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課税される所得と非課税所得。
所得は10種類、すべて課税が原則。例外が非課税所得です

「これは申告しなくてよい収入ですか」というご質問に、「原則としてすべての所得に課税されます」とお答えすると驚かれることがあります。

答えを先に書くと、所得税は個人が得たすべての所得に課税するのが原則で、法律で非課税と決められたもの(非課税所得)だけが例外です。雑所得が「他のどれにも当たらない所得」の受け皿になっているため、抜け道がない構造になっています。

非課税所得には、通勤手当や遺族年金、慰謝料、相続で受け取った財産などがあります。国税庁のタックスアンサーNo.2011で、何が非課税なのかを確かめていきます。

公開 最終更新

この記事の要点

所得税法は所得を利子・配当・不動産・事業・給与・退職・山林・譲渡・一時・雑の10種類に分け、雑所得は「他のいずれにも該当しない所得」なので、個人が得た所得はすべて課税されるのが原則です。例外が非課税所得で、限度額内の通勤手当、遺族年金、NISA口座の配当・譲渡益、相続・贈与で取得した財産、慰謝料などがあります。手続は不要で、損失はなかったものとみなされます。国税庁タックスアンサーNo.2011をもとに整理しました。

先に見ておくと分かりやすいもの

収入と所得は違う。所得は「もうけ」

税法では「収入」と「所得」を区別します。国税庁のタックスアンサーNo.2011は、収入から必要経費を差し引いたもの、つまり「もうけ」のことを「所得」と呼んでいる、としています。日常では同じ意味で使われがちですが、税金がかかるのは収入ではなく所得です。

国税庁 タックスアンサー No.2011「課税される所得と非課税所得」

「収入」と「所得」という言葉は同じ意味のように使われることがありますが、税法上、収入から必要経費を差し引いたもの、つまり「もうけ」のことを「所得」と呼んでいます。

売上が大きくても経費を引いた残りが小さければ所得は小さく、給与のように経費がない収入でも給与所得控除という形で差し引く仕組みがあります。「収入がいくらか」ではなく「所得がいくらか」で税金を考えるのが出発点です。

所得は10種類。雑所得が受け皿なので原則すべて課税

所得税法は、所得を10種類に分けています。No.2011は、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得、一時所得および雑所得の10種類に分類して、それぞれの所得の内容と計算方法を定めている、としています。

所得の種類例
利子所得・配当所得預貯金の利子、株式の配当
不動産所得土地や建物の貸付け
事業所得商売・農業・自由業
給与所得・退職所得給料・賞与、退職金
山林所得・譲渡所得山林の売却、資産の売却
一時所得懸賞の賞金、満期保険金など一時的なもの
雑所得他の所得のいずれにも該当しない所得

大事なのは最後の雑所得です。No.2011は、雑所得とは「他の所得のいずれにも該当しない所得」をいうから、所得税は個人が得たすべての所得に対して課税されるというのが原則だ、としています。どの箱にも入らないものは雑所得の箱に入る。だから、課税されない所得は原則としてないという構造です。雑所得の中身は雑所得の3区分で整理しています。

非課税所得とは。手続は不要、損失はなかったものとみなす

すべての所得に課税するという原則の例外が非課税所得です。No.2011は、所得の中には社会政策その他の見地から所得税を課さないものがあり、これを非課税所得という、としています。所得税法および租税特別措置法のほか、他の法律にも規定されています。

国税庁 タックスアンサー No.2011「課税される所得と非課税所得」

非課税所得は、所得金額の計算から除かれますから、非課税の適用を受けるための手続は原則として必要ありません。

非課税所得には2つの性質があります。ひとつは、非課税の適用を受けるための手続が原則として要らないこと。申告書に書く必要も、届出を出す必要もありません。もうひとつは、非課税所得について損失が生じても、その損失はなかったものとみなされることです。非課税の側で損をしても、課税される所得から差し引くことはできません。

非課税所得の主なもの(一覧)

No.2011は、所得税法および租税特別措置法による主な非課税所得を、区分ごとに一覧にしています。読者の方に関わりの深いものを中心に、区分ごとにまとめます。

区分主な非課税所得
利子・配当所得関係障害者等の少額預金の利子等/勤労者財産形成住宅貯蓄・年金貯蓄の利子等/納税準備預金の利子/オープン型証券投資信託の特別分配金/非課税口座内・未成年者口座内の少額上場株式等に係る配当等(NISA、ジュニアNISA)
給与所得・公的年金関係傷病者や遺族などの受け取る恩給、年金等/給与所得者に支給される一定の旅費、限度額内の通勤手当、職務の遂行上必要な現物給与/国外で勤務する者の受ける一定の在外手当/外国政府職員等が受ける給与所得/文化功労者年金法の規定による年金等/税制適格ストック・オプションの行使による経済的利益
譲渡(山林)所得関係生活に通常必要な動産の譲渡による所得/資力喪失の場合の強制換価手続による譲渡による所得等/非課税口座内・未成年者口座内の少額上場株式等に係る譲渡所得等(NISA、ジュニアNISA)/国や地方公共団体等に財産を寄附した場合の譲渡所得等
その他内廷費および皇族費/オリンピック・パラリンピックで優秀な成績を収めた者に交付される金品/学資金および扶養義務を履行するために給付される金品/国または地方公共団体が行う保育・子育て助成事業による給付金品/相続、遺贈または個人からの贈与により取得するもの/心身に加えられた損害または突発的な事故により資産に加えられた損害に基づいて取得する保険金、損害賠償金、慰謝料など/公職の候補者が選挙運動に関し取得する金銭等/消費税率の引上げに際して低所得者に配慮する観点から支払われる一定の給付金

