経費
業界団体・商工団体の加入金と会費。
通常会費はその期の経費、加入金は5年償却か20万円未満で全額
会社を始めると、業界団体や商工団体への加入を勧められ、入会金と年会費を払う場面が出てきます。「全部その期の経費でよいのか」というご質問をよくいただきます。
答えを先に書くと、通常会費はその期の損金です。加入金は原則として繰延資産で5年償却ですが、20万円未満なら全額その期の損金にできます。懇親会や会館建設のための会費は、通常会費と扱いが違います。
国税庁のタックスアンサーNo.5382は、加入金を2つ、会費を2つに分けて整理しています。小さな会社で出てくる金額は20万円未満のことが多いので、実務ではほとんどがその期の経費で済みます。ただ、線引きを知っておくと安心です。順に確認していきます。
この記事の要点
同業者団体等(社交団体を除く)に払う加入金のうち、地位を譲渡できるものや出資の性質があるものは資産に計上し、それ以外は繰延資産として5年で償却します。ただし20万円未満なら損金経理で全額損金にできます。会費のうち、広報・調査研究・研修・福利厚生など通常の業務運営のための通常会費は、支出した事業年度の損金です。会館の取得、会員の共済、懇親、政治献金などのためのその他の会費は前払費用とし、団体がその支出をした日に会社が支出したものとされます。国税庁タックスアンサーNo.5382をもとに整理しました。
先に見ておくと分かりやすいもの
- 関連交際費と寄附金の区分
- ご案内ひとり法人の税務顧問
対象は同業者団体等。社交団体は除く
この記事で扱うのは、同業者団体や商工団体など、事業に関係する団体への加入金と会費です。国税庁のタックスアンサーNo.5382は、法人が同業者団体等(社交団体を除きます。)に対して支出した加入金および会費の取扱いを示しています。
括弧書きの「社交団体を除きます」が最初の分かれ目です。ゴルフクラブやロータリークラブのような社交を目的とする団体は、ここでいう同業者団体等ではありません。同業者団体等の扱いが使えるのは、業界団体・商工団体のように事業のための団体に限られます。社交団体の入会金や会費は、別の考え方で判定します。
加入金その1。譲渡できるもの・出資の性質があるものは資産
加入金は2つに分けます。No.5382は、構成員としての地位を他に譲渡することができることとなっているものおよび出資の性質を有するものは、譲渡または脱退するまで資産に計上する、としています。
会員の地位を第三者に売れる、あるいは脱退するときに返ってくる出資のような加入金は、払っても会社の財産が減っていません。形が変わっただけです。こうした加入金は経費にならず、譲渡または脱退するまで資産として持ち続けます。脱退して返ってきた、または譲渡して売却代金が入ったときに、そこで差額が出れば損益になります。
加入金その2。それ以外は繰延資産で5年、20万円未満なら全額
譲渡もできず、出資の性質もない加入金は、繰延資産です。No.5382は次のように示しています。
国税庁 タックスアンサー No.5382「同業者団体等の加入金と会費の取扱い」
繰延資産に該当し、償却期間は5年となります。
ただし、支出金額が20万円未満の場合には損金経理により全額損金算入することができます。
| 加入金の性質 | 扱い |
|---|---|
| 地位を譲渡できる/出資の性質がある | 譲渡または脱退するまで資産に計上 |
| 上記以外で20万円以上 | 繰延資産。償却期間5年 |
| 上記以外で20万円未満 | 損金経理により全額損金算入できる |
繰延資産とは、支出の効果が将来にわたって及ぶ費用を、いったん資産に計上して期間で配分するものです。加入金は入会後ずっと会員でいられる対価ですから、5年で償却します。ただし20万円未満なら、払った期に全額損金にしてよい。小さな会社が入る団体の入会金は、多くがこの範囲に収まります。
「損金経理により」とありますから、帳簿でその期の費用として処理しておくことが条件です。資産に計上してしまうと、あとから全額損金にはできません。少額の資産をその期の経費にする制度には少額減価償却資産もありますが、加入金は減価償却資産ではないので、こちらの20万円の線で見ます。
通常会費は支出した事業年度の損金
毎年の会費は、通常会費であれば払った期の損金です。No.5382は、通常会費について次のように定義し、支出した事業年度の損金の額に算入する、としています。
国税庁 タックスアンサー No.5382「同業者団体等の加入金と会費の取扱い」
通常会費(同業者団体等がその構成員のために行う広報活動、調査研究、研修指導、福利厚生その他同業者団体としての通常の業務運営のために経常的に要する費用の分担額として支出する会費)については、支出した事業年度の損金の額に算入します。
業界の広報、調査研究、研修、福利厚生といった団体の通常の運営費を分担する会費が通常会費です。年会費として請求されるものの大半はこれに当たります。その期に払ったものは、その期の損金。前払いや資産計上は要りません。
団体に多額の剰余金があると前払費用になる
通常会費にも例外があります。No.5382は、同業者団体等において通常会費について不相当に多額の剰余金が生じていると認められる場合には、その剰余金が生じた時以後に支出する通常会費については、その剰余金の額が適正な額になるまでは、前払費用として損金の額に算入されない、としています。
