申告
海外赴任すると納税管理人が必要になることがあります。
1年以上の予定で転勤すると非居住者、選任と解任は届出書で
海外赴任が決まった方から、「日本の税金の手続はどうなりますか」というご相談をいただきます。日本の不動産を貸したまま出国する方や、出国の年の還付を受けたい方は、日本での申告や納付が残ります。
答えを先に書くと、1年以上の予定で海外に転勤すると所得税法上の非居住者になり、確定申告などが必要なら、日本で手続を代わりに行う納税管理人を定めて届出書を出します。
納税管理人は法人でも個人でもよく、家族に頼むこともできます。帰国したら解任の届出も必要です。国税庁のタックスアンサーNo.1923で、いつ必要になり、何を出すのかを確かめていきます。
この記事の要点
1年以上の予定で海外の支店などに転勤すると、国外に転出した後は所得税法上の非居住者になります。非居住者が確定申告書の提出、税務署からの書類の受け取り、納付や還付金の受け取りをする必要があるときは、納税管理人を定め、納税地を所轄する税務署長に「所得税・消費税の納税管理人の選任・解任届出書」を提出します。納税管理人は法人でも個人でもよく、帰国して解任するときも同じ届出書です。国税庁タックスアンサーNo.1923をもとに整理しました。
先に見ておくと分かりやすいもの
1年以上の予定で海外に転勤すると非居住者になる
日本国内の会社に勤めている給与所得者が、1年以上の予定で海外の支店などに転勤すると、国外に転出した後は一般的に日本国内に住所を有しない者と推定され、所得税法上の非居住者になります。国税庁のタックスアンサーNo.1923は、非居住者となる人をこのように説明しています。
国税庁 タックスアンサー No.1923「海外勤務と納税管理人の選任又は解任」
日本国内の会社に勤めている給与所得者が、1年以上の予定で海外の支店などに転勤すると、国外に転出した後は一般的に日本国内に住所を有しない者と推定され、転出後は所得税法上の非居住者となります。
ポイントは「1年以上の予定」です。実際に何年いたかではなく、出発時点の予定で判断されます。数か月の出張や研修で戻ってくる予定なら、居住者のままです。非居住者になると、日本の所得税は日本国内で生じた所得だけが対象になり、申告や納付の手続の進め方も変わります。
納税管理人が必要になる場面
非居住者が、確定申告書の提出、税務署等からの書類の受け取り、税金の納付や還付金の受け取りなど、国税に関する事項を処理する必要があるときは、納税管理人を定める必要があります。
海外にいながら日本の税務署とやり取りをするのは現実的ではありません。そこで、日本にいる人や法人に、自分の代わりに申告書を出したり、書類を受け取ったり、納付や還付金の受け取りをしてもらう相手が納税管理人です。
海外赴任者で納税管理人が必要になる典型は、日本の自宅を貸して賃料収入がある方や、出国する年の所得について確定申告が必要な方です。日本での申告や納付がまったく残らないなら、納税管理人を定める必要はありません。自宅を貸して出国する方は不動産の貸付けを始めたときの届出もあわせてご覧ください。
選任の届出。提出先は納税地を所轄する税務署長
確定申告等が必要となる場合には、納税管理人を定め、その非居住者の納税地を所轄する税務署長に「所得税・消費税の納税管理人の選任・解任届出書」を提出します。この届出書を提出した以後、税務署が発送する書類は納税管理人あてに送付されます。
国税庁 タックスアンサー No.1923「海外勤務と納税管理人の選任又は解任」
この届出書を提出した以後、税務署が発送する書類は、納税管理人あてに送付されますが、確定申告書は非居住者の納税地を所轄する税務署長に対して提出します。
気をつけたいのは、確定申告書の提出先です。税務署からの書類は納税管理人に届きますが、確定申告書は納税管理人の住所地ではなく、非居住者本人の納税地を所轄する税務署長に提出します。納税管理人が遠方に住んでいても、申告書の宛先は本人の納税地の税務署です。届出書の名前に「消費税」も入っているとおり、所得税と消費税の納税管理人を1枚で届け出る様式です。
納税管理人は法人でも個人でもよい
納税管理人は法人でも個人でもかまいません。No.1923はこの点を明記しています。日本に残るご家族や親族に頼むこともできますし、税理士事務所などの法人に頼むこともできます。
ただ、納税管理人には税務署からの書類が届き、納付や還付金の受け取りもその人を通じて行うことになります。書類を確実に受け取り、期限内に必要な対応ができる人を選ぶことが大切です。ご家族に頼む場合も、何の書類が届いたら本人に知らせるかを、出国前に決めておいてください。
帰国して居住者になったら解任の届出
