申告
個人年金保険の年金は雑所得。
自分で保険料を払った年金は10.21%の源泉徴収、払った人が違えば贈与税です
個人年金保険の年金が始まると、「公的年金と同じように申告するのか」というご質問をいただきます。
答えを先に書くと、ご自身で保険料を払った個人年金は「公的年金等以外の雑所得」で、年金の額から対応する保険料を引いた金額に課税されます。公的年金等控除は使えません。受け取るときに10.21%が源泉徴収されていることもあります。
そして、保険料を払った人が受取人と違う場合は、話が贈与税に変わります。国税庁のタックスアンサーNo.1610で、2つの場合を順に確認していきます。
この記事の要点
個人年金保険から受け取る年金は、保険料を払った人と受取人が同じなら公的年金等以外の雑所得です。雑所得の金額は年金の額から対応する払込保険料を引いた金額で、支払時には残額に10.21%の所得税等が源泉徴収されます(残額が25万円未満なら源泉徴収なし)。一時金なら一時所得、保険料を払った人と受取人が違えば年金受給権に贈与税がかかります。国税庁タックスアンサーNo.1610・No.1620をもとに整理しました。
先に見ておくと分かりやすいもの
保険料を払った人と受取人が同じなら雑所得
個人年金保険契約に基づき支払を受ける年金は、保険料の負担者と年金の受取人が同一人の場合、公的年金等以外の雑所得として所得税が課税されます。国税庁のタックスアンサーNo.1610は、保険料の負担者と受取人が誰であるかで課税関係が異なる、としています。
国税庁 タックスアンサー No.1610「保険契約者(保険料の負担者)である本人が支払を受ける個人年金」
保険料の負担者と年金の受取人が同一人の場合には、公的年金等以外の雑所得として所得税が課税されます。
「公的年金等以外」という言葉が大切です。国民年金や厚生年金は公的年金等に係る雑所得で、公的年金等控除を差し引いて計算しますが、個人年金保険の年金はその枠には入りません。同じ雑所得でも、公的年金等とは別の計算になります。公的年金の側は公的年金の税金と確定申告不要制度で、雑所得のなかの分け方は雑所得の3区分で整理しています。
雑所得の金額。年金の額から対応する保険料を引く
雑所得の金額は、その年中に支払を受けた年金の額から、その金額に対応する払込保険料または掛金の額を差し引いた金額です。受け取った年金の全額が所得になるのではなく、ご自身が払い込んだ保険料のうち、その年の年金に対応する部分を引きます。
個人年金は、長年払い込んだ保険料が年金として戻ってくるものです。払った保険料の分は元本の返還であって所得ではない、という考え方で、年金の額のうち保険料に対応する部分を除いた残りが雑所得になります。保険会社から届く支払通知書に、年金の額と、それに対応する保険料の額が書かれています。その差額が雑所得です。
一時金で受け取ると一時所得
年金受給開始日前、または年金受給開始後に、将来の年金給付の総額に代えて一時金で受け取った場合は、雑所得ではなく一時所得として所得税が課税されます。受け取り方で所得の区分が変わります。
毎年少しずつ受け取れば雑所得、まとめて一度に受け取れば一時所得です。同じ契約から出るお金でも、受け取り方で計算が変わるということです。満期保険金や解約返戻金を一時金で受け取ったときの扱いは満期保険金・解約返戻金の税金で整理しています。年金で受け取るか一時金にするかは、その年のほかの所得とあわせて考えるのが確実です。
源泉徴収は10.21%。残額が25万円未満なら源泉徴収なし
年金が支払われる際は、年金の額からその年金の額に対応する保険料または掛金の額を差し引いた残額に10.21%を乗じた所得税および復興特別所得税が源泉徴収されます。ただし、年金の年額から対応する保険料または掛金の額を控除した残額が25万円未満の場合には、源泉徴収されません。
国税庁 タックスアンサー No.1610「保険契約者(保険料の負担者)である本人が支払を受ける個人年金」
(年金の額 - その年金の額に対応する保険料または掛金の額)×10.21%
源泉徴収されているからといって、それで課税が終わるわけではありません。源泉徴収は前払いで、最終的な税額は確定申告で他の所得とあわせて計算します。源泉徴収された分が多ければ還付、少なければ納付です。残額が25万円未満で源泉徴収されていない年金も、雑所得として申告の対象になります。
No.1610の注記は、平成25年1月1日から令和29年12月31日までの間に生ずる所得については、所得税とともに復興特別所得税が源泉徴収されるとしています。さらに、令和9年1月1日以後に生ずる所得については、復興特別所得税の税率が1.1パーセントに引き下げられ、防衛特別所得税(源泉徴収すべき所得税の額の1パーセント相当額)が併せて源泉徴収されます。支払通知書の税額の欄の見え方が変わる可能性がありますので、覚えておいてください。
保険料を払った人と受取人が違うと贈与税
保険料の負担者と年金の受取人が異なる場合には、保険料負担者から年金の受取人に対して年金を受け取る権利が贈与されたものとみなされ、給付事由発生時点で贈与税が課税されます。たとえば夫が保険料を払い、妻が年金を受け取る契約がこれに当たります。
