譲渡
ゴルフ会員権を売ったときの税金。
総合課税の譲渡所得で、特別控除50万円、5年超なら2分の1。損失は給与と通算できません
長く持っていたゴルフ会員権を手放すとき、「利益が出たら申告が要るのか、損が出たら給与から引けるのか」というご質問をいただきます。
答えを先に書くと、ゴルフ会員権の売却益は総合課税の譲渡所得で、特別控除50万円を引き、所有期間が5年を超えていればさらに2分の1にして給与などと合算します。一方、損が出ても、原則として給与所得など他の所得とは損益通算できません。
国税庁のタックスアンサーNo.3158は短い回答ですが、計算式と注意点がはっきり書かれています。順に確認していきます。
この記事の要点
ゴルフ会員権を売ったときの所得は、給与所得など他の所得と合わせて総合課税される譲渡所得です。譲渡価額から取得費と譲渡費用を引いた譲渡益から、特別控除50万円を差し引きます。所有期間が5年以内なら短期譲渡所得としてその全額、5年を超えていれば長期譲渡所得として2分の1が課税の対象です。譲渡で生じた損失は原則として給与所得など他の所得と損益通算できません。国税庁タックスアンサーNo.3158・No.1460をもとに整理しました。
先に見ておくと分かりやすいもの
ゴルフ会員権の売却益は譲渡所得。総合課税
ゴルフ会員権を売ったときの所得は譲渡所得で、給与所得など他の所得と合わせて総合課税の対象になります。国税庁のタックスアンサーNo.3158は、株主にならなければ会員となれない会員権もその他の会員権も、いずれも同じ扱いだとしています。
国税庁 タックスアンサー No.3158「ゴルフ会員権の譲渡による所得」
これらの会員権を売ったときの所得は、いずれも譲渡所得として給与所得など他の所得と合わせて総合課税の対象となります。
土地建物や株式の譲渡所得は他の所得と分けて課税されますが、ゴルフ会員権は給与などと合算して、累進税率で課税されるのが大きな違いです。利益が大きい年は、給与と合わさって税率の段階が上がることがあります。所得区分の全体は所得の区分は10種類で整理しています。
所有期間5年以内。短期譲渡所得の計算
所有期間が5年以内のゴルフ会員権を売ったときは、総合課税の短期譲渡所得です。譲渡価額から取得費と譲渡費用を引いてゴルフ会員権の譲渡益を出し、その年のゴルフ会員権以外の総合課税の譲渡益と合計して、特別控除50万円を差し引いた金額が課税される譲渡所得の金額です。
| 短期譲渡所得(所有期間5年以内)の計算 | |
|---|---|
| 譲渡益 | 譲渡価額 - (取得費 + 譲渡費用) |
| 課税される譲渡所得の金額 | {ゴルフ会員権の譲渡益 + その年のゴルフ会員権以外の総合課税の譲渡益} - 特別控除50万円 |
取得費は買ったときの代金に、取得のためにかかった費用を加えたものです。譲渡費用は売るためにかかった手数料などです。短期の場合は、特別控除後の金額がそのまま他の所得に合算されます。2分の1にはなりません。
所有期間5年超。長期譲渡所得は2分の1
所有期間が5年を超えるゴルフ会員権を売ったときは、総合課税の長期譲渡所得です。譲渡益から特別控除50万円を引いた譲渡所得の金額に2分の1を乗じた金額が、課税される譲渡所得の金額になります。
| 長期譲渡所得(所有期間5年超)の計算 | |
|---|---|
| 譲渡益 | 譲渡価額 - (取得費 + 譲渡費用) |
| 譲渡所得の金額 | {ゴルフ会員権の譲渡益 + その年のゴルフ会員権以外の総合課税の譲渡益} - 特別控除50万円 |
| 課税される譲渡所得の金額 | 譲渡所得の金額 × 2分の1 |
長く持っていた資産の値上がり益は、何年分もの利益が一度に実現したものです。それを1年の所得としてそのまま課税すると重くなるので、2分の1にして合算します。No.1460も、総所得金額を求めるときに合計する長期譲渡所得の金額は2分の1に相当する金額、としています。所有期間が5年を超えているかどうかで、課税される金額が半分違うことになりますから、取得の時期は書類で確かめてください。
特別控除50万円は短期・長期あわせて50万円。短期から先に引く
譲渡所得の特別控除の額は、その年のゴルフ会員権の譲渡益とそれ以外の総合課税の譲渡益の合計額に対して50万円です。譲渡益の合計額が50万円以下のときは、その金額までしか控除できません。短期と長期の両方の譲渡益がある場合は、特別控除額は両方合わせて50万円が限度で、短期の譲渡益から先に控除します。
国税庁 タックスアンサー No.3158「ゴルフ会員権の譲渡による所得」
また、(1)と(2)の両方の譲渡益がある場合には、特別控除額は両方合わせて50万円が限度で、(1)の譲渡益から先に控除します。
50万円は会員権1つごとの枠ではなく、その年の総合課税の譲渡益をまとめた枠です。同じ年に金地金や書画骨董を売って利益が出ていれば、それも含めて50万円までです。短期から先に引くのは、2分の1にならない短期の所得を優先して減らすためで、納税者に有利な順序になっています。
逆に、譲渡益の合計が50万円以下なら、課税される譲渡所得はありません。ゴルフ会員権の売却益が小さければ、この特別控除だけで所得がゼロになることもあります。
