経費
固定資産税・不動産取得税・登録免許税は必要経費になります。
登録免許税だけは資産の種類で3つに分かれます
アパートを買った年は、不動産取得税や登録免許税の請求が届き、「これは経費でよいのか、建物の値段に入れるのか」と迷いやすいところです。
答えを先に書くと、業務用の資産に係る固定資産税・不動産取得税・登録免許税などは、原則としてその年の必要経費になります。ただし登録免許税だけは、資産の種類によって取得価額に入れるものと、どちらかを選べるものがあります。
また、いつの年の経費にするかにも決まりがあり、固定資産税は納期ごとに分けて経費にする方法も認められています。国税庁のタックスアンサーNo.2215で確かめていきます。
この記事の要点
業務用の資産に係る固定資産税、登録免許税、不動産取得税、自動車税など8つの税金は必要経費になります。ただし登録免許税は、特許権など登録により権利が発生する資産では取得価額に算入し、船舶・自動車など登録が必要な資産では必要経費か取得価額かを選べます。相続した賃貸マンションの登録免許税・不動産取得税も必要経費です。経費にする年は原則として納付すべきことが確定した年です。国税庁タックスアンサーNo.2215をもとに整理しました。
先に見ておくと分かりやすいもの
- 関連不動産所得の計算
- ご案内賃貸オーナーの確定申告
業務用資産に係る8つの税金は必要経費
業務に使っている資産にかかる税金は、原則としてその所得の必要経費になります。国税庁のタックスアンサーNo.2215は、業務の用に供される資産に係る次のような租税は、各種所得の金額の計算上必要経費に算入される、として8つを挙げています。
| 必要経費に算入される租税 | |
|---|---|
| (1) | 固定資産税 |
| (2) | 登録免許税 |
| (3) | 不動産取得税 |
| (4) | 地価税 |
| (5) | 特別土地保有税 |
| (6) | 事業所税 |
| (7) | 自動車取得税 |
| (8) | 自動車税 |
賃貸アパートのオーナーなら固定資産税、購入した年の不動産取得税と登録免許税、事業で使う車の自動車税が該当します。「業務の用に供される資産に係る」ものに限られるので、自宅の固定資産税や自家用車の自動車税は入りません。不動産所得の経費の全体像は不動産所得の計算で整理しています。
登録免許税の3つの取扱い。資産の種類で変わる
登録免許税だけは、減価償却資産の種類によって扱いが3つに分かれます。No.2215は、上の「概要」と異なる取扱いとして次の2つを定めていて、それ以外の資産は原則どおり必要経費です。
| 資産の種類 | 不動産取得税・自動車取得税・固定資産税・事業所税 等 | 登録免許税 |
|---|---|---|
| 非減価償却資産および下記以外の減価償却資産(土地、建物等) | 必要経費に算入 | 必要経費に算入 |
| 登録により権利が発生する資産(特許権、鉱業権等) | 必要経費に算入 | 取得価額に算入 |
| 業務の用に供する際に登録が必要な資産(船舶、航空機、自動車等) | 必要経費に算入 | 必要経費に算入するか取得価額に算入するかいずれかを選択 |
まず、特許権や鉱業権のように登録により権利が発生する資産の登録免許税は、その資産の取得価額に算入しなければなりません。登録しなければ権利そのものが生まれないので、登録の費用は資産の値段の一部という考え方です。
次に、船舶、航空機、自動車のように業務の用に供するために登録が必要な資産の登録免許税は、取得価額に算入するか、その年の必要経費に算入するか、いずれかを選択できます。土地や建物の登録免許税はこのどちらでもなく、原則どおり必要経費です。不動産の登記費用のうち登録免許税の部分は、支払った年の経費に入れられます。取得価額に入れたものは減価償却で経費になっていきます。耐用年数の考え方は中古マンション・アパートの耐用年数をご覧ください。
相続で引き継いだ賃貸マンションの登録免許税・不動産取得税も必要経費
相続や贈与で取得した資産にかかった税金も、同じ扱いです。No.2215は、上の資産には相続、遺贈または贈与により取得した資産も含まれる、としています。
国税庁 タックスアンサー No.2215「固定資産税、登録免許税又は不動産取得税を支払った場合」
したがって、例えばマンション賃貸業を営んでいた事業主が死亡して相続人が事業を引き継ぐ場合に、その賃貸マンションの相続に際して支払った登録免許税や不動産取得税等は必要経費に算入されます。
親が営んでいた賃貸業を相続で引き継いだ場合、相続登記の登録免許税は不動産所得の必要経費です。「相続の費用だから相続税の話」と切り離してしまい、所得税の経費に入れ忘れることがあります。この取扱いは、平成17年1月1日以後の相続、遺贈または贈与により取得した資産について適用されます。
必要経費にする年。原則は納付すべきことが確定した年
