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帳簿

白色申告にも記帳義務があります。
帳簿は7年、書類は5年。帳簿がないと加算税が5%・10%重くなります

「白色申告だから帳簿はいらない」。この理解は、いまは通用しません。

白色申告者にも記帳と保存の義務があり、しかも令和5年分から、帳簿がない場合の加算税が重くなりました。青色申告の65万円控除と比べれば要件は軽いのですが、ゼロではないのです。国税庁のタックスアンサーNo.2080で、何を、どのくらい残すのかを確認します。

公開 最終更新

この記事の要点

不動産所得・事業所得・山林所得がある人は、白色申告でも取引の年月日・相手・金額を帳簿に記録し、法定帳簿は7年、任意帳簿・棚卸表・請求書や領収書は5年保存します。日々の合計を書く簡易な方法でも構いません。令和5年分以後、売上の帳簿がない・記載が不十分と調査で分かると、加算税が5%または10%加重されます。国税庁タックスアンサーNo.2080をもとに整理しました。

記帳が必要なのは、不動産所得・事業所得・山林所得のある人

白色申告者のうち記帳の義務があるのは、不動産所得、事業所得または山林所得のある方です。副業の雑所得しかない方は記帳義務の対象ではありませんが、後で書くとおり、収入が一定額を超えると書類の保存義務があります。

国税庁 タックスアンサー No.2080「白色申告者の記帳・帳簿等保存制度」

青色申告者については、一定の要件を備えた帳簿書類を備え付け、記録し、保存するよう定められていますが、白色申告者に対しても、記帳制度や記録保存制度が設けられています。

所得の金額にかかわらず、事業所得や不動産所得があれば対象です。「売上が小さいから」「赤字だから」という免除はありません。一人親方、フリーランス、アパートを1室貸している方も、全員が対象です。

何を書くか:年月日・相手・金額。日々の合計でもよい

帳簿に記載するのは、売上などの収入と、仕入れや経費について、取引の年月日、相手方の名称、金額です。青色申告の複式簿記のような仕訳は要りません。

国税庁 タックスアンサー No.2080「白色申告者の記帳・帳簿等保存制度」

売上げなどの収入金額、仕入れや経費に関する事項について、取引の年月日、売上先・仕入先その他の相手方の名称、金額、日々の売上げ・仕入れ・経費の金額等を帳簿に記載します。
記帳に当たっては、一つ一つの取引ごとではなく、日々の合計金額のみをまとめて記載するなど、簡易な方法で記載してもよいことになっています。

「日々の合計金額のみをまとめて記載」でよい、というのが白色申告の記帳の軽さです。小売店なら1日の売上合計を1行書けば足ります。ただし「所得金額が正確に計算できるように、整然とかつ明瞭に」という条件は付いています。レシートを箱に入れておくだけでは、帳簿ではありません。ノートでも表計算ソフトでも構いませんが、日付と金額が並んだ一覧になっていることが必要です。

保存期間:帳簿は7年、書類は5年

不動産所得・事業所得・山林所得のある方は、帳簿や書類を住所地や事業所に整理して保存します。期間は、収入と経費を記載した帳簿(法定帳簿)が7年、それ以外の帳簿と書類が5年です。

保存が必要なもの(No.2080の表)保存期間
収入金額や必要経費を記載した帳簿(法定帳簿)7年
業務に関して作成した上記以外の帳簿(任意帳簿)5年
決算に関して作成した棚卸表その他の書類5年
業務に関して作成し、又は受領した請求書、納品書、送り状、領収書などの書類5年

法定帳簿の7年は、税務調査が過去何年まで遡れるかと対応しています。5年で捨ててよいのは請求書や領収書のほうで、帳簿本体は7年残してください。確定申告書の控えも一緒に保管しておくと、後で見返すときに便利です。

副業の雑所得も、300万円を超えると書類の保存が必要

業務に係る雑所得(副業など)のある方で、その年の前々年分の収入金額が300万円を超える方は、現金預金取引等関係書類を5年間保存しなければなりません。記帳義務ではなく、書類の保存義務です。

国税庁 タックスアンサー No.2080「白色申告者の記帳・帳簿等保存制度」

ロ 業務に係る雑所得のある方で、その年の前々年分の業務に係る雑所得の収入金額が300万円を超える方。
(中略)
上記(1)ロに該当する方は、現金預金取引等関係書類を5年間、その方の住所地や業務を行うなどの所在地に整理して保存しなければならないこととされています。

現金預金取引等関係書類とは、業務に関する請求書・領収書などのうち、現金の受け払いや預貯金の入出金の際に作られたものです。副業の収入が300万円を超える規模なら、領収書を捨てずに残しておく、というのが最低限の義務です。雑所得の300万円・1,000万円のルールは別の記事に書きました。

帳簿がないと、加算税が5%または10%加重される

令和5年分の確定申告に対する修正申告等から、税務調査で売上に関する帳簿を保存していなかったこと、または帳簿の売上の記載が不十分だったことが分かった場合、帳簿に記載すべき事項に関する申告漏れについて、通常の加算税(過少申告加算税・無申告加算税)の割合に5%または10%が加重されます。