年金が始まった時点で、年金を受け取る権利そのものが贈与されたと見ます。毎年の年金ではなく、年金開始のときに一度、権利の価額に対して贈与税がかかるということです。No.1610は、この場合、年金が支払われる際に所得税は源泉徴収されない、としています。
契約者と保険料負担者が違うこともあります。No.1610の題名が「保険契約者(保険料の負担者)」となっているとおり、見るのは実際に保険料を払った人です。誰の口座から保険料が引かれていたかを確かめてください。
受取人が違う年金の所得税。初年は全額非課税、2年目以降は階段状
保険料負担者と受取人が違う場合、贈与税とは別に、毎年受け取る年金に係る所得税は、年金支給初年は全額非課税、2年目以降は課税部分が階段状に増加していく方法で計算します。実際に贈与税の納税額が生じなかった場合も、この方法で計算します。
贈与税がかかった権利から出てくる年金に、そのまま所得税をかけると二重になります。そのため、No.1620が示す方法で、年金の収入金額を非課税部分と課税部分に振り分けたうえで、課税部分の年金収入額から対応する保険料または掛金の額を控除して雑所得を計算します。初年は全額非課税、年を重ねるごとに課税部分が増えていく形です。
No.1620は、相続や贈与で年金受給権を取得した方について、死亡保険金を年金形式で受給している方や、個人年金保険契約に基づく年金を受給している方を対象に挙げています。相続税や贈与税の納税額が実際に生じなかった方も対象です。なお、国民年金、厚生年金、共済年金などの遺族年金は非課税とされています。ご自身の年金がどちらの場合に当たるかは、保険証券で保険料負担者と受取人を確かめるところから始まります。
よくある質問
個人年金保険の年金は何所得になりますか
個人年金保険契約に基づき支払を受ける年金は、保険料の負担者と年金の受取人が同一人の場合、公的年金等以外の雑所得として所得税が課税されます。国税庁のタックスアンサーNo.1610は、保険料の負担者と受取人が誰であるかで課税関係が異なる、としています。→ 本文で読む
個人年金の雑所得はどう計算しますか
雑所得の金額は、その年中に支払を受けた年金の額から、その金額に対応する払込保険料または掛金の額を差し引いた金額です。受け取った年金の全額が所得になるのではなく、ご自身が払い込んだ保険料のうち、その年の年金に対応する部分を引きます。→ 本文で読む
個人年金を一時金で受け取ると何所得になりますか
年金受給開始日前、または年金受給開始後に、将来の年金給付の総額に代えて一時金で受け取った場合は、雑所得ではなく一時所得として所得税が課税されます。受け取り方で所得の区分が変わります。→ 本文で読む
個人年金からはいくら源泉徴収されますか
年金が支払われる際は、年金の額からその年金の額に対応する保険料または掛金の額を差し引いた残額に10.21%を乗じた所得税および復興特別所得税が源泉徴収されます。ただし、年金の年額から対応する保険料または掛金の額を控除した残額が25万円未満の場合には、源泉徴収されません。→ 本文で読む
夫が保険料を払った個人年金を妻が受け取るとどうなりますか
保険料の負担者と年金の受取人が異なる場合には、保険料負担者から年金の受取人に対して年金を受け取る権利が贈与されたものとみなされ、給付事由発生時点で贈与税が課税されます。たとえば夫が保険料を払い、妻が年金を受け取る契約がこれに当たります。→ 本文で読む
贈与税がかかった個人年金にも所得税がかかりますか
保険料負担者と受取人が違う場合、贈与税とは別に、毎年受け取る年金に係る所得税は、年金支給初年は全額非課税、2年目以降は課税部分が階段状に増加していく方法で計算します。実際に贈与税の納税額が生じなかった場合も、この方法で計算します。→ 本文で読む
出典
- 国税庁「No.1610 保険契約者(保険料の負担者)である本人が支払を受ける個人年金」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1610.htm - 国税庁「No.1620 相続等により取得した年金受給権に係る生命保険契約等に基づく年金の課税関係」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1620.htm
この記事は、記載時点で公表されている法令・通達・国税庁の資料にもとづいて書いています。制度は改正されることがあり、また個別の事情によって取扱いは変わります。実際のご判断にあたっては、税理士にご相談いただくか、所轄の税務署にお確かめください。当事務所は本記事の情報を用いて行われた判断について責任を負いかねます。
個人年金の支払通知書が届いたら、公的年金の源泉徴収票と一緒に保管してください。
個人年金の雑所得は、公的年金等とは別に計算します。支払通知書に書かれた年金の額と対応する保険料、源泉徴収された税額をもとに、申告が必要かどうかを確認します。保険料を払ったのがご自身でない場合は贈与税の論点も出てきますので、契約者・保険料負担者・受取人が分かる証券をお持ちください。ふじみ野市とその近隣の方は訪問でのご相談も承ります。初回30分は無料です。
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