経費
減価償却資産の取得価額に含めなくてよい付随費用5つ。
不動産取得税・登録免許税・借入金の利子・割賦の利息は買った年の経費にできます
会社で車や機械、建物を買うと、本体の値段のほかに登録費用、税金、運賃、手数料、借入れの利息など、いろいろな費用がかかります。これらを全部取得価額に入れて減価償却するのか、買った年の経費にできるのかで、その年の利益が変わります。
答えを先に書くと、原則は購入代価と、事業に使うために直接かかった費用の合計が取得価額です。ただし国税庁は、取得価額に含めなくてよい費用を5つ挙げています。不動産取得税や登録免許税、使い始めるまでの借入金の利子などです。
「含めないことができる」なので、会社が選べます。小さな会社なら、選び方で初年度の税負担が変わります。国税庁のタックスアンサーNo.5400で順に確認していきます。
この記事の要点
購入した減価償却資産の取得価額は、購入代価と事業に使うために直接要した費用の合計で、引取運賃や購入手数料、関税も含みます。ただし、不動産取得税・自動車取得税、新増設に係る事業所税、登録免許税などの登記費用、建設計画の変更で不要になった費用、契約解除の違約金、使用開始までの借入金の利子、割賦販売で区分された利息は取得価額に含めないことができます。国税庁タックスアンサーNo.5400・No.5401をもとに整理しました。
先に見ておくと分かりやすいもの
取得価額の原則。購入代価+事業に使うために直接要した費用
国税庁のタックスアンサーNo.5400は、購入した減価償却資産の取得価額は、原則として、その資産の購入代価と、その資産を事業の用に供するために直接要した費用との合計額とされている、としています。本体の値段だけではなく、使えるようにするためにかかった費用も取得価額です。
国税庁 タックスアンサー No.5400「減価償却資産の取得価額に含めないことができる付随費用」
減価償却資産の取得価額には、引取運賃、荷役費、運送保険料、購入手数料、関税などその資産の購入のために要した費用も含まれます。
引取運賃、荷役費、運送保険料、購入手数料、関税は、購入のために要した費用として取得価額に含まれます。機械を買って据え付けるまでの運賃や設置費用は、買った年の経費ではなく、取得価額に入れて減価償却するということです。取得価額が決まった後の償却の計算は定額法と定率法の償却限度額で解説しています。
取得価額に含めないことができる5つの付随費用
原則は上のとおりですが、No.5400は、減価償却資産の取得に関連して支出した費用であっても、取得価額に算入しないことができる費用を5つ挙げています。まず一覧にします。
| 取得価額に含めないことができる費用 | |
|---|---|
| 1 | 不動産取得税または自動車取得税、新増設に係る事業所税、登録免許税その他登記または登録のために要する費用 |
| 2 | 建物の建設等のために行った調査、測量、設計、基礎工事等で、建設計画の変更により不要となったものに係る費用 |
| 3 | いったん締結した取得の契約を解除して、他の減価償却資産を取得することにした場合に支出する違約金 |
| 4 | 減価償却資産を取得するための借入金の利子(使用を開始するまでの期間に係る部分) |
| 5 | 割賦販売契約などで購入した場合に、契約で購入代価と明らかに区分されている割賦期間分の利息や売手側の代金回収のための費用等 |
小さな会社でよく出てくるのは、1の税金・登記費用、4の借入金の利子、5の割賦の利息です。2と3は建物を建てる途中で計画が変わった場合の話で、出番は少ないですが、計画変更で無駄になった設計費や、契約を解除した違約金は、新しい資産の取得価額に含めなくてよいと覚えておいてください。
不動産取得税・自動車取得税・事業所税・登録免許税
資産を買うとかかる税金と登記・登録の費用は、取得価額に含めないことができます。No.5400が挙げているのは、不動産取得税または自動車取得税、新増設に係る事業所税、登録免許税その他登記または登録のために要する費用の3種類です。
会社で事務所や車を買ったときの不動産取得税や、登記にかかる登録免許税、司法書士に払う登記の手数料がここに当たります。これらは買った年の損金にできます。一方、購入手数料や引取運賃は原則どおり取得価額です。「税金と登記・登録の費用」は含めなくてよい、「運搬と購入手数料」は含める、と区別してください。
借入金の利子は「使用を開始するまでの期間」の分
借入れで資産を買った場合の利子について、No.5400は、減価償却資産を取得するための借入金の利子のうち使用を開始するまでの期間に係る部分は、取得価額に含めないことができる、としています。
国税庁 タックスアンサー No.5400「減価償却資産の取得価額に含めないことができる付随費用」
使用を開始した後の期間に係る借入金の利子は、期間の経過に応じて損金の額に算入します。
整理すると、使い始めるまでの期間の利子は、取得価額に含めるか、その年の損金にするかを選べます。使い始めた後の利子は、選択の余地なく期間の経過に応じて損金です。建物を建てている間に払った利息が典型で、完成して使い始めるまでの分だけが選択の対象になります。
割賦販売の利息は契約で区分されていれば
分割払いで資産を買った場合です。No.5400は、割賦販売契約などによって購入した減価償却資産の取得価額のうち、契約において購入代価と割賦期間分の利息や売手側の代金回収のための費用等が明らかに区分されている場合のその利息や費用は、取得価額に含めないことができる、としています。
条件は契約で購入代価と利息・費用が明らかに区分されていることです。総額しか書かれていない契約では、利息を分けて経費にすることはできません。車や機械をローンや割賦で買うときは、契約書に本体価格と分割手数料が別々に書かれているかを確かめてください。区分されていれば、手数料の部分は取得価額から外し、期間に応じて損金にできます。
