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経費

定額法と定率法による減価償却の計算。
取得価額100万円・耐用年数10年の具体例で、償却保証額と改定償却率まで確かめます

車や機械、設備を買ったとき、「定額法と定率法はどちらが得なのか」というご質問をいただきます。

答えを先に書くと、定額法は毎年同じ金額、定率法は初めの年ほど多く、最終的に経費になる合計は同じです。どちらも取得価額から1円を残すところまで償却します。違うのは「いつ、いくらずつ経費にするか」です。

定率法には「償却保証額」を下回ったら定額に切り替わる、という独特の計算があります。国税庁のタックスアンサーNo.2106の具体例(取得価額100万円・耐用年数10年)を使って、1年目から10年目までの償却費を実際に追いかけます。

公開 最終更新

この記事の要点

平成19年4月1日以後に取得した減価償却資産は、定額法なら「取得価額×償却率」で毎年同額、定率法なら「未償却残高×償却率」で初めの年ほど多く償却し、償却保証額を下回った年からは「改定取得価額×改定償却率」で定額になります。どちらも1円まで償却します。取得価額100万円・耐用年数10年の具体例では、定率法は7年目から65,536円の定額です。年の途中の取得は月割りです。国税庁タックスアンサーNo.2106をもとに整理しました。

先に見ておくと分かりやすいもの

定額法と定率法の違い。毎年同額か、初めの年ほど多いか

答えを先に書くと、定額法は償却費の額が原則として毎年同額になる方法、定率法は初めの年ほど多く、年とともに減っていく方法です。国税庁のタックスアンサーNo.2106は、平成19年4月1日以後に取得する減価償却資産について、この2つの方法の特徴と計算方法を次のように整理しています。

定額法定率法
特徴償却費の額が原則として毎年同額となる償却費の額は初めの年ほど多く、年とともに減少する。ただし、定率法の償却率により計算した償却額が「償却保証額」に満たなくなった年分以後は、毎年同額となる
計算方法取得価額×定額法の償却率未償却残高×定率法の償却率(調整前償却額)。ただし、この金額が償却保証額に満たなくなった年分以後は、改定取得価額×改定償却率

どちらの方法でも、最終的に償却できる合計額は同じです。No.2106は、平成19年度税制改正により、平成19年4月1日以後に取得する減価償却資産については償却可能限度額および残存価額が廃止され、1円まで償却することとされた、としています。違いは「いつ、いくらずつ経費にするか」の配分です。定率法は早く経費にでき、定額法は毎年の金額が読みやすい、という性格の違いになります。

なお、平成19年3月31日以前に取得した資産は旧定額法・旧定率法(コード2105)で計算し、この記事の対象外です。中古で買った資産の耐用年数は中古資産の耐用年数で整理しています。

定額法の計算。取得価額×償却率

定額法の各年の償却費の額は、「取得価額×定額法の償却率」です。No.2106はこの算式を示しています。償却率は耐用年数省令の別表八に耐用年数ごとに定められています。

国税庁 タックスアンサー No.2106「定額法と定率法による減価償却(平成19年4月1日以後に取得する場合)」

【算式】 各年の償却費の額 = 取得価額×定額法の償却率

たとえば取得価額100万円、耐用年数10年なら、償却率は0.100で、各年の償却費は100,000円です。毎年同じ金額ですから、先の年の経費も見通せます。最後の年だけは、1円を残すために99,999円になります(後の具体例で確かめます)。

定率法の計算。未償却残高×償却率と償却保証額

定率法は、1年目は「取得価額×定率法の償却率」、2年目以降は「期首未償却残高×定率法の償却率」で計算します。この金額を調整前償却額といいます。ただし、調整前償却額が「償却保証額」に満たなくなった年分以後は、「改定取得価額×改定償却率」に切り替わり、毎年同額になります。

