副業
ネットで売った・貸した・民泊した。
給与所得者の副収入は雑所得です。ただし古着や家財の売却は非課税
フリマアプリで不用品を売った。車を使わない日に貸した。空き部屋を民泊に出した。会社員の副収入は、いまや珍しくありません。
「これは申告が要るのか」「何の所得になるのか」。国税庁はタックスアンサーNo.1906で、代表的な副収入を挙げて答えています。全部が課税されるわけではなく、逆に「不用品だから」と全部が非課税になるわけでもありません。
この記事の要点
年末調整済みの会社員でも、給与以外の所得が20万円を超えれば確定申告が必要です。フリマアプリでの販売、自家用車の貸付け、ベビーシッター、暗号資産の売却、民泊、NFTの譲渡は一般に雑所得。ただし古着や家財など生活用の資産の売却は非課税で申告不要、損失も生じなかったものとみなされます。民泊は不動産所得ではなく雑所得です。国税庁タックスアンサーNo.1906をもとに整理しました。
給与以外の所得が20万円を超えたら確定申告
年末調整を受けている給与所得者は、原則として確定申告の必要がありません。しかし、給与以外に副収入があり、その所得が20万円を超える場合は、確定申告が必要です。還付を受けるために申告する人は別として、申告義務が生じます。
国税庁 タックスアンサー No.1906「給与所得者がネットオークション等により副収入を得た場合」
年末調整が済んでいる給与所得者であっても、その給与所得以外に副収入等によって20万円を超える所得を得ている場合には、確定申告をすれば税金が還付される人を除いて、確定申告が必要となります
20万円は「所得」であって「収入」ではありません。収入から必要経費を引いた残りが20万円を超えるかどうかです。フリマアプリで30万円を売り上げても、仕入れや送料で15万円かかっていれば所得は15万円で、この基準では申告不要です。ただし、後で書くとおり住民税は別です。
雑所得になる副収入の例:フリマ・貸付け・シッター・暗号資産・NFT
No.1906は、給与所得者の副収入で一般に雑所得に当たるものとして、次を挙げています。
| 副収入 | No.1906の例示 | 所得区分 |
|---|---|---|
| ネット取引 | オークションサイトやフリーマーケットアプリなどを利用した個人取引による所得(衣服・雑貨・家電などの資産の売却) | 雑所得(生活用の資産は非課税) |
| 貸付け | 自家用車などの資産の貸付けによる所得 | 雑所得 |
| 役務の提供 | ベビーシッターや家庭教師などの人的役務の提供による所得 | 雑所得 |
| 暗号資産 | ビットコインをはじめとする暗号資産の売却等による所得 | 雑所得 |
| 民泊 | 民泊による所得 | 雑所得(不動産所得ではない) |
| NFT | NFTを組成して第三者に譲渡したことによる所得 | 雑所得 |
いずれも「一般的には」雑所得です。規模が大きく、継続的で、事業として営んでいると言えるなら事業所得になる余地はありますが、会社員の副収入としては雑所得と考えるのが通常です。雑所得の計算は別の記事に書きました。
古着や家財の売却は非課税。損失もなかったものとみなす
フリマアプリでの売却には、大事な例外があります。生活の用に供している資産(古着や家財など)の売却による所得は非課税です。確定申告は不要で、損失が出ても、その損失は生じなかったものとみなされます。
国税庁 タックスアンサー No.1906「給与所得者がネットオークション等により副収入を得た場合」
生活の用に供している資産(古着や家財など)の売却による所得は非課税(この所得については確定申告が不要)で、損失は生じてないものとみなされます。
自分が着ていた服、使っていた家具や家電、読み終えた本を売る。これは非課税です。買った値段より高く売れたとしても課税されません。逆に、買った値段より安くしか売れなくても、その損失を他の所得から引くことはできません。
非課税にならないのは、売るために仕入れたものです。転売目的で買った限定品、ハンドメイド作品の販売、仕入れて売るせどり。これらは「生活の用に供している資産」ではありませんので、雑所得(規模によっては事業所得)として課税されます。同じアプリで売っていても、「自分が使っていたものか、売るために持っていたものか」で結論が変わります。
貴金属や美術品は別の話
生活用動産でも、貴金属・宝石・書画・骨とうなどで1個または1組の価額が高額なものは非課税の対象から外れ、譲渡所得として課税されます。金額の基準はNo.1906には書かれていませんので、高価なものを売った場合は個別に確認してください。
民泊は不動産所得ではなく雑所得
部屋を貸すのだから不動産所得ではないか、と思われがちですが、民泊は雑所得です。No.1906はその理由を明示しています。