国税庁 タックスアンサー No.2080「白色申告者の記帳・帳簿等保存制度」

令和5年分の確定申告に対する修正申告等から、売上げに関する帳簿を保存していなかったことや帳簿の売上げについて記載が不十分であったことなどが税務調査において把握された場合には、帳簿に記載すべき事項に関する申告漏れに対して通常課される加算税(過少申告加算税・無申告加算税)の割合に5パーセントまたは10パーセントが加重されることとなりました。

白色申告に記帳義務があること自体は以前からでしたが、義務を果たさなくても直接のペナルティはありませんでした。この加重措置で、初めて帳簿の有無が税額に直結するようになりました。申告漏れが見つかったときに、帳簿があれば通常の加算税、帳簿がなければそれに上乗せ、ということです。

「売上げに関する帳簿」が焦点です

加重の対象になるのは、売上の帳簿がない場合と、売上の記載が不十分な場合です。経費の領収書が揃っていても、売上を記録した帳簿がなければ対象になります。売上の記録は、請求書の控えや入金の通帳だけでなく、日付・相手・金額の一覧として帳簿に残してください。

収支内訳書の添付と、電子データでの保存

白色申告で確定申告書を出す場合、総収入金額や必要経費の内容を記載した書類(収支内訳書)を添付します。帳簿から科目ごとに集計した数字を書く書類ですので、帳簿がなければ作れません。逆に言えば、帳簿をつけていれば収支内訳書は自然にできます。

帳簿や書類は、一定の要件のもとで、パソコンで作成した電子データのまま保存することもできます(電子帳簿保存法)。会計ソフトで記帳していれば、紙に印刷しなくてもデータで保存できます。ただし、メールで受け取った請求書などの電子取引データは、白色申告者であっても電子のまま保存する義務がありますので、別の記事を参照してください。

ここまで読んで気づかれたと思いますが、白色申告の記帳義務を果たすために必要な手間と、青色申告(10万円控除)の手間は、ほとんど同じです。どうせ帳簿をつけるなら、承認申請を出して青色申告にするほうが得です。手順は青色申告の始め方に書きました。

よくある質問

白色申告でも帳簿をつける義務はありますか

白色申告者のうち記帳の義務があるのは、 不動産所得、事業所得または山林所得のある方 です。副業の雑所得しかない方は記帳義務の対象ではありませんが、後で書くとおり、収入が一定額を超えると書類の保存義務があります。→ 本文で読む

白色申告の帳簿には何を書けばよいですか

帳簿に記載するのは、売上などの収入と、仕入れや経費について、 取引の年月日、相手方の名称、金額 です。青色申告の複式簿記のような仕訳は要りません。 「日々の合計金額のみをまとめて記載」でよい、というのが白色申告の記帳の軽さです。小売店なら1日の売上合計を1行書けば足ります。ただし「所得金額が正確に計算できるように、整然とかつ明瞭に」という条件は付いています。 レシートを箱に入れておくだけでは、帳簿ではありません。 ノートでも表計算ソフトでも構いませんが、日付と金額が並んだ一覧になっていることが必要です。→ 本文で読む

白色申告の帳簿や領収書は何年保存しますか

不動産所得・事業所得・山林所得のある方は、帳簿や書類を住所地や事業所に整理して保存します。期間は、収入と経費を記載した帳簿(法定帳簿)が 7年 、それ以外の帳簿と書類が 5年 です。→ 本文で読む

副業の雑所得でも書類を保存する義務がありますか

業務に係る雑所得(副業など)のある方で、 その年の前々年分の収入金額が300万円を超える 方は、現金預金取引等関係書類を 5年間 保存しなければなりません。記帳義務ではなく、書類の保存義務です。→ 本文で読む

帳簿をつけていないと税務調査でどうなりますか

令和5年分の確定申告に対する修正申告等から、税務調査で 売上に関する帳簿を保存していなかった こと、または 帳簿の売上の記載が不十分 だったことが分かった場合、帳簿に記載すべき事項に関する申告漏れについて、通常の加算税(過少申告加算税・無申告加算税)の割合に 5%または10%が加重 されます。→ 本文で読む

出典

  1. 国税庁「No.2080 白色申告者の記帳・帳簿等保存制度」
    https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2080.htm

この記事は、記載時点で公表されている法令・通達・国税庁の資料にもとづいて書いています。制度は改正されることがあり、また個別の事情によって取扱いは変わります。実際のご判断にあたっては、税理士にご相談いただくか、所轄の税務署にお確かめください。当事務所は本記事の情報を用いて行われた判断について責任を負いかねます。

白色のままでよいか、青色に変えるか。帳簿の負担は同じです。

記帳義務は白色にもあります。どうせ帳簿をつけるなら、青色申告にして控除を受けるほうが得です。会計ソフトの導入から承認申請まで、まとめてお手伝いします。