経費
交際費と福利厚生費の区分。
従業員の慰安旅行・社内行事の飲食・お祝いや香典は福利厚生費になります
会社で社員旅行に行った、忘年会をした、社員の結婚にお祝いを出した。こうした支出を交際費にするか福利厚生費にするかで迷う方は多いと思います。
答えを先に書くと、相手が得意先や仕入先なら交際費等、自社の従業員のためのものなら福利厚生費が基本です。国税庁は、従業員の慰安のための旅行や、社内行事の飲食、慶弔の金品を福利厚生費になるものとして挙げています。
交際費等には損金にできる限度がありますが、福利厚生費にはその限度がありません。どこまでが福利厚生費なのか、ひとり会社ではどう考えるかを、国税庁のタックスアンサーNo.5261とNo.5265で確認していきます。
この記事の要点
交際費等は、得意先や仕入先など事業に関係のある者への接待、供応、慰安、贈答の費用です。専ら従業員の慰安のための運動会・演芸会・旅行に通常要する費用、創立記念日などに従業員におおむね一律に社内で供与する通常の飲食費、一定の基準で支給する結婚祝・出産祝・香典・病気見舞いは福利厚生費です。小さな会社の交際費の限度800万円も含め、国税庁タックスアンサーNo.5261・No.5265をもとに整理しました。
先に見ておくと分かりやすいもの
交際費等とは、事業に関係のある者への接待・供応・慰安・贈答の費用
まず交際費等の意味です。国税庁のタックスアンサーNo.5261は、交際費等とは、得意先や仕入先その他事業に関係のある者などに対する接待、供応、慰安、贈答などの行為のために支出する費用をいう、としています。相手が社外の関係者であることが出発点です。
国税庁 タックスアンサー No.5261「交際費等と福利厚生費との区分」
交際費等とは、得意先や仕入先その他事業に関係のある者などに対する接待、供応、慰安、贈答などの行為のために支出する費用をいいます。
「慰安」も交際費等の行為に入っている点に注意してください。得意先を慰安のための旅行に招待すれば交際費等です。同じ慰安でも、相手が自社の従業員なら次に述べる福利厚生費になります。相手が誰かで区分が変わります。
専ら従業員の慰安のための運動会・演芸会・旅行は福利厚生費
No.5261は、専ら従業員の慰安のために行われる運動会、演芸会、旅行などのために通常要する費用については交際費等から除かれ、福利厚生費などとされる、としています。社員旅行や社内のレクリエーションがここに当たります。
条件として読み取れるのは2つです。「専ら従業員の慰安のため」であること、そして「通常要する費用」であることです。従業員のためといいながら得意先も招くものや、通常の範囲を超える豪華なものは、この文言から外れます。通常要する費用の具体的な金額や日数の基準は、No.5261には書かれていません。ここは会社の規模や業種に照らして判断することになります。
社内行事で従業員におおむね一律に供与する飲食
次は社内行事の飲食です。No.5261は、創立記念日、国民の祝日、新社屋の落成式などに際し、従業員等におおむね一律に、社内において供与される通常の飲食に要する費用は福利厚生費となる、としています。
国税庁 タックスアンサー No.5261「交際費等と福利厚生費との区分」
創立記念日、国民の祝日、新社屋の落成式などに際し、従業員等におおむね一律に、社内において供与される通常の飲食に要する費用
キーワードは「おおむね一律に」「社内において」「通常の飲食」の3つです。特定の従業員だけを対象にしたもの、社外の店で行うもの、通常を超える飲食は、この例には当たりにくくなります。なお、社外の飲食でも、得意先などとの飲食で参加者1人あたりの金額が一定以下なら交際費等から外す別のルールがあります。こちらは交際費の1人10,000円ルールで整理しています。
一定の基準に従って支給するお祝い・香典・見舞金
慶弔の金品も福利厚生費です。No.5261は、従業員等(従業員等であった者を含む)またはその親族等のお祝いやご不幸などに際して、一定の基準に従って支給される金品に要する費用は福利厚生費となる、とし、結婚祝、出産祝、香典、病気見舞いを例に挙げています。
ここでの条件は「一定の基準に従って」です。誰にいくら出すかを、その場の気分ではなく、あらかじめ決めた基準で支給することが求められています。慶弔見舞金の規程を作り、基準を書き残しておくと、この文言に沿った支出だと説明できます。対象には退職した元従業員とその親族も含まれます。一方、得意先の社長への香典や祝い金は相手が社外ですから、交際費等になります。
ひとり会社の場合。「従業員等」「おおむね一律」を読み直す
マイクロ法人の方から「自分ひとりの会社でも福利厚生費は使えるのか」とよく聞かれます。No.5261の例は、いずれも「従業員」「従業員等におおむね一律に」を前提に書かれています。役員だけの会社で、自分ひとりの飲食や旅行を福利厚生費とするのは、この文言と合いにくいところです。
