譲渡
土地や建物を売ったときの譲渡所得の計算。
売った金額から取得費と譲渡費用を引き、所有期間5年で長期と短期に分けます
土地や建物を売ると、売った金額そのものに税金がかかるわけではありません。買ったときの値段と、売るためにかかった費用を差し引いた「譲渡所得」に課税されます。
答えを先に書くと、譲渡所得の金額=売った金額(収入金額)-取得費-譲渡費用です。そして、譲渡した年の1月1日時点で所有期間が5年を超えているかどうかで、長期譲渡所得と短期譲渡所得に分かれ、税金の計算も別々になります。
取得費に何が入るか、取得費が分からないときはどうするか、所有期間はいつから数えるか。国税庁のタックスアンサーNo.3202とNo.3258で順に確認していきます。
この記事の要点
土地や建物を売ったときの譲渡所得は、ほかの所得と分離して計算します。金額は、売った金額(収入金額)から取得費と譲渡費用を差し引いた額です。取得費は購入代金や購入手数料に改良費・設備費を加えたもので、建物は減価償却費相当額を引き、取得費が分からないときは譲渡価額の5パーセントにできます。譲渡した年の1月1日で所有期間が5年を超えれば長期、5年以下なら短期です。国税庁タックスアンサーNo.3202・No.3258をもとに整理しました。
先に見ておくと分かりやすいもの
土地建物の譲渡所得はほかの所得と分離して計算する
まず、計算の枠組みです。国税庁のタックスアンサーNo.3202は、土地や建物を売ったときの譲渡所得に対する税金は、事業所得や給与所得などの所得と分離(分離課税)して計算することになっている、としています。
給与や事業の所得は合算して累進税率で計算しますが、土地建物の譲渡所得はそこに混ぜず、別枠で計算します。だから、売った年に給与が多くても少なくても、譲渡所得にかかる税金の計算には影響しません。逆に、譲渡で損が出ても、原則として給与などから引くことはできません。
譲渡所得の金額=収入金額-取得費-譲渡費用
譲渡所得の金額は、土地や建物を売った金額(収入金額)から取得費と譲渡費用を差し引いて計算します。No.3202はこの算式を計算方法の冒頭に置いています。
国税庁 タックスアンサー No.3202「譲渡所得の計算のしかた(分離課税)」
譲渡所得の金額は、土地や建物を売った金額(収入金額)から取得費と譲渡費用を差し引いて計算します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 収入金額 | 土地や建物を売った金額 |
| 取得費 | 買い入れたときの購入代金や購入手数料などに、その後の改良費・設備費を加えた額(建物は減価償却費相当額を差し引く) |
| 譲渡費用 | 売るために直接かかった費用 |
| 譲渡所得の金額 | 収入金額-取得費-譲渡費用 |
取得費と譲渡費用をどれだけ積み上げられるかで、譲渡所得の金額が変わります。それぞれに何が入るかを順に見ていきます。
取得費に入るもの。建物は減価償却費相当額を引く
取得費とは、売った土地や建物を買い入れたときの購入代金や購入手数料などの資産の取得に要した金額に、その後支出した改良費、設備費などの額を加えた合計額です。No.3202はこのように定めています。
買ったときの代金だけでなく、仲介手数料などの購入手数料、その後のリフォームや設備の追加にかかった費用も取得費に入ります。買ったときの契約書や領収書、工事の請求書を保管しておく意味はここにあります。
ただし建物には調整があります。No.3202は、建物の取得費は所有期間中の減価償却費相当額を差し引いて計算する、としています。建物は年数がたつと価値が下がるので、買った値段から使った期間分の償却費を引いた額が取得費です。土地は減価償却しませんので、買った値段がそのまま残ります。
取得費が分からないときは譲渡価額の5パーセント
先祖から引き継いだ土地など、買ったときの資料が残っていないことがあります。No.3202は、土地や建物の取得費が分からなかったり、実際の取得費が譲渡価額の5パーセントよりも少ないときは、譲渡価額の5パーセントを取得費(概算取得費)とすることができる、としています。
国税庁 タックスアンサー No.3258「取得費が分からないとき」
例えば、土地建物を3,000万円で売った場合に取得費が不明のときは、売った金額の5パーセント相当額である150万円を取得費とすることができます。
3,000万円で売って取得費が150万円ですから、譲渡所得は大きくなります。実際の取得費が分かる資料があれば、そのほうが有利になることがほとんどです。購入時の契約書が見つからない場合の探し方や考え方は取得費が分からない不動産を売ったときで整理しています。
譲渡費用に入るもの。仲介手数料・測量費・印紙代・立退料・取壊し費用
譲渡費用とは、土地や建物を売るために直接かかった費用です。No.3202は、仲介手数料、測量費、売買契約書の印紙代、売却するときに借家人などに支払った立退料、建物を取り壊して土地を売るときの取壊し費用などを挙げています。
| 譲渡費用の例 |
|---|
| 仲介手数料 |
| 測量費 |
| 売買契約書の印紙代 |
| 売却するときに借家人などに支払った立退料 |
| 建物を取り壊して土地を売るときの取壊し費用 |
ポイントは「売るために直接かかった」費用であることです。売却のために入居者に払った立退料は譲渡費用ですが、貸し続けるために払った立退料は不動産所得の必要経費で、譲渡費用ではありません。同じ名目でも目的で扱いが変わります。
