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申告

配当金の税金。
上場株式は15.315%が源泉徴収され、確定申告では「申告不要・総合課税・申告分離課税」の3つから選びます

株式や投資信託の配当金を受け取ると、すでに税金が引かれた金額が振り込まれます。それで終わりにしてよいのか、申告したほうが得なのか。毎年ご質問をいただきます。

答えを先に書くと、上場株式等の配当は申告しなくても済みますが、申告すれば「総合課税」か「申告分離課税」を選べて、状況によっては税金が戻ります。どれを選ぶかで、配当控除が使えるか、株の損失と通算できるか、扶養の判定に影響するかが変わります。

国税庁のタックスアンサーNo.1330とNo.1331で、配当所得の計算から3つの選び方まで順に確認していきます。

公開 最終更新

この記事の要点

株式の配当金は配当所得です。上場株式等の配当は支払時に15.315%(ほかに地方税5%)、上場株式等以外は20.42%が源泉徴収されます。確定申告では、申告しない「確定申告不要制度」、配当控除を受ける「総合課税」、株の譲渡損失と損益通算できる「申告分離課税」の3つから選べます。上場株式等の配当は金額にかかわらず申告不要にできます。国税庁タックスアンサーNo.1330・No.1331をもとに整理しました。

先に見ておくと分かりやすいもの

配当所得とは。株式の配当・投資信託の分配金など

配当所得とは、株主や出資者が法人から受ける剰余金や利益の配当、剰余金の分配、基金利息、投資法人からの金銭の分配、投資信託や特定受益証券発行信託の収益の分配などに係る所得です。国税庁のタックスアンサーNo.1330は、配当所得の範囲をこのように定めています。

国税庁 タックスアンサー No.1330「配当金を受け取ったとき(配当所得)」

配当所得とは、株主や出資者が法人から受ける剰余金や利益の配当、剰余金の分配、基金利息、投資法人からの金銭の分配または投資信託(公社債投資信託および公募公社債等運用投資信託以外のもの)および特定受益証券発行信託の収益の分配などに係る所得をいいます。

株式の配当金だけでなく、株式投資信託の分配金も配当所得です。一方、公社債投資信託や公募公社債等運用投資信託の分配金は除かれています。ご自身の受け取っているものがどちらかは、証券会社の支払通知書で確かめられます。

配当所得の金額は、収入金額から借入金の利子を引く

配当所得の金額は、収入金額から株式などを取得するための借入金の利子を差し引いて計算します。No.1330は「収入金額(源泉徴収税額や外国所得税額を差し引く前の金額)-株式などを取得するための借入金の利子=配当所得の金額」としています。

収入金額は源泉徴収される前の金額です。振り込まれた手取りではありません。差し引ける借入金の利子は、配当所得を生ずべき元本のその年における保有期間に対応する部分に限られます。譲渡した株式に係るものや、確定申告をしないことを選択した配当に係るものは差し引けません。

源泉徴収は上場株式等15.315%、それ以外は20.42%

配当は支払の際に所得税等が源泉徴収されます。No.1330は、株式等の区分に応じて次の税率を示しています。源泉徴収された所得税等は、原則としてその年分の納付すべき所得税額等を計算する際に差し引きます。

区分源泉徴収の税率
上場株式等の配当等(大口株主等が受けるものを除く)15.315%(ほかに地方税5%)
上場株式等以外の配当等(大口株主等が受ける上場株式等の配当等を含む)20.42%(地方税なし)

大口株主等とは、内国法人の発行済株式の総数等の3パーセント以上に相当する数または金額の株式等を有する個人です。No.1330の注記では、令和5年10月1日以後に支払われる上場株式等の配当等については、本人と、本人を判定の基礎とした場合に同族会社に該当する法人の保有分を合算して3パーセント以上となる場合も大口株主等に含まれる、としています。

