申告
所得は10種類に分かれます。
給与・事業・不動産・譲渡・一時・雑など、どの区分になるかで計算が変わります
確定申告の相談で最初にお聞きするのは、「その収入は、どの所得ですか」ということです。
所得税法は、所得をその性質によって利子・配当・不動産・事業・給与・退職・山林・譲渡・一時・雑の10種類に分けています。同じ金額の収入でも、区分が違えば引けるものも、税金の計算方法も変わります。
この記事では、国税庁のタックスアンサーNo.1300をもとに、10種類それぞれの中身と、迷いやすい境目を確認していきます。副業・年金・保険金・ゴルフ会員権など、ご自身の収入がどこに入るかを当てはめながら読んでください。
この記事の要点
所得税法は、所得をその性質によって利子・配当・不動産・事業・給与・退職・山林・譲渡・一時・雑の10種類に区分しています。どの区分になるかで、収入から何を引けるか、他の所得と合算するかが変わります。公的年金や副業の収入は雑所得、懸賞の賞金や生命保険の一時金は一時所得、ゴルフ会員権の売却は譲渡所得です。確定申告の最初の分かれ道である所得区分を、国税庁タックスアンサーNo.1300をもとに整理しました。
先に見ておくと分かりやすいもの
所得税は所得を10種類に分けている
所得税法では、その性質によって所得を10種類に区分しています。国税庁のタックスアンサーNo.1300は、利子所得から雑所得までの10種類を順に定義しています。区分が決まると、その所得に応じた計算方法が決まります。
国税庁 タックスアンサー No.1300「所得の区分のあらまし」
所得税法では、その性質によって所得を次の10種類に区分しています。
なぜ分けるのかというと、お金の稼ぎ方によって、かかった費用の性質や、担税力(税金を負担する力)が違うからです。毎月入る給与と、一度だけ入る退職金や保険金を同じ計算で課税すると、不公平になります。区分は、収入から何を引けるか、他の所得と合算して税率をかけるかを決める入口です。
10種類の一覧と中身
10種類の所得は、No.1300の定義をもとにまとめると次の表のとおりです。利子・配当・不動産・事業・給与・退職・山林・譲渡・一時の9つに当たらないものが、最後の雑所得になります。
| 所得の区分 | 中身(No.1300の定義から) |
|---|---|
| 利子所得 | 預貯金や公社債の利子、合同運用信託・公社債投資信託・公募公社債等運用投資信託の収益の分配 |
| 配当所得 | 株主や出資者が法人から受ける配当、投資信託(公社債投資信託等以外)や特定受益証券発行信託の収益の分配など |
| 不動産所得 | 土地や建物などの不動産、借地権など不動産の上に存する権利、船舶や航空機の貸付けによる所得 |
| 事業所得 | 農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業その他の事業から生ずる所得 |
| 給与所得 | 使用人や役員等が支払いを受ける俸給や給料、賃金、歳費、賞与など |
| 退職所得 | 退職により勤務先から受ける退職手当、厚生年金基金等の加入員の退職に基因して支払われる一時金など |
| 山林所得 | 山林を伐採して譲渡したり、立木のままで譲渡することによって生ずる所得 |
| 譲渡所得 | 土地、建物、ゴルフ会員権などの資産を譲渡することによって生ずる所得、地上権などの設定による所得で一定のもの |
| 一時所得 | 上の8つに当たらず、営利目的の継続的行為から生じたものでなく、労務や資産の譲渡の対価でもない一時の所得 |
| 雑所得 | 上の9つのいずれにも当たらない所得。公的年金等、副業に係る所得など |
表の並び順には意味があります。一時所得は「利子所得から譲渡所得までのいずれにも該当しないもの」、雑所得は「利子所得から一時所得までのいずれにも該当しないもの」と、上から順に当てはめて、残ったものが下に落ちる構造です。ですから雑所得かどうかを判断するには、まず上の9つに当たらないことを確かめる必要があります。
不動産所得と事業所得の線引き
不動産所得は、土地や建物などの不動産、借地権など不動産の上に存する権利、船舶や航空機の貸付けによる所得です。事業所得は、農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業その他の事業から生ずる所得です。不動産の貸付けは、事業として行っていても原則として不動産所得になります。
