控除
配当控除は配当所得の10%(投資信託は5%)。
総合課税で申告した国内法人の配当だけが対象です
株式の配当は、受け取るときに税金が引かれています。「申告すれば戻るのか」というご質問をよくいただきます。
答えを先に書くと、配当を確定申告で総合課税にすると、配当所得の10%(証券投資信託の分配金は5%)が「配当控除」として所得税額から差し引かれます。課税総所得金額等が1,000万円を超えると、超える部分の率は半分になります。
ただし、配当控除が付くのは総合課税を選んだ配当だけです。申告不要のままの配当、株の損失と通算するために申告分離課税にした配当には付きません。国税庁のタックスアンサーNo.1250とNo.1330で、対象・率・選び方を確認していきます。
この記事の要点
配当控除は、国内に本店のある法人からの配当を確定申告で総合課税にしたときの税額控除で、課税総所得金額等が1,000万円以下なら配当所得の10%(証券投資信託の収益の分配は5%)を所得税額から引けます。1,000万円を超える部分は5%・2.5%です。申告不要制度や申告分離課税を選んだ配当、外国法人からの配当は対象外です。どの申告方法が有利かは所得全体で決まります。国税庁タックスアンサーNo.1250・No.1330をもとに整理しました。
先に見ておくと分かりやすいもの
配当控除とは。総合課税で申告した配当の税額控除
答えを先に書くと、配当控除は、国内法人からの配当を確定申告で総合課税として申告したときに、配当所得の金額の10%(証券投資信託の収益の分配は5%)を所得税額から差し引ける税額控除です。国税庁のタックスアンサーNo.1250は、剰余金の配当などの配当所得があるときには、一定の方法で計算した金額の税額控除を受けることができる、としています。
国税庁 タックスアンサー No.1250「配当所得があるとき(配当控除)」
日本国内に本店のある法人から受ける剰余金の配当、利益の配当、剰余金の分配、金銭の分配、証券投資信託の収益の分配などで、確定申告において総合課税の適用を受けた配当所得に限られます。したがって、外国法人から受ける配当等は、配当控除の対象となりません。
総合課税にすると、配当は給与などと合算されて所得税の税率が掛かります。そのうえで、配当控除の分だけ税額が減り、さらに源泉徴収された税額が差し引かれます。配当所得そのものの計算(収入金額から株式を取得するための借入金の利子を引く)は、No.1330に示されています。
対象になる配当・ならない配当
配当控除の対象は、日本国内に本店のある法人から受ける配当等で、総合課税で申告したものです。外国法人からの配当は対象外です。国内の株式の配当でも、申告の方法によって対象から外れます。
No.1250は、対象にならない配当として次の(1)から(11)を挙げています。
| 配当控除の対象にならない配当 | |
|---|---|
| (1) | 基金利息 |
| (2) | 私募公社債等運用投資信託等の収益の分配に係る配当等 |
| (3) | 国外私募公社債等運用投資信託等の配当等 |
| (4) | 外国株価指数連動型特定株式投資信託の収益の分配に係る配当等 |
| (5) | 特定外貨建等証券投資信託の収益の分配に係る配当等 |
| (6) | 適格機関投資家私募による投資信託から支払を受けるべき配当等 |
| (7) | 特定目的信託から支払を受けるべき配当等 |
| (8) | 特定目的会社から支払を受けるべき配当等 |
| (9) | 投資法人から支払を受けるべき配当等 |
| (10) | 確定申告不要制度を選択したもの |
| (11) | 申告分離課税制度を選択したもの |
一般の個人投資家に関係が深いのは(10)確定申告不要制度を選択したものと(11)申告分離課税制度を選択したものです。特定口座で源泉徴収されたまま申告しない配当、株の損失と通算するために申告分離課税を選んだ配当には、配当控除は付きません。投資法人から受ける配当等(9)も対象外です。
控除率は10%と5%。課税総所得金額等1,000万円が分かれ目
控除率は、配当の種類と、その年の課税総所得金額等が1,000万円以下かどうかで決まります。No.1250は、課税総所得金額等が1,000万円以下の場合(パターン1)、配当控除の額は「剰余金の配当等に係る配当所得の金額×10パーセント」と「証券投資信託の収益の分配金に係る配当所得の金額×5パーセント」の合計、としています。
