申告
補助金で固定資産を買ったとき。
確定申告書に明細書を付ければ、資産に充てた分は総収入金額に算入せず、取得費はその分を差し引きます
個人事業をしている方が補助金で機械や車両、設備を買ったとき、「補助金は収入として申告するのですか」というご質問をいただきます。
答えを先に書くと、国や地方公共団体の補助金を固定資産の取得や改良に充てた場合、確定申告書に明細書を付けることを条件に、その分は総収入金額に算入しなくてよい、というのが国税庁の取扱いです。
ただし、無条件に非課税になるわけではありません。代わりに、その固定資産の取得費から補助金の分を差し引きます。減価償却費が小さくなる、ということです。国税庁のタックスアンサーNo.2202で、条件と手続、取得費への影響を確認していきます。
この記事の要点
国や地方公共団体の補助金・給付金(国庫補助金等)を固定資産の取得や改良に充てた場合、確定申告書に一定の事項を記載することを条件に、その資産に充てた部分は総収入金額に算入しません。代わりに、その固定資産の取得費は補助金の額を差し引いた残額になり、減価償却費もその取得費を基礎に計算します。手続は「国庫補助金等の総収入金額不算入に関する明細書」を確定申告書に添付することです。国税庁タックスアンサーNo.2202をもとに整理しました。
先に見ておくと分かりやすいもの
補助金を固定資産に充てた分は、条件付きで総収入金額に算入しない
補助金のうち固定資産の取得や改良に充てた部分は、確定申告書に一定の事項を記載することを条件に、総収入金額に算入しません。国税庁のタックスアンサーNo.2202は、固定資産の取得や改良に充てるために国または地方公共団体の補助金や給付金など(国庫補助金等)の交付を受けた場合で、その交付の目的に適合した固定資産の取得や改良をしたときは、確定申告書に一定の事項を記載することを条件として、国庫補助金等のうちその固定資産の取得や改良に充てた部分の金額に相当する金額を総収入金額に算入しない、としています。
国税庁 タックスアンサー No.2202「国庫補助金等を受け取ったとき」
確定申告書に一定の事項を記載することを条件として、国庫補助金等のうち、その固定資産の取得や改良に充てた部分の金額に相当する金額を総収入金額に算入しないこととされています。
事業のために受け取った補助金は、本来は事業の収入です。ただ、補助金で買った資産は減価償却で少しずつ経費になるのに、補助金は受け取った年にまとめて収入になると、その年だけ所得が大きく出てしまいます。その不釣り合いをならすために、資産に充てた分は収入から外し、代わりに資産の取得費を下げる、というのがこの取扱いの考え方です。
対象になる補助金と、適用の条件
対象になるのは、固定資産の取得や改良に充てるために国または地方公共団体から交付を受けた補助金や給付金です。No.2202はこれを「国庫補助金等」と呼んでいます。国の補助金だけでなく、都道府県や市町村の補助金も含まれます。
適用の条件は、No.2202の文章から読み取ると次の3つです。
| 条件 | |
|---|---|
| 交付の目的 | 固定資産の取得や改良に充てるための補助金・給付金であること |
| 使いみち | その交付の目的に適合した固定資産の取得や改良をしたこと |
| 申告 | 確定申告書に一定の事項を記載すること(明細書の添付) |
「固定資産の取得や改良に充てるため」の補助金であることが前提です。運転資金や人件費、販売促進費に充てる補助金・給付金は、この取扱いの対象ではありません。また、補助金の目的と違う資産を買った場合も対象になりません。交付要綱に書かれた目的と、実際に買った資産が一致しているかを確かめてください。「改良」に当たるかどうかは修繕費と資本的支出の考え方が参考になります。
その固定資産の取得費は、補助金の分を差し引いた残額になる
この取扱いを受けた固定資産の取得費は、実際にかかった金額から総収入金額に算入しなかった補助金の額を差し引いた残額です。No.2202は、この取扱いを受けた固定資産に係る取得費の額については、実際にその固定資産の取得のために要した金額や改良費の額から総収入金額に算入されなかった国庫補助金等の額を控除した残額となる、としています。
国税庁 タックスアンサー No.2202「国庫補助金等を受け取ったとき」
この取扱いを受けた固定資産に係る取得費の額については、実際にその固定資産の取得のために要した金額や改良費の額から総収入金額に算入されなかった国庫補助金等の額を控除した残額となります。
ここが「無条件の非課税ではない」という意味です。補助金を収入に入れない代わりに、資産の帳簿上の値段を補助金の分だけ下げます。買った金額の全額を取得費にしたまま補助金だけ収入から外す、ということはできません。固定資産台帳には、実際の購入価額ではなく、補助金を差し引いた後の金額を取得価額として載せることになります。
減価償却費も、差し引いた後の取得費を基礎に計算する
減価償却費は、補助金を差し引いた後の取得費を基礎に計算します。No.2202の注記は、この取扱いを受けた固定資産に係る減価償却費の計算については、上記取得費の額を基礎として行うこととなる、としています。
結果として、毎年の減価償却費は、補助金がなかった場合より小さくなります。受け取った年にまとめて課税されるか、償却期間にわたって少しずつ経費が減るか、という違いです。トータルの所得は同じでも、課税される時期がならされるのがこの取扱いの効果です。将来その資産を売ったときの取得費も、差し引いた後の金額で計算します。少額の資産の取扱いは少額減価償却資産の特例で整理しています。