No.1300は、事業所得の説明のなかで、不動産の貸付けや山林の譲渡による所得は、原則として不動産所得や山林所得になる、としています。アパートを何棟持っていても、貸付けによる所得は事業所得ではなく不動産所得です。逆に、不動産所得の定義には「事業所得または譲渡所得に該当するものを除きます」とあり、不動産を売った所得は譲渡所得に回ります。
会社員の副業が事業所得か雑所得かという問題は、この表の「事業から生ずる所得」に当たるかどうかの判断です。No.1300は区分の定義を示すだけで、事業か副業かの線は別の論点になります。その判断は副業は事業所得か雑所得かで整理しています。
給与所得と退職所得
給与所得は、使用人や役員等が支払いを受ける俸給や給料、賃金、歳費、賞与のほか、これらの性質を有する給与に係る所得です。退職所得は、退職により勤務先から受ける退職手当や、厚生年金基金等の加入員の退職に基因して支払われる厚生年金保険法に基づく一時金などの所得です。
どちらも勤務先から受け取るお金ですが、区分が違います。退職金を給与と同じ計算で課税すると、長年の勤務の対価が一度にまとめて課税されて重くなるため、別の所得として扱います。退職所得の計算については退職所得控除で整理しています。
また、役員の報酬も「役員等が支払いを受ける」給与所得です。ひとり法人の社長がご自身に払う役員報酬は、会社にとっては費用、社長個人にとっては給与所得です。
譲渡所得。棚卸資産や山林は含まれない
譲渡所得は、土地、建物、ゴルフ会員権などの資産を譲渡することによって生ずる所得と、建物などの所有を目的とする地上権などの設定による所得で一定のものです。ただし、事業用の商品などの棚卸資産、山林、減価償却資産のうち一定のものなどを譲渡した所得は、譲渡所得になりません。
商品を売って得た所得は事業所得、山林を売った所得は山林所得です。「資産を売った」から常に譲渡所得になるわけではなく、その資産が何かで区分が変わります。No.1300は、譲渡所得の詳細として、コード1460「譲渡所得(土地、建物及び株式等以外の資産を譲渡したとき)」、コード1440「譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)」、コード1463「株式等を譲渡したときの課税(申告分離課税)」を案内しています。
譲渡所得のなかでも、土地建物や株式は他の所得と分けて課税され、ゴルフ会員権や金地金などは他の所得と合わせて課税されます。同じ譲渡所得でも、何を売ったかで計算がさらに分かれます。ゴルフ会員権の例はゴルフ会員権を売ったときの税金で整理しています。
一時所得。懸賞の賞金や生命保険の一時金
一時所得は、利子所得から譲渡所得までのいずれの所得にも該当せず、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外のもので、労務その他の役務の対価としての性質や資産の譲渡による対価としての性質を有しない一時の所得です。No.1300は例として、懸賞や福引の賞金品、競馬や競輪の払戻金、生命保険の一時金や損害保険の満期返戻金、法人から贈与された金品を挙げています。
国税庁 タックスアンサー No.1300「所得の区分のあらまし」
一時所得とは、上記利子所得から譲渡所得までのいずれの所得にも該当しないもので、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外のものであって、労務その他の役務の対価としての性質や資産の譲渡による対価としての性質を有しない一時の所得をいいます。
キーワードは「継続的でない」「働いた対価でない」「物を売った対価でない」の3つです。満期保険金や解約返戻金を一時金で受け取ったときが、一般の方にとって最も身近な一時所得です。同じ保険でも、年金形式で受け取ると次の雑所得になります。なお、No.1300はこれらの所得でも一時所得に該当しない場合があるとし、コード1490「一時所得」を案内しています。満期保険金の扱いは満期保険金・解約返戻金の税金で整理しています。
雑所得。年金・副業・個人年金