損失は給与などと損益通算できない
ゴルフ会員権の譲渡により生じた損失は、原則として、給与所得など他の所得と損益通算することはできません。買ったときより安く売って損が出ても、その損失を給与から差し引いて税金を減らすことはできません。
No.3158の注意事項に明記されています。損が出た場合、給与所得や事業所得と通算して還付を受ける、という使い方はできないということです。売却益が出たときは課税、損が出たときは切り捨て、という非対称な扱いになっています。損益通算できる所得の全体像は損益通算できる4つの所得で整理しています。
なお、同じ年に総合課税の譲渡所得のなかで利益と損失の両方がある場合の扱いは、No.1460の計算式では短期と長期の譲渡益を合計して特別控除を引く形になっています。ご自身の場合にどう当てはまるかは、売った資産をすべて並べて確かめてください。
営利目的で継続的に売買していれば事業所得か雑所得
ゴルフ会員権の譲渡が営利を目的として継続的に行われている場合には、その実態に応じて事業所得または雑所得になります。譲渡所得ではなくなるため、特別控除50万円や長期の2分の1は使えません。
個人が自分でプレーするために持っていた会員権を1回売る、というのが譲渡所得の前提です。会員権を仕入れて売ることを繰り返しているなら、それは商売で、事業所得か雑所得として計算します。ほとんどの方は譲渡所得ですが、売買の回数や態様によって区分が変わることは知っておいてください。総合課税で合算した後の税率は所得税の税率は7段階で整理しています。
よくある質問
ゴルフ会員権を売った利益は何所得になりますか
ゴルフ会員権を売ったときの所得は譲渡所得で、給与所得など他の所得と合わせて総合課税の対象になります。国税庁のタックスアンサーNo.3158は、株主にならなければ会員となれない会員権もその他の会員権も、いずれも同じ扱いだとしています。→ 本文で読む
所有期間5年以内のゴルフ会員権を売ったときの計算はどうなりますか
所有期間が5年以内のゴルフ会員権を売ったときは、総合課税の短期譲渡所得です。譲渡価額から取得費と譲渡費用を引いてゴルフ会員権の譲渡益を出し、その年のゴルフ会員権以外の総合課税の譲渡益と合計して、特別控除50万円を差し引いた金額が課税される譲渡所得の金額です。→ 本文で読む
所有期間5年を超えるゴルフ会員権を売ると税金はどうなりますか
所有期間が5年を超えるゴルフ会員権を売ったときは、総合課税の長期譲渡所得です。譲渡益から特別控除50万円を引いた譲渡所得の金額に2分の1を乗じた金額が、課税される譲渡所得の金額になります。→ 本文で読む
ゴルフ会員権の譲渡所得の特別控除はいくらですか
譲渡所得の特別控除の額は、その年のゴルフ会員権の譲渡益とそれ以外の総合課税の譲渡益の合計額に対して50万円です。譲渡益の合計額が50万円以下のときは、その金額までしか控除できません。短期と長期の両方の譲渡益がある場合は、特別控除額は両方合わせて50万円が限度で、短期の譲渡益から先に控除します。→ 本文で読む
ゴルフ会員権を売って損が出たら給与から引けますか
ゴルフ会員権の譲渡により生じた損失は、原則として、給与所得など他の所得と損益通算することはできません。買ったときより安く売って損が出ても、その損失を給与から差し引いて税金を減らすことはできません。→ 本文で読む
ゴルフ会員権の売買を繰り返している場合も譲渡所得ですか
ゴルフ会員権の譲渡が営利を目的として継続的に行われている場合には、その実態に応じて事業所得または雑所得になります。譲渡所得ではなくなるため、特別控除50万円や長期の2分の1は使えません。→ 本文で読む
出典
- 国税庁「No.3158 ゴルフ会員権の譲渡による所得」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3158.htm - 国税庁「No.1460 譲渡所得(土地、建物及び株式等以外の資産を譲渡したとき)」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1460.htm
この記事は、記載時点で公表されている法令・通達・国税庁の資料にもとづいて書いています。制度は改正されることがあり、また個別の事情によって取扱いは変わります。実際のご判断にあたっては、税理士にご相談いただくか、所轄の税務署にお確かめください。当事務所は本記事の情報を用いて行われた判断について責任を負いかねます。
売却の前に、会員権を買ったときの書類と、名義書換料の記録を探してください。
譲渡所得の計算では、買ったときの代金だけでなく取得のためにかかった費用や売却の手数料も差し引けます。取得の時期がいつかで短期か長期かが分かれ、課税される金額が変わります。売買契約書や入会時の書類をお持ちいただければ、申告が必要かどうかも含めて確認します。ふじみ野市とその近隣の方は訪問でのご相談も承ります。初回30分は無料です。
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