譲渡
金地金を売ったときの税金。
総合課税の譲渡所得で特別控除は50万円、所有5年超なら2分の1になります
金の価格が上がり、持っていた金地金や金貨を売ったという方が増えています。売却益にどう税金がかかるのか、株と同じなのかというご質問をいただきます。
答えを先に書くと、金地金の売却益は、株のような分離課税ではなく、給与などと合わせる総合課税の譲渡所得です。譲渡益から特別控除50万円を引き、所有期間が5年を超えていればさらに2分の1にします。
一方で、金投資口座や金貯蓄口座の利益は源泉分離課税で、確定申告に含めることはできません。同じ「金」でも持ち方で課税が変わります。国税庁のタックスアンサーNo.3161で、計算の順序を確かめていきます。
この記事の要点
金地金(ゴールドバー・金貨など)を売ったときの所得は、原則として譲渡所得として給与所得などと合わせて総合課税されます。譲渡価額から取得費と譲渡費用を引いた譲渡益から特別控除50万円を差し引き、所有期間が5年を超えるものはさらに2分の1にした金額が課税対象です。営利目的で継続的に売買していれば事業所得か雑所得、金投資口座や金貯蓄口座の利益は20.315パーセントの源泉分離課税です。国税庁タックスアンサーNo.3161をもとに整理しました。
先に見ておくと分かりやすいもの
金地金の売却益は総合課税の譲渡所得
金地金を売ったときの所得は、原則として譲渡所得として、給与所得など他の所得と合わせて総合課税の対象になります。国税庁のタックスアンサーNo.3161はこのように定めています。株式のように分離して税率をかけるのではなく、ほかの所得と合算して税率を当てます。
国税庁 タックスアンサー No.3161「金地金の譲渡による所得」
金地金を売ったときの所得は、原則、譲渡所得として、給与所得など他の所得と合わせて総合課税の対象となります。
総合課税ですから、給与が多い方ほど、金地金の売却益にも高い税率がかかります。逆に、譲渡益が特別控除の範囲に収まれば課税される所得は生じません。総合課税の税率の仕組みは所得税の税率は7段階で整理しています。
営利目的で継続的に売買していれば事業所得か雑所得
金地金の譲渡が営利を目的として継続的に行われている場合には、その実態に応じて事業所得または雑所得になります。譲渡所得ではなくなるので、特別控除50万円や2分の1の計算は使えません。
たまに手持ちの金を売る方は譲渡所得ですが、売買を繰り返して利益を得ることを目的にしている方は、事業所得か雑所得として計算します。どちらに当たるかは回数や金額だけでなく、その実態で判断されます。事業所得と雑所得の分かれ目は副業は事業所得か雑所得かで整理しています。
金投資口座・金貯蓄口座の利益は20.315パーセントの源泉分離課税
金投資口座や金貯蓄口座などからの利益は、金地金の現物の譲渡とは異なり、実態は金融取引に近いことから、金融類似商品の収益として一律20.315パーセント(所得税および復興特別所得税15.315パーセント、地方税5パーセント)の源泉分離課税になります。
| 金の持ち方 | 課税 |
|---|---|
| 金地金・金貨の現物を売却 | 総合課税の譲渡所得(継続的な営利目的なら事業所得・雑所得) |
| 金投資口座・金貯蓄口座の利益 | 20.315パーセントの源泉分離課税。確定申告はできない |
源泉分離課税は源泉徴収だけで課税が終わります。他の所得と合算して確定申告をすることはできませんし、扶養親族などに当てはまるかどうかを判定するときの所得金額からも除かれます。
この20.315パーセントには復興特別所得税が含まれています。No.3161の注は、平成25年1月1日から令和29年12月31日までの間に生ずる所得について、所得税とともに復興特別所得税が源泉徴収されるとしています。令和9年1月1日以後に生ずる所得については、復興特別所得税の税率が1.1パーセントに引き下げられ、防衛特別所得税(源泉徴収すべき所得税の額の1パーセント相当額)が併せて源泉徴収されます。
所有期間5年以内。譲渡益から特別控除50万円を引く
所有期間が5年以内の金地金を売った場合は、総合課税の短期譲渡所得です。譲渡価額から取得費と譲渡費用を引いて金地金の譲渡益を出し、その年の金地金以外の総合課税の譲渡益と合計してから、譲渡所得の特別控除50万円を差し引いた金額が課税される譲渡所得の金額です。
国税庁 タックスアンサー No.3161「金地金の譲渡による所得」(1)所有期間が5年以内のもの
・譲渡価額-(取得費+譲渡費用)=金地金の譲渡益
・{[金地金の譲渡益]+[その年の金地金以外の総合課税の譲渡益]}-譲渡所得の特別控除50万円=課税される譲渡所得の金額
取得費は買ったときの代金、譲渡費用は売るためにかかった手数料などです。買ったときの計算書や領収書が取得費の根拠になりますから、金地金を買ったら必ず保管しておいてください。譲渡益の合計が50万円以下なら、課税される譲渡所得は生じません。
所有期間5年超。特別控除50万円を引いてから2分の1
