消費税
総額表示の義務。値札もチラシも「税込」で書きます。
口頭で伝える価格は対象外です
「本体価格1,000円+税」。この書き方は、いまは認められていません。
消費者に向けてあらかじめ価格を表示するなら、税込価格を表示する義務があります。対象になる表示の範囲と、認められる書き方を、国税庁のタックスアンサーNo.6902で確認します。令和9年4月からの飲食料品1%に向けた特例にも触れます。
この記事の要点
事業者が消費者にあらかじめ価格を表示するときは、消費税を含めた税込価格で表示する義務があります。店頭表示・チラシ・新聞やテレビの広告など、媒体は問いません。価格を表示していない場合や、口頭で伝える価格は対象外。「11,000円(税抜価格10,000円)」のような書き方も認められます。令和9年4月からの飲食料品1%には総額表示の特例が設けられます。国税庁タックスアンサーNo.6902をもとに整理しました。
総額表示義務とは
国税庁 タックスアンサー No.6902「「総額表示」の義務付け」
総額表示義務とは、事業者が消費者に対してあらかじめ価格を表示する場合に、消費税額(地方消費税額を含む。)を含めた価格(税込価格)を表示することを義務付けるものです。
根拠は消費税法63条です。消費者が「レジでいくら払うのか」を一目で分かるようにするための規定です。
対象になるのは「あらかじめ表示する価格」
国税庁 タックスアンサー No.6902「「総額表示」の義務付け」
総額表示の義務付けは、事業者が消費者に対してあらかじめ表示する価格が対象となります。したがって、価格を表示していない場合にまで、税込価格の表示を義務付けるものではありません。また、口頭で伝えるような価格は、総額表示義務の対象とはなりません。
| 総額表示義務 | |
|---|---|
| 値札・メニュー・商品パッケージの価格 | 対象 |
| チラシ・カタログ・ウェブサイトの価格 | 対象 |
| 価格を表示していない場合 | 対象外(表示する義務はない) |
| 口頭で伝える価格 | 対象外 |
2つめの「価格を表示していない場合にまで義務付けるものではない」は、大事な点です。総額表示義務は「価格を表示するなら税込で」というルールであって、価格の表示そのものを強制するものではありません。
媒体は問わない。チラシもテレビCMも
国税庁 タックスアンサー No.6902「「総額表示」の義務付け」
事業者があらかじめ消費者に対して行う価格の表示であれば、それがどのような表示媒体(店頭表示、チラシ広告、新聞・テレビの広告など)により行われるものであるかを問いません。
店頭の値札だけではありません。チラシ、新聞広告、テレビCM、そしてウェブサイトやSNSの投稿も、消費者に向けて価格を示すなら対象です。
事業者向けの取引は対象外です
総額表示義務は「消費者に対して」の表示が対象です。事業者間の取引で使う見積書や請求書、事業者向けの価格表は対象になりません。BtoBの取引では税抜表示が一般的なのは、このためです。
認められる表示のしかた7通り
国税庁は、認められる表示の例を挙げています(標準税率10%が適用されるものとして)。
国税庁 タックスアンサー No.6902「「総額表示」の義務付け」
11,000円
11,000円(税込)
11,000円(税抜価格10,000円)
11,000円(うち消費税額等1,000円)
11,000円(税抜価格10,000円、消費税額等1,000円)
11,000円(税抜価格10,000円、消費税率10パーセント)
10,000円(税込価格11,000円)
共通しているのは、税込価格が明示されていることです。いちばん下の「10,000円(税込価格11,000円)」のように、税抜価格を大きく出しても、税込価格が併記されていれば認められます。
逆に、認められないのは税込価格がどこにも書かれていない表示です。「10,000円+税」「10,000円(税抜)」だけでは足りません。
対象にならないもの
総額表示の義務がかからないのは、次の3つです。いずれも「消費者にあらかじめ価格を表示する」場面に当たらないものです。
- 価格を表示していない場合 … 値札を付けていない商品に、値札を付ける義務はありません
- 口頭で伝える価格 … 電話での見積回答など
- 事業者に対する表示 … 消費者向けでなければ対象外です
令和9年4月からは特例が設けられます
国税庁のページには、今回の税率引下げについての注記が入っています。
国税庁 タックスアンサー No.6902「「総額表示」の義務付け」
令和9年4月1日から令和11年3月31日までの2年間、飲食料品の譲渡について、消費税率が引き下げられます。この引下げに当たり、飲食料品の総額表示の特例が設けられます。
令和8年9月15日に閣議決定された大綱では、総額表示の義務は維持したうえで、直ちに対応することが困難な場合に限り、税率変更の前後それぞれ最大2か月間、ずれた税率での総額表示を認めるとされています。誤認されないための措置を講じていることが条件です。
言い換えると、「税抜のみ」や「+税」に戻すことは、今回も認められません。認められるのは「8%での総額」または「1%での総額」を表示することです。期間と条件は事業者向けの記事に表で整理しました。
国税庁は「消費税率引下げ特設サイト」を案内しています。制度の詳細は、そちらでも公表されていく見込みです。
よくある質問
総額表示義務とは何ですか
根拠は消費税法63条です。消費者が「レジでいくら払うのか」を一目で分かるようにするための規定です。→ 本文で読む
価格を表示していない商品にも総額表示の義務はありますか
2つめの「価格を表示していない場合にまで義務付けるものではない」は、大事な点です。 総額表示義務は「価格を表示するなら税込で」というルール であって、価格の表示そのものを強制するものではありません。→ 本文で読む
「10,000円(税込11,000円)」という表示は認められますか
国税庁は、認められる表示の例を挙げています(標準税率10%が適用されるものとして)。 共通しているのは、 税込価格が明示されている ことです。いちばん下の「10,000円(税込価格11,000円)」のように、税抜価格を大きく出しても、税込価格が併記されていれば認められます。→ 本文で読む
事業者向けの見積書も総額表示が必要ですか
総額表示の義務がかからないのは、次の3つです。いずれも「消費者にあらかじめ価格を表示する」場面に当たらないものです。→ 本文で読む
令和9年4月の税率引下げで総額表示はどうなりますか
令和8年9月15日に閣議決定された大綱では、総額表示の義務は維持したうえで、直ちに対応することが困難な場合に限り、税率変更の前後それぞれ最大2か月間、ずれた税率での総額表示を認めるとされています。誤認されないための措置を講じていることが条件です。→ 本文で読む
出典
- 国税庁「No.6902 「総額表示」の義務付け」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6902.htm
この記事は、記載時点で公表されている法令・通達・国税庁の資料にもとづいて書いています。制度は改正されることがあり、また個別の事情によって取扱いは変わります。実際のご判断にあたっては、税理士にご相談いただくか、所轄の税務署にお確かめください。当事務所は本記事の情報を用いて行われた判断について責任を負いかねます。
値札の書き方に迷ったら、ご相談ください。
令和9年4月の税率変更に向けて、値札・メニュー・ECの表示をどう切り替えるか。特例の使える期間も含めて整理します。
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