申告
満期保険金や解約返戻金の税金。
保険料を払った人が受け取れば一時所得、別の人が受け取れば贈与税
保険を解約した、満期が来た。そのお金に税金がかかるのかどうかは、誰が保険料を払っていて、誰が受け取るかの組み合わせだけで決まります。
払った人が自分で受け取れば所得税。払った人と受け取る人が違えば贈与税です。同じ金額でも税金の種類が変わります。
そして所得税になる場合、税負担が軽くなる仕組みがあります。国税庁のタックスアンサーNo.1755とNo.1490で、順に確認していきます。
この記事の要点
生命保険の満期や解約で保険金を受け取った場合、保険料の負担者と保険金受取人が同一人なら所得税、異なるなら贈与税の対象です。所得税になる場合、一時金で受け取れば一時所得で、受け取った保険金の総額から払い込んだ保険料を引き、さらに特別控除額50万円を引いた金額の2分の1が課税対象。年金で受け取れば公的年金等以外の雑所得になります。一時払養老保険等で保険期間5年以下のものや5年以内に解約したものは源泉分離課税です。国税庁タックスアンサーNo.1755・No.1490をもとに整理しました。
先に見ておくと分かりやすいもの
2つの組み合わせで税金の種類が決まる
生命保険契約の満期や解約により保険金を受け取った場合には、保険料の負担者と保険金受取人が誰であるかにより、所得税、贈与税のいずれかの課税の対象になります。契約者の名義がどうなっているかではなく、実際に保険料を負担していたのは誰かで見ます。No.1755は次の表を載せています。
| 保険料の負担者 | 保険金受取人 | 税金の種類 |
|---|---|---|
| A | A | 所得税 |
| A | B | 贈与税 |
2行しかありません。保険料を払った人が自分で受け取れば所得税、別の人が受け取れば贈与税です。夫が保険料を払っていて、満期金を妻が受け取ったなら贈与税の話になります。名義だけ妻の契約で、実際の保険料は夫の預金から出ていた、という場合も同じです。
一時金で受け取ったとき:一時所得
所得税が課税されるのは、保険料の負担者と保険金受取人とが同一人の場合です。この場合の満期保険金等は、受取の方法により一時所得または雑所得として課税されます。まとまった金額で一度に受け取ったなら一時所得です。
一時所得とは、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の所得で、労務や役務の対価としての性質や資産の譲渡による対価としての性質を有しない一時の所得をいいます。No.1490は一時所得に当たるものを6つ挙げていて、その(3)に「生命保険の一時金(業務に関して受けるものを除きます。)や損害保険の満期返戻金等」が入っています。懸賞や福引きの賞金品、競馬や競輪の払戻金と同じ箱です。
一時所得の計算。50万円を引いて2分の1
計算はNo.1755の記載がそのまま使えます。他に一時所得がないとすれば、受け取った保険金の総額から既に払い込んだ保険料または掛金の額を差し引き、さらに一時所得の特別控除額50万円を差し引いた金額です。課税の対象になるのは、この金額をさらに2分の1にした金額です。
国税庁 タックスアンサー No.1490「一時所得」
総収入金額 - 収入を得るために支出した金額(注) - 特別控除額(最高50万円) = 一時所得の金額
(注) その収入を生じた行為をするため、または、その収入を生じた原因の発生に伴い、直接要した金額に限ります。
そして税額の計算では、その所得金額の2分の1に相当する金額を給与所得などの他の所得の金額と合計して総所得金額を求めます。払った保険料を引いた残りが50万円以下なら、課税される一時所得は生じません。解約返戻金が払込総額を下回っている契約なら、そもそも所得は出ません。
気をつけたいのは、特別控除額が「最高50万円」で、その年の一時所得全体に対して差し引く形になっている点です。同じ年に複数の保険を解約したり、ほかに懸賞の賞金や法人から贈与された金品があったりすれば、それらを合わせた中で50万円を使います。契約ごとに50万円ではありません。解約の時期を年をまたいで分けるかどうかで、結果が変わることがあります。
年金で受け取ったとき:雑所得
満期保険金等を年金で受領した場合には、公的年金等以外の雑所得になります。一時所得ではありませんから、50万円の特別控除も2分の1もありません。ここが受取方法による大きな差です。
雑所得の金額は、その年中に受け取った年金の額から、その金額に対応する払込保険料または掛金の額を差し引いた金額です。払込保険料の全額をその年に引けるのではなく、その年に受け取る年金に対応する部分だけを引きます。また、年金を受け取る際には、原則として所得税が源泉徴収されます。源泉徴収されて終わりではなく、雑所得として申告する場面が出てきます。
5年以下は源泉分離課税。申告できません
一時所得の例外がひとつあります。No.1755は、一時払養老保険等で保険期間等が5年以下のものおよび保険期間等が5年超で5年以内に解約されたものは、源泉分離課税が適用され、源泉徴収だけで課税関係が終了するとしています。
税率はNo.1490に書かれています。懸賞金付預貯金等の懸賞金等や、一時払養老保険、一時払損害保険等(保険期間が5年以内であるなど一定の要件を満たすもの)の差益等については、20.315パーセント(所得税および復興特別所得税15.315パーセント、地方税5パーセント)の税率による源泉分離課税が適用されますので、確定申告を行うことはできません。
「しなくてよい」ではなく「できない」と書かれている点に注意してください。ほかの所得と通算したり、50万円の特別控除を使ったりする余地がありません。一時払で入った保険を5年以内に解約するかどうかは、この一線をまたぐかどうかの判断になります。
