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申告

無申告のペナルティ。
自分から出せば5%、
調査後なら最大30%

申告していない年がある。心当たりのある方は、少なくありません。

お伝えしたいのは、いつ動くかで負担が6倍変わるということです。自分から出せば5%、調査を受けたあとなら最大30%。しかも令和5年分からは重くなっています。国税庁の記載を引いて、条件ごとに整理します。

公開 最終更新

まず、期限後でも申告はできます

国税庁のページは、こう始まります。

国税庁「No.2024 確定申告を忘れたとき」

期限内に確定申告を忘れた場合でも、その事実を把握した際には、できるだけ早く申告するようにしてください。この場合は、期限後申告として取り扱われます。

「できるだけ早く」という言い方をしているのには理由があります。早さがそのまま金額に効くからです。

いつ動いたかで税率が変わります

無申告加算税の割合は、3つの段階に分かれています。国税庁の記載を表に整理しました。

どの段階で申告したか50万円までの部分50万〜300万円300万円超
調査の事前通知のに、自主的に5%5%5%
事前通知の、調査で決定される前に10%15%25%
調査を受けた後、または決定を受けた15%20%30%

いちばん左の列を見てください。自主的に出せば、金額がいくらであっても5%で一律です。これに対して、調査を受けたあとで300万円を超える部分は30%。同じ税額でも、動くタイミングだけで6倍違います。

ここでいう「事前通知」とは、税務署から調査に伺いますと連絡が来ることです。その電話が鳴る前かどうかが、最初の分かれ目になります。

令和5年分から重くなりました

300万円超の25%・30%という区分は、以前はありませんでした。国税庁はこう書いています。

同上

令和6年1月1日以後に法定申告期限が到来するもの(令和5年分以降)については、納付すべき税金が、50万円までの部分は15パーセント、50万円を超え300万円までの部分は20パーセント、300万円を超える部分は30パーセントの割合になります。

(引用は、調査を受けた後に申告した場合の割合です。)

それまでは50万円超が一律20%でしたから、高額の無申告について上乗せが入ったことになります。金額が大きい方ほど、放置のコストが上がりました。

繰り返した場合の加重

もうひとつ、令和5年分から入った規定があります。

同上

期限後申告に係る年分の前年および前々年の所得税について無申告加算税もしくは無申告加算税に代えて課される重加算税が課されたことがあるときまたは課されるべきと認められるときには、納付すべき税金に10パーセントの割合を乗じて計算した金額が無申告加算税に加算されます。

2年続けて無申告だと、上乗せが入ります。数年ぶんまとめて放置している方ほど、この規定に当たりやすいという構造です。

帳簿を出せないと、さらに加算されます

これも令和5年分からの規定で、あまり知られていません。

同上

税務署の調査において、帳簿の提示または提出を求められた際に帳簿の提示等をしなかった場合および帳簿への売上金額の記載等が本来記載等をすべき金額の2分の1未満だった場合は、納付すべき税金に10パーセントの割合を乗じて計算した金額が無申告加算税に加算されます。また、帳簿への売上金額の記載等が本来記載等をすべき金額の3分の2未満だった場合は、納付すべき税金に5パーセントの割合を乗じて計算した金額が無申告加算税に加算されます。

帳簿を出せない、あるいは売上の記載が半分に満たない場合は10%、3分の2に満たない場合は5%の上乗せ。これは無申告加算税とは別に、重ねて加算されます。

つまり最悪の組み合わせでは、30%+繰り返しの10%+帳簿の10%で50%に達します。本税と同じくらいの金額が、ペナルティとして乗ることになります。

加算税がかからない場合もあります

救いのある規定も置かれています。

同上

期限後申告であっても、次の要件をすべて満たす場合には無申告加算税はかかりません。
(1) その期限後申告が、法定申告期限から1か月以内に自主的に行われていること。
(2) 期限内申告をする意思があったと認められる一定の場合に該当すること。
 イ その期限後申告に係る納付すべき税金の全額を法定納期限(口座振替納付の手続をした場合は期限後申告書を提出した日)までに納付していること。
 ロ その期限後申告書を提出した日の前日から起算して5年前までの間に、無申告加算税または重加算税を課されたことがなく、かつ、期限内申告を…

3月15日を数日過ぎてしまった、という程度なら1か月以内に出して納税まで済ませれば加算税はかかりません。(ただし後述の延滞税は別です。)

「うっかり間に合わなかった」と「何年も出していない」は、制度上まったく別のものとして扱われている、ということです。

延滞税は別に、日割りでかかります

ここまでは加算税の話です。延滞税はこれとは別に、納付が遅れた日数に応じてかかります。

加算税が「出さなかったこと」への罰なら、延滞税は「納めなかったこと」への利息にあたります。日割りなので、放置している間ずっと増え続けます。加算税と違って、動くのが1日遅れれば1日ぶん増えます。

では、どうすればいいのか

結論はひとつです。税務署から連絡が来る前に、自分から出す。これだけで5%に収まります。

よくためらわれる理由と、それについて申し上げられることを書いておきます。

  • 「資料が残っていない」——通帳の入出金があれば、そこから組み立てられます。売上の入金と経費の引き落としは通帳に残っています。完璧な資料がないことは、着手できない理由になりません
  • 「何年ぶんあるか分からない」——数えるところからで構いません。原則として5年(悪質な場合は7年)が対象になりますが、まず何年あるかを確認します
  • 「払えない金額になったら困る」——先に概算を出します。納付が難しい場合の分割についても、税務署と相談する余地があります。金額が分からないまま放置するのがいちばん高くつきます
  • 「怒られそう」——こちらは、あなたの状況を良くするために呼ばれています。責めることはしません

そして忘れられがちですが、還付になる年が混じっていることもあります。源泉徴収されていた、経費を一切入れていなかった、控除を使っていなかった。数えてみたらプラスだった、という方も実際にいらっしゃいます。

出典

  1. 国税庁「No.2024 確定申告を忘れたとき」
    https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2024.htm

この記事は、記載時点で公表されている法令・通達・国税庁の資料にもとづいて書いています。制度は改正されることがあり、また個別の事情によって取扱いは変わります。実際のご判断にあたっては、税理士にご相談いただくか、所轄の税務署にお確かめください。当事務所は本記事の情報を用いて行われた判断について責任を負いかねます。

何年ぶんあっても、そこから始めます。

資料がそろっていなくても構いません。通帳と、手元に残っているものだけで着手できます。何年ぶんあるか、いくらになりそうかを最初にお伝えしたうえで進めます。責めることはしません。初回30分は無料です。