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相続

死亡保険金は所得税・相続税・贈与税のどれになるか。
被保険者・保険料の負担者・受取人の3人で決まります

死亡保険金にかかる税金は、相続税だと思われていることが多いのですが、そうとは限りません。

所得税になることもあり、贈与税になることもあります。決めるのは被保険者・保険料の負担者・保険金受取人の3人が誰かという組み合わせだけです。3人の並び方で3通りに分かれます。

同じ保険金でも、税金の種類が変われば計算の仕方も使える枠も変わります。国税庁のタックスアンサーNo.1750で、3通りを並べて確認します。

公開 最終更新

この記事の要点

死亡保険金の税金は、被保険者・保険料の負担者・保険金受取人の3者が誰かで決まります。保険料の負担者と受取人が同じなら所得税、被保険者と保険料の負担者が同じなら相続税、3者がすべて異なれば贈与税です。所得税になる場合は一時金なら一時所得で50万円の特別控除と2分の1があり、年金なら公的年金等以外の雑所得。相続税になる場合は相続または遺贈により取得したものとみなされます。国税庁タックスアンサーNo.1750をもとに整理しました。

先に見ておくと分かりやすいもの

3人の組み合わせで3通りに分かれる

交通事故や病気などで被保険者が死亡し、保険金受取人が死亡保険金を受け取った場合には、被保険者、保険料の負担者および保険金受取人が誰であるかにより、所得税、相続税、贈与税のいずれかの課税の対象になります。No.1750が載せている表が、そのまま結論です。

被保険者保険料の負担者保険金受取人税金の種類
ABB所得税
AAB相続税
ABC贈与税

読み方はこうです。保険料の負担者と受取人が同じなら所得税。被保険者と保険料の負担者が同じなら相続税。3人ともばらばらなら贈与税。見るのは契約者の名義ではなく、実際に保険料を負担していたのが誰かです。引落口座が誰のものかで判断されます。

所得税になる場合:保険料を払った人が受け取る

所得税が課税されるのは、保険料の負担者と保険金受取人とが同一人の場合です。妻が自分のお金で夫を被保険者とする保険に入り、自分が受取人になっていた、という形です。この場合の死亡保険金は、受取の方法により一時所得または雑所得として課税されます。

死亡保険金を一時金で受領した場合には一時所得です。一時所得の金額は、その死亡保険金以外に他の一時所得がないとすれば、受け取った保険金の総額から既に払い込んだ保険料または掛金の額を差し引き、さらに一時所得の特別控除額50万円を差し引いた金額です。課税の対象になるのは、その金額をさらに2分の1にした金額です。

No.1750には、かっこ書きでこう補われています。50万円を差し引く前の金額が50万円より少ない場合は、一時所得は生じません。受け取った額から払った保険料を引いた残りが50万円に届かなければ、所得税の心配はいらないということです。払込期間が長い契約では、この範囲に収まることもあります。

相続税になる場合:被保険者が自分で保険料を払っていた

相続税が課税されるのは、被保険者と保険料の負担者が同一人の場合です。世の中で最も多い形、つまり夫が自分で保険料を払い、亡くなったときに妻や子が受け取るという契約がこれに当たります。

このとき、受取人が被保険者の相続人であるときは相続により取得したものとみなされ、相続人以外の者が受取人であるときは遺贈により取得したものとみなされます。保険金は民法上の相続財産ではありませんが、相続税では取得したものとみなして課税する、という組み立てです。

相続税になる場合には非課税枠があります。No.4114によれば、死亡保険金の受取人が相続人(相続を放棄した人や相続権を失った人は含まれません。)である場合、すべての相続人が受け取った保険金の合計額が「500万円 × 法定相続人の数」で計算した非課税限度額を超えるとき、その超える部分が相続税の課税対象になります。相続人以外の人が取得した死亡保険金には、非課税の適用はありません。この枠の詳しい数え方は別の記事にまとめています。

贈与税になる場合:3人ともばらばら

贈与税が課税されるのは、被保険者、保険料の負担者および保険金の受取人がすべて異なる場合です。父が保険料を払い、母を被保険者とし、子が受取人になっている、というような契約です。

3通りのうち、注意しておきたいのがここです。相続税になる場合には500万円×法定相続人の非課税限度額があり、所得税になる場合には払込保険料を引いたうえで50万円の特別控除と2分の1がありますが、贈与税にはそうした保険金に固有の枠がありません。古い契約でこの形になっているものが残っていることがあります。保険料を負担する人を誰にしているか、受取人を誰にしているかは、契約後に変更されていることもあるので、証券だけでなく引落口座も見てください。

年金で受け取る場合の扱い

死亡保険金を年金で受け取る場合は、3通りのどれに当たるかによって、次のように整理されています。No.1750の記載をそのまま並べます。

税金の種類年金で受け取る場合
所得税公的年金等以外の雑所得。その年中に受け取った年金の額から、その金額に対応する払込保険料または掛金の額を差し引いた金額
相続税その年金を受け取る権利に対して相続税が課税される
贈与税その年金を受け取る権利に対して贈与税が課税される

