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経費

借りた事務所や店舗の内装工事の耐用年数。
造作は1つの資産として見積もり、賃借期間で償却できる場合もあります

テナントを借りて店や事務所を開くとき、内装工事は大きな支出です。壁や床、間仕切り、看板。これらを「造作」といいます。借りた建物への造作は、何年で償却すればよいのでしょうか。

答えを先に書くと、借りた建物への造作は、1つの資産として、建物の耐用年数や造作の種類・材質などから合理的に耐用年数を見積もります。自分の建物への工事とは違い、「建物の耐用年数をそのまま使う」ではありません。

さらに、賃貸借契約に条件がそろえば、賃借期間そのものを耐用年数にできます。国税庁のタックスアンサーNo.5406で確認していきます。

公開 最終更新

この記事の要点

会社が借りた建物に内装工事(造作)をした場合、自己所有の建物への資本的支出とは異なり、その造作を1つの資産として、建物の耐用年数や造作の種類・用途・使用材質を勘案して合理的に耐用年数を見積もります。建物附属設備への造作はその附属設備の耐用年数で償却します。賃借期間の定めがあり更新できず、有益費や買取の請求もできない場合は賃借期間を耐用年数にできます。国税庁タックスアンサーNo.5406をもとに整理しました。

先に見ておくと分かりやすいもの

答え。借りた建物への造作は、1つの資産として耐用年数を見積もる

まず答えを書くと、会社が建物を賃借してその建物に造作をした場合、その造作を1つの資産として、造作した建物の耐用年数と、造作の種類・用途・使用材質などを勘案して、合理的に耐用年数を見積もります。国税庁のタックスアンサーNo.5406がそのように示しています。

国税庁 タックスアンサー No.5406「他人の建物に対する造作の耐用年数」

法人が建物を賃借し、その建物に造作した場合には、自己が所有している建物に対して行った資本的支出とは異なりその造作を一の資産として、その造作した建物の耐用年数およびその造作の種類・用途・使用材質等を勘案して合理的に耐用年数を見積もることとされています。

ここでの「造作」は、借りた建物に取り付けた内装や間仕切り、床、天井、棚などの工事です。耐用年数表に「造作」という項目があるわけではなく、見積もる、というのがこの回答の要点です。

自己所有の建物への資本的支出とは扱いが違う

自分の会社が所有する建物に工事をした場合、価値を高める工事は資本的支出として、その建物の耐用年数で償却します。借りた建物への造作は、これとは違う扱いです。No.5406は、自己が所有している建物に対して行った資本的支出とは異なり、と明記しています。

違いの理由は、借りた建物は会社の資産ではないからです。会社の資産でない建物に資本的支出を加えることはできないので、造作そのものを会社の独立した資産として計上します。そのうえで、その造作に合った耐用年数を決めます。

自己所有の資産への工事が修繕費になるか資本的支出になるかは、修繕費か資本的支出かで整理しています。借りた建物の場合は、その判定の前に「別の資産」として切り出す、という順番になります。

見積もりの物差し。建物の耐用年数と、造作の種類・用途・材質

耐用年数を見積もるといっても、勝手に決めるわけではありません。No.5406は、勘案する要素として、造作した建物の耐用年数と、造作の種類・用途・使用材質等を挙げています。

勘案する要素見るところ
造作した建物の耐用年数建物の構造(木造か鉄骨か鉄筋コンクリートか)と用途で決まる年数
造作の種類・用途間仕切り、床、天井、内装など、何のための工事か
使用材質木材、石膏ボード、金属など、どれくらい長持ちする材料か

頑丈な建物に、長持ちする材質で造作すれば長く、簡易な材質なら短く見積もる、という考え方です。実務では、工事の見積書や請求書に工事の内訳が書かれていますから、それを基に見積もります。見積もった根拠を残しておくことが、後で説明を求められたときの備えになります。

建物附属設備への造作は、その附属設備の耐用年数

造作の対象が建物本体ではなく、建物附属設備の場合は、見積もりではなく決まった年数を使います。No.5406は、建物附属設備に造作した場合には、その建物附属設備の耐用年数により、その造作を償却する、としています。

建物附属設備とは、電気設備、給排水設備、冷暖房設備など、建物に付属している設備のことです。借りた店舗で照明の配線工事や空調の増設をした場合は、建物への造作ではなく、建物附属設備への造作として、その設備の種類に応じた耐用年数で償却します。

1回の内装工事でも、中身は「建物への造作」と「建物附属設備への造作」に分かれることがよくあります。見積書の内訳を、建物部分と設備部分に分けて見るのが最初の作業です。

賃借期間を耐用年数にできる場合。更新なし・請求権なし

借りた建物への造作には、賃借期間を耐用年数にできる特例があります。No.5406は、造作した建物について賃借期間の定めがあり、その賃借期間の更新ができないもので、かつ、有益費の請求または買取請求をすることができないものについては、その賃借期間を耐用年数として償却することができる、としています。

