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消費税

消費税1%の切替日をまたぐ取引。
売上・仕入・返品・請求書の線引き

飲食料品の消費税率が、令和9年4月1日から2年間、1%に引き下げられる予定です。この記事を書いている時点では、財務省の国会提出法案のページにこの法案は載っていません。

税率が変わる日の前後には、実務で迷う取引が出てきます。3月に仕入れて4月に売る商品、検収は4月で出荷は3月の取引、3月に売ったものが4月に返品された場合、3月16日から4月15日までの請求書。国税庁が令和8年9月に公表したQ&Aには、これらの扱いが載っています。

売上の税率と仕入の税率が、同じ日の取引で食い違うことがあるのが、今回の切替えの特徴です。国税庁のQ&Aとパンフレットをもとに、切替日をまたぐ取引を整理します。

公開 最終更新

この記事の要点

消費税が1%になる予定の令和9年4月1日をまたぐ取引は、売上と仕入で税率が分かれることがあります。国税庁のQ&Aによると、3月31日までに仕入れた飲食料品は、売るのが4月1日以後でも仕入は8%。3月31日以前に売ったものの返品や貸倒れは8%で調整します。売り手と買い手の計上基準が違う場合、定期便・通信販売、締め日が月の途中の請求書の書き方まで整理しました。法案が成立した場合の内容です。

1%は4月1日以後の譲渡から。判定は「提供した時」

飲食料品の税率1%は、令和9年4月1日以後に行う飲食料品の譲渡から適用される予定です。軽減税率がいま8%であるのと同じで、税率の判定は、事業者が飲食料品を提供する時点で行います。

法案が成立した場合の内容です

国税庁のQ&Aは、冒頭で「今後、法案が国会に提出され、審議を経た上で可決・成立した場合のもの」と断っています。この記事も同じです。法案の内容が変われば、扱いも変わります。

場面税率
令和9年3月31日までに行った飲食料品の譲渡8%
3月31日までに契約を結んだが、引渡しが4月1日以後のもの1%(経過的な取扱いに当たるものを除く)
3月31日までに仕入れた飲食料品を、4月1日以後に売る売上は1%、仕入は8%のまま

国税庁のQ&Aは、3月31日までに行われた飲食料品の仕入れについては、その販売が4月1日以後に行われても、税率8%が適用されるとしています。3月に仕入れた在庫を4月に売ると、仕入の税額(8%)が売上の税額(1%)より大きくなります。

日付の境目は、営業時間が日をまたぐ店で問題になります。国税庁のQ&Aには、営業時間が午前9時から翌日の午前1時までのスーパーが、売上を午前1時で締めて集計している例があります。令和9年3月31日分の売上として計上している4月1日の午前0時から午前1時までの売上は、継続して使っている売上計上基準に従って3月31日分として計上するなら、すべて3月31日時点の税率(8%)を適用して差し支えない、というのが国税庁の答えです。

買い手と売り手の計上基準が違っても、売り手の税率に従う

売り手が出荷基準、買い手が検収基準のように、取引を計上する基準が違うと、同じ取引でも売り手と買い手で日付が分かれます。国税庁のQ&Aは、買い手は、売り手が適用した税率に基づいて仕入税額控除を行うとしています。

国税庁 Q&A 問1-4

買い手は、売り手が適用した税率に基づき仕入税額控除を行うこととなります。

Q&Aの例は、取引先の出荷が令和9年3月30日、買い手の納品(検収)が4月2日で、売り手が8%で請求してきたというものです。この場合、買い手は8%で仕入税額控除を行います。買い手は、売り手から受け取ったインボイスに書かれた税率と消費税額等に基づいて計算します。

区分記載請求書等で、税込価額は書かれているが、適用された税率(8%か1%か)が明らかでないときは、取引の相手方に確認したうえで適用税率を判断します。

3月31日以前に売ったものの返品・貸倒れは8%で調整

令和9年3月31日以前に販売した飲食料品(8%の対象)について、4月1日以後に返品があって対価を返した場合は、元の取引の税率である8%に基づいて、売上げに係る対価の返還等の消費税額を計算します。販売の時点で決まった税率が、返品の処理にも引き継がれます。

3月31日以前に行った飲食料品の販売の売掛金が、4月1日以後に貸倒れになった場合も同じ扱いです。国税庁のパンフレットも、8%で販売した飲食料品に、4月1日以後に返品や貸倒れがあったときは、8%で調整計算を行うと書いています。