用語を整理します。No.2106の注記によると次のとおりです。

用語意味
期首未償却残高取得価額から前年末までの償却費の合計額を差し引いた金額
償却保証額資産の取得価額に、その資産の耐用年数に応じた保証率を乗じて計算した金額
改定取得価額調整前償却額が初めて償却保証額に満たないこととなる年の期首未償却残高(連続する2以上の年において満たない場合は、最も古い年における期首未償却残高)
改定償却率改定取得価額に対しその償却費の額がその後同一となるように、耐用年数に応じて定められた償却率

定率法は残高に率を掛けるので、そのままでは償却費がどんどん小さくなり、1円まで届きません。そこで、償却費が償却保証額を下回った年からは、その年の期首の残高を固定して改定償却率を掛け、定額で償却しきる仕組みになっています。償却率・改定償却率・保証率は、耐用年数省令別表八、別表九、別表十で定められています。

具体例。100万円・10年の資産を10年間償却する

No.2106の具体例は、取得価額100万円、耐用年数10年の資産を、1年間業務に使用したと仮定して計算しています。定額法は毎年100,000円、定率法は1年目200,000円から年々減り、7年目から65,536円の定額に切り替わります。定率法の償却率は0.200、改定償却率は0.250、保証率は0.06552で、償却保証額は65,520円(1,000,000×0.06552)です。

年定額法(償却率0.100)定率法(償却率0.200)
1年目100,000円(1,000,000×0.100)200,000円(1,000,000×0.200)
2年目~6年目100,000円(1,000,000-前年までの償却費の合計額)×0.200
7年目100,000円65,536円(改定取得価額262,144円×0.250)
8・9年目100,000円65,536円(改定取得価額×0.250)
10年目99,999円(期首帳簿価額-1円)65,535円(期首帳簿価額-1円)

7年目の切り替わりが定率法の要点です。No.2106の計算上の注意点は、7年目の調整前償却額は(1,000,000-前年までの償却費の合計額)×0.200=52,429円で、これが償却保証額65,520円に満たないため、改定取得価額262,144円に改定償却率0.250を乗じた65,536円が償却費になる、としています。

国税庁 タックスアンサー No.2106「定額法と定率法による減価償却(平成19年4月1日以後に取得する場合)」具体例

調整前償却額52,429円が償却保証額65,520円に満たないので、改定取得価額(注)に改定償却率を乗じて償却費の額を計算します。

10年目は、どちらの方法も期首帳簿価額から1円を引いた金額が償却費です。定額法は99,999円、定率法は65,535円で、帳簿には1円が残ります。定率法は1年目に200,000円と定額法の2倍を経費にでき、7年目以降は65,536円と定額法より少なくなります。

取得価額に含めるもの、耐用年数、1円まで償却

計算の土台になる取得価額は、購入代金だけではありません。No.2106は、購入した減価償却資産の取得価額は、「資産の購入代金(引取運賃、運送保険料、購入手数料等を含む。)」と「業務の用に供するための費用」との合計額、としています。

法定耐用年数は、減価償却資産の耐用年数等に関する省令(耐用年数省令)の別表に定められています。償却の限度額は、有形減価償却資産(坑道を除く)または生物は取得価額から1円を控除した金額、坑道および無形固定資産は取得価額の全額です。有形の資産は1円が残り、無形固定資産は取得価額の全額を償却します。

少額の資産は、そもそも減価償却をせずに経費にできる特例があります。少額減価償却資産や美容師の経費の記事で線引きを整理しています。

年の途中で取得したときは月割り

年の途中で買った資産は、その年の償却費を月割りにします。No.2106の注記は、資産を年の中途で取得または取壊しをした場合には、上記の金額を12で除しその年分において業務に使用していた月数を乗じて計算した金額になる、としています。

たとえば年の後半に買って使い始めた資産は、その年の償却費は使った月数分だけです。取得した月からではなく、業務に使用していた月数で数えます。買っただけで使っていない資産は、その年の償却費に入りません。

平成24年4月1日以後の取得で償却率が変わっている

定率法の償却率は、取得した時期で異なります。No.2106は、平成23年12月税制改正により、平成24年4月1日以後に取得する減価償却資産について定率法の償却率等が改正されている、としています。上の具体例(償却率0.200)は平成24年4月1日以後に取得した場合のものです。

