申告
総合課税とは。
8種類の所得を合計してから所得控除を引き、税率をかける
確定申告書を見ると、所得の欄がいくつも並んでいます。給与、不動産、事業、雑所得。これらはいったん合計してから税率をかけるのが基本です。
答えを先に書くと、総合課税とは、各種の所得金額を合計して所得税額を計算する制度で、所得税の原則の形です。合計するので、所得が増えるほど高い税率が当たります。
ただし、すべての所得が合計されるわけではありません。土地や株を売った所得、預金の利息などは別枠です。国税庁のタックスアンサーNo.2220とNo.2240で、何が合計され、何が分けられるのかを確認します。
この記事の要点
総合課税制度とは、各種の所得金額を合計して所得税額を計算する仕組みで、所得税の原則です。対象は利子・配当・不動産・事業・給与・譲渡・一時・雑所得の8つですが、源泉分離課税とされるもの、土地建物と株式の譲渡、申告分離課税を選択した上場株式等の配当などは除かれます。合計した総所得金額から所得控除を引き、残額に税率を乗じます。申告分離課税との違いも整理します。国税庁タックスアンサーNo.2220・No.2240をもとに整理しました。
先に見ておくと分かりやすいもの
総合課税とは。各種の所得を合計して税額を計算する
総合課税制度とは、各種の所得金額を合計して所得税額を計算する仕組みです。国税庁のタックスアンサーNo.2220はこの一文で定義しています。所得税は所得を10種類に区分しますが、その多くをひとまとめにして税率をかける、というのが総合課税です。
国税庁 タックスアンサー No.2220「総合課税制度」
総合課税制度とは、各種の所得金額を合計して所得税額を計算するというものです。
国税庁のタックスアンサーNo.2240は、所得税は各種の所得金額を合計し総所得金額を求め、これについて税額を計算して確定申告によりその税金を納める総合課税が原則である、としています。分けて計算する所得は、あくまで例外として法律で決められたものです。
総合課税の対象になる所得は8つ
No.2220は、総合課税の対象となる所得を8つ挙げています。給与をもらう、家を貸す、副業をする、といった日常の所得はほぼここに入ります。
| 総合課税の対象となる所得 | 身近な例 | |
|---|---|---|
| (1) | 利子所得 | (源泉分離課税とされるものなどを除く) |
| (2) | 配当所得 | 株式の配当(申告分離課税を選択したものなどを除く) |
| (3) | 不動産所得 | アパート・駐車場の賃料 |
| (4) | 事業所得 | 個人事業の利益 |
| (5) | 給与所得 | 会社からの給与・賞与 |
| (6) | 譲渡所得 | 車・ゴルフ会員権・金地金などの売却(土地建物・株式を除く) |
| (7) | 一時所得 | 満期保険金、懸賞の賞金 |
| (8) | 雑所得 | 公的年金、副業の収入 |
所得は全部で10種類ですが、退職所得と山林所得は総合課税の表にありません。No.2240は、この2つを申告分離課税の例として挙げています。8つの所得を合計し、赤字が出た所得があれば一定の範囲で黒字と通算する、というのが総合課税の内側の話です。通算できる所得は損益通算できる4つの所得で整理しています。
8つの中でも除かれるもの。源泉分離・土地建物・株式
表の8つの所得の中にも、総合課税から外れるものがあります。No.2220の括弧書きをまとめると、除かれるのは次のものです。
- 利子所得のうち、源泉分離課税とされるもの、平成28年1月1日以後に支払を受けるべき特定公社債等の利子等
- 配当所得のうち、源泉分離課税とされるもの、確定申告をしないことを選択したもの、平成28年1月1日以後に支払を受けるべき特定上場株式等の配当等で申告分離課税を選択したもの
- 事業所得・雑所得のうち、株式等の譲渡によるもの
- 譲渡所得のうち、土地・建物等および株式等の譲渡によるもの
- 一時所得・雑所得のうち、源泉分離課税とされるもの
- 一定の先物取引による事業所得、譲渡所得、雑所得(申告分離課税)
まとめると、預金の利息、土地・建物の売却、株式の売却、先物取引は、総合課税の外側です。「譲渡所得」という同じ名前でも、車を売れば総合課税、土地を売れば分離課税というように、中身で分かれます。源泉分離課税の代表例は金融類似商品の税金で確認できます。
計算の順序。合計→所得控除→税率
総合課税の計算は3段階です。No.2220は、対象となる所得の(1)から(8)までの所得の金額を一定の方法により合計した総所得金額から、所得控除の合計額を控除し、その残額に税率を乗じて税額を計算する、としています。
国税庁 タックスアンサー No.2220「総合課税制度」
上記の「対象となる所得」の(1)から(8)までの所得の金額を一定の方法により合計した総所得金額から、所得控除の合計額を控除し、その残額に税率を乗じて税額を計算します。
ここで大事なのは、税率は合計したあとの金額に当たるという点です。給与だけなら低い税率で済んでいた人が、不動産所得や副業の雑所得を足すと、その足した部分には高い税率が当たります。副業や賃貸を始めた年に「思ったより税金が増えた」と感じる理由はここにあります。税率の段階は所得税の税率は7段階で整理しています。
申告分離課税との違い。分けて計算し、申告で納める
