インボイス
インボイスに書く6つの事項。
小売業や飲食店は税率か税額のどちらかでよく、宛名も省けます
インボイス制度が始まって、請求書の書き方が変わりました。とはいえ、書くべき事項は6つだけです。
そして、小売業や飲食店には簡易な書き方が認められています。レシートに宛名を書かなくてよいのは、この例外があるからです。国税庁のタックスアンサーNo.6625で、記載事項と保存期間を確認します。
この記事の要点
適格請求書には、発行者の氏名と登録番号、取引年月日、取引内容(軽減税率対象である旨)、税率ごとに区分した税込対価と適用税率、税率ごとの消費税額等、交付を受ける事業者の氏名の6つを書きます。小売業・飲食店業・タクシー業などは適用税率か消費税額等のどちらかでよく、宛名の記載も不要。保存期間は7年で、6年目と7年目は帳簿か請求書のどちらか一方で足ります。国税庁タックスアンサーNo.6625をもとに整理しました。
適格請求書に書く6つの事項
国税庁 タックスアンサー No.6625「適格請求書等の記載事項」
①書類作成者の氏名または名称および登録番号 ②取引年月日 ③取引内容(軽減税率の対象品目である旨) ④税率ごとに区分して合計した税込対価(又は税抜対価)の額及び適用税率 ⑤税率ごとに区分した消費税額等 ⑥書類の交付を受ける事業者の氏名または名称
| 記載事項 | 書き方の例 | |
|---|---|---|
| ① | 発行者の氏名・名称と登録番号 | ふじみの商店 T1234567890123 |
| ② | 取引年月日 | 2026年9月15日 |
| ③ | 取引内容(軽減税率対象なら、その旨) | 飲料水 ※ / ※は軽減税率対象 |
| ④ | 税率ごとに区分した対価の合計と適用税率 | 8%対象 10,800円/10%対象 22,000円 |
| ⑤ | 税率ごとの消費税額等 | 消費税 800円/2,000円 |
| ⑥ | 交付を受ける事業者の氏名・名称 | 株式会社○○ 御中 |
登録番号は「T」+13桁です。これが入っていないと適格請求書になりません。受け取る側は、この番号がなければ原則として仕入税額控除ができません。
小売業・飲食店業などの例外
国税庁 タックスアンサー No.6625「適格請求書等の記載事項」
小売業、飲食店業、タクシー等を営む事業者が交付する書類については、④の適用税率又は⑤の消費税額等は、いずれかの記載で差し支えありません。また、この場合⑥の記載は不要となります。
これが「適格簡易請求書」(簡易インボイス)です。
| 通常の適格請求書 | 小売業・飲食店業など | |
|---|---|---|
| ④適用税率 | 必要 | どちらか一方でよい |
| ⑤消費税額等 | 必要 | |
| ⑥宛名 | 必要 | 不要 |
スーパーのレシートに宛名が書かれていないのに、経費として使えるのはこのためです。不特定多数を相手にする業種では、一人ひとりの宛名を書くことが現実的でないからです。
買い手が作る仕入明細書の場合
買い手が自分で作る仕入明細書や仕入計算書でも、要件を満たせばインボイスの代わりになります。記載事項は少し違います。
国税庁 タックスアンサー No.6625「適格請求書等の記載事項」
①書類作成者の氏名または名称 ②相手方の氏名または名称および登録番号 ③取引年月日 ④取引内容(軽減税率の対象品目である旨) ⑤税率ごとに区分して合計した支払対価の額及び適用税率 ⑥税率ごとに区分した消費税額等
登録番号は相手方(売り手)のものを書きます。そして重要な条件があります。
同(注2)
その書類に記載されている事項について、取引の相手方の確認を受けたものに限ります。
相手方の確認を受けることが必要です。建設業などで、元請が下請への支払明細を作って支払う形(支払通知書)は、この仕組みを使っています。確認を受けた記録を残しておいてください。
保存期間は7年。6年目・7年目は片方でよい
国税庁 タックスアンサー No.6625「適格請求書等の記載事項」
その保存期間については、その閉鎖または受領した日の属する課税期間の末日の翌日から2か月を経過した日から7年間、事業者の納税地またはその事業に係る事務所等に保存しなければなりません(注)。
ただし、6年目および7年目は、帳簿または請求書等のいずれか一方を保存すればよいこととされています。
| 保存 | |
|---|---|
| 起算日 | 課税期間の末日の翌日から2か月を経過した日 |
| 期間 | 7年間 |
| 1年目〜5年目 | 帳簿と請求書等の両方 |
| 6年目・7年目 | どちらか一方でよい |
| 場所 | 納税地または事業に係る事務所等 |
消費税の確定申告の期限の延長特例を受けている法人は、起算日が「課税期間の末日の翌日から3か月を経過した日」になります。
認められる書き方の工夫