団体が会費を使い切らず、必要以上に貯め込んでいる状態では、会員が払う会費は「運営費の分担」ではなく「将来の運営費の前払い」と見られるということです。会社側で判定するのは難しい規定ですが、団体から剰余金の状況について案内があれば、その内容を確かめてください。また、通常会費の名目でも、その全部または一部を次に述べるその他の会費の目的に使っている場合には、その部分はその他の会費として扱われます。
その他の会費は前払費用。団体が使った日に経費になる
通常会費と区別されるのが「その他の会費」です。No.5382は、同業者団体等が会館の取得または改良、会員相互の共済、会員相互または業界の関係先等との懇親等、政治献金などの目的のために支出する会費を、その他の会費としています。
その他の会費は、払った期の損金にはなりません。前払費用として計上し、その同業者団体等がこれらの支出をした日に、その費途に応じて構成員である会社がその支出をしたものとされます。つまり、団体が会館を建てたときは会社が会館取得のための支出をしたものとして、懇親会を開いたときは会社が懇親のための支出(交際費等)をしたものとして、その時点で扱いが決まります。
団体が政治献金に使った会費は、会社が政治献金(寄附金)をしたものとされます。懇親や寄附の区分は交際費と寄附金の区分で整理しています。前払費用の考え方は短期前払費用もあわせてご覧ください。No.5382が根拠として挙げているのは、法人税法32条、法人税法施行令14条・64条・134条、法人税基本通達8-1-11、8-2-3、9-7-15の3です。
よくある質問
ゴルフクラブの入会金も同業者団体の加入金と同じ扱いですか
この記事で扱うのは、同業者団体や商工団体など、事業に関係する団体への加入金と会費です。国税庁のタックスアンサーNo.5382は、法人が同業者団体等(社交団体を除きます。)に対して支出した加入金および会費の取扱いを示しています。→ 本文で読む
脱退すると返ってくる加入金は経費になりますか
加入金は2つに分けます。No.5382は、構成員としての地位を他に譲渡することができることとなっているものおよび出資の性質を有するものは、譲渡または脱退するまで資産に計上する、としています。→ 本文で読む
業界団体の入会金はいつの経費になりますか
譲渡もできず、出資の性質もない加入金は、繰延資産です。No.5382は次のように示しています。 繰延資産とは、支出の効果が将来にわたって及ぶ費用を、いったん資産に計上して期間で配分するものです。加入金は入会後ずっと会員でいられる対価ですから、5年で償却します。 ただし20万円未満なら、払った期に全額損金にしてよい。 小さな会社が入る団体の入会金は、多くがこの範囲に収まります。→ 本文で読む
業界団体の年会費はその期の経費にできますか
毎年の会費は、通常会費であれば払った期の損金です。No.5382は、通常会費について次のように定義し、支出した事業年度の損金の額に算入する、としています。 業界の広報、調査研究、研修、福利厚生といった 団体の通常の運営費を分担する会費 が通常会費です。年会費として請求されるものの大半はこれに当たります。 その期に払ったものは、その期の損金。前払いや資産計上は要りません。→ 本文で読む
団体に剰余金が多いと会費の扱いが変わりますか
通常会費にも例外があります。No.5382は、同業者団体等において通常会費について不相当に多額の剰余金が生じていると認められる場合には、その剰余金が生じた時以後に支出する通常会費については、その剰余金の額が適正な額になるまでは、前払費用として損金の額に算入されない、としています。→ 本文で読む
懇親会や会館建設のための会費はいつの経費になりますか
通常会費と区別されるのが「その他の会費」です。No.5382は、同業者団体等が会館の取得または改良、会員相互の共済、会員相互または業界の関係先等との懇親等、政治献金などの目的のために支出する会費を、その他の会費としています。→ 本文で読む
出典
- 国税庁「No.5382 同業者団体等の加入金と会費の取扱い」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5382.htm
この記事は、記載時点で公表されている法令・通達・国税庁の資料にもとづいて書いています。制度は改正されることがあり、また個別の事情によって取扱いは変わります。実際のご判断にあたっては、税理士にご相談いただくか、所轄の税務署にお確かめください。当事務所は本記事の情報を用いて行われた判断について責任を負いかねます。
団体からの請求書は、何のための会費かを分けて読んでください。
同じ団体への支払いでも、通常会費とその他の会費、加入金で損金になる時期が違います。請求書に内訳があればそのまま、なければ団体の規約や案内で目的を確かめて記録しておくと、決算のときに迷いません。ふじみ野市とその近隣の方は訪問でのご相談も承ります。初回30分は無料です。
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