相続税・贈与税になる場合は、毎年受け取る額ではなく受け取る権利そのものが課税の対象です。そのうえで、毎年支払を受ける年金(公的年金等以外の年金)に係る所得税については、年金の収入金額を非課税部分と課税部分(年金受給権に相当する部分とそれ以外の部分)に振り分けた上で計算します。No.1750は、実際に相続税・贈与税の納税額が生じなかった場合も、上記の方法で計算しますと注記しています。税額が出なかったから所得税のほうも考えなくてよい、ということにはなりません。

年金を受け取る際には、原則として所得税が源泉徴収されます。ただし、平成25年1月1日以後に支払われる生命保険契約等に基づく年金のうち、その年金の支払を受ける人と保険契約者とが異なる契約等で一定のものに基づく年金については、源泉徴収されません。

よくある思い違い

ご相談の場で実際に多いすれ違いを、表の読み方に戻して並べておきます。どれも「誰が」を取り違えているところから起きます。

思い違い表に戻すと
死亡保険金はいつでも相続税相続税になるのは被保険者と保険料の負担者が同じ場合です。3通りのうちの1つにすぎません
契約者の名義で判断する見るのは保険料を実際に負担した人です。名義が妻でも保険料が夫の口座から出ていれば負担者は夫です
受取人が相続人なら必ず非課税枠が使える相続を放棄した人や相続権を失った人は「相続人」に含まれません。相続人以外の受取人には非課税の適用がありません
所得税なら受け取った全額に課税される払った保険料を引き、50万円を引き、さらに2分の1です。差額が50万円より少なければ一時所得は生じません

契約の証券で確かめる3か所

結論を出すのに必要な情報は3つだけです。保険証券と通帳を用意して、次の3か所を見てください。

1つめは被保険者。誰が亡くなったときに支払われる契約か。2つめは保険料の負担者。証券の契約者欄ではなく、保険料が引き落とされていた口座の名義です。3つめは保険金受取人。この3人を書き出して、上の表に当てはめれば税金の種類が決まります。

順番としては、まず2つめの保険料の負担者を確定させるのが早いです。負担者と受取人が同じなら所得税、負担者と被保険者が同じなら相続税、3人ともばらばらなら贈与税、と枝が分かれます。保険料の負担者が誰かを決めないまま先に進むと、3通りのどこにも収まりません。複数の契約がある場合は、契約ごとにこの3点を並べてください。契約によって税金の種類が違うことは、珍しくありません。

よくある質問

死亡保険金にはどの税金がかかりますか

交通事故や病気などで被保険者が死亡し、保険金受取人が死亡保険金を受け取った場合には、 被保険者、保険料の負担者および保険金受取人 が誰であるかにより、所得税、相続税、贈与税のいずれかの課税の対象になります。No.1750が載せている表が、そのまま結論です。→ 本文で読む

死亡保険金に所得税がかかるのはどのような場合ですか

所得税が課税されるのは、保険料の負担者と保険金受取人とが同一人の場合です。妻が自分のお金で夫を被保険者とする保険に入り、自分が受取人になっていた、という形です。この場合の死亡保険金は、受取の方法により一時所得または雑所得として課税されます。→ 本文で読む

死亡保険金に相続税がかかるのはどのような場合ですか

相続税が課税されるのは、被保険者と保険料の負担者が同一人の場合です。世の中で最も多い形、つまり 夫が自分で保険料を払い、亡くなったときに妻や子が受け取る という契約がこれに当たります。→ 本文で読む

死亡保険金に贈与税がかかるのはどのような場合ですか

贈与税が課税されるのは、被保険者、保険料の負担者および保険金の受取人が すべて異なる場合 です。父が保険料を払い、母を被保険者とし、子が受取人になっている、というような契約です。 3通りのうち、注意しておきたいのがここです。相続税になる場合には500万円×法定相続人の非課税限度額があり、所得税になる場合には払込保険料を引いたうえで50万円の特別控除と2分の1がありますが、贈与税にはそうした保険金に固有の枠がありません。 古い契約でこの形になっているものが残っていることがあります。 保険料を負担する人を誰にしているか、受取人を誰にしているかは、契約後に変更されていることもあるので、証券だけでなく引落口座も見てください。→ 本文で読む

契約者の名義で税金の種類が決まるのですか

ご相談の場で実際に多いすれ違いを、表の読み方に戻して並べておきます。どれも「誰が」を取り違えているところから起きます。→ 本文で読む

出典

  1. 国税庁「No.1750 死亡保険金を受け取ったとき」
    https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1750.htm
  2. 国税庁「No.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金」
    https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4114.htm

この記事は、記載時点で公表されている法令・通達・国税庁の資料にもとづいて書いています。制度は改正されることがあり、また個別の事情によって取扱いは変わります。実際のご判断にあたっては、税理士にご相談いただくか、所轄の税務署にお確かめください。当事務所は本記事の情報を用いて行われた判断について責任を負いかねます。

保険証券を並べると、税金の種類はその場で見えてきます。

被保険者・保険料の負担者・受取人の欄を見れば、どの税金になるかは決まります。相続税になるなら500万円×法定相続人の非課税枠があり、所得税なら50万円の特別控除と2分の1があります。どちらに転ぶかで手元に残る金額が変わります。相続が起きた後でも、起きる前でも構いません。初回30分は無料です。