手続。「国庫補助金等の総収入金額不算入に関する明細書」を確定申告書に添付する
手続は、明細書を添付した確定申告書を所轄税務署長に提出することです。No.2202は、「国庫補助金等の総収入金額不算入に関する明細書」を添付した確定申告書を所轄税務署長に提出するよう案内しています。
No.2202の概要にある「確定申告書に一定の事項を記載することを条件として」とは、この明細書のことです。明細書を付けずに申告すると、補助金は総収入金額に入ったままです。補助金を収入から外して申告したつもりでも、明細書がなければ条件を満たしていないことになります。補助金を受けた年の申告では、明細書の添付を忘れないようにしてください。根拠は所得税法42条と43条です。
補助金の交付決定と資産の購入が年をまたぐときの整理
実務で迷うのは、補助金の交付決定・入金と、資産の購入が別の年になるときです。No.2202は、交付を受けた場合で、その交付の目的に適合した固定資産の取得や改良をしたときにこの取扱いを適用する、としています。まず「交付を受けたこと」と「資産を取得・改良したこと」の両方がそろっているかを確かめることになります。
年をまたぐ場合の細かい取扱いはNo.2202の本文には書かれていません。交付決定通知書、入金の記録、資産の請求書・領収書の日付を並べて、どの年の申告でどう扱うかを整理してください。判断に迷うときは、資料をそろえたうえで所轄税務署か税理士に確認するのが確実です。地元の補助金の制度そのものについては、ふじみ野市の創業補助金にまとめています。
よくある質問
補助金で事業用の機械を買ったとき、補助金は収入になりますか
補助金のうち固定資産の取得や改良に充てた部分は、確定申告書に一定の事項を記載することを条件に、総収入金額に算入しません。国税庁のタックスアンサーNo.2202は、固定資産の取得や改良に充てるために国または地方公共団体の補助金や給付金など(国庫補助金等)の交付を受けた場合で、その交付の目的に適合した固定資産の取得や改良をしたときは、確定申告書に一定の事項を記載することを条件として、国庫補助金等のうちその固定資産の取得や改良に充てた部分の金額に相当する金額を総収入金額に算入しない、としています。→ 本文で読む
総収入金額不算入の対象になる補助金はどのようなものですか
対象になるのは、固定資産の取得や改良に充てるために国または地方公共団体から交付を受けた補助金や給付金です。No.2202はこれを「国庫補助金等」と呼んでいます。国の補助金だけでなく、都道府県や市町村の補助金も含まれます。→ 本文で読む
補助金で買った固定資産の取得費はいくらになりますか
この取扱いを受けた固定資産の取得費は、実際にかかった金額から総収入金額に算入しなかった補助金の額を差し引いた残額です。No.2202は、この取扱いを受けた固定資産に係る取得費の額については、実際にその固定資産の取得のために要した金額や改良費の額から総収入金額に算入されなかった国庫補助金等の額を控除した残額となる、としています。→ 本文で読む
補助金で買った資産の減価償却はどう計算しますか
減価償却費は、補助金を差し引いた後の取得費を基礎に計算します。No.2202の注記は、この取扱いを受けた固定資産に係る減価償却費の計算については、上記取得費の額を基礎として行うこととなる、としています。→ 本文で読む
補助金を総収入金額に算入しないための手続は何ですか
手続は、明細書を添付した確定申告書を所轄税務署長に提出することです。No.2202は、「国庫補助金等の総収入金額不算入に関する明細書」を添付した確定申告書を所轄税務署長に提出するよう案内しています。→ 本文で読む
補助金の入金と資産の購入が別の年になったらどうしますか
実務で迷うのは、補助金の交付決定・入金と、資産の購入が別の年になるときです。No.2202は、交付を受けた場合で、その交付の目的に適合した固定資産の取得や改良をしたときにこの取扱いを適用する、としています。まず「交付を受けたこと」と「資産を取得・改良したこと」の両方がそろっているかを確かめることになります。→ 本文で読む
出典
- 国税庁「No.2202 国庫補助金等を受け取ったとき」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2202.htm
この記事は、記載時点で公表されている法令・通達・国税庁の資料にもとづいて書いています。制度は改正されることがあり、また個別の事情によって取扱いは変わります。実際のご判断にあたっては、税理士にご相談いただくか、所轄の税務署にお確かめください。当事務所は本記事の情報を用いて行われた判断について責任を負いかねます。
補助金の交付決定通知と、買った資産の領収書をセットで残しておいてください。
補助金を総収入金額に入れないためには、確定申告書に明細書を添付する必要があります。何も付けずに申告すると、補助金は収入のままです。取得費から補助金を差し引くと減価償却費も変わるため、固定資産台帳の金額も合わせて直します。交付決定通知と領収書をお持ちいただければ、明細書と償却の計算を一緒に組み立てます。ふじみ野市とその近隣の方は訪問でのご相談も承ります。初回30分は無料です。
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