参考として、平成19年4月1日から平成24年3月31日までの間に取得した場合の具体例も示されています。同じ100万円・10年の資産で、定率法の償却率は0.250、改定償却率0.334、保証率0.04448、償却保証額44,480円です。1年目の償却費は250,000円、8年目に改定取得価額133,483円×0.334=44,584円に切り替わり、10年目は44,314円になります。

また、経過措置として、平成24年分において定率法を選定している人が平成24年4月1日から同年12月31日までの間に取得した資産は改正前の償却率で計算できること、平成24年分の確定申告期限までに届出をした場合は平成24年分または平成25年分以後の各年分において改正後の償却率で計算できること、が示されています。古い資産の償却を引き継いでいる方は、取得日でどの償却率に当たるかを確かめてください。

よくある質問

定額法と定率法は何が違いますか

答えを先に書くと、定額法は償却費の額が原則として毎年同額になる方法、定率法は初めの年ほど多く、年とともに減っていく方法です。国税庁のタックスアンサーNo.2106は、平成19年4月1日以後に取得する減価償却資産について、この2つの方法の特徴と計算方法を次のように整理しています。→ 本文で読む

定額法の償却費はどう計算しますか

定額法の各年の償却費の額は、「取得価額×定額法の償却率」です。No.2106はこの算式を示しています。償却率は耐用年数省令の別表八に耐用年数ごとに定められています。 たとえば取得価額100万円、耐用年数10年なら、償却率は0.100で、各年の償却費は100,000円です。 毎年同じ金額 ですから、先の年の経費も見通せます。 最後の年だけは、1円を残すために99,999円になります (後の具体例で確かめます)。→ 本文で読む

定率法の償却保証額とは何ですか

定率法は、1年目は「取得価額×定率法の償却率」、2年目以降は「期首未償却残高×定率法の償却率」で計算します。この金額を調整前償却額といいます。ただし、調整前償却額が「償却保証額」に満たなくなった年分以後は、「改定取得価額×改定償却率」に切り替わり、毎年同額になります。→ 本文で読む

100万円の資産を定率法で償却すると何年目から定額になりますか

No.2106の具体例は、取得価額100万円、耐用年数10年の資産を、1年間業務に使用したと仮定して計算しています。定額法は毎年100,000円、定率法は1年目200,000円から年々減り、7年目から65,536円の定額に切り替わります。定率法の償却率は0.200、改定償却率は0.250、保証率は0.06552で、償却保証額は65,520円(1,000,000×0.06552)です。→ 本文で読む

年の途中で買った資産の減価償却はどう計算しますか

年の途中で買った資産は、その年の償却費を月割りにします。No.2106の注記は、資産を年の中途で取得または取壊しをした場合には、上記の金額を12で除しその年分において業務に使用していた月数を乗じて計算した金額になる、としています。→ 本文で読む

定率法の償却率はいつ変わりましたか

定率法の償却率は、取得した時期で異なります。No.2106は、平成23年12月税制改正により、平成24年4月1日以後に取得する減価償却資産について定率法の償却率等が改正されている、としています。上の具体例(償却率0.200)は平成24年4月1日以後に取得した場合のものです。→ 本文で読む

出典

  1. 国税庁「No.2106 定額法と定率法による減価償却(平成19年4月1日以後に取得する場合)」
    https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2106.htm

この記事は、記載時点で公表されている法令・通達・国税庁の資料にもとづいて書いています。制度は改正されることがあり、また個別の事情によって取扱いは変わります。実際のご判断にあたっては、税理士にご相談いただくか、所轄の税務署にお確かめください。当事務所は本記事の情報を用いて行われた判断について責任を負いかねます。

固定資産台帳の償却方法と取得日を、一度見直してください。

定額法は毎年同額、定率法は初めの年ほど多く、償却保証額を下回った年から定額に切り替わります。どちらも最後は1円まで償却しますが、経費になる時期が違います。取得日によって定率法の償却率も異なりますので、台帳をお持ちいただければ計算を確かめます。ふじみ野市とその近隣の方は訪問でのご相談も承ります。初回30分は無料です。