総合課税の外側にある所得は、申告分離課税か源泉分離課税のどちらかです。No.2240は、一定の所得については、他の所得金額と合計せず、分離して税額を計算し、確定申告によりその税額を納める、これが申告分離課税制度である、としています。
| 制度 | 他の所得と合計するか | 確定申告するか |
|---|---|---|
| 総合課税 | 合計する | する |
| 申告分離課税 | 合計しない | する |
| 源泉分離課税 | 合計しない | しない(源泉徴収で完結) |
No.2240は、申告分離課税の例として、退職所得、山林所得、土地建物等の譲渡による譲渡所得、株式等の譲渡所得等、平成28年1月1日以後に支払を受けるべき特定公社債等の利子等に係る利子所得、一定の先物取引による雑所得等を挙げています。分離課税の所得は、ほかの所得がいくらあっても税率が変わらないのが総合課税との実務上の違いです。
上場株式等の配当は総合課税と申告分離課税を選べる
ほとんどの所得はどちらの枠に入るかが決まっていますが、選べるものがあります。No.2240は、平成28年1月1日以後に支払を受けるべき特定上場株式等の配当等に係る配当所得については、総合課税に代えて、申告分離課税を選択することができる、としています。
総合課税を選べば配当控除が使えますが、ほかの所得と合計されるので税率は所得の大きさで変わります。申告分離課税を選べば税率は固定ですが、配当控除は使えません。どちらが有利かは、その人の所得の大きさで変わります。また、確定申告をしないことを選択した配当は、総合課税の対象からも外れます。上場株式の配当を受け取っている方は、申告の前にこの選択を確かめてください。
よくある質問
総合課税とは何ですか
総合課税制度とは、 各種の所得金額を合計して所得税額を計算する 仕組みです。国税庁のタックスアンサーNo.2220はこの一文で定義しています。所得税は所得を10種類に区分しますが、その多くをひとまとめにして税率をかける、というのが総合課税です。→ 本文で読む
総合課税の対象になる所得は何ですか
No.2220は、総合課税の対象となる所得を8つ挙げています。給与をもらう、家を貸す、副業をする、といった日常の所得はほぼここに入ります。 所得は全部で10種類ですが、退職所得と山林所得は総合課税の表にありません。No.2240は、この2つを申告分離課税の例として挙げています。 8つの所得を合計し、赤字が出た所得があれば一定の範囲で黒字と通算する 、というのが総合課税の内側の話です。通算できる所得は 損益通算できる4つの所得 で整理しています。→ 本文で読む
土地や株を売った所得は総合課税ですか
表の8つの所得の中にも、総合課税から外れるものがあります。No.2220の括弧書きをまとめると、除かれるのは次のものです。 まとめると、 預金の利息、土地・建物の売却、株式の売却、先物取引 は、総合課税の外側です。 「譲渡所得」という同じ名前でも、車を売れば総合課税、土地を売れば分離課税 というように、中身で分かれます。源泉分離課税の代表例は 金融類似商品の税金 で確認できます。→ 本文で読む
総合課税の税額はどのように計算しますか
総合課税の計算は3段階です。No.2220は、対象となる所得の(1)から(8)までの所得の金額を一定の方法により合計した 総所得金額 から、 所得控除の合計額 を控除し、その残額に 税率 を乗じて税額を計算する、としています。→ 本文で読む
総合課税と申告分離課税は何が違いますか
総合課税の外側にある所得は、申告分離課税か源泉分離課税のどちらかです。No.2240は、一定の所得については、他の所得金額と合計せず、分離して税額を計算し、確定申告によりその税額を納める、これが申告分離課税制度である、としています。→ 本文で読む
株の配当は総合課税と分離課税のどちらになりますか
ほとんどの所得はどちらの枠に入るかが決まっていますが、選べるものがあります。No.2240は、平成28年1月1日以後に支払を受けるべき特定上場株式等の配当等に係る配当所得については、 総合課税に代えて、申告分離課税を選択することができる 、としています。→ 本文で読む
出典
- 国税庁「No.2220 総合課税制度」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2220.htm - 国税庁「No.2240 申告分離課税制度」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2240.htm
この記事は、記載時点で公表されている法令・通達・国税庁の資料にもとづいて書いています。制度は改正されることがあり、また個別の事情によって取扱いは変わります。実際のご判断にあたっては、税理士にご相談いただくか、所轄の税務署にお確かめください。当事務所は本記事の情報を用いて行われた判断について責任を負いかねます。
所得の種類が増えた年は、合計されるものと分けるものを整理してください。
副業の雑所得や不動産所得は給与と合計され、株や不動産の売却は分けて計算します。どこに入るかで税率も、使える控除も変わります。源泉徴収票、支払調書、年間取引報告書をお持ちいただければ、どの所得がどの枠に入るかを一緒に確かめます。ふじみ野市とその近隣の方は訪問でのご相談も承ります。初回30分は無料です。
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