元の売上返品・貸倒れが起きた時期調整に使う税率
令和9年3月31日以前(8%)令和9年4月1日以後8%

返品の伝票には、元の売上がどの税率だったかが分かる記録を残しておく必要があります。返品の税率が元の売上の税率で決まるという点は、食品を売る事業者がやることの記事にも書きました。

定期便と通信販売は、8%のまま残る場合がある

令和9年4月1日以後の飲食料品の譲渡は原則として1%ですが、一定の定期供給契約と通信販売に基づくものは、これまでどおり8%が適用されます。国税庁のQ&Aは、この経過的な取扱いは選択適用ではなく、当てはまれば8%になるとしています。

8%のまま残るもの1%になるもの
定期供給契約令和9年1月1日前に結んだ定期供給契約で、同年4月1日前に対価を受け取っている分の、4月1日以後の譲渡(受け取っている部分に限る)。例:代金を先払いしておくと季節の食材が毎月届く定期便契約等に「4月1日以後に販売するものは1%による」と定めがあるなど、1%を前提とした契約。令和9年1月1日以後に、契約金額を1%に変更する契約を結んだ場合
通信販売令和9年1月1日前に販売条件を示し、同年4月1日前に申込みを受けた、4月1日以後の譲渡。例:お中元やギフトのカタログ販売販売条件に「4月1日以後に販売するものは1%による」と示している場合など、1%を前提に販売している場合

「定期的に継続して供給する」とは、週、月、年その他の一定の周期を単位として、おおむね規則的に継続して供給することをいいます。「販売条件の提示」とは、新聞、テレビ、チラシ、カタログ、インターネット等の媒体を通じて、購読者や視聴者などに販売条件を示すことで、訪問して面談で示す場合は含まれません。「申込み」には、インターネットでの申込みや、預貯金口座への払込みによる売買契約の申込みが含まれ、訪問面談での申込みは含まれません。

所得税法上の現金主義の適用を受ける小規模事業者や、国・地方公共団体などが、資産の譲渡等の時期の特例によって、4月1日前に行われた飲食料品の譲渡を、4月1日以後に行われたものとしている場合も、8%が適用されるとされています。大綱の条文は食料品の消費税が1%にの記事に載せています。

3月分と4月分が混ざる請求書のつくり方

インボイスに書く税率は、飲食料品の譲渡なら1%になり、消費税額等も1%で計算した額になります。それ以外のインボイスや帳簿の記載事項は変わりません。「軽減税率の対象品目である旨」を書けば、それに代えて「税率1%の対象品目である旨」を別に書く必要はないとされています。

毎月15日締めで請求している卸売業の例で、国税庁のQ&Aが示しているのは次の2通りです。令和9年4月分の請求書(3月16日から4月15日まで)に、3月までの8%と、4月以後の1%の商品が混ざる場合です。

方法書き方
請求書を分けて発行する令和9年3月分(3月16日から3月31日まで)は、8%対象と10%対象に区分。令和9年4月分(4月1日から4月15日まで)は、1%対象と10%対象に区分
同じ請求書の中で区分する3月分の小計は8%対象と10%対象、4月分の小計は1%対象と10%対象に区分したうえで、合計欄で1%対象・8%対象・10%対象の3区分にまとめる

どちらも国税庁が例として示している作り方で、税率ごとに区分して合計した対価の額と適用税率、税率ごとに区分した消費税額等を書く点は同じです。切替えの前後は、税率の欄が3つになる請求書が出てくると考えておくとよいでしょう。

切替えまでに確かめること

切替日の前後に迷わないよう、取引の種類ごとに、どの基準で税率を決めるかを先に確かめておきます。レジや会計ソフトの設定にも関わります。

確かめること見るところ
営業時間が日をまたぐ店の売上売上計上基準を何時で区切っているか。継続して使っている基準に従って3月31日分に入れるものは、8%でよい
3月末の在庫仕入の税率は8%のまま。4月以後に売る分の売上は1%
取引先との計上基準の違い売り手が出荷基準、自社が検収基準などの取引先。仕入税額控除は売り手の税率に従う
返品・貸倒れ元の売上が8%だったか1%だったかが分かる記録
定期便・通信販売・カタログ契約を結んだ日、対価を受け取った日、販売条件を示した日、申込みを受けた日。1%を前提とする定めがあるか
締め日が月の途中の請求3月16日から4月15日のような期間の請求書を、分けるか区分するか

