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法人が受け取った預金利息や配当から引かれた源泉所得税は、法人税から控除できます。
赤字なら還付、控除しなければ損金

会社の預金口座に利息が入ると、通帳の金額はあらかじめ所得税が引かれた後の金額です。会社が持っている株式の配当も同じです。この引かれた税金は、そのまま取られっぱなしではありません。

答えを先に書くと、法人が受け取る利子や配当から源泉徴収された所得税は、法人税の額から差し引けます。法人税より多ければ差額が戻ってきます。これを所得税額控除といいます。

ひとり会社では金額が小さいので見過ごされがちですが、赤字の年でも還付を受けられる制度です。国税庁のタックスアンサーNo.5760で、対象・計算・手続を順に確認していきます。

公開 最終更新

この記事の要点

法人が支払を受ける利子等、配当等、給付補てん金、賞金などから源泉徴収された所得税および復興特別所得税は、法人税の額から控除できます。利子等は全額、法人からの配当や投資信託の収益分配は元本の所有期間に対応する部分が対象です。控除しきれない金額は還付され、確定申告書への別表6(1)の記載が必要です。控除を受けた所得税は損金にならず、受けなければ損金です。国税庁タックスアンサーNo.5760をもとに整理しました。

先に見ておくと分かりやすいもの

源泉徴収された所得税は法人税の額から控除できる

国税庁のタックスアンサーNo.5760は、法人が支払を受ける利子等、配当等、給付補てん金、賞金などについて源泉徴収される所得税および復興特別所得税の額(所得税等の額)は、法人税の額から控除することができる、としています。個人の所得税で源泉徴収された税金を確定申告で精算するのと同じ考え方です。

国税庁 タックスアンサー No.5760「所得税額控除」

法人が支払を受ける利子等、配当等、給付補てん金、賞金などについて、所得税法、租税特別措置法または復興財源確保法の規定により源泉徴収される所得税および復興特別所得税の額(分配時調整外国税相当額を除き、以下「所得税等の額」といいます。)は、法人税の額から控除することができます。

法人は本来、所得税ではなく法人税を納める立場です。それでも利子や配当を受け取る段階では所得税が源泉徴収されてしまうので、法人税の計算で取り戻す仕組みが所得税額控除です。ひとり会社の場合、対象になるのはほとんどが預金利息と、会社で持っている株式や投資信託の配当・分配金です。

配当等は元本の所有期間に対応する部分だけ

控除できる範囲には区別があります。No.5760は、利子等、配当等、給付補てん金、賞金などに係る所得税等の額の全額が原則として所得税額控除の対象となるが、次のような配当等に係る所得税等の額については、元本の所有期間に対応する部分の額のみが対象になる、としています。

所有期間対応分だけが対象になる配当等
(1)法人から受ける剰余金の配当、利益の配当、剰余金の分配、金銭の分配(一定のものを除く)
(2)集団投資信託(合同運用信託、公社債投資信託などを除く)の収益の分配
(3)国外投資信託の配当等
(4)国外株式等の配当等
(5)一定の短期公社債以外の割引債の償還差益

整理すると、預金利息のような利子等は全額が控除の対象で、株式の配当や投資信託の分配金は、その配当の計算期間のうち元本を持っていた期間の分だけが対象です。配当の計算期間の途中で株式を買った場合、買う前の期間に対応する所得税は控除できません。会社で株式を持っているなら、いつ買ったかが控除額に効いてきます。なお、割引債の償還差益は、取得者と償還を受ける者が異なる場合、償還を受ける者が控除を受けます。

所有期間対応分の計算。原則法と簡便法を事業年度ごとに選ぶ

所有期間に対応する部分の計算について、No.5760は、原則的な方法と簡便法とがあり、事業年度ごとにいずれかを選択することができる、としています。原則的な方法は元本の銘柄ごと、所有期間の月数ごとに計算し、簡便法は元本を「株式および出資」と「集団投資信託の受益権」に区分し、さらに配当等の計算期間が1年を超えるものと1年以下のものとに区分して、銘柄ごとに計算します。

簡便法の算式では、配当等の計算の基礎となった期間の開始時に所有していた元本の数(A)と終了時に所有していた元本の数(B)を使います。期首から期末までずっと持っていた株式であれば、原則法でも簡便法でも全額が対象になります。期中に売買がある会社だけ、どちらの方法が有利かを事業年度ごとに検討すればよいということです。算式の細部はNo.5760の本文をご確認ください。

控除しきれなければ還付される

ここが小さな会社にとって大事なところです。No.5760は、控除する所得税等の額がその事業年度の法人税額より多い場合には、その控除しきれなかった金額は還付される、としています。

国税庁 タックスアンサー No.5760「所得税額控除」

控除する所得税等の額がその事業年度の法人税額より多い場合には、その控除しきれなかった金額は還付されます。

赤字で法人税がゼロの年でも、預金利息や配当から引かれた所得税は申告すれば戻ってきます。控除ではなく還付なので、法人税額がなくても意味があります。赤字だから申告書は形だけ、と考えていると、この還付を取り逃します。金額は小さくても、毎年積み重なるものです。ひとり会社全体の税負担の考え方はいくらから法人にすべきかで整理しています。

