源泉徴収
給与所得になるもの。
手当は原則として課税、現物給与も給与
手当を新しく作る、社員に食事や社宅を用意する、自社の商品を安く売る。会社が従業員や役員に渡すものは、お金でも物でも、原則として給与になります。
一方で、通勤手当や出張旅費のように非課税になるものや、現物給与のなかには特別な取扱いが定められているものもあります。まず「原則は給与」と押さえてから、例外に当たるかを個別に確かめるのが、判断の順番です。
国税庁のタックスアンサーNo.2508で、給与所得になるものの範囲を確認します。
この記事の要点
給与所得には、給料や賞与のほか、残業手当・家族手当・住宅手当などの手当も原則として含まれます。非課税になる手当は、一定金額以下の通勤手当、通常必要と認められる旅費、一定金額以下の宿直・日直の手当などの例外です。食事の支給や商品の値引販売などの現物給与も、原則として給与所得の収入金額になります。国税庁タックスアンサーNo.2508をもとに整理しました。
先に見ておくと分かりやすいもの
給与所得は、給料・賞与とその性質を持つもの
給与所得とは、使用人や役員に支払う俸給や給料、賃金、歳費、賞与のほか、これらの性質を有する給与に係る所得をいいます。また、青色事業専従者給与や事業専従者控除も、給与所得の収入金額になります。
国税庁 タックスアンサー No.2508「給与所得となるもの」
給与所得とは、使用人や役員に支払う俸給や給料、賃金、歳費、賞与のほか、これらの性質を有する給与に係る所得をいいます。
また、青色事業専従者給与および事業専従者控除も、給与所得の収入金額となります。
名前が給料や賞与でなくても、「これらの性質を有する給与」であれば給与所得です。家族への給与を経費にする要件は青色事業専従者給与の記事にまとめました。
手当は原則として給与。非課税は例外
役員や使用人に支給する手当は、原則として給与所得になります。残業手当や休日出勤手当、職務手当のほか、地域手当、家族(扶養)手当、住宅手当なども給与所得です。非課税になるのは、一定金額以下の通勤手当、通常必要と認められる旅費、一定金額以下の宿直・日直の手当などの例外です。
| 原則として給与所得になる手当 | 例外として非課税になるもの |
|---|---|
| 残業手当、休日出勤手当、職務手当 地域手当、家族(扶養)手当、住宅手当 など | (1)通勤手当のうち、一定金額以下のもの (2)転勤や出張などのための旅費のうち、通常必要と認められるもの (3)宿直や日直の手当のうち、一定金額以下のもの |
住宅手当や家族手当は、名前に生活の費用が入っていても給与です。非課税の通勤手当にも「一定金額以下」という上限があり、超えた部分は給与になります。金額は通勤手当の非課税限度額の記事に、出張の日当の消費税の扱いは出張の日当と通勤手当の消費税の記事に書きました。
物や利益で渡す現物給与も原則は給与
給与は金銭で支給されるのが普通ですが、食事の現物支給や商品の値引販売のように、物や権利その他の経済的利益で支給されることもあります。これを一般に現物給与といい、原則として給与所得の収入金額とされます。
| No.2508が挙げる経済的利益 | たとえば | |
|---|---|---|
| (1) | 物品その他の資産を無償または低い価額により譲渡したことによる経済的利益 | 商品の値引販売 |
| (2) | 土地、家屋、金銭その他の資産を無償または低い対価により貸し付けたことによる経済的利益 | 社宅の貸与、金銭の貸付け |
| (3) | 福利厚生施設の利用など(2)以外の用役を無償または低い対価により提供したことによる経済的利益 | 福利厚生施設の利用 |
| (4) | 個人的債務を免除または負担したことによる経済的利益 | 本人が払うべきものを会社が負担 |
給与の一部を、物やサービス、会社による立替えの形に置き換えても、原則として給与所得の収入金額になる点は変わりません。役員に渡す経済的利益の具体例は役員への経済的利益の記事にまとめました。
現物給与に特別な取扱いがある理由
現物給与には、金銭による給与と異なる性質があるため、特定の現物給与については課税上、金銭の給与とは異なる特別の取扱いが定められています。No.2508は、その理由として次の5つを挙げています。
| 金銭の給与と異なる性質 | |
|---|---|
| ① | 職務の性質上欠くことのできないもので、主として使用者側の業務遂行上の必要から支給されるもの |
| ② | 換金性に欠けるもの |
| ③ | その評価が困難なもの |