「できる」なので会社が選ぶ。初年度の経費を増やすか
ここまでの5つは、いずれも「取得価額に算入しないことができる」費用です。含めなければならないのでも、含めてはいけないのでもなく、会社が選びます。含めなければ買った年の損金が増え、含めれば取得価額が大きくなって減価償却費として何年かに分かれて損金になります。
利益が出ている年は含めないほうが初年度の税負担は軽くなります。逆に赤字の年は、取得価額に含めて後の年度の償却費を大きくしておく考え方もあります。どちらを選んでも損金になる総額は同じで、変わるのは時期です。また、取得価額が小さくなることで少額の資産として一度に経費にできる線に入ることもあります。その制度は少額減価償却資産の特例で解説しています。買った後の修理や改良の費用の区分は修繕費か資本的支出かをご覧ください。
土地とともに買った建物を取り壊したときは土地の取得価額
最後に、付随費用の話と並べて知っておきたいのが、古い建物付きの土地を買ってすぐ建物を壊す場合です。No.5401は、建物の敷地を建物とともに取得した場合で、取得後おおむね1年以内にその建物の取壊しに着手するなど、初めから建物を取り壊して土地を利用する目的であることが明らかな場合には、建物の取壊し時の帳簿価額と取壊費用の合計額(廃材の処分で得た金額があれば控除)は、土地の取得価額に算入する、としています。
この場合、建物の代金も取壊しの費用も、その年の損金にはならず、土地の値段の一部になります。土地は減価償却しませんから、売るまで経費になりません。ただしNo.5401は、初めは建物を事業に使う目的で取得したが、その後やむを得ない理由で使用をあきらめた場合には、取得後おおむね1年以内に取り壊したときでも、取り壊したときの損金にできる、としています。買った時点で壊すつもりだったかどうかが分かれ目です。No.5400が根拠として挙げているのは法人税法施行令54、法人税基本通達7-3-1の2、7-3-2、7-3-3の2、No.5401は法人税基本通達7-3-6です。
よくある質問
減価償却資産の取得価額には何が含まれますか
国税庁のタックスアンサーNo.5400は、購入した減価償却資産の取得価額は、原則として、その資産の購入代価と、その資産を事業の用に供するために直接要した費用との合計額とされている、としています。本体の値段だけではなく、使えるようにするためにかかった費用も取得価額です。→ 本文で読む
取得価額に含めなくてよい費用にはどのようなものがありますか
原則は上のとおりですが、No.5400は、減価償却資産の取得に関連して支出した費用であっても、取得価額に算入しないことができる費用を5つ挙げています。まず一覧にします。 小さな会社でよく出てくるのは、1の税金・登記費用、4の借入金の利子、5の割賦の利息です。2と3は建物を建てる途中で計画が変わった場合の話で、出番は少ないですが、 計画変更で無駄になった設計費や、契約を解除した違約金は、新しい資産の取得価額に含めなくてよい と覚えておいてください。→ 本文で読む
不動産取得税や登録免許税は取得価額に含めますか
資産を買うとかかる税金と登記・登録の費用は、取得価額に含めないことができます。No.5400が挙げているのは、不動産取得税または自動車取得税、新増設に係る事業所税、登録免許税その他登記または登録のために要する費用の3種類です。→ 本文で読む
資産を買うための借入金の利子は取得価額に含めますか
借入れで資産を買った場合の利子について、No.5400は、減価償却資産を取得するための借入金の利子のうち使用を開始するまでの期間に係る部分は、取得価額に含めないことができる、としています。→ 本文で読む
ローンで買った車の分割手数料は経費になりますか
分割払いで資産を買った場合です。No.5400は、割賦販売契約などによって購入した減価償却資産の取得価額のうち、契約において購入代価と割賦期間分の利息や売手側の代金回収のための費用等が明らかに区分されている場合のその利息や費用は、取得価額に含めないことができる、としています。→ 本文で読む
付随費用を取得価額に含めるかどうかはどう決めますか
ここまでの5つは、いずれも「取得価額に算入しないことができる」費用です。含めなければならないのでも、含めてはいけないのでもなく、会社が選びます。含めなければ買った年の損金が増え、含めれば取得価額が大きくなって減価償却費として何年かに分かれて損金になります。→ 本文で読む
出典
- 国税庁「No.5400 減価償却資産の取得価額に含めないことができる付随費用」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5400.htm - 国税庁「No.5401 土地とともに取得した建物を取り壊した場合の土地の取得価額」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5401.htm
この記事は、記載時点で公表されている法令・通達・国税庁の資料にもとづいて書いています。制度は改正されることがあり、また個別の事情によって取扱いは変わります。実際のご判断にあたっては、税理士にご相談いただくか、所轄の税務署にお確かめください。当事務所は本記事の情報を用いて行われた判断について責任を負いかねます。
資産を買った年は、請求書と契約書の内訳を全部お持ちください。
取得価額に含めなくてよい費用は、請求書や契約書で内訳が分かることが前提です。不動産取得税や登録免許税、借入れの利息、割賦の手数料が本体と分けて書かれているかを確かめたうえで、初年度の経費にするか取得価額に含めるかを決めます。ふじみ野市とその近隣の方は訪問でのご相談も承ります。初回30分は無料です。
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交際費等は、得意先や仕入先など事業に関係のある者に対する接待・供応・慰安・贈答のための費用です。