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譲渡

土地建物・株式以外の資産を売ったときの譲渡所得。
特別控除50万円、所有5年超なら2分の1が課税対象です

ゴルフ会員権や金地金、事業で使っていた機械を売った方から、「不動産や株と同じ計算でよいのか」というご質問をいただきます。

答えを先に書くと、土地建物や株式等以外の資産を売ったときの譲渡所得は、給与所得や事業所得などと合わせて税金を計算する総合課税です。譲渡価額から取得費と譲渡費用を引き、さらに特別控除の50万円を引いた金額が譲渡所得で、所有期間が5年を超える長期譲渡所得なら、その2分の1だけが課税対象になります。

不動産や株式の分離課税とは計算のしかたが違います。国税庁のタックスアンサーNo.3152に沿って、区分・計算式・控除の順番を確かめます。

公開 最終更新

この記事の要点

ゴルフ会員権や金地金、機械など、土地建物・株式等以外の資産を売ったときの譲渡所得は、給与などと合わせる総合課税です。所有期間が5年を超えれば長期譲渡所得、5年以内なら短期譲渡所得で、譲渡価額から取得費・譲渡費用を引き、さらに50万円の特別控除を引いて計算します。長期譲渡所得はその2分の1だけが課税対象です。5年以内でも長期になるものと、短期・長期がある年の控除の順番も国税庁タックスアンサーNo.3152をもとに整理しました。

先に見ておくと分かりやすいもの

総合課税になる資産。土地建物・株式等以外

総合課税の譲渡所得になるのは、土地建物や株式等以外の資産を売ったときです。ゴルフ会員権、金地金、貴金属、書画骨とう、事業用の機械や車両などが当たります。国税庁のタックスアンサーNo.3152は次のように書いています。

国税庁 タックスアンサー No.3152「譲渡所得の計算のしかた(総合課税)」

土地建物や株式等以外の資産を売ったときの譲渡所得は、給与所得や事業所得などの所得と合わせて総合課税の対象となります。

土地や建物を売ったときは分離課税、株式等を売ったときは申告分離課税で、いずれも他の所得とは分けて税額を計算します。それ以外の資産を売った所得を、給与や事業の所得と合算して累進税率で計算するのが総合課税です。同じ「譲渡所得」でも、売ったものが何かで計算の入口が分かれます。

長期と短期の分け方。所有期間5年

総合課税の譲渡所得は、取得したときから売ったときまでの所有期間が5年を超えていれば長期譲渡所得、5年以内なら短期譲渡所得に分かれます。長期と短期で、後で説明する2分の1の扱いが変わります。

区分所有期間
長期譲渡所得5年を超えている場合
短期譲渡所得5年以内の場合

土地建物の分離課税では「譲渡した年の1月1日において」5年を超えるかで判定しますが、総合課税の譲渡所得は、取得したときから売ったときまでの実際の所有期間で判定します。この違いは間違えやすいところです。

5年以内でも長期になる6つの場合

所有期間が5年以内でも、自分が研究して取得した特許権や、自分の著作物の著作権などは長期譲渡所得になります。国税庁は次の6つを挙げています。

5年以内でも長期譲渡所得になるもの
(1)自分が研究して取得した特許権や実用新案権などの工業所有権
(2)自分の育成による育成者権
(3)自分の著作物の著作権
(4)自分で発見した鉱山などの採掘権
(5)配偶者居住権を取得した日からの所有期間は5年以内だが、被相続人がその建物を取得した日からの所有期間が5年を超える場合
(6)配偶者敷地利用権を取得した日からの所有期間は5年以内だが、被相続人がその土地等を取得した日からの所有期間が5年を超える場合

(1)から(4)は、自分で生み出した権利です。権利が成立してから売るまでが短くても、それまでの研究や創作の期間があるため長期として扱います。(5)(6)は相続で配偶者居住権を取得した方に関わるもので、被相続人が建物や土地を取得した日からの期間で判定できるという決まりです。

計算式。特別控除は50万円

総合課税の譲渡所得の金額は、譲渡価額から取得費と譲渡費用を差し引き、さらに特別控除の50万円を差し引いて計算します。

国税庁 タックスアンサー No.3152「譲渡所得の計算のしかた(総合課税)」

譲渡所得の金額 = 譲渡価額 - (取得費(注1) + 譲渡費用(注2))-50万円(注3)
用語意味
取得費一般に購入代金のこと。購入手数料や設備費、改良費なども含む。使用や期間の経過で減価する資産は、減価償却費相当額を控除した金額
譲渡費用売るために直接かかった費用
特別控除その年の長期の譲渡益と短期の譲渡益の合計額に対して50万円

取得費で注意したいのは、車両や機械のように減価する資産は、購入代金から減価償却費相当額を引いた金額が取得費になる点です。買った値段そのままではありません。事業で使っていた資産なら、帳簿の未償却残高がこれに近い金額です。特別控除の50万円は、譲渡益の合計額が50万円以下のときはその金額までしか控除できません。つまり、特別控除で譲渡所得がマイナスになることはありません。譲渡所得の赤字と他の所得との関係は損益通算できる4つの所得で説明しています。