なお、この税率には復興特別所得税が含まれています。令和9年1月1日以後に生ずる所得については、復興特別所得税の税率が1.1パーセントに引き下げられ、防衛特別所得税(源泉徴収すべき所得税の額の1%相当額)が併せて源泉徴収されます。No.1331は、合計税率に変更はないので源泉徴収税額の計算方法に変更は生じない、としています。

総合課税を選ぶと配当控除が使える

配当所得は、原則として総合課税の対象です。総合課税とは、各種所得の金額を合計して所得税額を計算する方法です。No.1330は、総合課税の対象とした配当所得については、一定のものを除き配当控除の適用を受けることができる、としています。

配当は法人税を払った後の利益から支払われるので、個人の所得税との二重の課税を調整するのが配当控除です。総合課税を選ぶと、ほかの所得と合算して累進税率がかかり、その税額から配当控除を引くという計算になります。所得が少ない方ほど、源泉徴収された税金が戻りやすい選び方です。配当控除の詳細はコード1250に整理されています。

なお、大口株主等が受ける上場株式等の配当等と、上場株式等以外の配当等は総合課税の対象で、申告分離課税や確定申告不要制度(少額配当である場合を除く)は選べません。

申告分離課税を選ぶと株の譲渡損失と通算できる

大口株主等が受けるものを除く上場株式等の配当等については、総合課税によらず申告分離課税を選択できます。No.1331は、申告分離課税の税率は20.315パーセント(所得税および復興特別所得税15.315パーセント、地方税5パーセント)としています。

申告分離課税を選ぶ意味は、上場株式等の譲渡損失と損益通算できることにあります。No.1331は、上場株式等に係る譲渡損失の金額がある場合、またはその年の前年以前3年内の各年に生じた譲渡損失のうち控除されていないものがある場合には、申告分離課税を選択した上場株式等の配当所得等の金額から控除できる、としています。しくみは株の譲渡損失の損益通算と繰越で整理しています。

引き換えに、申告分離課税を選択した配当所得には配当控除の適用がありません。また、申告分離課税の選択は、確定申告する上場株式等の配当所得の全額についてしなければなりません。一部を総合課税、一部を申告分離課税と分けることはできません。

確定申告不要制度。上場株式等は金額にかかわらず選べる

配当所得のうち一定のものは、納税者の判断で確定申告をしなくてもよいことになっています。これが確定申告不要制度です。No.1330は、対象を次の2つに分けています。

区分確定申告不要になる条件
イ 少額配当(上場株式等以外。大口株主等が受ける場合を含む)一回に支払を受けるべき配当等の金額が「10万円×配当計算期間の月数÷12」以下である場合
ロ 上場株式等の配当等(大口株主等が受ける場合を除く)支払を受けるべき配当等の金額にかかわらず、確定申告を要しない

少額配当の計算で、配当計算期間が1年を超える場合は12月として計算し、1月に満たない端数は1月として計算します。適用するかどうかは、1回に支払を受けるべき配当等の額ごと(特定口座の源泉徴収口座に受け入れた配当等は口座ごと)に選択できます。

国税庁 タックスアンサー No.1330「配当金を受け取ったとき(配当所得)」

なお、確定申告不要制度を選択した配当所得に係る源泉徴収税額は、その年分の所得税額から差し引くことはできません。

申告しない配当は、源泉徴収で課税が終わります。その配当から引かれた税金を、ほかの所得の税額から差し引くことはできません。

3つの方法の違いを表で比べる

No.1331は、上場株式等の配当等について3つの方法の違いを表にしています。どれを選ぶかを決めるときの物差しになりますので、そのまま載せます。

総合課税を選択申告分離課税を選択確定申告をしない
借入金利子の控除ありありなし
税率累進税率所得税15.315% 地方税5%源泉徴収で完結
配当控除ありなしなし
上場株式等の譲渡損失との損益通算なしありなし
扶養控除等の判定合計所得金額に含まれる合計所得金額に含まれる合計所得金額に含まれない

見落としやすいのが最後の行です。申告すると配当が合計所得金額に含まれ、ご家族の扶養に入っている方は扶養から外れることがあります。申告不要を選べば合計所得金額に含まれません。