加えて、No.5265は飲食費を交際費等から外すルールについて、専らその法人の役員もしくは従業員またはこれらの親族に対する接待等のために支出するものを除く、としています。役員や家族だけの飲食は、交際費等からも外れず、福利厚生費の例にも当たりにくいということです。会社が役員個人の費用を負担したと見られれば、役員への経済的利益として給与になります。この点は役員への経済的利益で解説しています。ひとり会社では、社内行事や慶弔金の名目で自分に支出する前に、誰のための費用かを一度立ち止まって考えてください。
交際費等になった場合の損金の限度
福利厚生費に当たらず交際費等になった場合でも、小さな会社なら一定額までは損金になります。No.5265は、期末の資本金の額または出資金の額が1億円以下である等の法人について、損金不算入額は次のいずれかの金額になる、としています。
| 選び方 | 損金不算入額 |
|---|---|
| 1 | 交際費等のうち飲食費(役員・従業員・親族向けを除く)の50パーセントを超える部分 |
| 2 | 交際費等のうち、800万円にその事業年度の月数を乗じて12で除した金額(定額控除限度額)を超える部分 |
資本金1億円以下の会社なら、年800万円までの交際費等は損金になります。小さな会社で交際費等がこの額を超えることはまずありません。つまり小さな会社では、交際費等か福利厚生費かの区分で法人税額が変わる場面は限られます。それでも区分を正しくしておく意味は、役員個人の費用と会社の費用を混ぜないことにあります。ここが崩れると、交際費等でも福利厚生費でもなく、役員給与とされる可能性が出てきます。
よくある質問
交際費等とはどのような費用ですか
まず交際費等の意味です。国税庁のタックスアンサーNo.5261は、交際費等とは、得意先や仕入先その他事業に関係のある者などに対する接待、供応、慰安、贈答などの行為のために支出する費用をいう、としています。相手が社外の関係者であることが出発点です。→ 本文で読む
社員旅行の費用は交際費ですか福利厚生費ですか
No.5261は、専ら従業員の慰安のために行われる運動会、演芸会、旅行などのために通常要する費用については交際費等から除かれ、福利厚生費などとされる、としています。社員旅行や社内のレクリエーションがここに当たります。→ 本文で読む
忘年会や創立記念の飲食は福利厚生費になりますか
次は社内行事の飲食です。No.5261は、創立記念日、国民の祝日、新社屋の落成式などに際し、従業員等におおむね一律に、社内において供与される通常の飲食に要する費用は福利厚生費となる、としています。→ 本文で読む
従業員への結婚祝や香典は福利厚生費になりますか
慶弔の金品も福利厚生費です。No.5261は、従業員等(従業員等であった者を含む)またはその親族等のお祝いやご不幸などに際して、一定の基準に従って支給される金品に要する費用は福利厚生費となる、とし、結婚祝、出産祝、香典、病気見舞いを例に挙げています。→ 本文で読む
ひとり会社でも福利厚生費は使えますか
マイクロ法人の方から「自分ひとりの会社でも福利厚生費は使えるのか」とよく聞かれます。No.5261の例は、いずれも「従業員」「従業員等におおむね一律に」を前提に書かれています。役員だけの会社で、自分ひとりの飲食や旅行を福利厚生費とするのは、この文言と合いにくいところです。→ 本文で読む
小さな会社の交際費はいくらまで損金になりますか
福利厚生費に当たらず交際費等になった場合でも、小さな会社なら一定額までは損金になります。No.5265は、期末の資本金の額または出資金の額が1億円以下である等の法人について、損金不算入額は次のいずれかの金額になる、としています。→ 本文で読む
出典
- 国税庁「No.5261 交際費等と福利厚生費との区分」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5261.htm - 国税庁「No.5265 交際費等の範囲と損金不算入額の計算」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5265.htm
この記事は、記載時点で公表されている法令・通達・国税庁の資料にもとづいて書いています。制度は改正されることがあり、また個別の事情によって取扱いは変わります。実際のご判断にあたっては、税理士にご相談いただくか、所轄の税務署にお確かめください。当事務所は本記事の情報を用いて行われた判断について責任を負いかねます。
社内行事や慶弔金は、基準を先に決めて書き残しておいてください。
福利厚生費になるかどうかは、従業員のためのものか、おおむね一律か、一定の基準に従っているかで判断されます。その場の判断ではなく、慶弔金の基準や社内行事の記録を残しておくと、交際費との区分がはっきりします。ひとり会社で自分だけの支出をどう扱うかも、決算前にご相談ください。ふじみ野市とその近隣の方は訪問でのご相談も承ります。初回30分は無料です。
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