| ④ | 受給者側に物品などの選択の余地がないもの |
| ⑤ | 政策上特別の配慮を要するもの |
特別な取扱いは、個々の現物給与ごとに要件が決まっています。食事の支給は食事の支給、社宅は使用人の社宅、慰安旅行や祝い金は交際費と福利厚生費の区分の記事で、それぞれの要件を確認できます。
手当や福利厚生を作るときに確かめること
手当や福利厚生を新しく作るときは、まず給与所得になる前提で考え、非課税や特別な取扱いの要件に当てはまるかを個別に確かめます。要件から外れた部分は給与として扱うことになります。
| 作るもの | 確かめること |
|---|---|
| 手当 | 非課税の例外(通勤手当・旅費・宿直日直の手当)に当たるか。当たる場合も上限を超えていないか |
| 物・サービスの提供 | 現物給与の4つの経済的利益のどれに当たるか。特別な取扱いの要件があるか |
| 家族への給与 | 青色事業専従者給与・事業専従者控除も、給与所得の収入金額になる |
給与所得に当たるものは、支払う側で源泉徴収をする前提で準備します。人に給与を払うときの手続は事業主の源泉徴収義務の記事にまとめました。
よくある質問
給与所得にはどんなものが含まれますか
給与所得とは、使用人や役員に支払う俸給や給料、賃金、歳費、賞与のほか、これらの性質を有する給与に係る所得をいいます。また、青色事業専従者給与や事業専従者控除も、給与所得の収入金額になります。→ 本文で読む
住宅手当や家族手当は給与所得になりますか
役員や使用人に支給する手当は、原則として給与所得になります。残業手当や休日出勤手当、職務手当のほか、地域手当、家族(扶養)手当、住宅手当なども給与所得です。非課税になるのは、一定金額以下の通勤手当、通常必要と認められる旅費、一定金額以下の宿直・日直の手当などの例外です。→ 本文で読む
現物給与とは何ですか
給与は金銭で支給されるのが普通ですが、食事の現物支給や商品の値引販売のように、物や権利その他の経済的利益で支給されることもあります。これを一般に現物給与といい、原則として給与所得の収入金額とされます。→ 本文で読む
現物給与に特別な取扱いがあるのはなぜですか
現物給与には、金銭による給与と異なる性質があるため、特定の現物給与については課税上、金銭の給与とは異なる特別の取扱いが定められています。No.2508は、その理由として次の5つを挙げています。→ 本文で読む
新しい手当を作るときは何を確かめればよいですか
手当や福利厚生を新しく作るときは、まず給与所得になる前提で考え、非課税や特別な取扱いの要件に当てはまるかを個別に確かめます。要件から外れた部分は給与として扱うことになります。 給与所得に当たるものは、支払う側で源泉徴収をする前提で準備します。人に給与を払うときの手続は 事業主の源泉徴収義務 の記事にまとめました。→ 本文で読む
出典
- 国税庁「No.2508 給与所得となるもの」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2508.htm
この記事は、記載時点で公表されている法令・通達・国税庁の資料にもとづいて書いています。制度は改正されることがあり、また個別の事情によって取扱いは変わります。実際のご判断にあたっては、税理士にご相談いただくか、所轄の税務署にお確かめください。当事務所は本記事の情報を用いて行われた判断について責任を負いかねます。
手当や福利厚生を作る前に、給与になるかを確かめます。
新しい手当や、食事・社宅・社員割引などを始めるときは、給与として源泉徴収が要るのか、非課税の要件に当たるのかを先に確かめておくと安心です。規程の作り方と毎月の源泉徴収まで、一緒に整理します。ふじみ野市とその近隣の方は訪問でのご相談も承ります。初回30分は無料です。
あわせて読む
同じテーマの記事
源泉徴収・年末調整
役員社宅の家賃の計算方法。賃貸料相当額の計算式
会社が借りた住宅を役員に貸すとき、役員から「賃貸料相当額」以上の家賃を受け取っていれば給与とし…
源泉徴収・年末調整
源泉所得税の納期の特例。年2回にできるのは給与と士業の報酬だけ
給与の支給人員が常時10人未満なら、源泉所得税を半年分まとめて納められます。
源泉徴収・年末調整
税理士報酬の源泉徴収は税込か税抜か。消費税が分けてあれば税抜でよい
税理士や弁護士への報酬の源泉徴収は、原則として消費税込みの金額が対象です。
源泉徴収・年末調整
役員を5年以下で退職すると、退職金の「2分の1」がなくなります
退職所得は通常「(収入−退職所得控除)×1/2」ですが、役員等としての勤続年数が5年以下の人が…