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譲渡

取得費が分からない不動産を売ったら、売却額の5%が取得費です。
3,000万円で売れば150万円

親から相続した土地を売った。何十年も前に買った家を売った。売買契約書が見当たらない。こういうとき、譲渡所得の計算で困るのが取得費です。

国税庁は、取得費が分からない場合の計算方法を示しています。売却額の5%。分かりやすい反面、売却額の95%が利益扱いになるということでもあります。国税庁のタックスアンサーNo.3258で仕組みを確認したうえで、5%を使う前にできることを書きます。

公開 最終更新

この記事の要点

先祖から受け継いだ土地や、契約書をなくした古い物件を売ったとき、取得費が分からなければ売却額の5%を取得費にできます。実際の取得費が5%を下回る場合も5%を使えます。3,000万円で売れば取得費150万円、残りの2,850万円から譲渡費用を引いた額が譲渡所得です。5%を使う前に、取得費を証明する資料を探す価値があります。国税庁タックスアンサーNo.3258をもとに整理しました。

譲渡所得の計算と、取得費とは何か

土地や建物を売ったときの譲渡所得は、売った金額から取得費と譲渡費用を引いて計算します。取得費は、土地なら買ったときの購入代金や購入手数料などの合計、建物なら購入代金などの合計から所有期間中の減価償却費相当額を引いた額です。

国税庁 タックスアンサー No.3258「取得費が分からないとき」

譲渡所得の金額は、土地や建物を売った金額から取得費と譲渡費用を差し引いて計算します。
取得費は、 土地の場合、買い入れたときの購入代金や購入手数料などの合計額です。
建物の場合は、購入代金などの合計額から所有期間中の減価償却費相当額を差し引いた額です。

取得費が大きいほど譲渡所得は小さくなり、税金も減ります。だからこそ、取得費をいくらにするかは、売却の申告でいちばん大きな論点です。

取得費が分からないときは、売却額の5%

売った土地建物が先祖伝来のものである、買った時期が古くて資料がない、といった理由で取得費が分からない場合は、売った金額の5%相当額を取得費とすることができます。

国税庁 タックスアンサー No.3258「取得費が分からないとき」

売った土地建物が先祖伝来のものであるとか、買い入れた時期が古いなど、取得費が分からない場合には、売った金額の5パーセント相当額を取得費とすることができます。

「概算取得費」と呼ばれる方法です。証明の負担がなく、計算も簡単です。ただし、5%しか引けないということは、売却額の95%から譲渡費用を引いた額が譲渡所得になるということです。売却額のほぼ全部に対して譲渡所得税がかかる、と考えてください。

実際の取得費が5%を下回るときも5%

取得費が分かっている場合でも、その額が売却額の5%を下回るなら、5%を使えます。昔に安く買った土地が大きく値上がりしている場合が典型です。

国税庁 タックスアンサー No.3258「取得費が分からないとき」

また、実際の取得費が売った金額の5パーセント相当額を下回る場合も、売った金額の5パーセント相当額を取得費とすることができます。

つまり、取得費は「実際の取得費」と「売却額の5%」のどちらか大きいほうを使える、と整理できます。実際の取得費が分かっていて5%より大きければ実額、分からないか5%より小さければ5%です。

計算例:3,000万円で売れば取得費150万円

No.3258に計算例があります。

国税庁 タックスアンサー No.3258「取得費が分からないとき」

例えば、土地建物を3,000万円で売った場合に取得費が不明のときは、売った金額の5パーセント相当額である150万円を取得費とすることができます。
金額
売った金額3,000万円
取得費(5%)150万円
売却額から取得費を引いた額2,850万円(ここから譲渡費用を引いたものが譲渡所得)

2,850万円から仲介手数料などの譲渡費用を引いた額が、譲渡所得です。自宅であれば3,000万円の特別控除でほぼ消えますが、相続した空き家や貸していた物件では、そのまま課税されます。

5%を使う前に、取得費を探す

「契約書がない=取得費が分からない」ではありません。契約書以外の資料で取得費を証明できる場合があります。5%で申告すると税額が大きくなりますので、その前に次のような資料を探してください。

