申告
収入金額はいつの年に計上するか。
入金がまだでも「収入すべき権利の確定した金額」がその年の収入です
年末に納品した仕事の代金が、翌年になってから振り込まれた。この売上は今年の収入か、来年の収入か。一人親方やフリーランスの方から毎年いただくご質問です。
答えを先に書くと、お金を受け取った年ではなく、「収入すべき権利の確定した年」の収入です。納品や引渡しが終わって代金を請求できる状態になっていれば、入金前でもその年の収入に計上します。
それだけでなく、自分で使った商品や、受け取った保険金・補償金も収入に入ります。国税庁のタックスアンサーNo.2200で、収入金額に何が含まれ、いつ計上するのかを確認していきます。
この記事の要点
所得税の収入金額は、年末までにお金を受け取っていなくても「収入すべき権利の確定した金額」で計上します。12月20日に商品を売って翌年1月10日に代金を受け取れば、売った年の収入です。物や権利、経済的利益も収入に含まれ、商品の自家消費や贈与は通常の販売価額で収入になります。保険金・補償金・雑収入・仕入割引も収入金額です。小規模事業者は現金主義を選択できます。国税庁タックスアンサーNo.2200をもとに整理しました。
先に見ておくと分かりやすいもの
収入すべき権利の確定した金額がその年の収入
答えを先に書くと、その年の収入金額は、年末までに現実にお金を受け取っていなくても「収入すべき権利の確定した金額」です。国税庁のタックスアンサーNo.2200は、次のように整理しています。
国税庁 タックスアンサー No.2200「収入金額とその計算」
その年において収入すべき金額は、年末までに現実に金銭等を受領していなくとも、「収入すべき権利の確定した金額」になります。したがって、実際に金銭等を受領したか否か、また、代金を請求したか否かは関係がありません。
ここで大事なのは最後の一文です。お金を受け取ったかどうかだけでなく、請求書を出したかどうかも関係ありません。納品や引渡しが終わって代金を受け取る権利が固まっていれば、請求書を翌年に出しても、その年の収入です。
では、権利が確定する時期はいつか。No.2200は、収入すべき時期をいつとするかは、それぞれの取引の内容、性質、契約の取決め、慣習などによって判定する、としています。物を売る商売なら引渡しの日、工事なら完成して引き渡した日、というように、取引ごとに見ていきます。
12月20日に売って1月10日に入金なら、売った年の収入
No.2200は具体例を挙げています。その年の12月20日に商品を売って、その代金を年を越して翌年1月10日に受け取った場合は、商品を売ったその年の収入になる、というものです。
| できごと | 日付 | 収入になる年 |
|---|---|---|
| 商品を売った(引き渡した) | その年の12月20日 | その年の収入 |
| 代金を受け取った | 翌年1月10日 | 収入の計上時期には関係しない |
通帳を見ると翌年の入金なので、翌年の売上に入れてしまいがちです。しかし正しくは売った年の売上で、年末時点では売掛金として残ります。翌年の入金は売掛金の回収であって、翌年の売上ではありません。通帳の入金だけで売上を集計すると、年をまたぐ取引がずれてしまうので、年末に終えた仕事を洗い出してください。不動産の家賃についても同じ考え方で、家賃はいつの収入かで整理しています。
金銭以外の物・権利・経済的利益も収入金額
収入金額は現金や振込だけではありません。No.2200は、各種所得の収入金額には、金銭による収入だけでなく、物または権利等を取得する時における価額や、経済的利益を享受する時における価額も含まれる、としています。
代金の代わりに物をもらった、サービスの対価として何かを無償で使わせてもらった、という場合も、そのときの価額で収入に計上します。お金の形をしていないからといって、収入から外れるわけではありません。
商品を自分で使ったり贈与したりしたら通常の販売価額で収入
売り物の商品を自分の家で使った、知人にただであげた。この場合も収入になります。No.2200は、商品を自家用に消費した場合や贈与した場合には、その商品の販売があったものとして取り扱われ、その収入金額は原則としてその商品の通常の販売価額である、としています。
仕入れた商品は必要経費(売上原価)に入っているので、自分で使った分を収入に入れないと、経費だけが残って所得が少なくなってしまいます。それを防ぐための取扱いです。飲食店の食材、小売店の商品、建設業の資材など、事業用に仕入れたものを私用に回したときは、売ったものとして扱うと覚えてください。
保険金・補償金・雑収入・仕入割引も収入金額
本業の売上以外にも、収入金額に含めなければならないものがあります。No.2200が挙げているものをまとめます。
| 収入金額に含めるもの | 例 |
|---|---|
| 保険金・損害賠償金 | 商品について災害や盗難などで損害を受けた際に受け取る保険金や、損害賠償金 |
