経費
交際費か寄附金か。
取引先へのお祝いは交際費、神社の祭礼や政治団体への支出は寄附金です
小さな会社の経費で迷うのが、取引先へのお祝い、地元の神社のお祭りへの寄贈、業界団体への拠出金です。どれも「お金を渡しただけ」で、見返りに何かを買ったわけではありません。
答えを先に書くと、相手が事業に関係のある者なら交際費等、事業に直接関係のない者への金銭の贈与なら原則として寄附金です。名目が「寄附金」「見舞金」でも、実態で判定します。
交際費等と寄附金は、どちらも法人税で損金にできる金額に制限があります。ただ、その制限のかかり方が違いますから、どちらに入るかで税額が変わります。国税庁のタックスアンサーNo.5262で、区分の考え方を確認していきます。
この記事の要点
交際費等は、得意先や仕入先など事業に関係のある者に対する接待・供応・慰安・贈答のための費用です。寄附金は、金銭や物品などの贈与または無償の供与をした場合のその金額です。寄附金・拠出金・見舞金という名前でも、実態が交際費等・広告宣伝費・福利厚生費なら寄附金から除かれます。一方、社会事業団体や政治団体への拠金、神社の祭礼等の寄贈金のように事業に直接関係のない者への金銭の贈与は原則として寄附金です。国税庁タックスアンサーNo.5262とNo.5265をもとに整理しました。
先に見ておくと分かりやすいもの
交際費等と寄附金、それぞれの定義
交際費等は「事業に関係のある者への接待や贈答の費用」、寄附金は「金銭や物品を贈与したときのその金額」です。国税庁のタックスアンサーNo.5262は、2つを次のように定義しています。
国税庁 タックスアンサー No.5262「交際費等と寄附金との区分」
交際費等とは、得意先や仕入先その他事業に関係のある者などに対する接待、供応、慰安、贈答などの行為のために支出する費用をいいます。
国税庁 タックスアンサー No.5262「交際費等と寄附金との区分」
一方、寄附金とは、金銭、物品その他経済的利益の贈与または無償の供与をした場合のその金銭の額またはその贈与もしくは供与の時における価額をいいます。
2つの定義を並べると、違いは相手にあります。交際費等の定義には「事業に関係のある者」という相手の限定が入っていますが、寄附金の定義には相手の限定がなく、贈与や無償の供与という行為だけで決まります。相手が事業に関係のある者かどうかが、区分の出発点です。
名目ではなく実態で判定する
支出の名前で区分は決まりません。No.5262は、一般的に寄附金、拠出金、見舞金などと呼ばれるものは寄附金に含まれる、としたうえで、これらの名義の支出であっても交際費等、広告宣伝費、福利厚生費などとされるものは寄附金から除かれる、としています。
| 名目 | 実態 | 区分 |
|---|---|---|
| 見舞金 | 取引先の被災に対する見舞い | 交際費等 |
| 見舞金 | 自社の従業員の傷病に対する見舞い | 福利厚生費 |
| 寄附金 | 社会事業団体への拠金 | 寄附金 |
| 協賛金 | 自社名を広告する対価としての支出 | 広告宣伝費 |
No.5262は、金銭や物品などを贈与した場合に、それが寄附金になるのか交際費等になるのかは、個々の実態をよく検討した上で判定する必要があるとしています。請求書や領収書に「寄附金」と書いてあるからといって、そのまま寄附金にする必要はなく、逆に「協賛金」と書いてあっても寄附金になることがあります。
事業に直接関係のない者への金銭の贈与は寄附金
実態で判定するといっても、はっきりした目印はあります。No.5262は、事業に直接関係のない者に対する金銭の贈与は原則として寄附金になる、として2つの例を挙げています。
国税庁 タックスアンサー No.5262「交際費等と寄附金との区分」
1 社会事業団体、政治団体に対する拠金
2 神社の祭礼等の寄贈金
地元の神社のお祭りに会社として寄贈する、政治団体のパーティーに拠出する、福祉団体に寄附する。こうした支出は、相手が会社の事業と直接の取引関係にありませんから、原則として寄附金です。地域とのつきあいで断りにくい支出ですが、交際費等ではありません。
ここで「原則として」と書かれている点にも意味があります。同じ祭礼への支出でも、たとえば会社名の入った提灯や看板が出るなど、広告の対価としての実態があれば別の区分になる余地があります。その判定にも、やはり実態の記録が要ります。
取引先への贈答・お祝い・慶弔は交際費等
逆に、相手が得意先や仕入先であれば、贈答やお祝いは交際費等です。No.5262の定義にある「接待、供応、慰安、贈答などの行為」は、取引先の新築祝い、開店祝い、香典、中元・歳暮の品などをそのまま含みます。
No.5265は交際費等の範囲をもう少し細かく書いています。交際費等とは、交際費、接待費、機密費その他の費用で、得意先、仕入先その他事業に関係のある者などに対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するものです。金銭を渡す形の贈与であっても、相手が取引先なら交際費等の側に入ります。
なお、No.5265は交際費等から除かれる費用も挙げています。カレンダー、手帳、扇子、うちわ、手ぬぐいその他これらに類する物品を贈与するために通常要する費用は交際費等から除かれます。取引先に配る名入れのカレンダーは、贈答ではあっても交際費等に入れなくてよいということです。飲食費については交際費の1人10,000円ルールで整理しています。
なぜ区分が問題になるのか。損金の扱いが違う
