ふじみの会計事務所公認会計士・税理士|埼玉県ふじみ野市 LINEで相談

申告

開業のときに出す届出。
令和8年1月から、
給与の届出が別に必要に

開業したら何を出すのか。国税庁が一覧の表を出しています。そして令和8年1月1日から、ひとつ変わりました。

これまで開業届を出せば省略できた「給与支払事務所等の開設届出書」が、これからは別に出す必要があります。人を雇う予定のある方は、ここを見落とさないでください。

公開 最終更新

出すものと、期限の一覧

国税庁が示している代表的な届出と、その提出期限です。表現は同ページの記載によります。

税目届出書等提出期限等
所得税個人事業の開廃業等届出書事業の開始等の事実があった日の属する年分の確定申告期限まで
所得税所得税の青色申告承認申請書原則、青色申告書による申告をしようとする年の3月15日まで(その年の1月16日以後に新たに事業を開始したり不動産の貸付けをした場合には、その事業開始等の日から2月以内
所得税青色事業専従者給与に関する届出書必要経費に算入しようとする年の3月15日まで(1月16日以後の開業や新たに専従者を有することとなった場合はその日から2か月以内)
所得税棚卸資産の評価方法・
減価償却資産の償却方法の届出書
事業を開始した場合など、その事由が生じた日の属する年分の確定申告期限まで
源泉所得税給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書開設、移転又は廃止の事実があった日から1か月以内
源泉所得税源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書随時(原則として、提出した日の翌月に支払う給与等から適用)
消費税消費税課税事業者選択届出書適用を受けようとする課税期間の初日の前日まで

期限がばらばらです。「確定申告期限まで」のものと、「3月15日まで」のものと、「1か月以内」のものが混ざっています。まとめて出すのがいちばん安全な理由がここにあります。

開業届の提出期限

開業届については、国税庁の表にこう書かれています。

国税庁「No.2090 新たに事業を始めたときの届出など」

個人事業の開廃業等届出書
新たに事業を開始したとき、事業用の事務所・事業所を新設、増設、移転、廃止したとき又は事業を廃止したときの手続です。
提出期限等:事業の開始等の事実があった日の属する年分の確定申告期限まで

「開業から1か月以内」という説明を見かけることがありますが、いま国税庁のこのページに書かれているのは上記のとおりです。本記事はこの記載に従って書いています。

ただし実務としては、開業届を後回しにする理由はありません。青色申告承認申請書のほうがずっと期限が厳しく、そちらと一緒に出すのが自然だからです。屋号での口座開設や補助金の申請で控えを求められることもあります。

いちばん期限が厳しいのは青色申告承認申請書

表の中で唯一、遅れると1年ぶんまるごと失うものがこれです。

同上

所得税の青色申告承認申請書
提出期限等:原則、青色申告書による申告をしようとする年の3月15日まで(その年の1月16日以後、新たに事業を開始したり不動産の貸付けをした場合には、その事業開始等の日から2月以内。)

他の届出は遅れても後から出せますが、これだけは期限を過ぎるとその年は白色になります。65万円の控除も、専従者給与も、純損失の繰越も使えません。くわしくは青色申告の始め方にまとめました。

括弧書きの日付にも注意してください。1月16日以後の開業なら「開業から2か月以内」ですが、1月1日から1月15日までに開業した場合は「3月15日まで」です。年明けすぐに始めた方は、2か月あると思っていると足りません。

令和8年1月からの変更点

ここが今年から変わったところです。国税庁の記載に、こんな括弧書きが入っています。

同上 給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書

給与等の支払を行う事務所等を開設、移転又は廃止した場合の手続です。(「個人事業の開廃業等届出書」を提出する場合を除きます(令和8年1月1日以後に開設、移転又は廃止した場合を除きます。)。)

同じ趣旨のことが、源泉徴収義務者のページにも書かれています。

国税庁「No.2502 源泉徴収義務者とは」

ただし、個人が新たに事業を始めたり、事業を行うために事務所を設けたりした場合には、「個人事業の開業等届出書」を提出することになっていますので「給与支払事務所等の開設届出書」を提出する必要はありません(令和8年1月1日以後に開業した場合を除きます。)。

読み解くとこうなります。

開設した時期給与支払事務所等の開設届出書
令和7年12月31日まで開業届を出していれば不要(省略できた)
令和8年1月1日以後開業届とは別に必要

これまでの解説記事は「開業届を出せば省略できる」と書いているものが多く、それは令和7年までの話です。今年から人を雇う方、家族に専従者給与を払い始める方は、開設から1か月以内にこの届出を出してください。

忘れられがちな償却方法の届出

表の中でいちばん存在を知られていないのが、これだと思います。

同上

所得税の棚卸資産の評価方法・減価償却資産の償却方法の届出書
提出期限等:次の事由が生じた日の属する年分の確定申告期限まで
 減価償却資産:③事業を開始した場合 ④既に取得している減価償却資産と異なる種類の減価償却資産を取得した場合 ⑤従来の償却方法と異なる償却方法を選定する事業所を設けた場合

個人事業主の減価償却は、届出をしなければ定額法になります。毎年同じ額ずつ経費にする方法です。

これを定率法(初年度に多く、だんだん減る)に変えたい場合に、この届出が要ります。機械や車両など、早く経費化したい資産を最初に買う方は検討の余地があります。ただし建物と建物附属設備・構築物は定額法しか選べません。

どちらが有利かは、事業の立ち上がり方によります。初年度から利益が出る見込みなら定率法、数年かけて伸ばすなら定額法のほうが合うこともあります。

結局、いつ何を出すか

開業のタイミングで、実務的にはこう動きます。

  1. 開業したら、まず開業届と青色申告承認申請書をセットで。期限が違うので、厳しいほう(青色)に合わせて動くのが安全です
  2. 家族に給与を払うなら、青色事業専従者給与に関する届出書も同時に。期限は青色と同じです(専従者給与の記事
  3. 人を雇う、または専従者給与を払うなら、給与支払事務所等の開設届出書を1か月以内に。令和8年1月1日以後は開業届では代替できません
  4. 給与の支払人員が常時10人未満なら、納期の特例の申請も。源泉所得税の納付が毎月から年2回になります
  5. 定率法を使いたいなら、償却方法の届出書を確定申告期限までに。
  6. 消費税は、課税事業者を選ぶ必要があるかを確認。設備投資の予定があるなら検討します(消費税の記事

数は多いですが、ほとんどは一度出せば終わりです。そして期限を過ぎて困るのは、実質的に青色申告承認申請書と給与の届出だけ。ここだけ押さえておけば、大きな失敗にはなりません。

出典

  1. 国税庁「No.2090 新たに事業を始めたときの届出など」
    https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2090.htm
  2. 国税庁「No.2502 源泉徴収義務者とは」
    https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2502.htm

この記事は、記載時点で公表されている法令・通達・国税庁の資料にもとづいて書いています。制度は改正されることがあり、また個別の事情によって取扱いは変わります。実際のご判断にあたっては、税理士にご相談いただくか、所轄の税務署にお確かめください。当事務所は本記事の情報を用いて行われた判断について責任を負いかねます。

出すものは、まとめて作って出します。

どの届出が必要かは、人を雇うか、家族に手伝ってもらうか、消費税をどうするかで変わります。お話を伺って、必要なものだけを揃えて提出まで行います。期限のあるものばかりなので、開業を考えている段階でご相談ください。初回30分は無料です。