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源泉徴収

原稿料・講演料の源泉徴収は10.21%。
謝金・車代・旅費・懸賞の賞金の扱い

社外の方にセミナーの講師をお願いしたり、会報やウェブサイトの原稿を書いてもらったりすることがあります。相手が個人なら、支払う側が源泉徴収をして、翌月10日までに納めます。

迷いやすいのは、「謝金」「お車代」といった名目の支払、講師の交通費や宿泊費、懸賞の賞金です。名目ではなく実態で判断するのが基本で、旅費や少額の賞金には例外もあります。国税庁のタックスアンサーNo.2795で、どこまでが源泉徴収の対象になるのかを確認します。

公開 最終更新

この記事の要点

個人の作家に原稿料を、大学教授などに講演料を支払うときは、支払う側が所得税および復興特別所得税を源泉徴収します。税額は支払金額100万円以下なら10.21%、100万円を超える部分は20.42%。謝金や車代という名目でも実態が同じなら対象で、旅費はホテルなどに直接払えば含めなくてよく、懸賞の賞金は1回50,000円以下なら不要です。国税庁タックスアンサーNo.2795をもとに整理しました。

先に見ておくと分かりやすいもの

原稿料・講演料は報酬・料金等として源泉徴収する

個人の作家に原稿料を払うときや、大学教授などに講演料を払うときは、支払う側が所得税および復興特別所得税を源泉徴収します。国税庁のタックスアンサーNo.2795は、居住者への原稿料・講演料の支払を、報酬・料金等の源泉徴収の対象としています。

国税庁 タックスアンサー No.2795「原稿料や講演料等を支払ったとき」

居住者である作家に原稿料を支払うときや大学教授などに講演料を支払うときは、報酬・料金等として所得税および復興特別所得税(令和9年分以後は所得税、防衛特別所得税および復興特別所得税。以下同じです。)を源泉徴収しなければなりません。

相手が作家や大学教授でなくても、原稿を書いてもらった対価、講演をしてもらった対価であれば同じです。社外の専門家にセミナー講師を頼んだ、会報の記事を書いてもらった、といった場面が当てはまります。

括弧書きにあるとおり、令和9年分以後は、源泉徴収する税の名前に「防衛特別所得税」が加わります。この記事の税率と計算式は、No.2795に書かれているものです。人を雇ったときの源泉徴収の考え方は源泉徴収の義務の記事にまとめました。

謝金・車代・取材費も、実態が同じなら対象

支払の名目が「講演料」「原稿料」でなくても、中身が同じなら源泉徴収の対象です。No.2795は、謝金・取材費・調査費・車代などの名目で支払う場合でも、実態が原稿料や講演料と同じであれば、すべて源泉徴収の対象になるとしています。

国税庁 タックスアンサー No.2795

謝金、取材費、調査費、車代などの名目で支払をする場合がありますが、これらの実態が原稿料や講演料と同じ場合には、すべて源泉徴収の対象になります。

たとえば講師に「講演料」と「お車代」を別々の封筒で渡しても、お車代が実際には講演への謝礼の一部であれば、両方を合わせた額が源泉徴収の対象です。封筒や科目を分けることで、源泉徴収の対象から外れるわけではありません。

判断のよりどころは、その支払が何の対価なのか、という実態です。帳簿の科目を「旅費交通費」「会議費」にしていても、講演や原稿の対価であれば結論は変わりません。

旅費・宿泊費は、ホテルなどに直接払えば含めなくてよい

講師の交通費や宿泊費も、原則は報酬・料金等に含まれます。ただし、通常必要な範囲の金額を、支払う側がホテルや旅行会社などに直接払った場合は、報酬・料金等に含めなくてもよいとされています。

国税庁 タックスアンサー No.2795

旅費や宿泊費などの支払も原則的には報酬・料金等に含まれます。しかし、通常必要な範囲の金額で、報酬・料金等の支払者が直接ホテルや旅行会社等に支払った場合は、報酬・料金等に含めなくてもよいことになっています。
交通費・宿泊費の払い方源泉徴収の対象になる金額
講師に現金や振込で渡す原則として報酬・料金等に含める
支払う側がホテル・旅行会社などに直接払う(通常必要な範囲)含めなくてよい

No.2795が例外として書いているのは、支払う側が直接払った場合です。講師にいったん立て替えてもらい、あとで精算する形は、この書き方には当たりません。源泉徴収の対象を講演料の本体だけにしたいなら、宿や切符を主催者側で手配して直接払う形にしておくのが分かりやすい方法です。

懸賞の賞金は1回50,000円以下なら不要。出題料は原稿料に含まれない

懸賞に応募した作品の入選者への賞金や、新聞・雑誌の投稿欄への謝金は、原則として原稿料に含まれます。ただし、一人に1回50,000円以下であれば源泉徴収をしなくてもよいとされています。

国税庁 タックスアンサー No.2795

懸賞応募作品などの入選者に対する賞金や新聞、雑誌などの投稿欄への投稿の謝金などは、原則として原稿料に含まれますが、一人に対して支払う賞金や謝金の金額が、1回50,000円以下であれば、源泉徴収をしなくてもよいことになっています。

会社のロゴやキャッチコピーの公募、作文コンクールの賞金などが当てはまります。判定は一人に対して1回に払う金額で行います。

一方で、No.2795は試験問題の出題料や答案の採点料などは、原稿料には含まれないとしています。文章を書いてもらう点は似ていますが、原稿料としての源泉徴収の対象には当たらない、という整理です。ほかの区分の報酬に当たらないかは、支払の中身で個別に確かめてください。

