消費税
地代は非課税、家賃は課税。
敷金・権利金は「返すかどうか」で決まります
不動産の賃貸にかかる消費税は、「地代・家賃」「敷金・保証金」「権利金・更新料」で扱いが違います。しかも同じ名前のお金でも、住宅か事業用か、返すか返さないかで結論が変わります。
貸す側は売上の区分を、借りる側は仕入れの区分を間違えます。国税庁のタックスアンサーNo.6225の内容を、そのまま表にしました。
この記事の要点
土地の貸付け(地代)は消費税が非課税、事務所などの建物の貸付け(家賃)は課税、住宅の家賃は非課税。敷金・保証金・権利金・更新料は、返さないものが課税(住宅は非課税)、返すものは対象外です。借地権の更新料・名義書換料は非課税。国税庁タックスアンサーNo.6225をもとに、貸す側・借りる側の両方の税区分を整理しました。
地代:土地の貸付けは非課税
土地の譲渡と貸付けは、消費税の課税の対象になりません(非課税取引)。土地には、地上権・土地の賃借権・地役権・永小作権など、土地の使用収益に関する権利も含まれます。
国税庁 タックスアンサー No.6225「地代、家賃や権利金、敷金など」
土地の譲渡や貸付けは、消費税の課税の対象とならないこととされています(非課税取引)。なお、土地の貸付けのうち、貸付けに係る期間が1か月に満たない場合および駐車場その他の施設の利用に伴って土地が使用される場合は、非課税にはなりません。
例外は2つです。貸付期間が1か月に満たない場合と、駐車場その他の施設の利用に伴って土地が使用される場合。駐車場の話は別の記事に書きました。
家賃:事業用の建物は課税、住宅は非課税
事務所や店舗などの建物を貸す家賃は、課税の対象です。家賃を土地部分と建物部分に分けて契約していても、総額が建物の貸付けの対価として課税されます。
国税庁 タックスアンサー No.6225「地代、家賃や権利金、敷金など」
事務所などの建物を貸し付ける場合の家賃は課税の対象となります。この場合、家賃を土地部分と建物部分とに区分している場合でも、その総額が建物の貸付けの対価として取り扱われます。
一方、住宅の貸付けは非課税です。ただし貸付期間が1か月に満たない場合などは課税で、非課税になるのは、契約で住宅用と明らかにされているか、用途が明らかでなくても状況から住宅用と分かるものに限られます。
国税庁 タックスアンサー No.6225「地代、家賃や権利金、敷金など」
住宅の貸付けは、貸付期間が1か月に満たない場合などを除き非課税となります。 ただし、契約において住宅用であることが明らかにされているものや、契約において貸付けの用途が明らかにされていない場合にその貸付け等の状況からみて住宅用に供されていることが明らかなものに限られます。
つまり建物の家賃は、住宅なら非課税、それ以外は課税。土地の地代は非課税。この3つが基本です。
敷金・保証金:返さない部分だけが課税
事業用の建物の賃貸借で受け取る保証金・権利金・敷金・更新料などは、返還しないものが権利の設定の対価として課税、契約終了で返還するものは対価に当たらないので課税の対象外です。
国税庁 タックスアンサー No.6225「地代、家賃や権利金、敷金など」
事業用の建物の賃貸借契約の締結や更新に伴う保証金、権利金、敷金または更新料などのうち、返還しないものは、権利の設定の対価となりますので、資産の譲渡等の対価として課税の対象となり、契約の終了により返還される保証金や敷金などは、資産の譲渡等の対価に該当しないので、課税の対象にはなりません。
実務で多いのは「敷金のうち一定割合は償却して返さない」という契約です。この場合、償却する部分(返さない部分)が課税、返す部分が対象外です。契約時に全額を預り金で処理し、償却部分の売上計上を忘れる例があります。契約書に「償却」「返還しない」の文言があれば、その部分は契約時(または償却が確定した時)に課税売上です。
そして、住宅の場合は違います。住宅の賃貸借に伴う保証金・権利金・敷金・更新料のうち返還しないものは、非課税です。住宅の家賃が非課税なのと同じ理由です。
国税庁 タックスアンサー No.6225「地代、家賃や権利金、敷金など」
ただし、上記の住宅に係る賃貸借契約の締結や更新に伴う保証金、権利金、敷金または更新料などのうち、返還しないものは非課税となります。
権利金・更新料:事業用は課税、住宅と借地権は非課税
権利金と更新料は、事業用の建物なら課税(返さないものとして)、住宅なら非課税。ここまでは敷金と同じです。もう一つ、土地に関する権利の場合があります。地上権や土地の賃借権(借地権)の設定に伴う更新料や名義書換料は、土地の貸付けまたは土地の上の権利の設定の対価として非課税です。
国税庁 タックスアンサー No.6225「地代、家賃や権利金、敷金など」
地上権、土地の賃借権の設定に伴い授受される更新料や名義書換料は、土地の貸付けまたは土地の上に存する権利の設定の対価として、非課税となります。