| 補償金 | 公共事業などの施工による休業などの補償として受け取る補償金 |
| 雑収入 | 空箱や作業くずの売却代金など |
| 仕入割引 | 仕入代金を早く払ったことなどで受ける割引 |
商品が被害を受けたときの保険金は、失った商品の代わりに受け取るものですから収入金額です。空箱や作業くず、端材の売却代金も、金額が小さくても収入に入れます。経費側の考え方は副業の必要経費で整理していますが、経費が「債務の確定した年」で数えるのと対になって、収入は「権利の確定した年」で数えます。
小規模事業者は現金主義を選択できる
ここまでの「権利が確定した年」の考え方には、例外があります。No.2200は、青色申告者や雑所得を生ずべき業務を行う者で、一定の条件に当てはまる小規模事業者等については、収入や費用の計上時期を現金の出し入れを基準とする「現金主義」によることを選択できる、としています。
現金主義を選べば、入金した年の収入、支払った年の経費として計上できるので、売掛金や買掛金の管理が要りません。ただし、青色申告者は届出書を提出する必要があります。誰でも選べるわけではなく、一定の条件に当てはまる小規模な方に限られますので、選ぶ前に確かめてください。青色申告の手続は青色申告の始め方で整理しています。
よくある質問
年末に納品して入金が翌年になった売上はどちらの年の収入ですか
答えを先に書くと、その年の収入金額は、年末までに現実にお金を受け取っていなくても 「収入すべき権利の確定した金額」 です。国税庁のタックスアンサーNo.2200は、次のように整理しています。→ 本文で読む
請求書を出していない売上も収入に入れますか
No.2200は具体例を挙げています。その年の12月20日に商品を売って、その代金を年を越して翌年1月10日に受け取った場合は、商品を売ったその年の収入になる、というものです。 通帳を見ると翌年の入金なので、翌年の売上に入れてしまいがちです。しかし正しくは 売った年の売上 で、年末時点では売掛金として残ります。翌年の入金は売掛金の回収であって、翌年の売上ではありません。 通帳の入金だけで売上を集計すると、年をまたぐ取引がずれてしまう ので、年末に終えた仕事を洗い出してください。不動産の家賃についても同じ考え方で、 家賃はいつの収入か で整理しています。→ 本文で読む
お金以外で受け取った対価も収入になりますか
収入金額は現金や振込だけではありません。No.2200は、各種所得の収入金額には、金銭による収入だけでなく、物または権利等を取得する時における価額や、経済的利益を享受する時における価額も含まれる、としています。→ 本文で読む
商品を自分で使った場合も収入に入れますか
売り物の商品を自分の家で使った、知人にただであげた。この場合も収入になります。No.2200は、商品を自家用に消費した場合や贈与した場合には、その商品の販売があったものとして取り扱われ、その収入金額は原則としてその商品の通常の販売価額である、としています。→ 本文で読む
商品の損害で受け取った保険金は収入になりますか
本業の売上以外にも、収入金額に含めなければならないものがあります。No.2200が挙げているものをまとめます。 商品が被害を受けたときの保険金は、失った商品の代わりに受け取るものですから収入金額です。 空箱や作業くず、端材の売却代金も、金額が小さくても収入 に入れます。経費側の考え方は 副業の必要経費 で整理していますが、経費が「債務の確定した年」で数えるのと対になって、収入は「権利の確定した年」で数えます。→ 本文で読む
入金した年の収入として申告する方法はありますか
ここまでの「権利が確定した年」の考え方には、例外があります。No.2200は、青色申告者や雑所得を生ずべき業務を行う者で、一定の条件に当てはまる小規模事業者等については、収入や費用の計上時期を現金の出し入れを基準とする「現金主義」によることを選択できる、としています。→ 本文で読む
出典
- 国税庁「No.2200 収入金額とその計算」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2200.htm
この記事は、記載時点で公表されている法令・通達・国税庁の資料にもとづいて書いています。制度は改正されることがあり、また個別の事情によって取扱いは変わります。実際のご判断にあたっては、税理士にご相談いただくか、所轄の税務署にお確かめください。当事務所は本記事の情報を用いて行われた判断について責任を負いかねます。
年末に終えた仕事は、入金がなくても売上帳に書いてください。
確定申告の売上は、通帳の入金ではなく、その年に引渡しや納品が終わった仕事で数えます。年末の仕事の代金が翌年に入る場合は売掛金として計上し、翌年の入金と二重に数えないようにします。現金主義を選べる方は届出が要ります。ふじみ野市とその近隣の方は訪問でのご相談も承ります。初回30分は無料です。
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