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申告

株式等を売ったときの税金は申告分離課税。
税率20%と、上場株式等・一般株式等の区分

株式や投資信託を売って利益が出た方から、「給与と合算して税率が上がるのか」というご質問をいただきます。

答えを先に書くと、株式等の譲渡による所得は申告分離課税で、給与など他の所得とは分けて、所得税15%・住民税5%の20%の税率で計算します。給与がいくらであっても、この税率は変わりません。

ただし、上場株式等と一般株式等(非上場の株式など)は別々の申告分離課税で、一方の損失をもう一方の利益から引くことは原則できません。国税庁のタックスアンサーNo.1463に沿って、範囲・計算・税率・特例を順に確かめます。

公開 最終更新

この記事の要点

株式や投資信託、公社債などの株式等を売って出た利益は、給与などほかの所得と分けて税金を計算する申告分離課税です。上場株式等と一般株式等(非上場株式など)は別々に計算し、一方の損失をもう一方の利益から引くことは原則できません。税率は所得税15%・住民税5%の20%で、復興特別所得税を併せて申告します。特定口座、損益通算、繰越控除、NISAなどの特例も国税庁タックスアンサーNo.1463をもとに整理しました。

先に見ておくと分かりやすいもの

申告分離課税とは。他の所得と分けて計算する

株式等を売って出た所得は、他の所得の金額と区分して税金を計算する「申告分離課税」です。給与所得や事業所得のように合算して累進税率を掛けるのではなく、株式等の譲渡所得等だけを取り出して別の税率で計算します。国税庁のタックスアンサーNo.1463は次のように説明しています。

国税庁 タックスアンサー No.1463「株式等を譲渡したときの課税(申告分離課税)」

株式等の譲渡による事業所得の金額、譲渡所得の金額および雑所得の金額(以下「譲渡所得等の金額」といいます。)は、「上場株式等に係る譲渡所得等の金額」と「一般株式等に係る譲渡所得等の金額」に区分し、他の所得の金額と区分して税金を計算する「申告分離課税」となります。

「譲渡所得等」と「等」が付いているのは、株式等の売買が事業として行われていれば事業所得、営利目的で継続的に行われていれば雑所得になることがあるためです。どの所得区分になっても、株式等の譲渡による所得は申告分離課税で計算する点は同じです。

上場株式等と一般株式等は別々に計算する

申告分離課税の中でも、「上場株式等に係る譲渡所得等」と「一般株式等に係る譲渡所得等」は別々の申告分離課税です。そのため、上場株式等の譲渡損失を一般株式等の譲渡所得等から控除することはできず、一般株式等の譲渡損失も原則として上場株式等の譲渡所得等から控除できません。

損失が出た区分控除したい相手できるか
上場株式等の譲渡損失一般株式等の譲渡所得等できない
一般株式等の譲渡損失上場株式等の譲渡所得等原則できない
上場株式等の譲渡損失給与所得・事業所得などできない(申告分離課税のため)

実務で多いのは、同族会社の株式(一般株式等)を売って損が出た年に、上場株式の利益から引こうとしてしまうケースです。証券会社の年間取引報告書には載ってこない取引ですので、別枠であることを意識してください。株式の損失が給与などと通算できない理由は損益通算できる4つの所得で説明しています。

株式等・上場株式等の範囲

「株式等」は、株式のほか、合同会社などの社員の持分、投資信託の受益権、公社債などを広く含みます(外国法人に係るものを含み、ゴルフ会員権に類する株式・出資者の持分は除きます)。「上場株式等」はそのうち金融商品取引所に上場されている株式等や公募投資信託の受益権、国債・地方債などで、「一般株式等」は上場株式等以外の株式等です。

区分主なもの
株式等株式(投資口を含む)、新株予約権、合名・合資・合同会社の社員の持分、協同組合等の組合員の持分、投資信託の受益権、特定受益証券発行信託の受益権、社債的受益権、公社債
上場株式等金融商品取引所に上場されている株式等(ETF、J-REIT を含む)、店頭売買登録銘柄、外国金融商品市場で売買されている株式等、公募投資信託の受益権、特定投資法人の投資口、国債・地方債、外国またはその地方公共団体が発行・保証する債券、一定の公募公社債など
一般株式等上場株式等以外の株式等(非上場会社の株式、合同会社の持分、私募の投資信託など)

公社債については細かい線引きがあります。たとえば社債のうち、発行の日前9か月以内(外国法人は12か月以内)に有価証券報告書等を提出している法人が発行するものは上場株式等に入ります。平成27年12月31日以前に発行された公社債も、発行時に同族会社に該当する会社が発行したものを除いて上場株式等です。投資信託は公募か私募かで区分が分かれますので、取引報告書の記載を確かめてください。

譲渡所得等の金額の計算

譲渡所得等の金額は、総収入金額(譲渡価額)から必要経費(取得費+委託手数料等)を差し引いて計算します。上場株式等と一般株式等で計算式は同じですが、それぞれ別々に計算します。

区分計算式
上場株式等総収入金額(譲渡価額)-必要経費(取得費+委託手数料等)=上場株式等に係る譲渡所得等の金額
一般株式等総収入金額(譲渡価額)-必要経費(取得費+委託手数料等)=一般株式等に係る譲渡所得等の金額