長期譲渡所得は2分の1だけが課税対象

計算した譲渡所得のうち、短期譲渡所得の金額は全額が総合課税の対象になりますが、長期譲渡所得の金額はその2分の1が総合課税の対象になります。これは、長く持っていた資産の売却益に一度に課税される負担を軽くする趣旨です。

区分総合課税の対象になる金額
短期譲渡所得全額
長期譲渡所得その2分の1

特別控除を引いた後の長期譲渡所得の金額を半分にして、給与などと合算します。同じ売却益でも、5年を超えて持っていたかどうかで、合算される金額が半分になるということです。売却の時期を選べる資産であれば、取得日からの年数を確かめてから売る意味があります。

短期と長期の両方があるとき。特別控除は短期から

同じ年に短期と長期の両方の譲渡益があるときは、先に短期の譲渡益から特別控除の50万円を差し引きます。特別控除は長期と短期の合計額に対して50万円であり、それぞれに50万円ずつ使えるわけではありません。

国税庁 タックスアンサー No.3152「譲渡所得の計算のしかた(総合課税)」

譲渡所得の特別控除の額は、その年の長期の譲渡益と短期の譲渡益の合計額に対して50万円です。その年に短期と長期の譲渡益があるときは、先に短期の譲渡益から特別控除の50万円を差し引きます。

短期は全額が課税対象、長期は2分の1が課税対象ですから、全額課税される短期のほうから先に控除を使うのは、納税者に有利な順番です。短期の譲渡益が50万円に満たなければ、残りの控除額を長期の譲渡益から引きます。

よくある質問

ゴルフ会員権や金地金を売ったときの所得は総合課税ですか

総合課税の譲渡所得になるのは、 土地建物や株式等以外の資産を売ったとき です。ゴルフ会員権、金地金、貴金属、書画骨とう、事業用の機械や車両などが当たります。国税庁のタックスアンサーNo.3152は次のように書いています。→ 本文で読む

総合課税の譲渡所得の長期と短期はどこで分かれますか

総合課税の譲渡所得は、 取得したときから売ったときまでの所有期間が5年を超えていれば長期譲渡所得、5年以内なら短期譲渡所得 に分かれます。長期と短期で、後で説明する2分の1の扱いが変わります。→ 本文で読む

所有期間が5年以内でも長期譲渡所得になるものはありますか

所有期間が5年以内でも、 自分が研究して取得した特許権や、自分の著作物の著作権など は長期譲渡所得になります。国税庁は次の6つを挙げています。 (1)から(4)は、自分で生み出した権利です。権利が成立してから売るまでが短くても、それまでの研究や創作の期間があるため長期として扱います。(5)(6)は相続で配偶者居住権を取得した方に関わるもので、 被相続人が建物や土地を取得した日からの期間で判定できる という決まりです。→ 本文で読む

総合課税の譲渡所得の特別控除はいくらですか

総合課税の譲渡所得の金額は、 譲渡価額から取得費と譲渡費用を差し引き、さらに特別控除の50万円を差し引いて 計算します。 取得費で注意したいのは、 車両や機械のように減価する資産は、購入代金から減価償却費相当額を引いた金額が取得費 になる点です。買った値段そのままではありません。事業で使っていた資産なら、帳簿の未償却残高がこれに近い金額です。特別控除の50万円は、譲渡益の合計額が50万円以下のときはその金額までしか控除できません。 つまり、特別控除で譲渡所得がマイナスになることはありません。 譲渡所得の赤字と他の所得との関係は 損益通算できる4つの所得 で説明しています。→ 本文で読む

長期譲渡所得はなぜ2分の1になるのですか

計算した譲渡所得のうち、 短期譲渡所得の金額は全額が総合課税の対象になりますが、長期譲渡所得の金額はその2分の1が総合課税の対象 になります。これは、長く持っていた資産の売却益に一度に課税される負担を軽くする趣旨です。→ 本文で読む

短期と長期の譲渡益が両方ある年の特別控除はどう引きますか

同じ年に短期と長期の両方の譲渡益があるときは、 先に短期の譲渡益から特別控除の50万円を差し引きます 。特別控除は長期と短期の合計額に対して50万円であり、それぞれに50万円ずつ使えるわけではありません。→ 本文で読む

出典

  1. 国税庁「No.3152 譲渡所得の計算のしかた(総合課税)」
    https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3152.htm
  2. 国税庁「No.3202 譲渡所得の計算のしかた(分離課税)」
    https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3202.htm

この記事は、記載時点で公表されている法令・通達・国税庁の資料にもとづいて書いています。制度は改正されることがあり、また個別の事情によって取扱いは変わります。実際のご判断にあたっては、税理士にご相談いただくか、所轄の税務署にお確かめください。当事務所は本記事の情報を用いて行われた判断について責任を負いかねます。

売った資産の買った日・買った値段・売るためにかかった費用を控えてください。

総合課税の譲渡所得は、給与など他の所得と合算して税率が決まるため、売った年の所得全体を見ないと税額が分かりません。取得費から減価償却費相当額を引く資産かどうか、長期か短期かで結果が変わります。売却を検討している段階でのご相談も承ります。ふじみ野市とその近隣の方は訪問でのご相談も承ります。初回30分は無料です。