申告
青色申告の始め方。
3月15日を過ぎると、
その年はもう白色です
青色申告は、確定申告のときに選ぶものではありません。その年が始まってすぐ、遅くとも3月15日までに申請しておくものです。
ここを取り違えると、1年ぶんの控除をまるごと失います。帳簿を完璧につけても、申請がなければ青色にはなりません。順番の話なので、知っているかどうかだけで差がつきます。
青色申告ができる人
国税庁「No.2070 青色申告制度」概要
一定水準の記帳をし、その記帳に基づいて正しい申告をする方については、所得金額の計算などについて有利な取扱いが受けられる青色申告の制度があります。
青色申告をすることができる方は、不動産所得、事業所得、山林所得のある方です。
この3つだけです。給与所得や雑所得しかない方は、青色申告をすることができません。
副業をしている会社員の方がここで引っかかります。副業の所得が雑所得と扱われるなら、そもそも青色申告の入り口に立てません。まず事業所得であることが前提で、そのうえで青色の申請、という順番になります。
期限は3月15日。開業なら2か月以内
青色申告をするには、あらかじめ承認申請が必要です。期限は次のとおりです。
| 状況 | 提出期限 |
|---|---|
| すでに事業をしている | 青色申告をしようとする年の3月15日まで |
| その年の1月16日以後に新規開業した | 開業の日から2か月以内 |
| 1月1日〜1月15日に開業した | その年の3月15日まで |
いちばん間違えやすいのが一行目です。令和8年分を青色にしたいなら、令和8年3月15日まで。令和9年3月の確定申告のときではありません。申告する1年前に、もう決まっています。
「今年こそ青色にしよう」と2月に思い立って会計ソフトを入れても、申請が3月15日を過ぎていれば、その年は白色です。翌年からになります。
帳簿を完璧につけても、申請がなければ白色です
複式簿記で1年間きちんと記帳し、貸借対照表まで作った。それでも承認申請を出していなければ、青色申告特別控除は1円も使えません。65万円の控除を取り逃すということは、税率30%の方なら年およそ20万円を捨てることになります。順番を守るだけで防げます。
あわせて、青色事業専従者給与の届出書も同じ3月15日が期限です。家族に給与を払うつもりなら、こちらも一緒に出しておく必要があります。
帳簿は7年、書類によっては5年
同上 青色申告者の帳簿書類とその保存
青色申告の記帳は、年末に貸借対照表と損益計算書を作成することができるような正規の簿記によることが原則ですが、現金出納帳、売掛帳、買掛帳、経費帳、固定資産台帳のような帳簿を備え付けて簡易な記帳をするだけでもよいことになっています。
これらの帳簿および書類などは、原則として7年間保存することとされていますが、書類によっては5年間でよいものもあります。
5年間の保存でよい書類には、例えば、請求書、見積書、納品書、送り状などがあります。
ここは誤解されがちです。青色申告=複式簿記、ではありません。簡易な記帳でも青色申告はできます。ただしその場合、青色申告特別控除は10万円にとどまります。
整理すると、こういう対応関係です。
| 記帳のしかた | 提出のしかた | 青色申告特別控除 |
|---|---|---|
| 簡易な記帳 | 問わない | 10万円 |
| 複式簿記+貸借対照表等の添付 | 紙で期限内 | 55万円 |
| 複式簿記+貸借対照表等の添付 | e-Taxで期限内、または電子帳簿保存(要届出) | 65万円 |
(令和9年分からはこの区分が組み替わり、最大75万円になります。令和9年分から青色申告特別控除が最大75万円ににまとめました。)
青色にすると使えるもの
国税庁が挙げている主な特典です。
- 青色申告特別控除——最高65万円(令和9年分からは最高75万円)
- 青色事業専従者給与——生計を一にする家族への給与を経費にできる
- 貸倒引当金——年末の売掛金などの5.5%以下(金融業は3.3%)を必要経費にできる
- 純損失の繰越控除——赤字を3年間繰り越して、翌年以降の黒字と相殺できる
金額として大きいのは控除と専従者給与ですが、事業を始めたばかりの方には繰越控除が効きます。初年度が赤字でも、2年目3年目の黒字と相殺できるからです。白色ではこれができません。
正しい順番
これから始める方の順番を、書き出しておきます。
- 開業届を出す。事業を始めてから1か月以内が原則です
- 青色申告承認申請書を出す。開業から2か月以内。開業届と同時に出せば確実です
- 家族に給与を払うなら、青色事業専従者給与に関する届出書も。同じタイミングで
- 会計ソフトを入れて、記帳を始める。65万円を狙うなら複式簿記で
- e-Taxの準備をする。マイナンバーカードと、カードを読める環境。ここは時間がかかるので早めに
- 期限内に申告する。3月15日を1日でも過ぎると、55万円・65万円の控除は使えません
6つ目も見落とされがちです。国税庁は「還付申告書等を提出する方であっても、55万円または65万円の青色申告特別控除の適用を受けるためには、その年の確定申告期限(翌年3月15日)までに…提出する必要があります」としています。期限後申告では、10万円まで下がります。
取り消されることもあります
最後に、あまり語られない話を。青色申告の承認は、あとから取り消されることがあります。
帳簿書類を備え付けていない、保存していない、税務署長の指示に従わない、隠蔽や仮装があった——こうした場合です。取り消されると、その年にさかのぼって白色として扱われます。その年に受けていた青色申告特別控除も専従者給与も、まとめて否認されます。
つまり青色申告は「申請して終わり」ではなく、帳簿を作り、保存し続けることが条件の制度です。申請だけ出して記帳をしていない状態は、いちばん危うい形になります。
逆に言えば、記帳さえ回っていれば怖いところはありません。そして記帳は、外に出せる仕事です。
出典
- 国税庁「No.2070 青色申告制度」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2070.htm - 国税庁「No.2072 青色申告特別控除」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2072.htm - 国税庁「No.2075 青色事業専従者給与と事業専従者控除」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2075.htm
この記事は、記載時点で公表されている法令・通達・国税庁の資料にもとづいて書いています。制度は改正されることがあり、また個別の事情によって取扱いは変わります。実際のご判断にあたっては、税理士にご相談いただくか、所轄の税務署にお確かめください。当事務所は本記事の情報を用いて行われた判断について責任を負いかねます。
間に合うかどうか、今の時点で判断できます。
いつ開業したか、いま何年目かをお聞きすれば、今年から青色にできるかがすぐ分かります。申請書の作成と提出、会計ソフトの設定までまとめてお引き受けします。期限のあるものなので、迷っている段階でご相談ください。初回30分は無料です。