総収入金額には、売却代金だけでなく、償還や解約により交付を受ける金銭等の額も含みます。投資信託を解約した場合や債券が償還された場合も譲渡と同じ扱いです。取得費が分からない古い株式は、証券会社の取引履歴や株主名簿の記録をたどる必要があります。

税率は20%。復興特別所得税を併せて申告する

税率は、上場株式等・一般株式等のいずれも20%(所得税15%、住民税5%)です。これに加えて、平成25年から令和29年までの各年分は、復興特別所得税を所得税と併せて申告・納付します。復興特別所得税額は、基準所得税額に2.1パーセントの税率を掛けて計算します。

区分税率
上場株式等に係る譲渡所得等(譲渡益)20%(所得税15%、住民税5%)
一般株式等に係る譲渡所得等(譲渡益)20%(所得税15%、住民税5%)

この税率は所得の大きさに関係なく一律です。給与が多い方でも、株式の利益にかかる税率は変わりません。逆に、所得の少ない方でも軽くはなりません。これが申告分離課税の性質です。

株式等の譲渡に関する主な特例

株式等の譲渡に係る所得には、特定口座制度、上場株式等の譲渡損失と配当所得等との損益通算、譲渡損失の繰越控除、NISAなどの特例があります。国税庁は主なものとして次の6つを挙げています。

特例
(1)特定口座制度
(2)上場株式等に係る譲渡損失と上場株式等に係る配当所得等との損益通算
(3)上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除
(4)特定管理株式等が価値を失った場合の株式等に係る譲渡所得等の課税の特例
(5)非課税口座内の少額上場株式等に係る配当所得および譲渡所得等の非課税措置(NISA)
(6)未成年者口座内の少額上場株式等に係る配当所得および譲渡所得等の非課税措置(ジュニアNISA)

(2)と(3)は上場株式等だけの特例で、一般株式等には使えません。損が出た年の扱いは株の譲渡損失の損益通算と繰越控除で、NISAのしくみはiDeCoとNISAで説明しています。特定口座の源泉徴収ありを選んでいれば申告しなくても済みますが、他の口座の損失と通算したい年は申告が必要です。

よくある質問

株を売った利益は給与と合算して税金を計算しますか

株式等を売って出た所得は、 他の所得の金額と区分して税金を計算する「申告分離課税」 です。給与所得や事業所得のように合算して累進税率を掛けるのではなく、株式等の譲渡所得等だけを取り出して別の税率で計算します。国税庁のタックスアンサーNo.1463は次のように説明しています。→ 本文で読む

非上場株式の売却損を上場株式の利益から引けますか

申告分離課税の中でも、 「上場株式等に係る譲渡所得等」と「一般株式等に係る譲渡所得等」は別々の申告分離課税 です。そのため、上場株式等の譲渡損失を一般株式等の譲渡所得等から控除することはできず、一般株式等の譲渡損失も原則として上場株式等の譲渡所得等から控除できません。→ 本文で読む

投資信託や国債も株式等に含まれますか

「株式等」は、 株式のほか、合同会社などの社員の持分、投資信託の受益権、公社債など を広く含みます(外国法人に係るものを含み、ゴルフ会員権に類する株式・出資者の持分は除きます)。「上場株式等」はそのうち金融商品取引所に上場されている株式等や公募投資信託の受益権、国債・地方債などで、「一般株式等」は上場株式等以外の株式等です。→ 本文で読む

株式の譲渡所得はどのように計算しますか

譲渡所得等の金額は、 総収入金額(譲渡価額)から必要経費(取得費+委託手数料等)を差し引いて計算 します。上場株式等と一般株式等で計算式は同じですが、それぞれ別々に計算します。 総収入金額には、売却代金だけでなく、 償還や解約により交付を受ける金銭等の額 も含みます。投資信託を解約した場合や債券が償還された場合も譲渡と同じ扱いです。 取得費が分からない古い株式は、証券会社の取引履歴や株主名簿の記録をたどる必要があります。→ 本文で読む

株式の売却益の税率は何パーセントですか

税率は、上場株式等・一般株式等のいずれも 20%(所得税15%、住民税5%) です。これに加えて、平成25年から令和29年までの各年分は、復興特別所得税を所得税と併せて申告・納付します。復興特別所得税額は、基準所得税額に2.1パーセントの税率を掛けて計算します。→ 本文で読む

株式の譲渡にはどのような特例がありますか

株式等の譲渡に係る所得には、 特定口座制度、上場株式等の譲渡損失と配当所得等との損益通算、譲渡損失の繰越控除、NISA などの特例があります。国税庁は主なものとして次の6つを挙げています。→ 本文で読む

出典

  1. 国税庁「No.1463 株式等を譲渡したときの課税(申告分離課税)」
    https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1463.htm

この記事は、記載時点で公表されている法令・通達・国税庁の資料にもとづいて書いています。制度は改正されることがあり、また個別の事情によって取扱いは変わります。実際のご判断にあたっては、税理士にご相談いただくか、所轄の税務署にお確かめください。当事務所は本記事の情報を用いて行われた判断について責任を負いかねます。

年間取引報告書が届いたら、口座の種類と損益をひとつずつ確かめてください。

特定口座の源泉徴収ありなら申告しない選択もできますが、複数の口座で損と益が分かれているときや、非上場株式を売った年は、申告したほうが有利かどうかの判断が必要です。上場と一般の区分を間違えると通算できない損失を引いてしまうことになります。ふじみ野市とその近隣の方は訪問でのご相談も承ります。初回30分は無料です。