なお、No.1490には今後の税率の話も書かれています。令和9年1月1日以後に生ずる所得については、復興特別所得税の税率が1.1パーセントに引き下げられ、防衛特別所得税(源泉徴収すべき所得税の額の1パーセント相当額)が併せて源泉徴収されます。
受取人が違う場合は贈与税
贈与税が課税されるのは、保険料の負担者と保険金の受取人が異なる場合です。夫が払っていた保険の満期金を妻や子が受け取った、というケースです。保険会社から受け取るお金なのに贈与税というのは違和感があるかもしれませんが、実質的に保険料を払った人から受取人への財産の移転があったとみるためです。
また、満期保険金等を年金で受領する場合には、その年金を受け取る権利に対して贈与税が課税されます。毎年受け取る額ではなく、受け取る権利そのものが対象です。そのうえで、毎年支払を受ける年金(公的年金等以外の年金)に係る所得税については、年金の収入金額を非課税部分と課税部分(年金受給権に相当する部分とそれ以外の部分)に振り分けた上で計算します。No.1755は、実際に贈与税の納税額が生じなかった場合も、この方法で計算すると注記しています。
年金を受け取る際には、原則として所得税が源泉徴収されます。ただし、平成25年1月1日以後に支払われる生命保険契約等に基づく年金のうち、その年金の支払を受ける人と保険契約者とが異なる契約等で一定のものに基づく年金については、源泉徴収されません。
解約する前に確かめておくこと
ここまでを踏まえて、解約や満期の前に手元で確かめられることを並べておきます。どれも保険会社の書類か通帳で分かります。
| 確かめること | なぜ必要か |
|---|---|
| 保険料を実際に負担していたのは誰か | 所得税か贈与税かが決まります。契約者の名義ではなく、引落口座で見ます |
| 払込保険料の総額 | 受け取る額から引ける金額です。これが分からないと税額が出せません |
| 一時金か年金か | 一時所得(50万円と2分の1あり)か雑所得(なし)かが変わります |
| 一時払かどうか、保険期間等が5年以下かどうか | 源泉分離課税に当たると、確定申告ができません |
| 同じ年に他の一時所得があるか | 特別控除は、その年の一時所得全体に対して最高50万円です |
とくに2つめの払込総額は、古い契約だと手元に資料が残っていないことがあります。解約の手続を進める前に保険会社に照会しておくと、あとで慌てません。受け取ってから振り返るのではなく、受け取る前に並べておくほうが選べる余地が残ります。
よくある質問
満期保険金や解約返戻金にはどの税金がかかりますか
生命保険契約の満期や解約により保険金を受け取った場合には、 保険料の負担者 と 保険金受取人 が誰であるかにより、所得税、贈与税のいずれかの課税の対象になります。契約者の名義がどうなっているかではなく、実際に保険料を負担していたのは誰かで見ます。No.1755は次の表を載せています。→ 本文で読む
満期保険金を一時金で受け取ったときの税金はどう計算しますか
計算はNo.1755の記載がそのまま使えます。他に一時所得がないとすれば、受け取った保険金の総額から既に払い込んだ保険料または掛金の額を差し引き、さらに一時所得の特別控除額 50万円 を差し引いた金額です。課税の対象になるのは、この金額を さらに2分の1 にした金額です。→ 本文で読む
満期保険金を年金で受け取った場合はどうなりますか
満期保険金等を年金で受領した場合には、 公的年金等以外の雑所得 になります。一時所得ではありませんから、50万円の特別控除も2分の1もありません。ここが受取方法による大きな差です。→ 本文で読む
一時払の保険を5年以内に解約するとどうなりますか
一時所得の例外がひとつあります。No.1755は、一時払養老保険等で 保険期間等が5年以下 のものおよび保険期間等が5年超で 5年以内に解約された ものは、源泉分離課税が適用され、源泉徴収だけで課税関係が終了するとしています。→ 本文で読む
保険料を払った人と受取人が違う場合はどうなりますか
贈与税が課税されるのは、保険料の負担者と保険金の受取人が異なる場合です。夫が払っていた保険の満期金を妻や子が受け取った、というケースです。保険会社から受け取るお金なのに贈与税というのは違和感があるかもしれませんが、実質的に保険料を払った人から受取人への財産の移転があったとみるためです。→ 本文で読む
出典
- 国税庁「No.1755 生命保険契約に係る満期保険金等を受け取ったとき」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1755.htm - 国税庁「No.1490 一時所得」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1490.htm
この記事は、記載時点で公表されている法令・通達・国税庁の資料にもとづいて書いています。制度は改正されることがあり、また個別の事情によって取扱いは変わります。実際のご判断にあたっては、税理士にご相談いただくか、所轄の税務署にお確かめください。当事務所は本記事の情報を用いて行われた判断について責任を負いかねます。
解約する前に、払った保険料の総額を出しておいてください。
一時所得は「受け取った額-払った保険料-50万円」の2分の1です。払込総額が分からないままだと、税金が出るのか出ないのかも分かりません。複数の契約をまとめて解約する年は、特別控除の50万円がその年の一時所得全体で1回しか使えない点も効いてきます。ふじみ野市とその近隣の方は訪問でのご相談も承ります。初回30分は無料です。
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