簡易課税や中間申告、総額表示の特例は食品を売る事業者がやることの記事に、免税事業者が還付を受ける手続は免税事業者が消費税1%で還付を受けるにはの記事にまとめました。外食とテイクアウトの線引きは外食とテイクアウトの違いの記事にあります。

よくある質問

消費税1%はいつの取引から適用されますか

飲食料品の税率1%は、令和9年4月1日以後に行う飲食料品の譲渡から適用される予定です。軽減税率がいま8%であるのと同じで、税率の判定は、事業者が飲食料品を提供する時点で行います。 国税庁のQ&Aは、3月31日までに行われた飲食料品の仕入れについては、その販売が4月1日以後に行われても、税率8%が適用されるとしています。3月に仕入れた在庫を4月に売ると、仕入の税額(8%)が売上の税額(1%)より大きくなります。→ 本文で読む

売り手と買い手で計上基準が違うとき、仕入の税率はどうなりますか

売り手が出荷基準、買い手が検収基準のように、取引を計上する基準が違うと、同じ取引でも売り手と買い手で日付が分かれます。国税庁のQ&Aは、買い手は、売り手が適用した税率に基づいて仕入税額控除を行うとしています。→ 本文で読む

3月に売ったものが4月に返品されたら、何%で処理しますか

令和9年3月31日以前に販売した飲食料品(8%の対象)について、4月1日以後に返品があって対価を返した場合は、元の取引の税率である8%に基づいて、売上げに係る対価の返還等の消費税額を計算します。販売の時点で決まった税率が、返品の処理にも引き継がれます。→ 本文で読む

定期便や通信販売は、4月以後も8%のままですか

令和9年4月1日以後の飲食料品の譲渡は原則として1%ですが、一定の定期供給契約と通信販売に基づくものは、これまでどおり8%が適用されます。国税庁のQ&Aは、この経過的な取扱いは選択適用ではなく、当てはまれば8%になるとしています。→ 本文で読む

3月分と4月分が混ざる請求書は、どう書けばよいですか

インボイスに書く税率は、飲食料品の譲渡なら1%になり、消費税額等も1%で計算した額になります。それ以外のインボイスや帳簿の記載事項は変わりません。「軽減税率の対象品目である旨」を書けば、それに代えて「税率1%の対象品目である旨」を別に書く必要はないとされています。→ 本文で読む

切替えまでに何を確かめておけばよいですか

切替日の前後に迷わないよう、取引の種類ごとに、どの基準で税率を決めるかを先に確かめておきます。レジや会計ソフトの設定にも関わります。 簡易課税や中間申告、総額表示の特例は 食品を売る事業者がやること の記事に、免税事業者が還付を受ける手続は 免税事業者が消費税1%で還付を受けるには の記事にまとめました。外食とテイクアウトの線引きは 外食とテイクアウトの違い の記事にあります。→ 本文で読む

出典

  1. 国税庁「飲食料品に係る2年間の消費税率引下げに関するQ&A」(令和8年9月)
    https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/0026008-127_qa.pdf(PDF)
  2. 国税庁「飲食料品に係る2年間の消費税率引下げについて」パンフレット(令和8年9月)
    https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/0026008-127_pamphlet.pdf(PDF)
  3. 国税庁・財務省「消費税率引下げ特設サイト」
    https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/zeiritsuhikisage.htm
  4. 国税庁「No.6102 消費税の軽減税率制度」
    https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6102.htm

この記事は、記載時点で公表されている法令・通達・国税庁の資料にもとづいて書いています。制度は改正されることがあり、また個別の事情によって取扱いは変わります。実際のご判断にあたっては、税理士にご相談いただくか、所轄の税務署にお確かめください。当事務所は本記事の情報を用いて行われた判断について責任を負いかねます。

3月と4月の境目の処理を、事業の実態に合わせて整理します。

仕入の計上基準、締め日の請求書、返品伝票、定期便の契約書。税率が変わる前後で何を確かめておくかを、会計ソフトとレジの設定まで含めて一緒に整理します。ふじみ野市とその近隣の方は訪問でのご相談も承ります。初回30分は無料です。