借地の更新料は「返さないお金」ですが、土地に関するものなので非課税です。「返さない=課税」と機械的に覚えていると、ここで間違えます。まず土地か建物かを見て、建物なら住宅か事業用かを見て、それから返すかどうかを見る。この順番です。
貸す側・借りる側の区分を一覧に
No.6225の内容を、受け取る側(貸主)の売上区分として並べます。借りる側は、同じ区分をそのまま仕入れの区分として使います(非課税のものは仕入税額控除の対象になりません)。
| お金の種類 | 土地(借地権を含む) | 事業用の建物 | 住宅 |
|---|---|---|---|
| 地代・家賃 | 非課税(1か月未満・駐車場等は課税) | 課税 | 非課税(1か月未満等は課税) |
| 敷金・保証金(返還するもの) | 対象外 | 対象外 | 対象外 |
| 敷金・保証金(返還しないもの) | 非課税 | 課税 | 非課税 |
| 権利金(返還しないもの) | 非課税 | 課税 | 非課税 |
| 更新料・名義書換料 | 非課税 | 課税 | 非課税 |
「対象外」は不課税(そもそも消費税の対象になる取引ではない)で、「非課税」は対象になるが非課税とされている取引です。どちらも税額は出ませんが、課税売上割合の計算では扱いが違いますので、会計ソフトの税区分は分けて登録してください。
間違えやすいところ
店舗併用住宅の家賃。1階が店舗、2階が住居という建物を一括で貸している場合、店舗部分は課税、住宅部分は非課税です。家賃を合理的に区分する必要があります。契約書に区分がなければ、床面積などで按分します。
社宅として法人に貸す住宅。借主が法人でも、その法人が従業員の社宅として使うことが契約で明らかなら、住宅の貸付けとして非課税です。借主が法人だから課税、ではありません。
敷金の償却を、返還時にまとめて計上している。返さないことが契約で決まっている部分は、契約時点で権利の設定の対価です。退去時まで待つと、計上時期がずれます。
借りる側で、住宅の家賃を課税仕入れにしている。会社が従業員用に借りている社宅の家賃は非課税ですので、仕入税額控除はできません。事務所の家賃と同じ科目(地代家賃)に入っていると、一律に課税仕入れにしてしまいがちです。
よくある質問
地代に消費税はかかりますか
土地の譲渡と貸付けは、消費税の課税の対象になりません(非課税取引)。土地には、地上権・土地の賃借権・地役権・永小作権など、土地の使用収益に関する権利も含まれます。 例外は2つです。 貸付期間が1か月に満たない場合 と、 駐車場その他の施設の利用に伴って土地が使用される場合 。駐車場の話は 別の記事 に書きました。→ 本文で読む
事務所の家賃と住宅の家賃で、消費税の扱いは違いますか
事務所や店舗などの建物を貸す家賃は、課税の対象です。家賃を土地部分と建物部分に分けて契約していても、総額が建物の貸付けの対価として課税されます。 一方、 住宅の貸付けは非課税 です。ただし貸付期間が1か月に満たない場合などは課税で、非課税になるのは、契約で住宅用と明らかにされているか、用途が明らかでなくても状況から住宅用と分かるものに限られます。→ 本文で読む
敷金や保証金に消費税はかかりますか
事業用の建物の賃貸借で受け取る保証金・権利金・敷金・更新料などは、 返還しないもの が権利の設定の対価として課税、 契約終了で返還するもの は対価に当たらないので課税の対象外です。→ 本文で読む
借地の更新料に消費税はかかりますか
権利金と更新料は、事業用の建物なら課税(返さないものとして)、住宅なら非課税。ここまでは敷金と同じです。もう一つ、 土地に関する権利 の場合があります。地上権や土地の賃借権(借地権)の設定に伴う更新料や名義書換料は、土地の貸付けまたは土地の上の権利の設定の対価として非課税です。→ 本文で読む
店舗併用住宅の家賃は消費税がかかりますか
店舗併用住宅の家賃。 1階が店舗、2階が住居という建物を一括で貸している場合、店舗部分は課税、住宅部分は非課税です。家賃を合理的に区分する必要があります。契約書に区分がなければ、床面積などで按分します。→ 本文で読む
出典
- 国税庁「No.6225 地代、家賃や権利金、敷金など」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6225.htm
この記事は、記載時点で公表されている法令・通達・国税庁の資料にもとづいて書いています。制度は改正されることがあり、また個別の事情によって取扱いは変わります。実際のご判断にあたっては、税理士にご相談いただくか、所轄の税務署にお確かめください。当事務所は本記事の情報を用いて行われた判断について責任を負いかねます。
契約書を見せていただければ、税区分をその場で整理します。
貸す側の課税売上高の集計、借りる側の仕入税額控除の区分。契約書の条文ごとに課税・非課税・対象外を振り分けます。
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