副業
副業の住民税。
所得税の20万円ルールは住民税にはなく、税率は一律10%。会社に知られたくないなら「自分で納付」
副業の税金の話は、所得税だけで終わりません。住民税があります。
住民税は所得税より単純で、税率は一律10%。しかし副業をしている方にとって大事なのは税率より、「20万円以下なら申告不要」が住民税にはないことと、住民税の通知が会社に届くことの2つです。総務省の「個人住民税」の解説をもとに、副業に関わるところを整理します。
この記事の要点
住民税は前年の所得に一律10%(所得割)と均等割4,000円(+森林環境税1,000円)で、1月1日に住んでいる市区町村に納めます。副業の所得が20万円以下で所得税の確定申告をしなくても、住民税の申告は必要です。納め方は会社が給与から天引きする特別徴収と、自分で納める普通徴収の2つ。副業分を普通徴収にすれば会社への通知に副業の税額が乗りません。総務省の解説をもとに整理しました。
住民税の仕組み:所得割10%と均等割
個人住民税には、所得に応じてかかる「所得割」と、所得にかかわらず定額の「均等割」があります。所得割の税率は10%(道府県民税4%、市町村民税6%)で、均等割は4,000円(道府県民税1,000円、市町村民税3,000円)です。令和6年度からは、均等割と併せて森林環境税(国税)1,000円が徴収されます。
総務省「地方税制度|個人住民税」
所得割の税率は、所得に対して10%(道府県民税が4%、市町村民税が6%)※1※2とされており、前年の1月1日から12月31日までの所得で算定されます。
均等割は、個人住民税は「地域社会の会費」的なものであるとして負担を求める個人住民税の性格を反映したもので、その税額は4,000円(道府県民税が1,000円、市町村民税が3,000円)※2とされています※3。
所得税が5%から45%の超過累進税率なのに対し、住民税の所得割は所得の大小にかかわらず10%です。副業で所得が20万円増えれば、住民税は単純にその10%、2万円増えます。所得税の税率が低い人ほど、副業にかかる税金は「所得税より住民税のほうが大きい」ことになります。
なお、都道府県や市町村は自らの判断で税率を定めることができるとされていますので、実際の税率は自治体によって多少異なることがあります。
1月1日に住んでいた市区町村に、前年の所得で
住民税は、その年の1月1日に住所がある市区町村が、前年の所得をもとに課税します。
総務省「地方税制度|個人住民税」
個人住民税は、その年の1月1日時点で市町村(都道府県)に住所がある方に対して課税されます。
2つのずれがあります。1つは時期のずれで、ある年の所得に対する住民税は翌年に納めます。副業を始めた翌年に住民税が増える、というのはこのためです。もう1つは場所のずれで、年の途中で引っ越しても、その年の住民税は1月1日に住んでいた市区町村に納めます。引っ越し先から来ることはありません。
副業20万円以下でも、住民税の申告は必要
所得税には「給与以外の所得が20万円以下なら確定申告不要」という規定があります。これは所得税法の規定で、住民税にはありません。副業の所得が20万円以下で確定申告をしない場合でも、住民税の申告は市区町村に別途行う必要があります。
確定申告をすれば、その内容が市区町村に送られるので住民税の申告は不要です。確定申告をしない場合だけ、市区町村の「市民税・県民税申告書」を出します。申告の時期は所得税の確定申告と同じころが目安ですが、様式や期限は自治体ごとに決まっていますので、お住まいの市区町村で確認してください。詳しくは副業20万円ルールの記事に書きました。
「20万円以下だから何もしなくてよい」ではありません
所得税の申告義務がないだけです。住民税の申告をしないと、市区町村は副業の所得を把握できず、本来の住民税が課税されません。後から分かれば、さかのぼって課税されます。副業の所得が小さい年こそ、住民税の申告だけは済ませておいてください。
納め方は2つ:特別徴収(天引き)と普通徴収(自分で納付)
住民税の納め方は、会社が給与から天引きして納める「特別徴収」と、市区町村から届く納税通知書で本人が納める「普通徴収」の2つです。会社員は原則として特別徴収です。
総務省「地方税制度|個人住民税」
普通徴収とは、市町村が直接税金を納める方法をいいます。市町村は、納税義務者から申告された所得などに基づき確定した個人住民税の税額を、納税通知書に記載して納税義務者に送付します。
特別徴収とは、納税義務者以外の者(給与の支払をする会社など)が、納税義務者から税金を徴収して、納税義務者の代わりに納める方法をいいます。例えば、会社員については、原則として、特別徴収税額通知が会社と会社経由で会社員に送付され、会社がその会社員の個人住民税を給与から天引きして市町村に納めることになります。
| 特別徴収 | 普通徴収 | |
|---|---|---|
| 誰が納めるか | 会社が給与から天引きして納める | 本人が納付書や口座振替で納める |
| 通知の宛先 | 会社(会社経由で本人へ) | 本人 |
| 対象 | 会社員の住民税(原則) | 個人事業者、年金受給者、会社員の給与以外の所得分(選択した場合) |
会社に副業が伝わる仕組みと、「自分で納付」の選択
会社員の住民税は原則として特別徴収です。市区町村は、その人のすべての所得をもとに住民税を計算し、税額を会社に通知します。副業の所得があれば、その分も含めた税額が会社に届きます。会社の給与だけから計算した額より住民税が多ければ、経理担当者は「給与以外に所得がある」と分かります。副業が会社に伝わる経路は、これです。