会社員の方に身近なのは限度額内の通勤手当とNISA口座の配当・譲渡益、ご家庭では遺族年金、相続や贈与で取得した財産、事故の慰謝料や損害賠償金、学資金あたりでしょう。相続や贈与で取得した財産は所得税では非課税ですが、相続税や贈与税の対象になります。所得税がかからないから何の税金もかからない、という意味ではありません。

非課税所得で迷いやすいところ

非課税所得の一覧には「一定の」「限度額内の」という言葉がついているものがあります。通勤手当は「限度額内」、旅費は「一定の」ものだけが非課税です。限度を超えた部分は給与所得として課税されます。通勤手当の限度は通勤手当の非課税限度額で整理しています。

保険金も注意が要ります。非課税になるのは、心身に加えられた損害または突発的な事故により資産に加えられた損害に基づいて取得する保険金、損害賠償金、慰謝料などです。同じ「保険金」でも、満期保険金や死亡保険金は、誰が保険料を払ったかによって一時所得・相続税・贈与税のいずれかの対象になります。この違いは死亡保険金は所得税・相続税・贈与税のどれかで整理しています。

生活に通常必要な動産の譲渡による所得も非課税ですが、これは家具や衣服など日常生活に使う動産を売った場合の話です。事業として仕入れて売っているものや、投資として持っている資産は、ここには入りません。フリマアプリでの売却が非課税か課税かで迷ったら、何を売ったのかを一つずつ分けて考えてください。

よくある質問

収入と所得はどう違いますか

税法では「収入」と「所得」を区別します。国税庁のタックスアンサーNo.2011は、収入から必要経費を差し引いたもの、つまり「もうけ」のことを「所得」と呼んでいる、としています。日常では同じ意味で使われがちですが、税金がかかるのは収入ではなく所得です。→ 本文で読む

所得の種類はいくつありますか

所得税法は、所得を10種類に分けています。No.2011は、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得、一時所得および雑所得の10種類に分類して、それぞれの所得の内容と計算方法を定めている、としています。→ 本文で読む

非課税所得を受けるのに手続は必要ですか

すべての所得に課税するという原則の例外が非課税所得です。No.2011は、所得の中には社会政策その他の見地から所得税を課さないものがあり、これを非課税所得という、としています。所得税法および租税特別措置法のほか、他の法律にも規定されています。→ 本文で読む

非課税所得にはどのようなものがありますか

No.2011は、所得税法および租税特別措置法による主な非課税所得を、区分ごとに一覧にしています。読者の方に関わりの深いものを中心に、区分ごとにまとめます。 会社員の方に身近なのは 限度額内の通勤手当 と NISA口座の配当・譲渡益 、ご家庭では 遺族年金 、 相続や贈与で取得した財産 、 事故の慰謝料や損害賠償金 、 学資金 あたりでしょう。 相続や贈与で取得した財産は所得税では非課税ですが、相続税や贈与税の対象になります。 所得税がかからないから何の税金もかからない、という意味ではありません。→ 本文で読む

保険金や通勤手当はすべて非課税ですか

非課税所得の一覧には「一定の」「限度額内の」という言葉がついているものがあります。通勤手当は「限度額内」、旅費は「一定の」ものだけが非課税です。限度を超えた部分は給与所得として課税されます。通勤手当の限度は 通勤手当の非課税限度額 で整理しています。→ 本文で読む

出典

  1. 国税庁「No.2011 課税される所得と非課税所得」
    https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2011.htm

この記事は、記載時点で公表されている法令・通達・国税庁の資料にもとづいて書いています。制度は改正されることがあり、また個別の事情によって取扱いは変わります。実際のご判断にあたっては、税理士にご相談いただくか、所轄の税務署にお確かめください。当事務所は本記事の情報を用いて行われた判断について責任を負いかねます。

「これは非課税では」と思った収入こそ、根拠を確かめてください。

非課税所得は法律に列挙されたものだけで、それ以外は何かの所得に当たります。通勤手当のように限度額があるもの、保険金のように受け取った事情で扱いが分かれるものは、資料を見て判定します。申告の要否を判断する前に、収入を一つずつ分けていきます。ふじみ野市とその近隣の方は訪問でのご相談も承ります。初回30分は無料です。