経費
租税公課は原則損金。ただし法人税・住民税の本税、加算税・延滞税、罰金は損金になりません。
損金にする時期も税金ごとに違います
会社の帳簿には「租税公課」という科目があります。ここに法人税の納付や延滞税まで入れてしまうのは、小さな会社でよく見かける間違いです。
答えを先に書くと、租税公課は原則として損金ですが、法人税・住民税の本税、加算税・延滞税、罰金・科料は損金になりません。払った税金なのに経費にならないものがある、ということです。
もう1つ、損金になる税金には「いつの事業年度の損金にするか」というルールがあります。事業税と固定資産税で違います。国税庁のタックスアンサーNo.5300で順に確認していきます。
この記事の要点
会社が納める租税公課は原則として損金ですが、法人税・地方法人税・都道府県民税・市町村民税の本税、加算税・延滞税・延滞金、罰金・科料・過料、法人税額から控除する所得税は損金になりません。損金になる税金も、事業税など申告納税方式は納税申告書を提出した事業年度、固定資産税など賦課課税方式は賦課決定のあった事業年度が原則です。国税庁タックスアンサーNo.5300をもとに整理しました。
先に見ておくと分かりやすいもの
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租税公課は原則損金。ただし例外がある
会社が納付する租税公課等は、原則として損金の額に算入されます。国税庁のタックスアンサーNo.5300はそう述べたうえで、損金にならない租税公課等を列挙しています。「税金は全部経費」ではなく、「原則は経費だが、外れるものがある」と覚えてください。
国税庁 タックスアンサー No.5300「損金の額に算入される租税公課等の範囲と損金算入時期」
法人が納付する租税公課等は原則として損金の額に算入されますが、例えば次の「損金の額に算入されない主な租税公課等」に掲げる租税公課等については損金の額に算入されません。
そして、損金になる租税については損金算入の時期が別に定められています。「損金になるか」と「いつの損金か」の2段階で見るのが、この論点の読み方です。
損金にならない4つの租税公課
No.5300が損金の額に算入されない主な租税公課等として挙げているのは、次の4つです。いずれも会社のお金は出ていきますが、所得の計算では経費として引けません。
| 損金にならない租税公課等 | |
|---|---|
| (1) | 法人税、地方法人税、都道府県民税および市町村民税の本税 |
| (2) | 各種加算税および各種加算金、延滞税および延滞金(地方税の納期限の延長に係る延滞金は除きます。)ならびに過怠税 |
| (3) | 罰金および科料(外国または外国の地方公共団体が課する罰金または科料に相当するものを含みます。)ならびに過料 |
| (4) | 法人税額から控除する所得税、復興特別所得税および外国法人税 |
(1)は、利益に対してかかる税金そのものです。これを経費にすると、税金で税金を減らすことになるので認められません。法人税・地方法人税と、都道府県民税・市町村民税(法人住民税)の本税がここに入ります。一方、事業税は入っていません。事業税は損金になります。
(2)と(3)は、ペナルティの性格を持つものです。申告が遅れたときの加算税、納付が遅れたときの延滞税、交通違反の罰金や科料は、どれも損金になりません。ただし、地方税の納期限の延長に係る延滞金は除かれています。ペナルティの中身は無申告のペナルティで整理しています。
(4)は、預金利息などから差し引かれた所得税・復興特別所得税を法人税額から控除する場合です。税額控除を選ぶなら、その分は損金にしない、という整理です。
事業税など申告納税方式の税金は、申告書を提出した事業年度
損金になる税金のうち、事業税・事業所税・酒税のように会社が自分で申告して納める税金(申告納税方式)は、納税申告書を提出した事業年度の損金です。No.5300はそう定めています。更正または決定があったものは、その更正または決定のあった事業年度です。
事業税は、前期の所得に対して当期に申告・納付します。ですから原則としては、前期分の事業税は当期の損金になります。ここで1つ特例があります。
国税庁 タックスアンサー No.5300「損金の額に算入される租税公課等の範囲と損金算入時期」
その事業年度の直前事業年度分の事業税および特別法人事業税については、その事業年度終了の日までにその全部または一部につき、申告、更正または決定がされていない場合であっても、その事業年度の損金の額に算入することができます。
直前の事業年度分の事業税・特別法人事業税は、まだ申告していなくても当期の損金にできる、という特例です。また、収入金額や棚卸資産の評価額に含めた申告期限未到来の酒税等、製造原価などに含めた申告期限未到来の事業所税を損金経理により未払金に計上したときは、その損金経理をした事業年度の損金になります。
固定資産税・自動車税など賦課課税方式の税金は、賦課決定の事業年度
不動産取得税、自動車税、固定資産税、都市計画税のように、役所が税額を決めて通知してくる税金(賦課課税方式)は、賦課決定のあった事業年度の損金が原則です。納税通知書が届いた事業年度、と考えると分かりやすいです。
ただし、No.5300は別の方法も認めています。納期の開始の日の属する事業年度、または実際に納付した日の属する事業年度において損金経理をした場合には、その損金経理をした事業年度の損金になります。固定資産税は年に何回かに分けて納めますから、納期ごと・納付ごとに経費にしていく処理も選べます。