これを避ける方法が、確定申告書の「住民税に関する事項」にある、給与・公的年金以外の所得に係る住民税の徴収方法で「自分で納付」を選ぶことです。選ぶと、副業の所得にかかる住民税は普通徴収になり、本人に納付書が届きます。会社に届く特別徴収の税額は、給与にかかる分だけになります。
「自分で納付」にできるのは、給与以外の所得の分だけです
副業がアルバイトなどの給与の場合、その給与所得は「給与以外の所得」ではありませんので、この欄で普通徴収にはできません。2か所の給与は合算されて本業の会社に通知されるのが原則です。また、確定申告をしない場合は市区町村の住民税申告書に同じ選択欄があります。自治体によって運用が異なることがありますので、選択が反映されているかは翌年6月の通知で確認してください。
住民税の所得控除は所得税より小さい
住民税の所得割は、所得税と同じように所得控除を引いてから税率を掛けます。所得控除の種類は基本的に所得税と同じですが、控除額は所得税より小さいものが多くなっています。
総務省「地方税制度|個人住民税」
所得控除の種類は基本的に所得税と同様です。しかし、個人住民税が「地域社会の会費」的な性格を持つことから、所得税の方が個人住民税よりも控除額が大きいものが多くなっています。
所得税で税額がゼロになる人でも、住民税は課税されることがあるのは、このためです。副業の所得を所得税の申告で計算した後、住民税では別の控除額で計算されて税額が出てくる、と考えておいてください。税額控除には住宅ローン控除やふるさと納税の分があり、ふるさと納税は寄附額のうち2,000円を超える部分が一定の限度まで所得税と住民税から差し引かれます。
副業をしている方の住民税の手順
| 副業の所得 | 所得税 | 住民税 |
|---|---|---|
| 20万円超(雑所得・事業所得など) | 確定申告が必要 | 確定申告で済む。「自分で納付」を選べば副業分は普通徴収 |
| 20万円以下(雑所得・事業所得など) | 申告不要(還付なら任意) | 市区町村に住民税の申告が必要。確定申告をすれば不要 |
| アルバイトの給与 | 収入20万円超なら確定申告が必要 | 合算して本業の会社に通知(原則)。普通徴収は選べない扱いが一般的 |
副業の住民税は、翌年に分割して納めます。副業の所得の10%は、翌年の支払いのために残しておいてください。
よくある質問
住民税の税率は何パーセントですか
個人住民税には、所得に応じてかかる「所得割」と、所得にかかわらず定額の「均等割」があります。所得割の税率は 10% (道府県民税4%、市町村民税6%)で、均等割は 4,000円 (道府県民税1,000円、市町村民税3,000円)です。令和6年度からは、均等割と併せて森林環境税(国税)1,000円が徴収されます。→ 本文で読む
住民税はいつ、どこの市区町村に納めますか
住民税は、 その年の1月1日に住所がある市区町村 が、 前年の所得 をもとに課税します。 2つのずれがあります。1つは時期のずれで、ある年の所得に対する住民税は翌年に納めます。副業を始めた翌年に住民税が増える、というのはこのためです。もう1つは場所のずれで、年の途中で引っ越しても、その年の住民税は1月1日に住んでいた市区町村に納めます。引っ越し先から来ることはありません。→ 本文で読む
副業の所得が20万円以下でも住民税の申告は必要ですか
所得税には「給与以外の所得が20万円以下なら確定申告不要」という規定があります。これは所得税法の規定で、 住民税にはありません 。副業の所得が20万円以下で確定申告をしない場合でも、住民税の申告は市区町村に別途行う必要があります。→ 本文で読む
住民税の特別徴収と普通徴収の違いは何ですか
住民税の納め方は、会社が給与から天引きして納める「特別徴収」と、市区町村から届く納税通知書で本人が納める「普通徴収」の2つです。会社員は原則として特別徴収です。→ 本文で読む
副業をしていることが住民税で会社に分かるのはなぜですか
会社員の住民税は原則として特別徴収です。市区町村は、その人の すべての所得 をもとに住民税を計算し、税額を会社に通知します。副業の所得があれば、その分も含めた税額が会社に届きます。会社の給与だけから計算した額より住民税が多ければ、経理担当者は「給与以外に所得がある」と分かります。副業が会社に伝わる経路は、これです。→ 本文で読む
所得税がかからない人でも住民税はかかりますか
住民税の所得割は、所得税と同じように所得控除を引いてから税率を掛けます。所得控除の種類は基本的に所得税と同じですが、控除額は所得税より小さいものが多くなっています。 所得税で税額がゼロになる人でも、住民税は課税されることがあるのは、このためです。副業の所得を所得税の申告で計算した後、住民税では別の控除額で計算されて税額が出てくる、と考えておいてください。税額控除には住宅ローン控除やふるさと納税の分があり、ふるさと納税は寄附額のうち2,000円を超える部分が一定の限度まで所得税と住民税から差し引かれます。→ 本文で読む
出典
この記事は、記載時点で公表されている法令・通達・国税庁の資料にもとづいて書いています。制度は改正されることがあり、また個別の事情によって取扱いは変わります。実際のご判断にあたっては、税理士にご相談いただくか、所轄の税務署にお確かめください。当事務所は本記事の情報を用いて行われた判断について責任を負いかねます。
副業の住民税の申告と「自分で納付」の選択まで、確定申告と一緒にお引き受けします。
所得税の申告が不要な方の住民税申告、普通徴収の選択欄の記入。どちらも書き方ひとつです。
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