雑所得は、利子所得から一時所得までの所得のいずれにも該当しない所得です。No.1300は例として、公的年金等、非営業用貸金の利子、副業に係る所得(原稿料やシェアリングエコノミーに係る所得など)、生命保険契約等に基づく年金を挙げています。
年金受給者と会社員の副業が、ここに集まります。国民年金や厚生年金は「公的年金等」として雑所得、会社員がフリマアプリや配信、原稿料で得た副収入も雑所得です。そして、ご自身で掛けてきた個人年金保険から受け取る年金も「生命保険契約等に基づく年金」として雑所得になります。個人年金の課税関係は個人年金の税金で整理しています。
雑所得は、他の9つに当たらないものの受け皿ですから、中身は多様です。公的年金等、業務に係るもの、その他の3つに分けて計算します。その分け方は雑所得の3区分で確認してください。
よくある質問
所得税の所得はいくつに分かれていますか
所得税法では、その性質によって所得を10種類に区分しています。国税庁のタックスアンサーNo.1300は、利子所得から雑所得までの10種類を順に定義しています。区分が決まると、その所得に応じた計算方法が決まります。→ 本文で読む
所得の10種類にはどのようなものがありますか
10種類の所得は、No.1300の定義をもとにまとめると次の表のとおりです。利子・配当・不動産・事業・給与・退職・山林・譲渡・一時の9つに当たらないものが、最後の雑所得になります。→ 本文で読む
アパートの家賃は事業所得ですか不動産所得ですか
不動産所得は、土地や建物などの不動産、借地権など不動産の上に存する権利、船舶や航空機の貸付けによる所得です。事業所得は、農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業その他の事業から生ずる所得です。不動産の貸付けは、事業として行っていても原則として不動産所得になります。→ 本文で読む
商品を売った所得は譲渡所得になりますか
譲渡所得は、土地、建物、ゴルフ会員権などの資産を譲渡することによって生ずる所得と、建物などの所有を目的とする地上権などの設定による所得で一定のものです。ただし、事業用の商品などの棚卸資産、山林、減価償却資産のうち一定のものなどを譲渡した所得は、譲渡所得になりません。→ 本文で読む
一時所得にはどのようなものがありますか
一時所得は、利子所得から譲渡所得までのいずれの所得にも該当せず、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外のもので、労務その他の役務の対価としての性質や資産の譲渡による対価としての性質を有しない一時の所得です。No.1300は例として、懸賞や福引の賞金品、競馬や競輪の払戻金、生命保険の一時金や損害保険の満期返戻金、法人から贈与された金品を挙げています。→ 本文で読む
年金や副業の収入は何所得ですか
雑所得は、利子所得から一時所得までの所得のいずれにも該当しない所得です。No.1300は例として、公的年金等、非営業用貸金の利子、副業に係る所得(原稿料やシェアリングエコノミーに係る所得など)、生命保険契約等に基づく年金を挙げています。→ 本文で読む
出典
- 国税庁「No.1300 所得の区分のあらまし」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1300.htm
この記事は、記載時点で公表されている法令・通達・国税庁の資料にもとづいて書いています。制度は改正されることがあり、また個別の事情によって取扱いは変わります。実際のご判断にあたっては、税理士にご相談いただくか、所轄の税務署にお確かめください。当事務所は本記事の情報を用いて行われた判断について責任を負いかねます。
収入の種類が増えた年は、まず区分から確かめてください。
副業・年金・保険の一時金・資産の売却など、給与以外の収入があるときは、どの所得になるかで申告の要否と計算が変わります。収入の資料をお持ちいただければ、区分ごとに整理して申告が必要かどうかを確認します。ふじみ野市とその近隣の方は訪問でのご相談も承ります。初回30分は無料です。
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