所有期間が5年を超える金地金を売った場合は、総合課税の長期譲渡所得です。短期と同じように譲渡益から特別控除50万円を差し引いて譲渡所得の金額を出し、さらにその2分の1が課税される譲渡所得の金額になります。
国税庁 タックスアンサー No.3161「金地金の譲渡による所得」(2)所有期間が5年を超えるもの
・{[金地金の譲渡益]+[その年の金地金以外の総合課税の譲渡益]}-譲渡所得の特別控除50万円=譲渡所得の金額
・(譲渡所得の金額)× 1/2 = 課税される譲渡所得の金額
長く持っていた金地金ほど税負担が軽くなる仕組みです。5年を超えているかどうかで、課税される金額が半分になるかが決まりますから、購入日は正確に確かめてください。相続や贈与で受け取った金地金は、前の所有者の取得日や取得費を引き継ぐことがありますので、由来が分かる書類も残しておくと安心です。
特別控除は短期と長期を合わせて50万円。短期から先に引く
譲渡所得の特別控除の額は、その年の金地金の譲渡益とそれ以外の総合課税の譲渡益の合計額に対して50万円です。譲渡益の合計額が50万円以下のときは、その金額までしか控除できません。短期と長期の両方の譲渡益がある場合は、特別控除額は両方合わせて50万円が限度で、短期の譲渡益から先に控除します。
特別控除は「金地金1回の売却ごとに50万円」ではありません。その年の総合課税の譲渡益をすべて合わせて50万円です。同じ年に金地金のほかに骨とう品や貴金属を売って利益が出ていれば、それも合わせた合計に対して50万円になります。
短期と長期の両方がある年は、2分の1にならない短期の譲渡益から先に控除を当てます。控除の順序は選べず、短期から先と決まっています。金地金を売って損が出た場合の、ほかの所得との通算については損益通算できる4つの所得で確かめてください。
よくある質問
金地金を売った利益は何所得になりますか
金地金を売ったときの所得は、原則として譲渡所得として、給与所得など他の所得と合わせて総合課税の対象になります。国税庁のタックスアンサーNo.3161はこのように定めています。株式のように分離して税率をかけるのではなく、ほかの所得と合算して税率を当てます。→ 本文で読む
金地金の売買を繰り返している場合も譲渡所得ですか
金地金の譲渡が営利を目的として継続的に行われている場合には、その実態に応じて事業所得または雑所得になります。譲渡所得ではなくなるので、特別控除50万円や2分の1の計算は使えません。→ 本文で読む
金投資口座や金貯蓄口座の利益は確定申告が必要ですか
金投資口座や金貯蓄口座などからの利益は、金地金の現物の譲渡とは異なり、実態は金融取引に近いことから、金融類似商品の収益として一律20.315パーセント(所得税および復興特別所得税15.315パーセント、地方税5パーセント)の源泉分離課税になります。→ 本文で読む
所有期間5年以内の金地金を売ったときの所得はどう計算しますか
所有期間が5年以内の金地金を売った場合は、総合課税の短期譲渡所得です。譲渡価額から取得費と譲渡費用を引いて金地金の譲渡益を出し、その年の金地金以外の総合課税の譲渡益と合計してから、譲渡所得の特別控除50万円を差し引いた金額が課税される譲渡所得の金額です。→ 本文で読む
5年を超えて持っていた金地金を売ると税金は安くなりますか
所有期間が5年を超える金地金を売った場合は、総合課税の長期譲渡所得です。短期と同じように譲渡益から特別控除50万円を差し引いて譲渡所得の金額を出し、さらにその2分の1が課税される譲渡所得の金額になります。→ 本文で読む
金地金の譲渡所得の特別控除50万円は売却ごとに使えますか
譲渡所得の特別控除の額は、その年の金地金の譲渡益とそれ以外の総合課税の譲渡益の合計額に対して50万円です。譲渡益の合計額が50万円以下のときは、その金額までしか控除できません。短期と長期の両方の譲渡益がある場合は、特別控除額は両方合わせて50万円が限度で、短期の譲渡益から先に控除します。→ 本文で読む
出典
- 国税庁「No.3161 金地金の譲渡による所得」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3161.htm
この記事は、記載時点で公表されている法令・通達・国税庁の資料にもとづいて書いています。制度は改正されることがあり、また個別の事情によって取扱いは変わります。実際のご判断にあたっては、税理士にご相談いただくか、所轄の税務署にお確かめください。当事務所は本記事の情報を用いて行われた判断について責任を負いかねます。
金地金を売ったら、買ったときの計算書と保管していた期間を確かめてください。
金地金の譲渡所得は、取得費が分かるか、所有期間が5年を超えているかで課税される金額が大きく変わります。購入時の計算書や領収書、売却時の計算書をお持ちいただければ、特別控除50万円と2分の1の適用を確かめて申告の要否を整理します。ふじみ野市とその近隣の方は訪問でのご相談も承ります。初回30分は無料です。
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