| 配当の種類(課税総所得金額等が1,000万円以下) | 控除率 |
|---|---|
| 剰余金の配当等に係る配当所得(特定株式投資信託の収益の分配を含む) | 10パーセント |
| 証券投資信託の収益の分配に係る配当所得(特定株式投資信託を除く) | 5パーセント |
| うち、特定外貨建等証券投資信託以外の外貨建等証券投資信託の収益の分配 | 2.5パーセント |
「課税総所得金額等」は、No.1250の注記によれば、課税総所得金額のほか、課税長期(短期)譲渡所得の金額、上場株式等に係る課税配当所得等の金額、株式等に係る課税譲渡所得等の金額、先物取引に係る課税雑所得等の金額などの合計額です。給与や事業の所得だけでなく、分離課税の譲渡所得なども足して1,000万円を超えるかを見る点に注意してください。また、配当控除の金額は算出税額が限度です。
1,000万円を超える部分は5%・2.5%
課税総所得金額等が1,000万円を超えると、超える部分に対応する配当の控除率が半分になります。株式の配当は10パーセントが5パーセントに、証券投資信託の分配金は5パーセントが2.5パーセントに、外貨建等証券投資信託は2.5パーセントが1.25パーセントになります。No.1250はこれをパターン2から4に分けて説明しています。
| パターン | 状況 | 控除率 |
|---|---|---|
| 2 | 課税総所得金額等が1,000万円を超え、証券投資信託の分配金を差し引くと1,000万円以下 | 株式の配当は10パーセント。投資信託の分配金のうち、1,000万円を超える金額(A)に相当する部分は2.5パーセント、(A)を超える部分は5パーセント |
| 3 | 証券投資信託の分配金を差し引いても1,000万円を超える(4を除く) | 株式の配当のうち、1,000万円と投資信託の分配金の合計を差し引いた金額(B)に相当する部分は5パーセント、(B)を超える部分は10パーセント。投資信託の分配金は2.5パーセント |
| 4 | 株式の配当と証券投資信託の分配金の合計を差し引いても1,000万円を超える | 株式の配当は5パーセント、投資信託の分配金は2.5パーセント |
考え方は、1,000万円の線を超えた部分に充てられた配当から順に、控除率が半分になるというものです。証券投資信託の分配金が先に、次に株式の配当が、1,000万円を超える部分に充てられます。所得が1,000万円前後の年は、どのパターンに入るかで控除額が変わります。
総合課税か申告分離課税か、申告不要か
上場株式等の配当は、総合課税・申告分離課税・確定申告不要のどれかを選べます。配当控除が使えるのは総合課税だけです。No.1330は、上場株式等の配当等(大口株主等が支払を受けるものを除く)は、支払を受けるべき配当等の金額にかかわらず確定申告を要しない、としています。また、確定申告において総合課税によらず申告分離課税を選択することもできます。
上場株式等の配当等は、支払時に所得税および復興特別所得税15.315パーセント(他に地方税5パーセント)が源泉徴収されています。総合課税で申告すると、配当は給与などと合算されて所得税の税率が掛かり、そこから配当控除と源泉徴収された税額を引きます。合算後の税率が低い方は総合課税が有利になり、高い方は申告不要や申告分離課税のままのほうが有利になることがあります。所得税の税率の段階は所得税の税率の記事で確認できます。
一方、株式の譲渡損失と配当を損益通算したい年は、配当を申告分離課税にする必要があります。その場合、配当控除は使えません。配当控除と株の譲渡損失の損益通算と繰越控除のどちらを優先するかは、年ごとの判断になります。No.1330は、申告分離課税の選択は、確定申告する上場株式等の配当所得の全額についてしなければならない、としています。
なお、上場株式等以外の配当(非上場株式の配当)は、No.1330によれば20.42パーセント(地方税なし)で源泉徴収され、総合課税の対象です。申告分離課税は選べません。少額配当(1回に支払を受けるべき配当等の金額が「10万円×配当計算期間の月数÷12」以下)なら確定申告不要を選べますが、その場合も配当控除は付きません。
配当控除を受けるには確定申告が必要
配当控除は、確定申告をしなければ受けられません。No.1250は、配当控除を受けるためには確定申告が必要であり、その際には配当控除の額のほか、配当について源泉徴収された所得税の額が納付すべき税額の計算上控除される、としています。