長期と短期の区分。譲渡した年の1月1日で所有期間5年
土地建物の譲渡所得は、所有期間によって長期譲渡所得と短期譲渡所得の2つに区分し、税金の計算も別々に行います。No.3202は、長期譲渡所得とは譲渡した年の1月1日において所有期間が5年を超えるもの、短期譲渡所得とは譲渡した年の1月1日において所有期間が5年以下のもの、としています。
| 区分 | 譲渡した年の1月1日における所有期間 |
|---|---|
| 長期譲渡所得 | 5年を超えるもの |
| 短期譲渡所得 | 5年以下のもの |
気をつけたいのは、売った日ではなく、売った年の1月1日時点で数えることです。買ってから丸5年たった直後に売っても、その年の1月1日時点ではまだ5年を超えていないことがあります。1年ずれると長期か短期かが変わり、税金の計算も変わりますので、売却の時期を決める前に確かめてください。
相続や贈与で取得した土地建物の所有期間は前の所有者から数える
所有期間とは、土地や建物の取得の日から引き続き所有していた期間です。No.3202の注記は、相続や贈与により取得したものは、原則として、被相続人や贈与者の取得した日から計算する、としています。
親から相続した家を相続の翌年に売る場合でも、親が買った日から所有期間を数えます。親が長く住んでいた家であれば、相続してすぐ売っても長期譲渡所得になります。相続登記の日から数え直す必要はありません。自宅を売ったときの特例はマイホームを売ったときの控除で、住まなくなった後に売る場合は昔住んでいた家を売ったときで整理しています。
よくある質問
土地や建物を売った所得は給与と合算して計算しますか
まず、計算の枠組みです。国税庁のタックスアンサーNo.3202は、土地や建物を売ったときの譲渡所得に対する税金は、事業所得や給与所得などの所得と分離(分離課税)して計算することになっている、としています。→ 本文で読む
土地建物の譲渡所得はどう計算しますか
譲渡所得の金額は、土地や建物を売った金額(収入金額)から取得費と譲渡費用を差し引いて計算します。No.3202はこの算式を計算方法の冒頭に置いています。 取得費と譲渡費用をどれだけ積み上げられるかで、譲渡所得の金額が変わります。 それぞれに何が入るかを順に見ていきます。→ 本文で読む
土地建物の取得費には何が含まれますか
取得費とは、売った土地や建物を買い入れたときの購入代金や購入手数料などの資産の取得に要した金額に、その後支出した改良費、設備費などの額を加えた合計額です。No.3202はこのように定めています。→ 本文で読む
買ったときの契約書がなく取得費が分からない場合はどうしますか
先祖から引き継いだ土地など、買ったときの資料が残っていないことがあります。No.3202は、土地や建物の取得費が分からなかったり、実際の取得費が譲渡価額の5パーセントよりも少ないときは、譲渡価額の5パーセントを取得費(概算取得費)とすることができる、としています。→ 本文で読む
不動産を売ったときの譲渡費用には何が含まれますか
譲渡費用とは、土地や建物を売るために直接かかった費用です。No.3202は、仲介手数料、測量費、売買契約書の印紙代、売却するときに借家人などに支払った立退料、建物を取り壊して土地を売るときの取壊し費用などを挙げています。→ 本文で読む
長期譲渡所得と短期譲渡所得はどこで分かれますか
土地建物の譲渡所得は、所有期間によって長期譲渡所得と短期譲渡所得の2つに区分し、税金の計算も別々に行います。No.3202は、長期譲渡所得とは譲渡した年の1月1日において所有期間が5年を超えるもの、短期譲渡所得とは譲渡した年の1月1日において所有期間が5年以下のもの、としています。→ 本文で読む
相続した土地の所有期間はいつから数えますか
所有期間とは、土地や建物の取得の日から引き続き所有していた期間です。No.3202の注記は、相続や贈与により取得したものは、原則として、被相続人や贈与者の取得した日から計算する、としています。→ 本文で読む
出典
- 国税庁「No.3202 譲渡所得の計算のしかた(分離課税)」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3202.htm - 国税庁「No.3258 取得費が分からないとき」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3258.htm
この記事は、記載時点で公表されている法令・通達・国税庁の資料にもとづいて書いています。制度は改正されることがあり、また個別の事情によって取扱いは変わります。実際のご判断にあたっては、税理士にご相談いただくか、所轄の税務署にお確かめください。当事務所は本記事の情報を用いて行われた判断について責任を負いかねます。
売買契約書と、買ったときの契約書・領収書をそろえてください。
譲渡所得の計算でいちばん差が出るのは取得費です。買ったときの契約書や仲介手数料の領収書、リフォームの請求書があれば取得費に入れられます。見つからないと売った金額の一部しか取得費にできません。所有期間は登記簿と契約書で数えます。売る前に一度、概算をお出しします。ふじみ野市とその近隣の方は訪問でのご相談も承ります。初回30分は無料です。
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