消費税
簡易課税の届出は
年末まで。
出し忘れると1年待ちです
簡易課税は届出を出した人だけが使えます。黙っていると本則課税のままです。
そして期限が「使いたい年が始まる前の日まで」。個人事業主なら12月31日です。1日でも過ぎると、その年はもう使えません。さらに一度選ぶと2年は戻れません。国税庁の資料で確認します。
この記事の要点
簡易課税を使うには、その課税期間の初日の前日までに届出が必要です。個人事業主なら12月31日。過ぎると翌年は使えず1年待ちになります。さらに一度選ぶと2年間は戻れません。届出の期限と2年縛りを国税庁の資料で整理します。
届出の期限
国税庁「No.6505 簡易課税制度」
簡易課税制度の適用を受けようとする事業者は、その課税期間の初日の前日までに、「消費税簡易課税制度選択届出書」を納税地の所轄税務署長に提出することにより、簡易課税制度を選択することができます。
「その課税期間の初日の前日まで」。使いたい期間が始まる前に出しておくという意味です。
| 使いたい期間 | 届出の期限 | |
|---|---|---|
| 個人事業主 | 令和9年分(令和9年1月1日〜12月31日) | 令和8年12月31日 |
| 3月決算の法人 | 令和9年4月1日〜令和10年3月31日 | 令和9年3月31日 |
| 12月決算の法人 | 令和9年1月1日〜12月31日 | 令和8年12月31日 |
確定申告のときではありません。申告書を作りながら「今年は簡易課税にしよう」と決めることはできない、ということです。その年が始まる前に決めておく必要があります。
過ぎるとどうなるか
期限を過ぎて出した届出は、その次の課税期間から効きます。
← 図は横にスクロールできます
1日の遅れが、1年の遅れになります。ここが消費税の届出のいちばん厳しいところです。
災害などの場合の特例
国税庁は「災害その他やむを得ない事情により、その課税期間開始前に…提出ができなかった場合には、その届出期限についての特例が適用できる場合があります」と書いています。ただし「うっかり忘れた」は含まれません。
2年縛り。やめたくても戻れません
国税庁「No.6505 簡易課税制度」
簡易課税制度の適用を受けている事業者は、事業を廃止した場合を除き、「消費税簡易課税制度選択届出書」の効力が生ずる課税期間の初日から2年を経過する日の属する課税期間の初日以後でなければ、「消費税簡易課税制度選択不適用届出書」を提出することはできません。
読み解くと、こうなります。個人事業主が令和9年分から簡易課税を始めた場合——
| 令和9年分 | 簡易課税 |
|---|---|
| 令和10年分 | 簡易課税(やめられません) |
| 令和11年分 | 令和10年12月31日までに不適用届出書を出せば、本則課税に戻れます |
つまり最低2年間は簡易課税です。この間に大きな設備投資をしても、還付は受けられません。
だから届出を出す前に、2年先までの見通しを立てる必要があります。
やめるときも届出
簡易課税をやめるときも、その課税期間の初日の前日までに「消費税簡易課税制度選択不適用届出書」を出します。出さなければ、簡易課税のままです。
届出の効力は、出しっぱなしだと残り続けます
ここが見落とされやすいところです。選択届出書を出したあと、売上が減って免税事業者になったとしても、届出の効力そのものは消えません。
国税庁はこう書いています。「その課税期間の基準期間における課税売上高が1,000万円以下となり免税事業者となった場合であっても、その後の課税期間において基準期間における課税売上高が1,000万円を超え5,000万円以下となったときには、…再び簡易課税制度が適用されます。」
何年も前に出した届出が、忘れたころに効いてきます。過去に出したかどうか分からない場合は、税務署で確認できます。
5,000万円を超えたら
同上 注意事項
「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出している場合であっても、基準期間の課税売上高が5,000万円を超える場合には、その課税期間については、簡易課税制度は適用できませんのでご注意ください。
基準期間(個人事業者は前々年、法人は原則として前々事業年度)の課税売上高が5,000万円を超えた年は、自動的に本則課税になります。届出を出していても関係ありません。
そして前の章のとおり、そのあと5,000万円以下に戻れば、また簡易課税が復活します。届出を出したままなら、行ったり来たりします。