国税庁 タックスアンサー No.5406「他人の建物に対する造作の耐用年数」

ただし、その造作した建物について賃借期間の定めがあり、その賃借期間の更新ができないもので、かつ、有益費の請求または買取請求をすることができないものについては、その賃借期間を耐用年数として、これらの造作を償却することができます。

条件は次のとおりです。賃借期間の定めがあること、その期間の更新ができないこと、有益費の請求も買取請求もできないこと。この条件がそろっていれば、契約が終われば造作は手元に残らないので、契約期間中に償却してしまってよい、という考え方です。

定期建物賃貸借のように更新のない契約で、退去時に造作の買取を請求できない条項があれば、この特例が使える可能性があります。一般的な普通借家契約は更新できるので、この特例には当たりません。契約書の更新条項と、造作の買取に関する条項を確かめてください。

同じ建物への造作はまとめて1つの資産

最後に、造作の数え方です。No.5406は、同一の建物についてされた造作は、そのすべてをまとめて一の資産として償却するので、その耐用年数は造作の種類別に見積もるのではなく、その造作全部を一の資産として総合して見積もる、としています。

床、壁、天井、棚、と工事の項目ごとに別々の耐用年数をつけるのではなく、その建物への造作をひとまとめにして、全体としての耐用年数を1つ決めるということです。項目ごとに分けると、短いものだけ早く償却できてしまうので、それを認めない趣旨です。

なお、入居時に払う権利金や立退料は、造作とは別の「繰延資産」という扱いになります。建物を賃借するための権利金等で整理しています。テナントに入るときの支出は、造作・附属設備・権利金・仲介手数料で、それぞれ扱いが違います。領収書を分けて保存しておいてください。

よくある質問

借りた店舗の内装工事は何年で償却しますか

まず答えを書くと、会社が建物を賃借してその建物に造作をした場合、その造作を1つの資産として、造作した建物の耐用年数と、造作の種類・用途・使用材質などを勘案して、合理的に耐用年数を見積もります。国税庁のタックスアンサーNo.5406がそのように示しています。→ 本文で読む

借りた建物への工事は資本的支出になりますか

自分の会社が所有する建物に工事をした場合、価値を高める工事は資本的支出として、その建物の耐用年数で償却します。借りた建物への造作は、これとは違う扱いです。No.5406は、自己が所有している建物に対して行った資本的支出とは異なり、と明記しています。→ 本文で読む

造作の耐用年数はどのように見積もりますか

耐用年数を見積もるといっても、勝手に決めるわけではありません。No.5406は、勘案する要素として、造作した建物の耐用年数と、造作の種類・用途・使用材質等を挙げています。 頑丈な建物に、長持ちする材質で造作すれば長く、簡易な材質なら短く 見積もる、という考え方です。実務では、工事の見積書や請求書に工事の内訳が書かれていますから、それを基に見積もります。 見積もった根拠を残しておくこと が、後で説明を求められたときの備えになります。→ 本文で読む

借りた店舗の空調や電気の工事は何年で償却しますか

造作の対象が建物本体ではなく、建物附属設備の場合は、見積もりではなく決まった年数を使います。No.5406は、建物附属設備に造作した場合には、その建物附属設備の耐用年数により、その造作を償却する、としています。→ 本文で読む

賃借期間を造作の耐用年数にできるのはどのような場合ですか

借りた建物への造作には、賃借期間を耐用年数にできる特例があります。No.5406は、造作した建物について賃借期間の定めがあり、その賃借期間の更新ができないもので、かつ、有益費の請求または買取請求をすることができないものについては、その賃借期間を耐用年数として償却することができる、としています。→ 本文で読む

内装工事の項目ごとに耐用年数を分けられますか

最後に、造作の数え方です。No.5406は、同一の建物についてされた造作は、そのすべてをまとめて一の資産として償却するので、その耐用年数は造作の種類別に見積もるのではなく、その造作全部を一の資産として総合して見積もる、としています。→ 本文で読む

出典

  1. 国税庁「No.5406 他人の建物に対する造作の耐用年数」
    https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5406.htm

この記事は、記載時点で公表されている法令・通達・国税庁の資料にもとづいて書いています。制度は改正されることがあり、また個別の事情によって取扱いは変わります。実際のご判断にあたっては、税理士にご相談いただくか、所轄の税務署にお確かめください。当事務所は本記事の情報を用いて行われた判断について責任を負いかねます。

内装工事の見積書と賃貸借契約書を、一緒に見せてください。

借りた建物への造作の耐用年数は、工事の内容と、賃貸借契約の条件で決まります。契約に更新の定めがあるか、有益費や買取の請求ができるかで、賃借期間で償却できるかどうかが分かれます。開業前の工事なら、契約の段階でご相談いただくのが確実です。ふじみ野市とその近隣の方は訪問でのご相談も承ります。初回30分は無料です。