  • 購入当時の通帳 … 売主への振込の記録
  • 住宅ローンの資料 … 借入の金銭消費貸借契約書、返済予定表。登記簿に残る抵当権の設定額も手がかりになります
  • 分譲時のパンフレット・価格表 … 分譲マンションや建売なら、当時の分譲価格の記録が残っていることがあります
  • 登記簿の記載 … 抵当権の債権額から借入額が分かり、購入価格の推定に使えます
  • 不動産会社の記録 … 仲介した会社に当時の売買の記録が残っている場合があります

相続した不動産の場合、取得費は被相続人が買ったときの価額を引き継ぎます。相続時の評価額ではありません。被相続人の遺品の中に、購入時の資料が残っていないか確認してください。

推定した取得費が認められるかは、資料の説得力しだいです

契約書のない取得費を実額で申告する場合、その根拠となる資料の写しを申告書に添えます。通帳や抵当権の記録のように客観的な資料があれば認められやすく、記憶や相場だけでは難しいです。資料が集まったら、5%と比べて大きいほうを使います。

建物の取得費は減価償却を引いた額

建物の取得費は、購入代金から所有期間中の減価償却費相当額を引いた額です。自宅など事業に使っていない建物でも、この計算をします。古い建物ほど減価償却が進んで取得費は小さくなり、法定耐用年数を大きく超えた建物では、取得費が購入代金の一部しか残りません。

したがって、築古の建物付きの土地を売る場合、建物の取得費は実額で計算しても小さく、土地の取得費が分かるかどうかが税額を左右します。土地と建物を分けて、土地は実額、建物は実額(減価償却後)という形で計算します。5%を使うかどうかも、土地と建物のそれぞれで考えることになります。

よくある質問

不動産を売ったときの取得費とは何ですか

土地や建物を売ったときの譲渡所得は、売った金額から取得費と譲渡費用を引いて計算します。取得費は、土地なら買ったときの購入代金や購入手数料などの合計、建物なら購入代金などの合計から所有期間中の減価償却費相当額を引いた額です。→ 本文で読む

取得費が分からない不動産を売ったら、取得費はいくらになりますか

売った土地建物が先祖伝来のものである、買った時期が古くて資料がない、といった理由で取得費が分からない場合は、 売った金額の5%相当額を取得費 とすることができます。 「概算取得費」と呼ばれる方法です。証明の負担がなく、計算も簡単です。ただし、5%しか引けないということは、 売却額の95%から譲渡費用を引いた額が譲渡所得になる ということです。売却額のほぼ全部に対して譲渡所得税がかかる、と考えてください。→ 本文で読む

実際の取得費が売却額の5%より小さい場合はどうなりますか

取得費が分かっている場合でも、その額が売却額の5%を下回るなら、5%を使えます。昔に安く買った土地が大きく値上がりしている場合が典型です。 つまり、取得費は「実際の取得費」と「売却額の5%」の どちらか大きいほう を使える、と整理できます。実際の取得費が分かっていて5%より大きければ実額、分からないか5%より小さければ5%です。→ 本文で読む

3,000万円で売った土地の取得費が不明な場合、取得費はいくらですか

2,850万円から仲介手数料などの譲渡費用を引いた額が、譲渡所得です。自宅であれば3,000万円の特別控除でほぼ消えますが、相続した空き家や貸していた物件では、そのまま課税されます。→ 本文で読む

売買契約書がない場合、取得費を証明する方法はありますか

「契約書がない=取得費が分からない」ではありません。 契約書以外の資料で取得費を証明できる場合があります。 5%で申告すると税額が大きくなりますので、その前に次のような資料を探してください。→ 本文で読む

出典

  1. 国税庁「No.3258 取得費が分からないとき」
    https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3258.htm

この記事は、記載時点で公表されている法令・通達・国税庁の資料にもとづいて書いています。制度は改正されることがあり、また個別の事情によって取扱いは変わります。実際のご判断にあたっては、税理士にご相談いただくか、所轄の税務署にお確かめください。当事務所は本記事の情報を用いて行われた判断について責任を負いかねます。

契約書がなくても、取得費を証明できることがあります。

購入当時の通帳、住宅ローンの資料、登記簿の抵当権の額、当時の分譲価格の記録。5%で申告する前に、一度お持ちください。