国税庁 タックスアンサー No.1250「配当所得があるとき(配当控除)」手続き
配当控除を受けるためには、確定申告が必要です。その際には、この配当控除の額のほか、配当について源泉徴収された所得税の額が納付すべき税額の計算上控除されます。
手元にそろえるのは、証券会社から届く年間取引報告書や配当金の支払通知書です。源泉徴収された税額が、配当控除を引いた後の税額より大きければ、差額が還付されます。還付を受けるための申告の期限は還付申告の期限で整理しています。
よくある質問
配当控除とは何ですか
答えを先に書くと、配当控除は、国内法人からの配当を確定申告で総合課税として申告したときに、配当所得の金額の10%(証券投資信託の収益の分配は5%)を所得税額から差し引ける税額控除です。国税庁のタックスアンサーNo.1250は、剰余金の配当などの配当所得があるときには、一定の方法で計算した金額の税額控除を受けることができる、としています。→ 本文で読む
配当控除の対象にならない配当はありますか
配当控除の対象は、日本国内に本店のある法人から受ける配当等で、総合課税で申告したものです。外国法人からの配当は対象外です。国内の株式の配当でも、申告の方法によって対象から外れます。→ 本文で読む
配当控除の控除率は何パーセントですか
控除率は、配当の種類と、その年の課税総所得金額等が1,000万円以下かどうかで決まります。No.1250は、課税総所得金額等が1,000万円以下の場合(パターン1)、配当控除の額は「剰余金の配当等に係る配当所得の金額×10パーセント」と「証券投資信託の収益の分配金に係る配当所得の金額×5パーセント」の合計、としています。→ 本文で読む
所得が1,000万円を超えると配当控除はどうなりますか
課税総所得金額等が1,000万円を超えると、超える部分に対応する配当の控除率が半分になります。株式の配当は10パーセントが5パーセントに、証券投資信託の分配金は5パーセントが2.5パーセントに、外貨建等証券投資信託は2.5パーセントが1.25パーセントになります。No.1250はこれをパターン2から4に分けて説明しています。→ 本文で読む
配当は総合課税と申告分離課税のどちらが有利ですか
上場株式等の配当は、総合課税・申告分離課税・確定申告不要のどれかを選べます。配当控除が使えるのは総合課税だけです。No.1330は、上場株式等の配当等(大口株主等が支払を受けるものを除く)は、支払を受けるべき配当等の金額にかかわらず確定申告を要しない、としています。また、確定申告において総合課税によらず申告分離課税を選択することもできます。→ 本文で読む
配当控除を受けるには確定申告が必要ですか
配当控除は、確定申告をしなければ受けられません。No.1250は、配当控除を受けるためには確定申告が必要であり、その際には配当控除の額のほか、配当について源泉徴収された所得税の額が納付すべき税額の計算上控除される、としています。→ 本文で読む
出典
- 国税庁「No.1250 配当所得があるとき(配当控除)」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1250.htm - 国税庁「No.1330 配当金を受け取ったとき(配当所得)」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1330.htm
この記事は、記載時点で公表されている法令・通達・国税庁の資料にもとづいて書いています。制度は改正されることがあり、また個別の事情によって取扱いは変わります。実際のご判断にあたっては、税理士にご相談いただくか、所轄の税務署にお確かめください。当事務所は本記事の情報を用いて行われた判断について責任を負いかねます。
配当を総合課税で申告するかどうかは、その年の所得全体を見て決めてください。
配当控除は総合課税を選んだ配当にだけ付く税額控除で、株の損失と通算する申告分離課税とは両立しません。課税総所得金額等が1,000万円を超えるかで控除率も変わります。年間取引報告書と源泉徴収票をお持ちいただければ、総合課税・申告分離課税・申告不要のどれが有利かを計算します。ふじみ野市とその近隣の方は訪問でのご相談も承ります。初回30分は無料です。
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