インボイス登録者の特例
免税事業者だった方がインボイス登録をして課税事業者になる場合には、期限が緩められています。
国税庁「No.6505 簡易課税制度」
免税事業者が令和5年10月1日から令和11年9月30日までの日の属する課税期間に適格請求書発行事業者の登録を受け、登録を受けた日から課税事業者となる場合は、その登録を受けた日の属する課税期間中に消費税簡易課税制度選択届出書を提出すれば、その課税期間から簡易課税制度の適用を受けることができます。
この場合は「前の日まで」ではなく「その期間の中に出せばよい」ことになります。年が始まってからでも間に合う、ということです。
さらに、令和8年度税制改正でもう一段緩められました。
国税庁「インボイス制度に関する令和8年度税制改正について」(令和8年4月)
2割特例や3割特例の適用を受けた適格請求書発行事業者が、その適用を受けた課税期間の翌課税期間に係る確定申告期限までに、簡易課税制度選択届出書を提出したときは、その翌課税期間から簡易課税制度を適用することができることとされました。
※ 提出期限の特例の見直しは、上記の翌課税期間が令和8年10月1日以後に終了する課税期間である場合に適用されます。
改正前は「翌課税期間の中に提出」でしたが、「翌課税期間の確定申告期限まで」に延びました。個人事業主なら、その年が終わったあとの申告期限までに決めればよいことになります。
これは大きな緩和です。2割特例・3割特例を使っていた方は、実績が出てから簡易課税にするかを決められます。詳しくは2割特例と3割特例の記事をご覧ください。
この緩和が使えるのは、特例を使っていた方だけです
もともと課税事業者だった方には関係ありません。その場合の期限は、いまも「その課税期間の初日の前日まで」=個人事業主なら12月31日です。ご自身がどちらに当たるかを、先に確かめてください。
よくある質問
簡易課税の届出期限はいつですか?
「その課税期間の初日の前日まで」。 使いたい期間が始まる前に出しておく という意味です。 確定申告のときではありません。 申告書を作りながら「今年は簡易課税にしよう」と決めることはできない、ということです。 その年が始まる前に決めておく必要があります。→ 本文で読む
簡易課税の届出が遅れるとどうなりますか?
1日の遅れが、1年の遅れになります。 ここが消費税の届出のいちばん厳しいところです。→ 本文で読む
簡易課税の「2年縛り」とは何ですか?
つまり 最低2年間は簡易課税です。 この間に大きな設備投資をしても、 還付は受けられません 。→ 本文で読む
簡易課税をやめるときも届出は必要ですか?
簡易課税をやめるときも、 その課税期間の初日の前日までに 「消費税簡易課税制度選択不適用届出書」を出します。出さなければ、簡易課税のままです。→ 本文で読む
売上が5,000万円を超えたら簡易課税はどうなりますか?
基準期間(個人事業者は前々年、法人は原則として前々事業年度)の課税売上高が 5,000万円を超えた年は、自動的に本則課税 になります。届出を出していても関係ありません。 そして前の章のとおり、 そのあと5,000万円以下に戻れば、また簡易課税が復活します。 届出を出したままなら、行ったり来たりします。→ 本文で読む
出典
- 国税庁「No.6505 簡易課税制度」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6505.htm - 国税庁「インボイス制度に関する令和8年度税制改正について」(令和8年4月)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/invoice-review/pdf/0026002-095.pdf(PDF)
この記事は、記載時点で公表されている法令・通達・国税庁の資料にもとづいて書いています。制度は改正されることがあり、また個別の事情によって取扱いは変わります。実際のご判断にあたっては、税理士にご相談いただくか、所轄の税務署にお確かめください。当事務所は本記事の情報を用いて行われた判断について責任を負いかねます。
期限の前に、こちらからご連絡します。
簡易課税と本則課税のどちらが有利かを計算し、届出が必要なら期限までにお出しします。顧問をお引き受けしている方には、年末が近づいたらこちらからご連絡します。初回30分は無料です。
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