国税庁 タックスアンサー No.6625「適格請求書等の記載事項」
(1)課税期間の範囲内で、一定の期間内の取引をまとめて記載する方法
(2)商品名等について、個々の名称でなく包括的な記載であっても、課税資産の譲渡等に当たることを明らかにする方法
(3)商品名を記号や番号などで表示してあっても、記号表などにより、課税資産の譲渡等に当たることを明らかにする方法
月まとめの請求書は(1)で認められています。商品名も、1つずつ書かずに「食料品」「事務用品」のような包括的な記載でよく、社内の商品コードで表示して、別の記号表で内容が分かるようにする方法も認められます。
軽減税率対象であることの示し方
国税庁 タックスアンサー No.6625「適格請求書等の記載事項」
軽減税率対象品目であることを明らかにする必要があるため、軽減税率対象品目に「※」や「☆」等の記号を記載する方法のほか、例えば、同一請求書内で、商品を税率ごとに区分し、区分した商品が軽減税率の対象であることを表示する方法や、税率ごとに請求書を分けて発行する方法があります。
- 軽減税率の品目に「※」や「☆」を付け、欄外に「※は軽減税率対象」と書く
- 請求書の中で、税率ごとに商品をまとめて表示する
- 税率ごとに請求書を分けて発行する
いちばん多いのは1つめです。市販の請求書ソフトは、たいていこの形になっています。
令和9年4月からは「1%」と書きます
国税庁のページには、今回の税率引下げについての注記が入っています。令和8年9月15日に閣議決定された大綱は、インボイスの書き方をこう定めています。
飲食料品を売った場合、「適用税率」の欄には特例税率(1%)を、「消費税額等」の欄には1%で計算した額を記載します。仕入明細書も同じです。
令和9年4月から令和11年3月までは、1%・8%(新聞)・10%の3つの税率が並びます。請求書ソフトが3税率に対応しているか、早めに確認してください。詳しくは事業者向けの記事に書きました。
よくある質問
適格請求書には何を書けばよいですか
登録番号は「T」+13桁です。これが入っていないと適格請求書になりません。 受け取る側は、この番号がなければ原則として仕入税額控除ができません。→ 本文で読む
レシートに宛名がなくても仕入税額控除を受けられますか
スーパーのレシートに宛名が書かれていないのに、経費として使えるのはこのためです。不特定多数を相手にする業種では、一人ひとりの宛名を書くことが現実的でないからです。→ 本文で読む
買い手が作る仕入明細書はインボイスの代わりになりますか
買い手が自分で作る仕入明細書や仕入計算書でも、要件を満たせばインボイスの代わりになります。記載事項は少し違います。 相手方の確認を受けること が必要です。建設業などで、元請が下請への支払明細を作って支払う形(支払通知書)は、この仕組みを使っています。確認を受けた記録を残しておいてください。→ 本文で読む
インボイスは何年保存しますか
消費税の確定申告の期限の延長特例を受けている法人は、起算日が「課税期間の末日の翌日から3か月を経過した日」になります。→ 本文で読む
軽減税率の対象であることはどう表示しますか
いちばん多いのは1つめです。市販の請求書ソフトは、たいていこの形になっています。→ 本文で読む
出典
- 国税庁「No.6625 適格請求書等の記載事項」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6625.htm
この記事は、記載時点で公表されている法令・通達・国税庁の資料にもとづいて書いています。制度は改正されることがあり、また個別の事情によって取扱いは変わります。実際のご判断にあたっては、税理士にご相談いただくか、所轄の税務署にお確かめください。当事務所は本記事の情報を用いて行われた判断について責任を負いかねます。
請求書のひな型を、一度見てもらってください。
記載漏れがあると、受け取った側が仕入税額控除を受けられません。取引先からの指摘で気づく前に、ひな型を整えておきましょう。
あわせて読む
同じテーマの記事
消費税の実務
資本金1,000万円以上で会社を作ると、1期目から消費税を納めます
設立1期目と2期目は基準期間がないので原則は免税ですが、その期の期首の資本金が1,000万円以…
消費税の実務
免税から課税事業者になった年は、期首の在庫の消費税を引けます
免税事業者が課税事業者になるとき、前日に持っていた在庫のうち免税期間中に仕入れたものは、課税初…
消費税の実務
出張の日当と通勤手当は、インボイスがなくても消費税を控除できます
国内出張の旅費・宿泊費・日当のうち通常必要な部分は課税仕入れになり、帳簿の記載だけで仕入税額控…
消費税の実務
駐車場の賃料は消費税がかかります。土地の貸付けが非課税なのに、なぜ違うのか
土地の貸付けは非課税ですが、駐車場として整備して貸すと課税です。