっては、税理士にご相談いただくか、所轄の税務署にお確かめください。当事務所は本記事の情報を用いて行われた判断について責任を負いかねます。

退職した年の源泉徴収票が1枚あれば、還付額を計算できます。

年の途中で退職した方、退職後に独立・開業した方。その年の申告を、還付の計算から国民年金・国民健康保険の控除まで含めて作ります。