帰国し居住者になるなど、先に選任していた納税管理人を解任する場合は、納税地を所轄する税務署長に「所得税・消費税の納税管理人の選任・解任届出書」を提出しなければなりません。選任のときと同じ様式です。
解任の届出を出さないと、税務署の書類は引き続き納税管理人あてに送られます。帰国して自分で手続ができるようになったら、解任の届出を出して書類の宛先を自分に戻す必要があります。選任と解任はひとつの届出書で、どちらの届出かを選んで出します。帰国した年の申告については会社員でも確定申告が必要な7つの場合も参考にしてください。
納税管理人を変えるときは解任と選任の2枚
納税管理人を変更する場合は、既に届け出ている納税管理人を「所得税・消費税の納税管理人の選任・解任届出書」の提出により解任したうえで、同じ届出書を提出して新たな納税管理人を選任します。1枚で差し替えるのではなく、解任と選任の2つの届出になります。
赴任中に、頼んでいた家族が引っ越した、税理士を変えた、といった場合がこれに当たります。まず今の納税管理人を解任する届出、次に新しい納税管理人を選任する届出という順です。解任だけして選任を忘れると、税務署からの書類を受け取る人がいない状態になります。2枚をあわせて出すようにしてください。
よくある質問
海外赴任するとどの時点で非居住者になりますか
日本国内の会社に勤めている給与所得者が、1年以上の予定で海外の支店などに転勤すると、国外に転出した後は一般的に日本国内に住所を有しない者と推定され、所得税法上の非居住者になります。国税庁のタックスアンサーNo.1923は、非居住者となる人をこのように説明しています。→ 本文で読む
海外赴任中に納税管理人が必要になるのはどのような場合ですか
非居住者が、確定申告書の提出、税務署等からの書類の受け取り、税金の納付や還付金の受け取りなど、国税に関する事項を処理する必要があるときは、納税管理人を定める必要があります。 海外にいながら日本の税務署とやり取りをするのは現実的ではありません。そこで、 日本にいる人や法人に、自分の代わりに申告書を出したり、書類を受け取ったり、納付や還付金の受け取りをしてもらう 相手が納税管理人です。→ 本文で読む
納税管理人を選任する届出書はどこに出しますか
確定申告等が必要となる場合には、納税管理人を定め、その非居住者の納税地を所轄する税務署長に「所得税・消費税の納税管理人の選任・解任届出書」を提出します。この届出書を提出した以後、税務署が発送する書類は納税管理人あてに送付されます。→ 本文で読む
納税管理人は家族に頼めますか
納税管理人は法人でも個人でもかまいません。No.1923はこの点を明記しています。日本に残るご家族や親族に頼むこともできますし、税理士事務所などの法人に頼むこともできます。 ただ、納税管理人には税務署からの書類が届き、納付や還付金の受け取りもその人を通じて行うことになります。 書類を確実に受け取り、期限内に必要な対応ができる人 を選ぶことが大切です。 ご家族に頼む場合も、何の書類が届いたら本人に知らせるかを、出国前に決めておいてください。→ 本文で読む
帰国したら納税管理人の手続は必要ですか
帰国し居住者になるなど、先に選任していた納税管理人を解任する場合は、納税地を所轄する税務署長に「所得税・消費税の納税管理人の選任・解任届出書」を提出しなければなりません。選任のときと同じ様式です。→ 本文で読む
海外赴任中に納税管理人を変えるにはどうしますか
納税管理人を変更する場合は、既に届け出ている納税管理人を「所得税・消費税の納税管理人の選任・解任届出書」の提出により解任したうえで、同じ届出書を提出して新たな納税管理人を選任します。1枚で差し替えるのではなく、解任と選任の2つの届出になります。→ 本文で読む
出典
- 国税庁「No.1923 海外勤務と納税管理人の選任又は解任」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1923.htm
この記事は、記載時点で公表されている法令・通達・国税庁の資料にもとづいて書いています。制度は改正されることがあり、また個別の事情によって取扱いは変わります。実際のご判断にあたっては、税理士にご相談いただくか、所轄の税務署にお確かめください。当事務所は本記事の情報を用いて行われた判断について責任を負いかねます。
出国の予定が決まったら、日本に残る収入と手続を書き出してください。
海外赴任中に日本で確定申告や納付が必要になるかは、日本に残す不動産の賃料や、出国する年の所得の状況で変わります。必要なら出国前に納税管理人を選任し、届出書を出しておくと、税務署からの書類が届かないという事態を避けられます。ふじみ野市とその近隣の方は訪問でのご相談も承ります。初回30分は無料です。
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