国税庁 タックスアンサー No.1906「給与所得者がネットオークション等により副収入を得た場合」
個人が空き部屋などを有料で旅行者に宿泊させるいわゆる「民泊」は、一般的に、利用者の安全管理や衛生管理、また、一定程度の観光サービスの提供等を伴うものですので、単なる不動産賃貸とは異なり、その所得は、不動産所得ではなく、雑所得に該当します。
清掃、鍵の受け渡し、観光案内。こうしたサービスが伴うので「宿泊サービスの提供」であって「不動産の貸付け」ではない、という整理です。不動産所得でないということは、不動産所得の赤字を給与と通算する仕組みも使えないということです。民泊用に買った家具や改装費で赤字になっても、雑所得の赤字は切り捨てです。
消費税でも、民泊は住宅の貸付けの非課税から外れ、課税売上になります。住宅の貸付けの記事に書きました。
雑所得の計算と、赤字が通算できないこと
雑所得は、総収入金額から必要経費を引いて計算します。フリマの売上なら、仕入代金・送料・アプリの手数料が経費です。暗号資産なら取得価額と手数料。民泊なら清掃費・消耗品・光熱費の民泊使用分・仲介サイトの手数料などです。
そして、雑所得の赤字は給与所得と損益通算できません。副収入の経費が収入を上回っても、給与から源泉徴収された税金が戻ってくることはありません。この点で、雑所得は事業所得と大きく違います。
住民税は20万円以下でも申告が要る
20万円以下なら確定申告が不要、というのは所得税の話です。住民税には同じ基準がありませんので、副収入の所得が20万円以下でも、市区町村への住民税の申告は必要です。確定申告をすれば住民税の申告も兼ねますが、確定申告をしないなら別に住民税の申告書を出します。
「20万円以下だから何もしなくてよい」は、所得税だけを見た話です。くわしくは副業20万円ルールの記事を参照してください。
よくある質問
会社員の副収入はいくらから確定申告が必要ですか
年末調整を受けている給与所得者は、原則として確定申告の必要がありません。しかし、給与以外に副収入があり、その 所得が20万円を超える 場合は、確定申告が必要です。還付を受けるために申告する人は別として、申告義務が生じます。→ 本文で読む
フリマアプリや暗号資産の副収入は何所得になりますか
No.1906は、給与所得者の副収入で一般に雑所得に当たるものとして、次を挙げています。 いずれも「一般的には」雑所得です。規模が大きく、継続的で、事業として営んでいると言えるなら事業所得になる余地はありますが、会社員の副収入としては雑所得と考えるのが通常です。雑所得の計算は 別の記事 に書きました。→ 本文で読む
フリマアプリで古着や家財を売った所得は課税されますか
フリマアプリでの売却には、大事な例外があります。 生活の用に供している資産(古着や家財など)の売却による所得は非課税 です。確定申告は不要で、損失が出ても、その損失は生じなかったものとみなされます。→ 本文で読む
民泊の所得は不動産所得ですか
部屋を貸すのだから不動産所得ではないか、と思われがちですが、民泊は 雑所得 です。No.1906はその理由を明示しています。 清掃、鍵の受け渡し、観光案内。こうしたサービスが伴うので「宿泊サービスの提供」であって「不動産の貸付け」ではない、という整理です。不動産所得でないということは、不動産所得の赤字を給与と通算する仕組みも使えないということです。民泊用に買った家具や改装費で赤字になっても、雑所得の赤字は切り捨てです。→ 本文で読む
副収入が20万円以下なら住民税の申告も不要ですか
20万円以下なら確定申告が不要、というのは所得税の話です。住民税には同じ基準がありませんので、副収入の所得が20万円以下でも、市区町村への住民税の申告は必要です。確定申告をすれば住民税の申告も兼ねますが、確定申告をしないなら別に住民税の申告書を出します。→ 本文で読む
出典
- 国税庁「No.1906 給与所得者がネットオークション等により副収入を得た場合」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1906.htm
この記事は、記載時点で公表されている法令・通達・国税庁の資料にもとづいて書いています。制度は改正されることがあり、また個別の事情によって取扱いは変わります。実際のご判断にあたっては、税理士にご相談いただくか、所轄の税務署にお確かめください。当事務所は本記事の情報を用いて行われた判断について責任を負いかねます。
副収入の種類ごとに、申告の要否を整理します。
取引の明細(アプリの売上履歴、暗号資産の取引履歴、民泊の入金記録)をお預かりすれば、課税・非課税と所得区分を振り分けて申告書を作ります。
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