「いつの年の経費にするか」にも決まりがあります。No.2215は、その年分の必要経費に算入する租税は、原則として、その年12月31日(年の中途で死亡または出国をした場合はそのとき)までに申告や賦課決定等により納付すべきことが具体的に確定したもの、としています。
固定資産税でいえば、市区町村から納税通知書が届いて税額が決まった年が「確定した年」です。実際に納付した日ではなく、納付すべきことが確定した日で判定するのが原則です。まだ納めていない期の分でも、通知書が届いていればその年の経費にできます。
固定資産税は納期ごと・納付した年にもできる
固定資産税のように、賦課課税方式で納期が分割して定められている租税には、原則とは別の方法も認められています。No.2215は、各納期の税額をそれぞれの納期の開始の日の属する年分または実際に納付した日の属する年分の必要経費とすることもできる、としています。
国税庁 タックスアンサー No.2215「固定資産税、登録免許税又は不動産取得税を支払った場合」
例えば、固定資産税の第4期分の税額は、原則として賦課決定を受けた年分の必要経費になりますが、その翌年2月が納期となっていますので、納期の開始の日である翌年分の必要経費とすることもできますし、または実際に納付したその後の年分の必要経費とすることもできます。
つまり、固定資産税は次の3つのどれかで経費にできます。賦課決定を受けた年に全額、各納期の開始の日の属する年に分けて、実際に納付した年に、です。年をまたぐ第4期分をどの年に置くかで、その年の所得が動きます。どの方法を選んでもよいのですが、年によって行ったり来たりすると経費の二重計上や漏れが起きやすいので、一度決めた方法を続けることをおすすめしています。No.2215が根拠として挙げているのは、所法37、所令126、所基通37-5、37-6、49-3、地方税法362です。
よくある質問
固定資産税や不動産取得税は必要経費になりますか
業務に使っている資産にかかる税金は、原則としてその所得の必要経費になります。国税庁のタックスアンサーNo.2215は、業務の用に供される資産に係る次のような租税は、各種所得の金額の計算上必要経費に算入される、として8つを挙げています。→ 本文で読む
登録免許税は必要経費ですか、取得価額ですか
登録免許税だけは、減価償却資産の種類によって扱いが3つに分かれます。No.2215は、上の「概要」と異なる取扱いとして次の2つを定めていて、それ以外の資産は原則どおり必要経費です。→ 本文で読む
相続した賃貸物件の登録免許税や不動産取得税は経費になりますか
相続や贈与で取得した資産にかかった税金も、同じ扱いです。No.2215は、上の資産には相続、遺贈または贈与により取得した資産も含まれる、としています。 親が営んでいた賃貸業を相続で引き継いだ場合、相続登記の登録免許税は不動産所得の必要経費です。 「相続の費用だから相続税の話」と切り離してしまい、所得税の経費に入れ忘れることがあります。 この取扱いは、平成17年1月1日以後の相続、遺贈または贈与により取得した資産について適用されます。→ 本文で読む
固定資産税はいつの年の経費になりますか
「いつの年の経費にするか」にも決まりがあります。No.2215は、その年分の必要経費に算入する租税は、原則として、その年12月31日(年の中途で死亡または出国をした場合はそのとき)までに申告や賦課決定等により納付すべきことが具体的に確定したもの、としています。→ 本文で読む
固定資産税を納期ごとに分けて経費にできますか
固定資産税のように、賦課課税方式で納期が分割して定められている租税には、原則とは別の方法も認められています。No.2215は、各納期の税額をそれぞれの納期の開始の日の属する年分または実際に納付した日の属する年分の必要経費とすることもできる、としています。→ 本文で読む
出典
- 国税庁「No.2215 固定資産税、登録免許税又は不動産取得税を支払った場合」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2215.htm
この記事は、記載時点で公表されている法令・通達・国税庁の資料にもとづいて書いています。制度は改正されることがあり、また個別の事情によって取扱いは変わります。実際のご判断にあたっては、税理士にご相談いただくか、所轄の税務署にお確かめください。当事務所は本記事の情報を用いて行われた判断について責任を負いかねます。
固定資産税の納税通知書と、取得した年の納付書を一式そろえてください。
不動産の税金は、経費に入れる年をどこに置くかで所得が動きます。固定資産税は賦課決定の年でまとめるか、納期ごとに分けるかを決め、毎年同じやり方を続けるのが基本です。相続で引き継いだ物件の登録免許税・不動産取得税を経費に入れ忘れているケースもよく見ます。ふじみ野市とその近隣の方は訪問でのご相談も承ります。初回30分は無料です。
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