会社で車を持っていれば自動車税、事務所を所有していれば固定資産税がかかります。どの方法で処理するかを決めたら、毎期同じやり方を続けることが大切です。年度によって変えると、二重に落としたり、抜けたりします。
特別徴収方式の税金と、利子税・延滞金
ゴルフ場利用税や軽油引取税のように、事業者がお客様から預かって納める税金(特別徴収方式)は、納入申告書を提出した事業年度の損金です。更正または決定があったものはその事業年度で、収入金額に申告期限未到来の納入すべき金額が含まれている場合に損金経理により未払金に計上したときは、その事業年度になります。
もう1つ、損金になる「遅れの負担」があります。国税の利子税と、地方税の納期限の延長に係る延滞金です。No.5300は、これらは納付した事業年度の損金とし、その事業年度の期間に対応する未納額を損金経理により未払金に計上したときは、その事業年度の損金になる、としています。延滞税は損金にならず、利子税は損金になります。名前が似ていますが、期限を延長する手続を取ったうえでの利息か、遅れたことへのペナルティかで扱いが分かれます。
小さな会社の実務。法人税の納付は「租税公課」に入れない
ひとり会社や小さな会社の帳簿でまず確かめたいのは、「租税公課」の科目に法人税・住民税の納付や延滞税が混ざっていないかです。混ざっていても申告書で加算すれば税額は合いますが、加算を忘れると所得が少なく計算されます。
おすすめは、科目を分けることです。損金にならない法人税・地方法人税・法人住民税は「法人税等」のような別の科目に、損金になる事業税・固定資産税・自動車税などは「租税公課」に入れます。延滞税・加算税・罰金は、金額が小さくても租税公課に入れず、損金にならないものとして別に集めておきます。
そして、損金になる税金は「いつの損金か」も一度決めておきます。事業税は申告書を提出した事業年度(直前事業年度分は特例あり)、固定資産税・自動車税は賦課決定の事業年度か、納期・納付の事業年度か。費用を損金にできる時期の一般的な考え方は債務確定の判定で整理しています。会社を作ったばかりの方は会社を作ったら出す届出もあわせてご覧ください。
よくある質問
会社が払う税金はすべて経費になりますか
会社が納付する租税公課等は、原則として損金の額に算入されます。国税庁のタックスアンサーNo.5300はそう述べたうえで、損金にならない租税公課等を列挙しています。 「税金は全部経費」ではなく、「原則は経費だが、外れるものがある」 と覚えてください。→ 本文で読む
法人税や延滞税は損金になりますか
No.5300が損金の額に算入されない主な租税公課等として挙げているのは、次の4つです。いずれも会社のお金は出ていきますが、所得の計算では経費として引けません。 (1)は、利益に対してかかる税金そのものです。これを経費にすると、税金で税金を減らすことになるので認められません。 法人税・地方法人税と、都道府県民税・市町村民税(法人住民税)の本税 がここに入ります。一方、事業税は入っていません。事業税は損金になります。→ 本文で読む
事業税はいつの事業年度の損金になりますか
損金になる税金のうち、事業税・事業所税・酒税のように会社が自分で申告して納める税金(申告納税方式)は、 納税申告書を提出した事業年度の損金 です。No.5300はそう定めています。更正または決定があったものは、その更正または決定のあった事業年度です。→ 本文で読む
固定資産税や自動車税はいつの事業年度の損金になりますか
不動産取得税、自動車税、固定資産税、都市計画税のように、役所が税額を決めて通知してくる税金(賦課課税方式)は、 賦課決定のあった事業年度の損金 が原則です。納税通知書が届いた事業年度、と考えると分かりやすいです。→ 本文で読む
利子税と延滞税の扱いは同じですか
ゴルフ場利用税や軽油引取税のように、事業者がお客様から預かって納める税金(特別徴収方式)は、納入申告書を提出した事業年度の損金です。更正または決定があったものはその事業年度で、収入金額に申告期限未到来の納入すべき金額が含まれている場合に損金経理により未払金に計上したときは、その事業年度になります。→ 本文で読む
租税公課の科目には何を入れればよいですか
ひとり会社や小さな会社の帳簿でまず確かめたいのは、 「租税公課」の科目に法人税・住民税の納付や延滞税が混ざっていないか です。混ざっていても申告書で加算すれば税額は合いますが、加算を忘れると所得が少なく計算されます。→ 本文で読む
出典
- 国税庁「No.5300 損金の額に算入される租税公課等の範囲と損金算入時期」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5300.htm
この記事は、記載時点で公表されている法令・通達・国税庁の資料にもとづいて書いています。制度は改正されることがあり、また個別の事情によって取扱いは変わります。実際のご判断にあたっては、税理士にご相談いただくか、所轄の税務署にお確かめください。当事務所は本記事の情報を用いて行われた判断について責任を負いかねます。
納付書の控えを、損金になるものとならないものに分けてください。
法人税・住民税の本税と延滞税・加算税は損金になりません。事業税・固定資産税・自動車税は損金ですが、どの事業年度の損金にするかにルールがあります。決算で租税公課の中身を1本ずつ確かめれば、申告書の加算・減算がずれません。ふじみ野市とその近隣の方は訪問でのご相談も承ります。初回30分は無料です。
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