手続。確定申告書に別表6(1)を付ける

控除は自動では受けられません。No.5760は、所得税等の控除を受けるためには、確定申告書等において控除を受けようとする金額およびその計算に関する明細書(別表6(1))の記載が必要である、としています。

通帳には税引後の利息しか載っていませんから、いくら源泉徴収されたのかを計算し直し、別表6(1)に銘柄や金額を記載します。配当なら支払通知書に源泉徴収税額が書かれています。預金利息は銀行の入金額から逆算するか、銀行に利息計算書を出してもらいます。申告書を出したあとで「控除を忘れていた」と気づいても、別表の記載がなければ控除は受けられません。決算の資料に利息と配当の明細を入れておくのが確実です。

控除を受けた所得税は損金にならない。受けなければ損金

最後に、控除と損金の関係です。No.5760は、所得税等の控除を受けた所得税等の額は、各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入されない、とし、注で、控除を受けなかった場合には損金の額に算入される、としています。

つまり選択は2つです。法人税から控除する(その分は損金にしない)か、控除せず損金にするかです。控除なら源泉徴収された税額がそのまま法人税から引かれ、損金なら法人税の税率をかけた分だけ税額が減ります。税額から直接引ける控除のほうが有利になるのが通常で、赤字の年は還付まで受けられます。会計処理では、受け取った利息を税引前の金額で収益に計上し、源泉徴収された分を法人税等の前払いとして処理しておくと、申告書の作成で迷いません。No.5760が根拠として挙げているのは、法人税法40・68・78、法人税法施行令140の2などです。

よくある質問

会社の預金利息から引かれた所得税はどうなりますか

国税庁のタックスアンサーNo.5760は、法人が支払を受ける利子等、配当等、給付補てん金、賞金などについて源泉徴収される所得税および復興特別所得税の額(所得税等の額)は、法人税の額から控除することができる、としています。個人の所得税で源泉徴収された税金を確定申告で精算するのと同じ考え方です。→ 本文で読む

会社が受け取った配当の源泉所得税は全額控除できますか

控除できる範囲には区別があります。No.5760は、利子等、配当等、給付補てん金、賞金などに係る所得税等の額の全額が原則として所得税額控除の対象となるが、次のような配当等に係る所得税等の額については、元本の所有期間に対応する部分の額のみが対象になる、としています。→ 本文で読む

所有期間対応分の計算方法はどう選びますか

所有期間に対応する部分の計算について、No.5760は、原則的な方法と簡便法とがあり、事業年度ごとにいずれかを選択することができる、としています。原則的な方法は元本の銘柄ごと、所有期間の月数ごとに計算し、簡便法は元本を「株式および出資」と「集団投資信託の受益権」に区分し、さらに配当等の計算期間が1年を超えるものと1年以下のものとに区分して、銘柄ごとに計算します。→ 本文で読む

赤字の会社でも源泉所得税は戻ってきますか

ここが小さな会社にとって大事なところです。No.5760は、控除する所得税等の額がその事業年度の法人税額より多い場合には、その控除しきれなかった金額は還付される、としています。 赤字で法人税がゼロの年でも、預金利息や配当から引かれた所得税は申告すれば戻ってきます。 控除ではなく還付 なので、法人税額がなくても意味があります。 赤字だから申告書は形だけ、と考えていると、この還付を取り逃します。 金額は小さくても、毎年積み重なるものです。ひとり会社全体の税負担の考え方は いくらから法人にすべきか で整理しています。→ 本文で読む

所得税額控除を受けるにはどの書類が必要ですか

控除は自動では受けられません。No.5760は、所得税等の控除を受けるためには、確定申告書等において控除を受けようとする金額およびその計算に関する明細書(別表6(1))の記載が必要である、としています。→ 本文で読む

控除しなかった源泉所得税は損金になりますか

最後に、控除と損金の関係です。No.5760は、所得税等の控除を受けた所得税等の額は、各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入されない、とし、注で、控除を受けなかった場合には損金の額に算入される、としています。→ 本文で読む

出典

  1. 国税庁「No.5760 所得税額控除」
    https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5760.htm

この記事は、記載時点で公表されている法令・通達・国税庁の資料にもとづいて書いています。制度は改正されることがあり、また個別の事情によって取扱いは変わります。実際のご判断にあたっては、税理士にご相談いただくか、所轄の税務署にお確かめください。当事務所は本記事の情報を用いて行われた判断について責任を負いかねます。

預金利息と配当の入金明細を、決算の資料に必ず入れてください。

法人が受け取る利子や配当から引かれた所得税は、法人税から控除するか、損金にするかを選べます。控除を受ければ赤字の年でも還付されますが、確定申告書への別表の記載が要ります。通帳に入った利息は税引後の金額なので、引かれた税額を計算し直して申告書に載せる作業が必要です。ふじみ野市とその近隣の方は訪問でのご相談も承ります。初回30分は無料です。