区分にこだわる理由は、法人税で損金にできる金額の計算が違うからです。No.5265は、交際費等の額は原則としてその全額が損金不算入とされていますが、法人の区分に応じ一定の措置が設けられている、としています。
期末の資本金の額または出資金の額が1億円以下である等の法人では、No.5265によれば、交際費等の額のうち800万円にその事業年度の月数を乗じ、これを12で除して計算した金額(定額控除限度額)を超える部分の金額が損金不算入になります。資本金1億円以下の小さな会社であれば、年800万円までの交際費等は損金にできるということです。
寄附金には、この800万円の枠は使えません。寄附金は法人税法37条のもとで別の計算で損金算入限度額が決まります。同じ金額を渡しても、交際費等なら年800万円の枠に収まる限り損金、寄附金なら別の限度額の計算に回る。ここが区分を確かめる理由です。No.5262が根拠として挙げているのは、法人税法37条、租税特別措置法61条の4、措置法通達61の4(1)-2です。
小さな会社でよくある支出と記録の残し方
小さな会社で実際に出てくる支出を、No.5262の考え方で並べてみます。取引先の社長の父の香典、得意先の新店舗への祝い花、仕入先への歳暮は、相手が事業に関係のある者ですから交際費等です。地元の神社の祭礼への寄贈、商工団体を通じた社会事業への拠金、政治団体への支出は、原則として寄附金です。
迷いやすいのは、地域の団体からの依頼です。同じ団体でも、会員として通常の会費を払うのか、寄附として拠出するのか、広告を出す対価として払うのかで区分が変わります。依頼文や案内状を領収書と一緒に保存し、相手との関係と目的を帳簿の摘要に一言書く。これだけで、決算のときに実態を検討できます。団体への会費は同業者団体の加入金と会費で扱っています。
なお、No.5265は、交際費等の金額の判定や額の計算を、法人の適用している消費税等の経理処理(税抜経理方式または税込経理方式)により算定した価額により行う、としています。税込で経理している会社は、消費税込みの金額で交際費等を数えます。経理方式の選び方は税抜経理と税込経理をご覧ください。
よくある質問
交際費等と寄附金の違いは何ですか
交際費等は「事業に関係のある者への接待や贈答の費用」、寄附金は「金銭や物品を贈与したときのその金額」です。国税庁のタックスアンサーNo.5262は、2つを次のように定義しています。→ 本文で読む
「寄附金」と書かれた支出は必ず寄附金になりますか
支出の名前で区分は決まりません。No.5262は、一般的に寄附金、拠出金、見舞金などと呼ばれるものは寄附金に含まれる、としたうえで、これらの名義の支出であっても交際費等、広告宣伝費、福利厚生費などとされるものは寄附金から除かれる、としています。→ 本文で読む
神社のお祭りへの寄贈は交際費になりますか
実態で判定するといっても、はっきりした目印はあります。No.5262は、事業に直接関係のない者に対する金銭の贈与は原則として寄附金になる、として2つの例を挙げています。 地元の神社のお祭りに会社として寄贈する、政治団体のパーティーに拠出する、福祉団体に寄附する。こうした支出は、相手が会社の事業と直接の取引関係にありませんから、 原則として寄附金 です。地域とのつきあいで断りにくい支出ですが、交際費等ではありません。→ 本文で読む
取引先への香典やお祝いは交際費ですか寄附金ですか
逆に、相手が得意先や仕入先であれば、贈答やお祝いは交際費等です。No.5262の定義にある「接待、供応、慰安、贈答などの行為」は、取引先の新築祝い、開店祝い、香典、中元・歳暮の品などをそのまま含みます。→ 本文で読む
交際費と寄附金で税金の扱いはどう違いますか
区分にこだわる理由は、法人税で損金にできる金額の計算が違うからです。No.5265は、交際費等の額は原則としてその全額が損金不算入とされていますが、法人の区分に応じ一定の措置が設けられている、としています。→ 本文で読む
交際費と寄附金を区分するために何を残しておけばよいですか
小さな会社で実際に出てくる支出を、No.5262の考え方で並べてみます。取引先の社長の父の香典、得意先の新店舗への祝い花、仕入先への歳暮は、相手が事業に関係のある者ですから交際費等です。地元の神社の祭礼への寄贈、商工団体を通じた社会事業への拠金、政治団体への支出は、原則として寄附金です。→ 本文で読む
出典
- 国税庁「No.5262 交際費等と寄附金との区分」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5262.htm - 国税庁「No.5265 交際費等の範囲と損金不算入額の計算」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5265.htm
この記事は、記載時点で公表されている法令・通達・国税庁の資料にもとづいて書いています。制度は改正されることがあり、また個別の事情によって取扱いは変わります。実際のご判断にあたっては、税理士にご相談いただくか、所轄の税務署にお確かめください。当事務所は本記事の情報を用いて行われた判断について責任を負いかねます。
お金を渡した相手が、事業に関係のある方かどうかを書き残してください。
交際費等と寄附金は、渡した先と目的で区分が決まります。領収書や振込の控えだけでは、あとで見たときにどちらか分かりません。相手との関係と目的を一言添えておくと、決算のときに迷いません。ふじみ野市とその近隣の方は訪問でのご相談も承ります。初回30分は無料です。
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