消費税が分けて書かれていれば、税抜の額でよい

源泉徴収の対象になる金額は、原則として消費税および地方消費税を含めた額です。ただし、請求書などで報酬・料金等の額と消費税等の額がはっきり分けて書かれていれば、報酬・料金等の額だけを対象にしてかまいません。

国税庁 タックスアンサー No.2795

請求書等において報酬・料金等の額と消費税等の額が明確に区分されている場合には、その報酬・料金等の額のみを源泉徴収の対象とする金額として差し支えありません

No.2795は注書きで、インボイス制度が始まったあとも、この取扱いは変わらないとしています。講師に請求書を出してもらうときは、謝礼の額と消費税等の額を分けて書いてもらうと、源泉徴収の計算がはっきりします。くわしくは源泉徴収は税込か税抜かの記事に書きました。

税額は100万円以下10.21%、超える部分は20.42%

源泉徴収する税額は、支払金額が100万円以下なら支払金額の10.21%です。100万円を超える場合は、超える部分に20.42%を掛け、102,100円を足します。1円未満の端数は切り捨てます。

支払金額(=A)源泉徴収する税額
100万円以下A×10.21%
100万円超(A−100万円)×20.42%+102,100円

102,100円は、100万円に10.21%を掛けた額です。つまり100万円までの部分は10.21%、100万円を超える部分は20.42%という、2段階の計算になっています。No.2795の設例は次のとおりです。

国税庁 タックスアンサー No.2795 具体例(150万円の原稿料を支払う場合)

(150万円 - 100万円)× 20.42% + 102,100円 = 204,200円

ここでいう支払金額は、源泉徴収の対象となる金額です。名目の違う謝金や車代を合算するか、直接払った旅費を除くか、消費税を分けて書いてあるかで、Aの額が変わります。前の節までの判断を先に済ませてから、この表に当てはめます。

納付は翌月10日まで。納期の特例は使えない

原稿料や講演料から源泉徴収した税額は、支払った月の翌月10日までに納めます。給与などで使える納期の特例は、原稿料や講演料には使えません。No.2795は、納期の特例の対象とはならないと注記しています。

納め方は2つです。所得税徴収高計算書のデータをe-Taxで送信して納付する方法(キャッシュレス納付)と、所得税徴収高計算書(納付書)を添えて金融機関や税務署の窓口で納付する方法です。

納期の特例を受けている会社も、毎月の納付が要ります

給与の源泉所得税を納期の特例でまとめて納めている会社でも、原稿料や講演料の分は、支払った月の翌月10日までに納めます。年に数回しか講師を頼まない会社ほど、この納付を忘れがちです。納期の特例については納期の特例の記事にまとめました。

よくある質問

講演料や原稿料を個人に払うときは源泉徴収が必要ですか

個人の作家に原稿料を払うときや、大学教授などに講演料を払うときは、支払う側が所得税および復興特別所得税を源泉徴収します。国税庁のタックスアンサーNo.2795は、居住者への原稿料・講演料の支払を、報酬・料金等の源泉徴収の対象としています。→ 本文で読む

謝金や車代という名目で払えば源泉徴収はいりませんか

支払の名目が「講演料」「原稿料」でなくても、中身が同じなら源泉徴収の対象です。No.2795は、謝金・取材費・調査費・車代などの名目で支払う場合でも、実態が原稿料や講演料と同じであれば、すべて源泉徴収の対象になるとしています。→ 本文で読む

講師の交通費や宿泊費も源泉徴収の対象になりますか

講師の交通費や宿泊費も、原則は報酬・料金等に含まれます。ただし、通常必要な範囲の金額を、支払う側がホテルや旅行会社などに直接払った場合は、報酬・料金等に含めなくてもよいとされています。→ 本文で読む

懸賞の賞金にも源泉徴収は必要ですか

懸賞に応募した作品の入選者への賞金や、新聞・雑誌の投稿欄への謝金は、原則として原稿料に含まれます。ただし、一人に1回50,000円以下であれば源泉徴収をしなくてもよいとされています。→ 本文で読む

原稿料や講演料の源泉徴収税額はどう計算しますか

源泉徴収する税額は、支払金額が100万円以下なら支払金額の10.21%です。100万円を超える場合は、超える部分に20.42%を掛け、102,100円を足します。1円未満の端数は切り捨てます。→ 本文で読む

原稿料や講演料の源泉所得税はいつまでに納めますか

原稿料や講演料から源泉徴収した税額は、支払った月の翌月10日までに納めます。給与などで使える納期の特例は、原稿料や講演料には使えません。No.2795は、納期の特例の対象とはならないと注記しています。→ 本文で読む

出典

  1. 国税庁「No.2795 原稿料や講演料等を支払ったとき」
    https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2795.htm

この記事は、記載時点で公表されている法令・通達・国税庁の資料にもとづいて書いています。制度は改正されることがあり、また個別の事情によって取扱いは変わります。実際のご判断にあたっては、税理士にご相談いただくか、所轄の税務署にお確かめください。当事務所は本記事の情報を用いて行われた判断について責任を負いかねます。

講師への謝礼や原稿料を払う前に、支払の形を決めておくと楽です。

講演料とお車代を分けるか、交通費や宿泊費を会社から直接払うか。支払の形で源泉徴収の対象になる金額が変わります。請求書の書き方や、翌月の納付の段取りまでまとめて確認します。ふじみ野市とその近隣の方は訪問でのご相談も承ります。初回30分は無料です。