そして、No.1331の注記は、申告不要、申告分離課税、総合課税のいずれによるかは確定申告において選択し、選択した、または選択しなかった方法は、その後、修正申告や更正の請求において変更することはできない、としています。申告書を出した後で選び直すことはできません。NISA口座の配当は課税されませんので、この選択の対象にもなりません。NISAのしくみはiDeCoとNISAで整理しています。

よくある質問

投資信託の分配金は配当所得ですか

配当所得とは、株主や出資者が法人から受ける剰余金や利益の配当、剰余金の分配、基金利息、投資法人からの金銭の分配、投資信託や特定受益証券発行信託の収益の分配などに係る所得です。国税庁のタックスアンサーNo.1330は、配当所得の範囲をこのように定めています。→ 本文で読む

配当所得の金額はどう計算しますか

配当所得の金額は、収入金額から株式などを取得するための借入金の利子を差し引いて計算します。No.1330は「収入金額(源泉徴収税額や外国所得税額を差し引く前の金額)-株式などを取得するための借入金の利子=配当所得の金額」としています。→ 本文で読む

配当金からはいくら源泉徴収されていますか

配当は支払の際に所得税等が源泉徴収されます。No.1330は、株式等の区分に応じて次の税率を示しています。源泉徴収された所得税等は、原則としてその年分の納付すべき所得税額等を計算する際に差し引きます。→ 本文で読む

配当を総合課税で申告するとどうなりますか

配当所得は、原則として総合課税の対象です。総合課税とは、各種所得の金額を合計して所得税額を計算する方法です。No.1330は、総合課税の対象とした配当所得については、一定のものを除き配当控除の適用を受けることができる、としています。→ 本文で読む

配当を申告分離課税で申告するとどうなりますか

大口株主等が受けるものを除く上場株式等の配当等については、総合課税によらず申告分離課税を選択できます。No.1331は、申告分離課税の税率は20.315パーセント(所得税および復興特別所得税15.315パーセント、地方税5パーセント)としています。→ 本文で読む

上場株式の配当は確定申告しなくてよいですか

配当所得のうち一定のものは、納税者の判断で確定申告をしなくてもよいことになっています。これが確定申告不要制度です。No.1330は、対象を次の2つに分けています。 少額配当の計算で、配当計算期間が1年を超える場合は12月として計算し、1月に満たない端数は1月として計算します。適用するかどうかは、 1回に支払を受けるべき配当等の額ごと(特定口座の源泉徴収口座に受け入れた配当等は口座ごと)に選択 できます。→ 本文で読む

配当を申告すると扶養から外れますか

No.1331は、上場株式等の配当等について3つの方法の違いを表にしています。どれを選ぶかを決めるときの物差しになりますので、そのまま載せます。 見落としやすいのが最後の行です。 申告すると配当が合計所得金額に含まれ、ご家族の扶養に入っている方は扶養から外れることがあります。 申告不要を選べば合計所得金額に含まれません。→ 本文で読む

出典

  1. 国税庁「No.1330 配当金を受け取ったとき(配当所得)」
    https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1330.htm
  2. 国税庁「No.1331 上場株式等の配当等に係る申告分離課税制度」
    https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1331.htm

この記事は、記載時点で公表されている法令・通達・国税庁の資料にもとづいて書いています。制度は改正されることがあり、また個別の事情によって取扱いは変わります。実際のご判断にあたっては、税理士にご相談いただくか、所轄の税務署にお確かめください。当事務所は本記事の情報を用いて行われた判断について責任を負いかねます。

配当の支払通知書と、株の年間取引報告書を並べてください。

配当を申告するかどうかは、ご自身の所得の水準、配当控除が使えるか、株の譲渡損失があるか、ご家族の扶養に入っているかで答えが変わります。一度選んだ方法は修正申告や更正の請求で変えられませんので、申告前に比べておくことが大切です。ふじみ野市とその近隣の方は訪問でのご相談も承ります。初回30分は無料です。