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譲渡

土地を貸して権利金をもらったとき。
原則は不動産所得ですが、土地の時価の2分の1を超えると譲渡所得になります

土地を貸して、借地権の設定のときにまとまった権利金を受け取ることがあります。このお金の税金は、地代と同じでしょうか。

答えを先に書くと、権利金は原則として不動産所得ですが、土地の時価の2分の1を超えるなど相当多額なときは、分離課税の譲渡所得になります。土地の一部を売ったのと同じ効果がある、と見るためです。

不動産所得なら給与などと総合課税、譲渡所得なら分離課税と、税額の計算がまったく変わります。国税庁のタックスアンサーNo.3111で、判定の要件を確認していきます。

公開 最終更新

この記事の要点

土地を建物の所有を目的として貸し、借地権の設定の対価として受け取った権利金は、原則として不動産所得です。ただし、権利金の額が土地(転貸なら借地権)の時価の2分の1を超えるなど相当多額なときは、土地の一部を譲渡したのと同じと見て、分離課税の譲渡所得になります。地下や空間の範囲を定めた借地権・地役権は4分の1が基準です。国税庁タックスアンサーNo.3111・No.1370をもとに整理しました。

先に見ておくと分かりやすいもの

権利金は原則として不動産所得

答えを先に書くと、土地を貸して受け取った権利金は、原則として不動産所得です。ただし、権利金の額が土地の時価の2分の1を超えるなど相当多額なときは、土地の一部を売ったのと同じと見て、分離課税の譲渡所得になります。国税庁のタックスアンサーNo.3111は、土地を建物の所有を目的として貸し付けた場合には、借地権の設定の対価として権利金など一時金を受け取るのが通例であり、受け取った権利金などの一時金は原則として不動産所得となる、としています。

国税庁 タックスアンサー No.3111「土地を貸し付けて権利金などをもらったとき」

この場合、受け取った権利金などの一時金は、原則として不動産所得となります。

不動産所得の総収入金額には、No.1370によれば、賃貸料収入のほかに、名義書換料、承諾料、更新料または頭金などの名目で受領するものや、敷金や保証金などのうち返還を要しないものも含まれます。権利金も、返さないお金ですから、地代と同じ不動産所得の収入として申告するのが基本形です。敷金・保証金の扱いは家賃はいつの収入かで整理しています。地代や権利金の消費税は地代は非課税、家賃は課税をご覧ください。

権利金が相当多額なら、分離課税の譲渡所得

例外が、権利金が大きい場合です。No.3111は、権利金などの額が相当多額であるときなどは、土地の一部分を譲渡したこととその効果が変わらない場合があり、このような場合には資産の譲渡があったものとして、その借地権や地役権の設定の対価として受け取った権利金などは分離課税の譲渡所得となる、としています。

国税庁 タックスアンサー No.3111「土地を貸し付けて権利金などをもらったとき」

しかし、権利金などの額が相当多額であるときなどは、土地の一部分を譲渡したこととその効果が変わらない場合があります。

借地権を設定すると、地主はその土地を自由に使えなくなります。高額の権利金は、実質的には土地の権利の一部を売った代金と見る、という考え方です。不動産所得なら給与などと総合課税、譲渡所得なら分離課税と、税額の計算がまったく変わります。譲渡所得になるかどうかは、「借地権等の設定の内容」と「対価の額」の2つの要件で判定します。

譲渡所得になる借地権等の設定の内容

まず1つ目の要件は、権利の設定の内容です。No.3111は、譲渡所得として課税されることとなる権利金などは、次のような権利の設定により受け取った権利金などのうち、対価の額の要件に該当するもの、としています。

借地権等の設定の内容
イ建物または構築物の所有を目的とする借地権の設定
ロ特別高圧架空電線を架け渡すための地役権の設定
ハ特別高圧地中電線を敷設するための地役権の設定
ニガス事業法第2条第12項に規定するガス事業者が高圧ガス用の導管を敷設するための地役権の設定
ホ飛行場を設置するための地役権の設定
ヘケーブルカーやモノレールを敷設するための地役権の設定
ト砂防法第1条の砂防設備である導流堤などの設置を目的とする地役権の設定
チ都市計画法第4条第14項に規定する公共施設を設置するための地役権の設定
リ都市計画法第8条第1項第4号の特定街区内で建築物を建築するための地役権の設定

一般の地主の方に関係するのはイの「建物または構築物の所有を目的とする借地権の設定」です。ロ以下は、特別高圧の電線やガスの導管、ケーブルカーなどのために土地の上空や地下を使わせる地役権で、そうした土地をお持ちの方に関わります。

対価の額の要件。時価の2分の1、地下・空間なら4分の1

2つ目の要件は、権利金の額です。No.3111は、「建物や構築物の全部の所有を目的とする借地権」や「地役権」の設定である場合は、権利金などが土地(転貸の場合には借地権)の時価の2分の1を超えること、としています。

国税庁 タックスアンサー No.3111「土地を貸し付けて権利金などをもらったとき」対価の額の要件

権利金などが土地(転貸の場合には借地権)の時価の2分の1を超えること。
設定の内容譲渡所得になる基準
建物や構築物の全部の所有を目的とする借地権、地役権権利金などが土地(転貸なら借地権)の時価の2分の1を超える
地下もしくは空間について上下の範囲を定めた借地権や地役権、導流堤や遊砂地もしくは河川法に規定する遊水地などの設置を目的とした地役権権利金などが土地の時価の4分の1を超える

土地の時価の半分を超える権利金を受け取れば譲渡所得、それ以下なら不動産所得というのが基本の線です。転貸(借地人がさらに貸す)の場合は、借地権の時価で判定します。地下や空間について上下の範囲を定めた借地権や地役権、導流堤や遊砂地、河川法に規定する遊水地などの設置を目的とした地役権は、4分の1が基準になります。

建物の一部の所有を目的とする借地権の場合

建物の一部だけを所有する目的で借地権を設定する場合は、判定の算式が別に定められています。No.3111は、「建物や構築物の一部の所有を目的とする借地権」の設定がある場合には、権利金などが次の算式で計算した金額を超えること、としています。

この算式はタックスアンサーの本文では図で示されており、この記事には数値を載せていません。建物の一部の所有を目的とする借地権など、特殊な形の設定をされる方は、算式を個別に確かめる必要があります。「全部の所有」か「一部の所有」かで、判定の物差しが変わることだけ覚えておいてください。

合計額で判定する場合と、低利貸付などの経済的利益

判定には2つの注意点があります。No.3111の注1は、既に借地権の設定してある土地の地下に地下鉄などの構築物を建設させるためその土地を使用させるなど、土地の所有者と借地権者とがともにその土地の利用を制限される場合で、ともに権利金などを受け取ったときは、その権利金などの合計額を基にして2分の1(または4分の1)の判定を行う、としています。

注2は、借地権の設定などに際し、通常の金利よりも特に低い金利や無利息で金銭を借りるなどの特別の経済的利益を受けるときは、その特別の経済的利益の額を加えたものを権利金などとみて判定する、としています。権利金を低く抑える代わりに保証金を無利息で預かる、といった形でも、その利益分は権利金に足して判定されるということです。

権利金は金額が大きく、不動産所得か譲渡所得かで税額が大きく変わります。契約の前に、土地の時価と権利金の額を並べて、どちらになるかを確かめておくことをおすすめします。親族間で土地を貸す場合の扱いは親の土地に家を建てるときもご覧ください。

よくある質問

土地を貸して受け取った権利金は何所得ですか

答えを先に書くと、土地を貸して受け取った権利金は、原則として不動産所得です。ただし、権利金の額が土地の時価の2分の1を超えるなど相当多額なときは、土地の一部を売ったのと同じと見て、分離課税の譲渡所得になります。国税庁のタックスアンサーNo.3111は、土地を建物の所有を目的として貸し付けた場合には、借地権の設定の対価として権利金など一時金を受け取るのが通例であり、受け取った権利金などの一時金は原則として不動産所得となる、としています。→ 本文で読む

権利金が譲渡所得になるのはどんな場合ですか

例外が、権利金が大きい場合です。No.3111は、権利金などの額が相当多額であるときなどは、土地の一部分を譲渡したこととその効果が変わらない場合があり、このような場合には資産の譲渡があったものとして、その借地権や地役権の設定の対価として受け取った権利金などは分離課税の譲渡所得となる、としています。→ 本文で読む

権利金が譲渡所得になる金額の基準はいくらですか

2つ目の要件は、権利金の額です。No.3111は、「建物や構築物の全部の所有を目的とする借地権」や「地役権」の設定である場合は、権利金などが土地(転貸の場合には借地権)の時価の2分の1を超えること、としています。→ 本文で読む

建物の一部の所有を目的とする借地権の権利金はどう判定しますか

建物の一部だけを所有する目的で借地権を設定する場合は、判定の算式が別に定められています。No.3111は、「建物や構築物の一部の所有を目的とする借地権」の設定がある場合には、権利金などが次の算式で計算した金額を超えること、としています。→ 本文で読む

地主と借地人がともに権利金を受け取った場合はどう判定しますか

判定には2つの注意点があります。No.3111の注1は、既に借地権の設定してある土地の地下に地下鉄などの構築物を建設させるためその土地を使用させるなど、土地の所有者と借地権者とがともにその土地の利用を制限される場合で、ともに権利金などを受け取ったときは、その権利金などの合計額を基にして2分の1(または4分の1)の判定を行う、としています。→ 本文で読む

出典

  1. 国税庁「No.3111 土地を貸し付けて権利金などをもらったとき」
    https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3111.htm
  2. 国税庁「No.1370 不動産収入を受け取ったとき(不動産所得)」
    https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1370.htm

この記事は、記載時点で公表されている法令・通達・国税庁の資料にもとづいて書いています。制度は改正されることがあり、また個別の事情によって取扱いは変わります。実際のご判断にあたっては、税理士にご相談いただくか、所轄の税務署にお確かめください。当事務所は本記事の情報を用いて行われた判断について責任を負いかねます。

権利金を受け取る前に、土地の時価と権利金の額を並べてください。

権利金は原則として不動産所得ですが、土地の時価の2分の1(地下・空間なら4分の1)を超えると分離課税の譲渡所得になります。どちらになるかで税額の計算が変わりますので、契約書の案と土地の評価の資料をお持ちいただければ判定します。ふじみ野市とその近隣の方は訪問でのご相談も承ります。初回30分は無料です。